FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

固定資産税がやってきた 太陽光発電投資の土地

太陽光発電用に購入した土地の固定資産税の用紙がやってきました。なんかしょっちゅう税金を払っている気がしますね。

 

固定資産税は毎年1月1日時点の所有者が払うことになります。この土地はわけあって先行して売買を行った土地です。固定資産税はぼくが払うことになりますが、それ以上に値引いてもらったのでまぁよしとします。

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 固定資産税の計算方法

まず固定資産税の計算方法ですが、次のようになっています。

  • 固定資産税=課税標準額×標準税率(1.4%)

この課税標準額とは、土地の場合「路線価」に面積をかけて計算します。市区町村ごとに定めるもので、1月1日時点の価格で3年に1回見直されます。

  • 実勢価格 > 公示価格 > 路線価(相続税路線価) > 路線価(固定資産税路線価)

という関係の場合が多いようです。そして相続税路線価は公示価格の8割、固定資産税路線価は公示価格の7割程度と言われています。  

www.chikamap.jpここで調べた路線価が例えば5000円なら、広さの200平方メートルを掛けて、評価額100万円になります。その1.4%なので1万4000円が固定資産税となります。

山林の路線価は安かった

ぼくの場合、宅地部分が574平米で路線価が3077円、山林部分が958平米で路線価が32円という状況でした。合計して評価額が179万7526円、課税標準額が118万9951円(約66%)です。隣接している土地なのですが、それが宅地なのか山林なのかでずいぶんと評価が違うんですね。実に100倍です。

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ちなみに実際の購入した土地代は評価額の約2倍。350万円程度です。土地は買った瞬間に、評価額は購入代金の3分の1になることを実感しました。なるほど、これは確かに相続税を減らせるわけです。

 

税率でいうと、毎年実質0.4%の資産税がかかるということになります。金融資産は保有していても税金はかかりませんが、不動産は資産税がかかります。税率が低いのでそこまで問題ではありませんが、感覚的には土地を所有しているというより国からレンタルしているような気分です。

支払いは電子マネーでポイント獲得

さて支払わなければならない固定資産税は、1万6600円。4つの期に分かれていて、第一期(5月7日まで)に4600円、第二期(7月末)が4000円、第三期(9月末)が4000円、第四紀(12月末)が4000円です。

 

 固定資産税をインターネットを介してクレジットカードで支払える自治体も増えていますが、こちら筑西市は残念ながら用紙による支払いが中心。口座引き落としも可能なようですが、「役所に来ていただければ手続きが……」という地元民でないとどうにもできないような仕組みです。

 

結局、用紙を持ってコンビニで支払うのが最も楽なようです。そしてコンビニで支払う場合、以前に書いたnanacoを使って払ってポイントをゲットする方法が使えます。わずか1.2%の還元ですが、毎回となればそこそこの額になりますね。

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土地は売らん!野立て太陽光発電のトラブル

太陽光発電所の建設を進めていますが、さすがに物件数が多くあるといろいろとトラブルものあるものです。今回、なんと2ヶ所で「やっぱり土地は売らん!」という地主さんに遭遇しました。

やっぱり値段が安すぎた……という地主さん

1ヶ所は、街道沿いの開けた場所で日当たりもよく、理想的な場所ですね! と言っていた土地です。これはいい場所を見つけられたと喜んでいたのもつかの間、連絡が。

「地主さんが、やっぱり今の値段では売れない、と言っているんです」

「え? そうなんですか?」

「今の値段の2倍でないと売らない、と」

「……」

「もしその値段になると、全く採算が合わなくなります。これは諦めたほうがいいのでは」

「そうですね。残念」

 

わざわざ現地を見に行って、うまく決まったと思いきや、これです。しかもせっかく18円案件の土地なのに、値段を倍にしたら太陽光発電用には価値が下がってしまいます。2019年に入ってからやっぱり太陽光発電用に……と思っても、当初の価格では売れないですね。そのあたり地主さんはどう考えたのでしょう。

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ともあれ、2倍と言われてはどうにもなりません。こちらのシミュレーションでは、10%価格が上がっただけでもけっこうな収益ダメージなので、もし交渉して1.5倍になっても、投資対象からは外れてしまいます。残念。

携帯会社にアンテナ立地を貸している

もう1ヶ所は、もろもろの手続きが終わり、工事日程を決めましょうというところまで来ていた案件です。当然契約書も取り交わし、あとは工事……というタイミングで電話が。

「売却予定の土地と少し重なる形で、携帯電話の鉄塔が立っていまして。電話会社にその土地をレンタルしているみたいなんです。もともとは、そことはずれているはずだったのですが、公図を改めて確認すると一部入っているようで。調整しましょう、と地主さんとやり取りしていたら、それならもう売らん! となってしまいました」

 

ちょっとまって。この土地についてはすでに東電へ電力負担金も支払い済みです。ここまで進んできて、しかも売買契約も交わしているのにいまさらキャンセルとは!

 

「地主さんとはもう話もできない状態で……」

 

そう言われても、こちらも困ります。売買契約を結んでも、引き渡しまではキャンセルできるのが通常です。買い主は手付金を諦めることで、売り主は手付金を倍返しすることでキャンセルできるのが普通です。

 

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とはいえ、こちらも貴重な18円案件なのに加えて、電力負担金の支払いもあります。土地の仲介業者は、もう一度話をしてみますとは言っているものの。さて、どうなるか。

 

なかなかに太陽光発電所の建設はいろいろとあるものですね。

不動産投資は実は利回り4%程度 レバレッジが必須の理由

不動産への投資を検討するにあたって、シミュレーションをいろいろとしています。太陽光発電もそうですが、「表面利回り」というのはくせ者で、株式などに比べてどうしてもリターンが大きく見えてしまいます。しかし、実際の利回りはもっとぜんぜん小さいのです。

 

物件価格1億円、年間賃料収入800万円(表面利回り8%)、RC築10年もののシミュレーションを見てみましょう。空室控除や原状回復費用、客付けのAD、ビルメンテナンス費用なども一般的な値で入れています。

 

なおこちらのシミュレーションは、『Excelでできる 不動産投資「収益計算」のすべて』収録の「玉川式不動産収益試算Excelシート Rev.2016.08.31」を使いました。きっちり不動産の収支計算をしたい人には必須のツールであり書籍だと思います。

Excelでできる 不動産投資「収益計算」のすべて

Excelでできる 不動産投資「収益計算」のすべて

 

全額自己資金で購入するとIRRは4%程度

全額自己資金でまかなった場合の税匹前IRRが下記になります。

 

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物件価格の7%程度の仲介費用など初期費用がかさむので、当初のIRRは低くなります。その後、物件を持ち続けることで、IRRが上昇していく形です。しかしそれは10年めで4%程度、その後もわずか4.5%程度でしかありません。

借り入れで大きくレバレッジをかける

では金利2%で30年ローンを組んでみましょう。頭金として0%(フルローン)〜100%(全額自己資金)を入れた場合のグラフです。

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見事にレバレッジの効果が出ました。フルローン(0%)の場合は、5年めで15%、8年目には18.9%に達します。その後IRRが下がっていくのは、元本の返済が進み、実質的なレバレッジ比率が低くなっていくからです。

 

頭金10%の場合はかろうじてIRR10%を維持しますが、20%を入れるとIRRのピークは15年めあたりの8.4%で、そこからは横ばいです。

 

全額自己資金(100%)の場合、年数を経るごとにIRRが増加しました。このシミュレーションでは、40%以上入れると長くもつほどIRRが上昇する数字になりました。

 

このように、不動産投資は4%程度の利回りですが、レバレッジを効かせることで10%を超えるIRRを出すことができます。これが不動産投資の最大のメリットですね。

ただし純資産の増加は全額自己資金のほうが多い

IRRは投資効率を示す指標なので、できるだけ借り入れをして自己資金を減らしたほうがプラスになりました。ただし、純資産の増加を見ると、借り入れをしないほうが増加ペースは早まります。

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純資産とは、毎年の手残り(インカムゲイン)と売却時の利益(キャピタルゲイン)を足したものです。これが0を超えるということは、購入価格で売却しても利益が残ることを意味しています。また赤い線は購入価格の1億円ですが、ここを超えるということは、この物件の価値がゼロになっても利益が出ているということです。

 

当然ですが、自己資金比率が高いほうが、早く純資産が貯まっていきます。これはローン金利の影響ですね。

 

簡易的な計算方法

簡易的な計算方法を考えてみます。まず表面利回りが8%だとしましょう。ここからさまざまな費用が引かれていくという考え方です。まず、借入金利の2%を引きます。それから、諸経費(空室控除なども含む)が2%*1を引きます。残りは4%ですね。

 

20年ローンの場合は、総額を20年で返すので1年あたり5%の返済です。25年ローンなら4%、30年ローンなら3.3%になります。先程の残り4%から、この返済分を引きます。すると、30年ローンなら0.7%残ります。これが手残りの金額だという考え方です。

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この元本返済分と手残りが、利益の源泉です。元本返済分は借入額が減少するのでその分キャピタルゲインが増加したことになります。手残りはインカムゲインの増加です。このざっくり計算で、投資家のものになる利回りはざっくり4%なのが分かります。

 

元本返済額は、返済年数が長くなるほど小さくなるので、その分が手残りに変わります。逆にいうと、返済年数を長くしても、手残りが増える効果だけで、純資産の増加には寄与しないことになります。

 

また、税金の影響もあります。元本返済分は税金に影響を与えないのでここをカットし、代わりに減価償却費がコストとして入れ込めます。イメージとしては下記になります。

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償却費を除いた残りが課税所得になります。その約30%が税金で持っていかれますので、税引き後のCFに影響を与えます。償却年数が短いほど減価償却費が多く取れるので、その分課税所得が減り、税金が減少します。古い物件ほど償却年数が少なくなるので税金が減る、RCより鉄骨、鉄骨より木造のほうが償却年数が少ないので税金が減るということです。

 

ただし償却年数が短い物件は、一般にローン年数も短くなるので、良し悪しです。

 

さらにここで「税金が減る」と書きましたが、これは毎年の税金の話です。落とし穴なのですが、ここで減った分の税金は、物件を売却してキャピタルゲインを得た際に払うことになります。つまり、インカムゲインとキャピタルゲインの税率が同一ならば、単に税払を先送りしているだけということです。

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この図のように、減価償却した分が物件売却時のキャピタルゲインになるので、その税務上の利益には税金がかかります。つまり、キャピタルゲイン+インカムゲインの合計に対して、タイミングは違いますがどちらにせよ税金がかかることになります。

 

なお、減価償却分と元本返済分のどちらが多くなるかは状況によって異なるでしょう。償却年数よりもローン年数が長ければ、減価償却のほうが早く進みます。上の図は逆にローン年数のほうが短い場合です。ただし、元利均等返済の場合、初期は金利払いが中心で元本返済が進まないので元本返済のペースは最初ゆっくりで、あとから早くなる感じです。

 

この方法だと、シミュレーションよりも保守的に計算が可能です。そして簡易に計算できるので、大外れがないともいえます。

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 【不動産関連ネタです】

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*1:家賃収入の25%程度かかるのがRC物件の標準のようです

大家の会に参加してみた 営業臭なし

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不動産投資をするなら、メンタルの意味でもノウハウの意味でも仲間が必要――ということで、初めて大家の会に行ってみました。ネットで見つけて、翌日参加だったのでけっこうドキドキしたのですが、懸念したような営業臭もなく、費用もランチ付きでリーゾナブル。運営もボランティアベースで、これはいい集まりだなぁと感じました。

 

ほかの投資家の会もそうなのですが、同じ趣味?仕事?を持つ仲間と話ができる機会というのは少ないものです。しかもお金が絡む話だと、「あいつなんかたくさん資産をもっているらしいぞ」とやっかみを受けるかもしれません。多くのサラリーマン大家さんは、自分の資産額や不動産収入は職場では秘密にしている(投資自体も秘密)というのもよくわかります。

 

匿名で「◯◯県にRC一棟ものを持っています」と話ができる場

集まっていた40名近くの方々はほとんどが大家さん。区分メインの方もいれば戸建てメインの方も、地方の方も、一棟ものの方もいました。それぞれみなさん戦略は違うのですが、口々にいうのはやはり「融資」。

 

2017年あたりをピークに、2019年現在はかなり融資の審査が厳しくなっており、よほど属性の良い人か、現金を大量に持っている人でないと融資がひけないようです。そのため、新しい物件を取得するのではなく、手持ちの物件に手を入れてバリューアップをするタイミングだと、何人かは話していました。

 

融資が厳しくなると買える人が少なくなるので、需要と供給の関係でいうと買い手有利です。自然と価格が下がり、利回りもアップするはずですが、まだ物件価格は落ちていないというのがみなさんの感触です。「売買ではなくバリューアップの時期」というとおり、買い手も少ないが売り物件も絞られてくる時期なのでしょうか。

 

そういう意味では、今年後半から来年にかけて物件価格が下がっていくのか、それとも高値が継続するのか、こればっかりは誰も分からないところです。

 

そして、では2016年あたりの融資がかなり緩かったタイミングに購入していたらどうだったのか? という話もありました。当然、当時から比べると物件価格は下がってはいるのですが、物件価格の下落スピードよりも、借り入れの返済スピードのほうが早いんですね。つまり、キャピタルゲインでも損はしていないと。

 

なるほど、不動産投資では、少しでも早く購入することが有利になるんだな、と実感した感じです。僕の場合、セミリタイアしたので現在の属性で融資を受けられるのは今年が最後です。来年以降はどんどん属性が悪くなってしまいます。やはり今のうちに物件を買うべきなんだろうな、と悩む感じです。

2019年度の太陽光FITが14円で決定

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経済産業省が2019年度以降のFIT制度買取価格を発表しました。買い取り価格は2018年の18円から22%下がって14円。これは、当初の想定どおりです。ただし、入札対象基準は500kW以上となりました。50kW以下を低圧、50kW以上を高圧といいますが、高圧は入札を免れた形です。

www.meti.go.jp

 

ちなみに住宅用の10kW未満の太陽光発電はスタートから10年がたち、最初期のFIT案件が買い取り期間終了を迎えるのが2019年です。一巡した感じですね。

 

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キャッシュフローが出ない土地値以下不動産を考える

不動産の物件を探している中で、面白いものに出会いました。土地の値段以下、それどころか積算価格以下の値付けがされている一棟アパートです。場所も都内で悪くなく、ブランド価値のある立地です。ただし、利回りが4%以下と悪く、20年ローンだと税前キャッシュフロー(CF)がほぼゼロになります。利益は黒字なので税金は取られ、税引き後CFはマイナスです。

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※写真はその物件ではありません

さらに、昨今の融資引き締めを受けて、20%程度の自己資金を入れる必要があります。となると、初期に必要な現金が大きい上に、持っていると毎月お金が減っていくという恐ろしい案件です。

 

それでも面白いのは、土地として売れば即座に買値の1.3倍くらいの値が付きそうなところ。ではなぜすぐに建物を潰して売らないかというと、大元のオーナーが住居人として借りて住んでおり、契約上、立ち退かせられないからのようなのです。ただしこの方はかなりの高齢で、5年から遅くとも15年後には施設などに移らざるを得ない。

 

つまり、どんどん現金が減っていく中、元オーナーさんが引っ越してくれれば売却して資金を回収できるという投資になります。完全なキャピタルゲイン投資ですね。地上げみたいなものです。

純資産額のシミュレーション

まずは純資産額の年別シミュレーションです。平均居住年数を3年、募集にかかる平均月数を1.7ヶ月、平均募集費用を2ヶ月、平均原状回復費用を2ヶ月として、試算しました。メンテナンス費なども入れて、経費率は27%です。自己資金は2割入れて1.3%の20年ローンとしてみました。固都税や売買時の諸経費、所得税なども入れた税引き後の純資産額推移が下記になります。

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青棒が個人での購入、赤棒が法人での購入です。売却金額は積算評価額としました。なんと法人購入なら初年度からプラスです。これはすごい。仮に買値での売却だとしても、4年めからは純資産額がプラスになります。

 

もちろん毎年借入金の返済が進むため、期が進むごとに得られる純資産額はプラスとなっていきます。ここだけ見るとかなり美味しい投資です。

 

ではそのために必要なキャッシュはどうでしょうか? 

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赤線と青線が年次キャッシュフロー、棒が累積CFです。初期費用はもちろん、毎年の税引き後キャッシュフローは赤字(税前でトントン)なので、毎年どんどんお金が流出していきます。7年後には初期投資額の倍まで現金が必要になっていきます。

 

手元の資金が尽きるか、売却できるかのチキンレースです。もちろん、手元キャッシュがきつくなったら、借り換えなどでローンを組み直すこともできますが、構造的にはこうなります。

マルチプルを考える

キャッシュはどんどん出ていく、しかし借入金返済も進むので、年月が経つにつれて売却時の利益も大きくなる。そんな構造です。では、積算価格で売却できた場合、初期費用に対して何倍のリターンを得られるのかを見てみましょう。いわゆるマルチプルです。

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 なんと初年度から1.14倍で、年を追うごとに増加していきます。10年めで2.3倍、15年で3倍を超えてきます。ただしこれは、「その年に売却できた場合」だということに注意が必要です。また、10年めで2.3倍ということは、ざっくり暗算しても年率7%程度ということでもあります。

IRRで考えてみる

となると、もう一つ考えておくべきはIRRです。IRRとは以前書いたように、同額を複利の定期預金に預けた場合に得られるリターンと比較できる、利回りの指標ですね。

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なるほど、積算価格での売却であればだいたい5%くらいを維持できそうです。ただし5〜6年後くらいをピークにだんだんIRRは低下します。買値での売却では、徐々にIRRが上昇し、3%くらいになるようです。

 

実はIRRで見た場合、それほど利回りのよい投資でもないことが分かりました。売値は正直不確実ですから、5%前後の定期預金と同様の見通しです。

自己資金比率と借り入れ金利がIRRに及ぼす影響

さらに、この投資では自己資金割合と借り入れ利率が大きく影響を及ぼしそうです。そのため、投資効率が最も良さそうな6年めに売却したとして、自己資金比率と借り入れ利率を変化させてIRRをチェックしてみました。

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なるほど、このグラフを見ると、最も利回り(IRR)に影響するのは金利というより自己資金比率のようです。自己資金比率が14%ならば、7〜8%のIRRリターンが期待できますが、自己資金比率が20%を超えると6%がいいところです。

そもそも自己資金をどう捻出するか

投資としては面白い案件なのですが、下手をすると何年も資金を回収できず凍結する形になります。そして年がすぎるほどに利回りが悪化する恐れがあります。何より問題なのは、そのためにどんどん必要資金が増えていくことです。

 

現在の資産状況では、初期の自己資金を用意することはなんとかできそうですが、その後の追加必要CFを賄うには、継続的に株式などを売却していかなくてはなりません。そして、今は株式を売るにはあまりいいタイミングではないと思うんですね。

 

想定リターン(IRR)が15%くらいあれば魅力的なのですが、そのためにはいくらで売却する必要があるのでしょう? 計算すると、「近隣成約土地値」で売却できると、6年めのIRRがちょうど15%となりました。ただし、これは建物解体費用は含んでいません。

 

そしてこのIRRは年数を経るごとにどんどん低下し、11年めには10%を切り、22年めには5%台に落ち込みます。

 

22年売却できずにいたら、その資金は素直に株式で運用していたほうがお得だったということになりかねません。なるほど、一見お得に見える物件でも、この値段(積算評価以下)で売りに出ているのはそれなりの理由があってなんですね。

 

正直、ちょっとこの物件は難しいなと思いました。価格がこの4分の1くらいなら、チャレンジしてもいいのですが、総額が高すぎです。借入金額が資産総額を軽く超えています。マイナスCFが積み上がっていくことを考えると、更地にして売却できるようになるまで頑張れる自信がありません。逆に、資金が大量にある人は、こういう物件で着実に資産を増やせるんだなと思った次第です。

 

2019年の太陽光発電投資について各社に聞いてみた

現在、東京ビッグサイトで「資産運用EXPO」が開催されています。太陽光発電EPC業者も多数出展していたので、各社のブースで2019年の太陽光発電事業について、見通しを聞いてみました。

 

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FIT14円にどう対応する?

いま新規の太陽光発電案件を探している人が一番気にするのは、2019年のFIT14円にどう対応するか? でしょう。

 

ほとんどの事業者では、「利回り10%を確保するよう努力する」という方針でした。FITの低下で売上が22%下落することが確定するわけですから、利回りを維持するということは、コストを削減したり利益を削ったりするということです。

 

「利回りが10%を下回ると、最初の10年利益がでなくなったりして投資案件としての価値がなくなる」

「利回り10%以下だとそもそも融資がおりない」

「太陽光パネル自体の価格も下がってきている。パネルメーカーも、これを機にさらに価格を下げてくる(これまでは高くても売れていた)」 

過積載に関する考え方は?

最近の低圧発電所では、49.5kWの低圧ギリギリのパワーコンディショナーに、1.5倍から2倍程度、80Kwから100Kwの出力を持つパネルを組み合わせる、いわゆる過積載が普通です。過積載はピーク時の発電出力を捨てることになりますが、逆に朝晩など発電量が少ないときでもパワーコンディショナーの上限に近い電力を売電できるところにメリットがあります。

 

「日陰ができるなど、環境によっては過積載のメリットは大きい」

「パネル自体の出力も上がってきているので、土地が狭い(通常100kWクラスだと300坪くらい必要)物件でも過積載できる可能性がある」

「当社では、80kWを標準的な過積載にしている。多く積みすぎてもピークカット(捨てる部分)が多すぎて損」

「1台のパワーコンディショナーにつなげるパネル枚数に制限がある。多くのパネルをつなげるパワコンもあるが、2倍程度が安全域」

低圧発電所での蓄電池の可能性は?

10年のFITが切れ始めた家庭用太陽光発電では、蓄電池の販売競争が加速しています。売電するのではなく、一部を自家用として使うことで、災害時にも電気が使えたり、買うよりも安く電気が使えるからです。

 

では低圧など産業用ではどうなのでしょうか?

「まだ全然価格に合わない(電池が高すぎる)」

「産業用の自家利用分に使うという小容量の蓄電池もあるが、契約が異なるので(全量売電契約ではなく余剰売電契約にする必要あり)」

電力抑制はさらに広がるか?

この夏、九州電力が初の電力抑制を実施したことが話題になりました。電気が余っているので、太陽光発電所からの電気を買い取らないという措置のことです。これは今後どうなるのでしょうか。

 

「九州でも低圧は対象外だった。これだけの数のある発電所をどうやって抑制するのかを考えると、考えにくい」

「電力抑制を気にされるお客様が多いので、免責1時間の抑制保険を用意した」

「(九州などの)発電所が多いところはともかく、関東圏ではそもそも必要な分しか認可がおりていない。20年間は大丈夫だと思う」 

土地は賃貸か売買がいいのか?

太陽光発電投資では、土地を購入するパターンと土地を借りるパターンの2つがあります。借りるパターンは毎月のコストが上がりますが、初期費用が減少します。

 

「そもそも太陽光発電に向いた土地がなくなってきている。残った土地はへんぴなところで、そもそも地主さんが手放したがっているところが多い。賃貸の物件自体が減っている」

「20年のFIT期間を超えたあとも、5円程度では電力を買い取ってもらえることが見えてきた。ローン完了後、賃貸だとパネルを撤去しなくてはならないので、少しでも売電できるのなら持っておきたいというお客さんが増えている」

入札になった高圧は今後どうなるのか?

FITの価格下落とともに、高圧発電所も従来の一律FIT価格から、入札によってFIT価格を決定するよう制度が変わろうとしています。そうなると、高圧発電所のニーズはどうなっていくのでしょうか?

 

「リスクがたいへん大きくなったので、タダみたいな土地でないと採算が合わない」

セカンダリーマーケットは出てきているのか?

現在の太陽光発電所は、新規に設置するものがほぼすべてです。ただし今後FIT価格が低くなるにつれて、新規の発電所設置は減少し、太陽光発電所がほしい人は既に運営中の発電所を買い取るというパターンが考えられます。この発電所を売買する場をセカンダリーマーケットといったりします。

 

「現在は、高圧で事業者さん同士で譲渡ということはあるが、多対多で取引する場はないと思う」

「現在はないが、今後ニーズが出てくるのは間違いない」

 

会場では、18円案件の提示がたくさんあり、さらに一部21円、24円の案件も紹介されていました。いずれも利回りが10%を超えるように調整されています。今後はますます新規発電所は厳しくなってくると思うので、欲しい人は駆け込みということで、見てみるのもよさそうです。

 

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忘れていた!ETCマイレージを法人カードでも登録

現在、太陽光発電事業の運営のために法人を設立しています。そして、この法人名義でクレジットカードを作り自動車を借りたり物件の視察に出かけています。当然、物件視察の際は法人クレジットカードのETCカードで支払っています。 

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ところが、あれ? そういえばETCマイレージサービスってどうなるんだっけ? と気づきました。ETCマイレージサービスとは、高速道路の通行料に応じてポイントが貯まり(NEXCO東/中/西では10円につき1ポイント)、ポイントを通行料金に充てられるポイントサービスです。還元率は10%に上り、けっこう大きいですね。

 

さらに「平日朝夕割引」の対象はETCマイレージ登録カードのみなのです。「平日朝夕割引」は朝6時〜9時、夕方17時〜20時の間*1、料金の30%を還元するという制度です。月間10回以上の利用は50%還元になったり、割引対象外区間(下図)があったりといろいろと複雑なのですが、該当時間に高速に乗ったり降りたりすればだいたい3割引な感じです。

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太陽光発電物件の視察は、朝出発して複数物件を見、夕方帰ってくることが多いので、かなり対象になりがちなんですね。そこで改めて、ETCマイレージ登録をすることにしました。

ETCマイレージの登録対象

ETCマイレージは、自動車と、自動車に付けるETC機器とETCカードの3つをセットで登録するのが基本になります。個人用のETCカードを持っている場合は、この3セットで登録が完了しています。

 

ところがQ&Aをよく見ると、別のETCカードでもアカウントを作ることができることがわかりました。つまり、同じ自動車と同じETC機器と別のETCカードで、別アカウントとして登録できるということです。現在のアカウントで、ETCカードを追加できるわけではないのには注意が必要です。

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さらに調べると、登録した自動車やETC車載器でなくても、ETCカードさえ同一ならマイレージが付くことも分かりました。友人から借りた車でもレンタカーでもETCマイレージはつくわけです。要は、アカウントごとにマイレージが付き、アカウントごとにETCカードを紐付ける感じです。ただしアカウント作成には車両と車載器が必要ということですね。

自動還元にするかどうか?

さてETCマイレージは、貯まったポイントは翌年度末(3月末)までの期限があります。12ヶ月〜24ヶ月間というわけです。その上で、下記のようなポイント還元率になっています。

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最大還元率の10%にするには、5000ポイント、つまり2年間で5万円分の高速道路料金を支払う必要があります。法人での高速利用がここまでいくかはちょっと微妙かもしれません。

 

ETCマイレージには、ポイント自動還元の仕組みがありますが、実はこれは5000ポイント貯まったら5000円分利用というものです。5000ポイントに至らないと還元されません*2。とりあえず、自動還元設定にしておきましたが、場合によっては1000ポイントや3000ポイントでも還元したほうがいいでしょう。

 

個人と法人のカードを分けると経理上は楽になりますが、このように支払い額が分散することで、スケールメリットが受けにくくなる場合が出てきます。なかなか難しいものですね。

*1:この時間帯に、入り口または出口を通ると対象

*2:ポイントが失効しそうになるとアラートメールは来ますが

リアルアセット(太陽光)セグメント:2019年運用方針の目論見書

2019年からは、アセットアロケーションを4つのセグメントに分けて把握していきます。インデックスグロースオルタナティブ、リアルアセット(太陽光)です。今回はリアルアセットセグメントの運用方針をまとめておきます。

 

 

目的および基本的性格

太陽光発電所や不動産などの実物資産への投資を通じ、継続的なインカム収入を得ることを目指します。実物資産は金融商品と違い、価格や売上が比較的安定しているほか、借り入れを通じてレバレッジをかけられることが特徴です。

 

得られたキャッシュおよび担保となる信用の増加を元に、追加の物件購入を進めることを目指します。指標としては、投下キャッシュに対する内部収益率(IRR)で税引き後7%以上を目指します。

投資対象

太陽光発電所および不動産を投資対象とします。直接買い付けを基本とし、国内の物件を中心におきます。

運用方針

購入にあたっては、融資を受けることを基本とします。インカム収入を得ることを基本としますが、物件を売却し新たな物件を購入することでIRRが上昇する場合は、途中売却も行います。

 

購入、運営は法人を通じて行い、インカム収入も法人内にプールします。プールした現金は、保守、修繕に利用するほか、追加の物件取得にも使用します。また、税払いの最適化を図るため、必要に応じて役員報酬も出していきます。

運用体制

資産管理法人を通じて投資を行います。消費税免税業者を維持し、益税を狙います。また事業に必要なコストを適切に計上することで、節税効果も狙います。

投資リスク

太陽光発電については、固定買取制度(FIT)によって収入は安定していますが、いくつかのリスクが存在します。

 

天変地異や災害により、発電システムが損傷したり、天候不順により想定する発電が行えなくなる可能性があります。また、電力会社の方針により出力抑制がかかる場合があり、想定の収入を下回る場合があります。

 

借り入れ金利は現在は低くなっていますが、変動金利のため、今後の金利上昇局面では想定以上の利払いが発生する可能性があります。また、インフレが起こった場合、買い取り価格はインフレに連動していないため、相対的に価値の下落が起こります。

 

不動産については、売上面で、空室リスク、受給バランスによる家賃下落リスクがあります。支出面では、想定外の修繕が必要になり、コストがかさむ可能性があります。金利が上昇した場合、利払い増大のリスクがあります。インフレが起こった場合、基本的には家賃および資産価値の上昇が見込まれますが、必ずしも連動しない可能性もあります。日本では人口減少が見込まれる中、地域の受給状況によって、資産価値が低下する可能性があります。

 

またサラリーマンとしての給与の減少、借入額の増大による信用毀損から、新規融資が不可能になるリスクがあります。

投資資産

2019年1月時点では、稼働している太陽光発電所および不動産はありません。既に契約を締結し、初期コストの一部を払い込んだ物件について、将来のキャッシュフローを元にDCF法で計算した資産価値で見ると、総資産の7.5%が太陽光発電です。

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リアルアセットセグメント内のポートフォリオは下記の通りです。まだこの物件のすべてが確定したわけではありませんが、いずれもFIT18円の低圧物件になります。

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リアルアセットセグメントの20年間の事業計画は下記のようになります。土地代金を含めた初期投資額を、12年間で回収、20年間で倍増する計画です。単純計算で見ると利回り3.7%程度ですが、初期からキャッシュフローが出ますので、IRRは7%を超えてきます。

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また、この計算には消費税の益税や消費税還付、税制優遇、発電量の上振れを加味していません。そのため、実際には事業計画を上回る結果となることを期待しています。

 

 【太陽光発電の資産価値をDCFで計算しました】

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【太陽光発電のキャッシュフローの出方を試算しました】

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【太陽光発電運営の箱となる法人について】

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太陽光FIT、2019年は14円に。22%の下落

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2019年の事業用太陽光固定買取額(FIT)の価格が、ほぼ決まったようです。2018年の18円に対して、2019年は14円。22.2%の下落です。

www.nikkei.com

最終的には本日9日の会議で提示し、3月末までに決定ということですが、ほぼ14円で決まりでしょう。大手業者は15円を想定FIT価格としてシミュレーションしていましたが、それを下回ってしまいました。

 

併せて、入札対象も広げるとしています。記事には具体的な対象範囲は記載がありませんが、下記の記事で書いたように、50kW未満の低圧発電所を除いてすべて入札にするという流れでしょう。つまり、FIT14円は低圧が対象ということです。

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買取価格22%減、つまり売上22%減はかなりのインパクトがあります。低圧FIT18円のモデルケースとして、売電売上189万円、土地代400万円、システム代1470万円、システム代全額ローン、利率2.15%でシミュレーションすると、IRRは4.8%、20年間の累計キャッシュフローは380万円程度でした。

 

ところがFIT14円を当てはめると、売電売上は147万円に下がり、IRRはマイナス、累計キャッシュフローも-220万円になってしまいます。これでは投資する人はいないので、直近では業者が利益を削って利回りを確保する形となるのでしょう。厳しい話です。

 

ただFIT18円の案件はまだ残っています。業者名義でFIT18円の申請を出し、投資家が購入した時点で名義変更を行う形で、購入が可能です。残ったFIT18円案件を奪い合う形になるのでしょう。

 

【太陽光発電FIT18円のキャッシュフローの出方をシミュレーションしました】 

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【太陽光発電投資の特徴をまとめました】

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太陽光発電所の電力負担金が確定 窓口払いしてきました

 千葉木更津に予定している太陽光発電所の電力負担金が確定したようです。太陽光発電所の設置にあたっては、次のようなハードルを超える必要があります。

  • 設置する土地の確保(普通はEPC業者経由で紹介してもらう)
  • 土地が農地の場合、転用申請(農業委員会の認可。降りない場合も)
  • 設置する発電システムの確保(これはEPC業者がたくさんあって容易)
  • 経済産業省のFIT認定(基本問題ないが時間がかかる場合も)
  • 電力会社との連携、電力負担金(負担金の額は不明)

この中で、電力負担金はそれが数万円なのか数百万円なのか、出てみるまでわからないという問題がありました。発電所から最寄りの系統電力へ接続するための工事がこれにあたります。要は、発電所と電線をつなぐわけです。

 

電線にトランスと呼ばれる灰色のゴミ箱のような設備がなければ、それも新たにつけてもらわなければなりません。電線まで距離があれば、途中、電柱を建てて線をつなぐ必要があります。

 

今回の電力負担金は、60万7403円でした。100万円くらいの可能性もあるかも……と想定していたので、安くはありませんが予算計画を下回りました。

 

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  しかしトランスの位置はそこまで遠くなかったので、もっと安いかなとも思っていたのですが。。。

久しぶりに見た振込伝票

さてこの金額を払うのに、同封されていたのが振込伝票です。相手の振込口座番号などもなく、これは金融機関に持っていって払うしかなさそうです。そこで、久しぶりに銀行の窓口に行きました。今回はみずほ銀行です。

 

「これはどうやって払うのでしょうか?」

「当行の口座をお持ちであれば通帳から、なければ現金になります」

「手数料はかかるのでしょうか?」

「少々お待ち下さい」

……

「手数料はかからずお支払いいただけます」

「分かりました」

 

こんな感じで番号札を引きました。この間に現金の用意です。ATMに行って、別の銀行口座から現金61万円を引き出します。と思ったら「1日の限度額を超えています」の表示が。なんと。すかさず銀行に電話して限度額変更を依頼しようと思ったのですが、年末のせいかたいへん混み合っていて、電話がつながるまでに10分以上かかりました。電話番号がフリーダイヤルなのが救いです。

 

ひさびさに見た60万円超の札束は、ずしりと重く厚みがありました。100万円くらいあるんじゃないか? という感じ。これを封筒に入れて窓口で順番が来るのを待ちます。待つこと30分、やっと番がきました。手続きはすぐで、5分もかからず完了。しかし、窓口は本当に時間がかかります。

 

これが仮想通貨での振込依頼だったらどうでしょう? 記載のバーコードをカメラで捉えて「送金」ボタンを押せば完了です。24時間いつでもかまいません。数十分後には相手も入金を確認できます。

 

紙を使って人間が手作業で処理をする、さらにその際に現金を必要とするという無駄をひさしぶりに感じました。そもそも、銀行振込可にしてくれれば、ぼくも楽だし銀行の窓口も不要な作業をする必要はありません。キャッシュレスを推進すると言いながら、キャッシュレスで手続き不能な仕組みを導入している企業がたくさんあるのですから、問題です。

太陽光発電の資産価値をDCFで計算する

総資産の棚卸しであるアセットアロケーション報告を毎月月末に行っています。その中で、資産額評価をどうしようか悩んでいたのが太陽光発電です。前回のアセットアロケーション報告では、実際に支出した金額、つまり簿価をそのまま資産額として計算しました。

 

しかし本当は、企業価値の算出と同じように、DCF(ディスカウント・キャッシュフロー)法によって導き出すべきでしょう。それに今回はチャレンジしてみます。

 なぜDCFか?

ディスカウント・キャッシュフロー法とは、その事業(や企業)が将来得られるであろう利益を、一定の率で割り引いて現地価値を算出する方法です。

 

産業用太陽光発電の場合は、20年間の買取価格が固定されていて年間の発電量も大幅にはブレないことから、ほぼプロジェクト末期までの利益が計算できます。そのため、20年分の利益を合計して、初期投資額を引いた残りを現在価値としてしまう方法もあります。2000万円で低圧太陽光発電所を買ったとします。20年間の売上合計や約4000万円です。だから4000万円の価値としてしまう考え方です。

 

ただし、これは2つの点で過大評価につながるでしょう。

 

ひとつは、初期投資額を太陽光発電ではなく他の投資先に振り向けた場合に得られたであろう利益が無視されてしまう点です。2000万円で米国債を買った場合、通常資産価値は2000万円とします。ところがこの債券は毎年約3%、60万円を産んでくれます。太陽光発電の売上合計ロジックはこの60万円を含んだ計算で資産価値を計算しているわけですから、同じ土俵で比較ができないですね。

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二つ目は、投資リスクです。太陽光発電は非常に安定した売上を誇りますが、一方で災害や法律の変更、発電抑制などのリスクも抱えています。このリスクを現在価値の評価には織り込まなければいけません。

 

となると、通常の企業価値を算出するときと同じように、DCF法で現在価値を計算するのが妥当だと思いました。

DCF法とは何か?

ディスカウント・キャッシュフロー法とは、将来のキャッシュフローを一定率で割り引いて現在価値を算出します。将来のキャシュフローとは、いわゆるフリーキャッシュフローですね。さまざまな計算方法がありますが、一般的には営業利益から法人税を引いて、減価償却費を足し、新規設備投資額を引いたものです。

 

やさしく言えば、口座に入ってくる現金から払った現金を引いたもの。お小遣い帳と同じです。

 

P/Lを試算してみると、太陽光発電は設備投資額が大いためコストにしめる減価償却費額が大きく、キャッシュフローは意外に変動します。先日の「太陽光発電のキャッシュフローの出方」の記事から、キャッシュフロー部分だけ抜き出したのた下記のグラフです。

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DCFでは、この毎年の想定キャッシュフローに対して、一定率で割り引いていき、それを合計します。例えば毎年100万円のCFがあるとして割引率が5%なら、1年目は95万円、2年目は90.7万円、3年目は86.3万円……という具合です。

 

将来の利益ほど低い評価となり、割引率が大きいほどその下がり具合は加速します。6%で割り引いて評価した場合(赤棒)と、2.1%で割引評価した場合(黄棒)のグラフが下記になります。

 

この20年分の棒を合計したものが現在価値評価、つまり現在時点での資産価値とするのがDCF法です。

 

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割引率が最大のポイント

さきほど6%で割り引いた場合と2.1%で割り引いた場合で、全然評価額が変わることが分かりました。特に、後半のラスト5年は大きな違いです。このように、DCFでは割引率をいくらにするかが評価額をほぼ決定します。

 

一般には、割引率にはWACCと呼ばれる加重平均資本コストを使うとされています。事業に必要な資金は、Debt(借り入れ)とEquity(株式)で調達します。Debtの貸主は利子を払うことを要求し、Equity出資者は株価上昇なり配当なりのリターンを求めます。それぞれが一定の利回りを求めるわけです。

 

この要求される利回りを加重平均したものがWACCです。資金の出し手が要求する利回りといえます。これが例えば6%ならば、その事業は最低6%以上のリターンを生み出すことを要求されていることになります*1

 

割引率が高ければ将来CFの割引が大きくなるので現在価値は減少します。逆に割引率が低ければ現在価値は大きくなります。

 

これはDCF法がM&Aなどで企業の価値を算出することに使われることからも分かります。同じ利益計画でも、6%のリターンを期待しているならその企業の価値、つまり買収金額は小さくなりますが、2%のリターンでいいなら高い値段で買収するのもありだからです。

太陽光発電のWACCをどう考えるか?

問題はWACCをどう見積もるか? です。WACCの違いで現在価値は多く変動するからです。いろいろ調べてみたのですが、求めるリターンをそのまま使えばいいというような、ざっくりした理屈も多くありました。さて困った。

 

さらに面倒なWACCではなく、キャップレートを割引率として使えばいいという話もあります。不動産投資などではWACCではなくキャップレートを使うのが一般的なようです。類似取引のキャップレートを参考にしたり、リスクプレミアムを使うという方法があります。

 

リスクプレミアムを使う場合、リスクフリーレート+リスクプレミアムです。日本ではリスクフリーレートは限りなくゼロなので、要はリスクプレミアムをどう見積もるかという問題になります。これもなんとも言えないですね。

 

そこで類似取引で使われている割引率を調べてみました。 

  • いちごグリーンインフラ投資法人 2.1%
  • 東京ガスにおける 3.4% 
  • 株式並み?    6%

いちごグリーンインフラ投資法人では割引率に2.1%を使いDCF法で事業を評価した上で、投資可否の判断材料にしているようです。東京ガスのようなインフラ企業では3.4%で時価総額が適正か判断されているようでした。株式並みのリスクプレミアムならば6%くらいかなという感じですが、さすがにこれは高すぎでしょうか。

 

太陽光発電では、企業のDebtと違って毎年元本支払いがあります。そして元本支払いはCFに影響を与えます。そのため、割引率を求める際にDebtの利子率を加重平均する必要が本当にあるのか疑問でした。ここもWACCを使うと面倒な理由のひとつです。

 

ところが、いちごグリーンインフラの2.1%は、ちょうど借り入れの利率とイコールです。この2.1%を使うのは悪くありません。

 WACCとNPV、IRRの関係

ここでWACCとNPV、IRRの関係を確認しておきます。IRRは、その投資が生み出すCFを元に実際の収益率は何パーセントなのかを表したものでした。NPV(Net Present Value)は、一定の割引率で割り引いた場合に、その現在価値はいくらなのかを示すものでした。

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これはつまり、IRRはNPVがゼロになるような収益率だということです。ある事業でIRRが10%だとして、10%の割引率でNPVを出すとゼロになります。つまり、期待するリターンよりもIRRが高くなければ現在価値(NPV)はゼロかマイナスだということです。

 

WACCがIRRと同じならば、やはり現在価値はゼロになります。投資判断にあたっては、WACCよりIRRがどれだけ高いかが基準になります。

 

IRRは単純にいうと、複利運用される定期預金に資金を預けた場合と比較できる利回りです。

 

この関係から考えると、やはり定期預金レベルのリスクならば定期預金並みのリスクプレミアム(0.1%くらい)、ソフトバンク社債なみのリスクなら2%くらい、株式並みのリスクなら6%くらいのリスクプレミアムと考えると、だいたい正しい評価になりそうです。

 

太陽光発電のリスクは定期預金よりはあるでしょうが、ソフトバンク社債より大きいかというと疑問です。ということは、保守的に先の2.1%を使うのはやはり悪くなさそうです。

低圧太陽光の現在価値は?

では割引率2.1%の前提で、先に試算したCFを割り引いて現在価値を算出してみましょう。すると、8,641,711円となりました。

 

この事業を始めるのに必要な資金は、土地の購入代金などを含めて、4,500,000円です。現在価値860万円の事業を450万円で購入する。つまり、十分に投資価値のある対象だということが計算から分かりました。

 

ちなみに株式並みの割引率6%でDCF法算出した場合も、5,831,095となりますのでOKな感じです。これは別の視点でいうと、IRRが9.1%あるということです。

 

450万円の現金が、いきなり860万円の資産に変わるということですから、なんか計算上の錬金術のようですが、適正評価されていない株式を安く買ったとたん、適正価値に値上がりしたようなものなのでしょう。

 

次回のアセットアロケーション報告では、こちらの前提に基づいて太陽光発電の資産を計算して総資産を出したいと思います。ただ、まだ発電所は稼働していませんし、初期投資予定のキャッシュも一部しか支払いが済んでいません。実際に発電所が稼働するまでは前回同様に支払い済みのキャッシュのみを資産計上するという原価計上方式で行うパターンと、太陽光発電所資産額から未支払いのキャッシュ分を減額するという方法が考えられます。今回せっかくいろいろと計算したので、後者の未払いキャッシュ分減額方式で次回は計算してみようと思います。

 

*1:6%を超えなくてはならないのでハードルレートとも呼ばれます

太陽光発電のキャッシュフローの出方を試算する

太陽光発電への投資に対して、表面利回りで判断するのはたいへん危険だと思っています。20年目以降は固定買い取りが終了するので売上が見込めなくなるという点と、実はちゃんと法人税がかかってくるという点からです。 

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以前のIRRの計算では、借り入れのバランスと借り入れ金利によってIRRが大きく変化することを見ました。IRRで約10%前後でしょうか。ただし、この試算には重要な点が抜けています。土地の固定資産税こそ計算に入れましたが、資産償却税と法人税については敢えて入れていなかったからです。

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では、各種税金を織り込んで、実際の低圧発電所について、営業利益、税引き後利益、キャッシュフローの年次シミュレーションをしてみます。

 

太陽光発電では、初期のうちは減価償却費が大きいのと、借り入れの金利払い額が大きいので営業利益が赤字になります。今回のケースでは、当初3年間は赤字で4年目から黒字転換となります。赤字ということは法人税の支払いが発生しないということです。

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しかも、赤字は翌年に繰り延べることができます。最大で9年間ですね。計算するとちょうど8年でこれまでの赤字を足し合わせても利益が出る(累損一掃)となります。9年めからは法人税支払いが発生するということです。そのため、グラフを見ても分かるように、10年目以降、キャッシュフローが大きく悪化します。

 

不動産投資でいうデッドクロスですね。それでもキャッシュフローがプラスなのは、太陽光発電の、20年間ではあるが収益性の高さを物語ります。その後、14年めにパワーコンディショナー(パワコン)の交換費用を入れています。15年でローン返済が完了することで元金返済がなくなり、16年めからはキャッシュフローが跳ね上がります。17年で減価償却費が完了することで営業利益も跳ね上がります。営業利益が跳ね上がるということは法人税も増えるためキャッシュフローは減ってしまいます。

 

売上が安定しているように見える太陽光発電ですが、税金を計算に入れるとここまでドラスティックにP/Lが変化するわけです。

 

ちなみに、このシミュレーションでは、各種要素をかなり保守的に見込んでいます。パネルは毎年99.26%に出力が低下する前提です。電力負担金は100万円、草刈りなどのメンテナンス代は年間15万円を想定しました。また、売上には消費税を入れていませんが、発電システム購入には消費税を入れています。消費税還付も想定していませんし、各種税制優遇も入れていません。一方で、運営の箱となる法人の運営コストも入れていません。

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実運用では、こちらを20年間の中期予算として、毎年実際のP/Lと比較することになるでしょう。その予実をチェックし、さらに精度の高い中期計画にアップグレードすることで、運用状況を把握していくことになります。

 

なんだか勤め先の会社で中期計画を作っているような気分になってきましたが、完全に自分の会社で、この損益の責任がすべて自分にかかってくると思うと、案外予算を作るのも面白いものだから不思議なものです。

太陽光投資の税制優遇 「生産性向上の特措法」と「中小企業等経営強化法」

 太陽光発電には、当初資産の一括償却などさまざまな税制優遇作がありましたが、多くは終了してしまいました。しかし、現在でも太陽光発電に適用できる税制優遇策が残っています。

生産性向上の特措法(当初3年間償却資産税ゼロ)

ひとつが生産性向上の特措法です。これは2020年までの間、中小企業の生産性革命の実現のために、市区町村の認定を受けた中小企業の設備投資を支援しようというもの。文字通り、大企業と差が開いていっている中小企業に対して、機械設備などの刷新を促すことで生産性を上げようという狙いです。

 

具体的には、当初3年間の償却資産税がゼロになります。

 

太陽光発電の場合は未可動案件が対象です。つまり設備取得前に申請を出して、認可を取らなくてはいけません。期間は2021年3月末なので、あと3年になります。

 

太陽光発電の場合、低圧1基あたり、約1500万円ほどのパネル&パワコンを導入すると思います。この設備は、法定耐用年数である17年にわたって減価償却していきます。そしてその簿価に対して、1.4%の税率で発生するのが償却資産税です。1500万円の簿価なら21万円になります。これがゼロになるのは大きいですね。

 

減価償却に伴って簿価も小さくなっていくので償却資産税も減っていきますが、それでも3年間で50万円前後の税払いを削減できます。

 

さてこの特措法の対象を目指すには、「先端設備等導入計画」というのをまとめて市区町村に提出し、認定を受ける必要があります。これが曲者なのです。実は、太陽光を先端設備として認める市区町村と、そもそも対象外としている市区町村があるのです。ぼくの設備の場合は、北関東の土地がそもそも認めない市区町村でした。意外とチェックポイントです。

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また、この認定手続きは自分でやってもできなくはないのかもしれませんが、代行してくれる税理士やコンサルタントがいます。ぼくはお願いしました。こちら成功報酬というスキームなので、逆にいうと申請すれば必ず通るとは限らないということでもあります。

中小企業等経営強化法(当初3年間償却資産税1/2)

もうひとつ、2019年3月末まである税制優遇が中小企業等経営強化法です。こちらは基本的に未稼働の設備が前提ですが、稼働後対応の例外もあるようです。つまり、そろそろ工事に入っていないと対象外という感じです。

 

税制優遇は、当初3年間の償却資産税が2分の1になるというものです。こちらは、提出認定先が担当省庁となるので、地域によって対応が異なるということはないようです。 生産性向上の特措法が使えない市区町村では、ギリギリこちらを適用にできる可能性がありますが、2019年3月までというのが最大のネックですね。

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本来ビジネスというのは、顧客にどんな価値を提供するかだと思っていたのですが、国による補助や優遇というのはけっこういろんなところにあるものです。

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政策金融公庫に太陽光の融資相談にいってきました

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太陽光発電投資について、政策金融公庫に融資の相談に行ってきました。最初は知人の紹介で他地区の政策金融公庫窓口に電話したのですが、「管轄地区が違う」と一蹴。というわけで、最寄りの政策金融公庫です。

 

最初にアポを取ったほうがいいかと思い電話しましたが、「朝9時からやっていますので、いつでも来てください」とのこと。伺って話を聞いてきました。

 

担当者は太陽光発電融資には慣れた方らしく、物件の場所は? 総借り入れ金額は? とパッパと話が進みます。せっかく会社案内や事業内容紹介も作っていったのですが、チェックされたのは資金調達計画だけでした。

 

結局、「創業計画書」と「借り入れ申込書」のテンプレートを渡され、これに記入してきてください、で終わりです。ただしいくつか注意点をもらいました。

  • 太陽光の場合、経済産業省から出た認定IDが申し込みに必要
  • 「環境・エネルギー対策資金」の枠組みなので無担保融資で3000万円、有担保で7200万円が上限
  • 担保は、土地と太陽光システム(動産)が当てられるが、動産の評価はかなり小さい
  • 金利は、1.35%〜1.95%。担保の比率によって変わる
  • 太陽光の場合、年数は15年
  • 申し込みから約1ヶ月の審査期間

ということです。感触としては、太陽光の場合個別要素が少なく、テンプレートを埋めさえすれば融資がおりる感じでした。ともあれ、いったんは認定を取るのが先ですね。

 

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