FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

太陽光 木更津1号機の予算と実績

これまで太陽光の資産評価としては、土地などの購入簿価を足し上げたもので見てきました。しかし、木更津1号機が稼働し始めたことで、この発電所については、投下した資金は勘案せず、今後生まれてくるキャッシュフローを現在価値に割り引いた、DCF評価に切り替えます。

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発電状況の予実

まずは発電状況の確認から。こちらの「東電 購入実績お知らせサービス」の紹介でも書きましたが、3月についてはシミュレーションの数値を下回りました。約5.6%のマイナスです。グラフの灰色は、3月と同じマイナスが続いた場合のものを示しています。

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まさにお日様しだいなだけに、4月以降の状況は、その日になってみないと分かりません。日陰など、シミュレーションの精度に問題がある可能性もありますが、どのようにしても始まりませんね。

 

わずか5.6%のマイナスですが、DCFで割り引いて現在価値を出してみると、26%も合計評価が下がります。借り入れでレバレッジをかけているので、収入が計画を下振れると、これだけのインパクトがあるということです。

当初計画からの相違点

最も最初の計画からの相違点は2つあります。1つは、先端設備導入計画の認定がおり、当初3年間の資産償却税がゼロになるというものです。正直、これは大きいです。60万円近くが浮くことになります*1

 

2つ目は、15年の信販ローンから、10年の公庫ローンに切り替えたことです。正直、金利は0.5%程度下がりましたが、期間が短縮されたため、キャッシュフローやIRR的には悪い影響となりました。しかし、融資枠の確保や経験値という意味では良かったかと。

現在のキャッシュフロー見通し

この期間10年への短縮が大きく、IRRは手持ち物件で最も悪化しました。今にして思えば、期間に関してはもっとシミュレーションをした上で判断すべきでした。発電量が3月並に下振れ続ける保守的な想定で年間キャッシュフロー(CF)の推移を計算すると、下記のようになります。

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当初10年はマイナスが続き、CFがプラスになるのは11年目から。また15年めのパワコン交換でもマイナスになります。ここには税支払い(マイナスインパクト)は入れており、先端設備認定(プラスインパクト)は反映させていますが、消費税還付(プラスインパクト)と益税(プラスインパクト)は入れていません。

 

消費税還付が入ると2〜3年目あたりで大きくプラスが出て、インボイス制度次第ですが、そこそこ益税も入るかな? という感じですね。他の物件の15年返済計画では、初年度からキャッシュフローが出ますので、期間短縮は難しいところです。

 

ただ、直近10年で太陽光からのCFをアテにしているわけではないので、まぁこんなものでしょうか。

 

しかし、株式などに比べると、収入こそシンプルですが、支出と税金が多岐にわたり、減価償却も大きいので、計算がかなり大変です。こうやってみると、不動産投資家の方がCF中心に評価をするのも分かります。

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*1:もっとも成功報酬で税理士に認定を依頼したので、正味は40万円程度です

FIT終了後の太陽光発電 出口戦略

太陽光FITの固定買取期間は20年。20年が過ぎれば、それまでのような安定した固定の売上はたたなくなります。太陽光発電の出口戦略はどのようなものになるでしょうか。大きく2つの方向性があると思っています。

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盛り上がるセカンダリ(中古)マーケット

太陽光FITは19年でほぼ終了しました。そのため、今後太陽光発電所を取得したいと考える人は、中古の売買、いわゆるセカンダリマーケットで入手することになります。これまでプライマリマーケットの仲介を行っていた業者が、徐々にセカンダリマーケットを手掛け始めており、例えば「タイナビ発電所」では「中古」の物件が2020/04/06時点で12件登録されています。

 

セカンダリマーケットの今後の期待は、節税目的の購入者です。

 

富裕層は相続税対策のために、タワーマンションを買うなどの手段を取ってきましたが、徐々にそうした手が禁止されてきました。では、太陽光発電所はどうでしょうか。太陽光発電のような動産は、原則売買実例価格で評価するそうです。ただし、実例が少なく評価が難しい場合、残存価格での評価となります。

 

太陽光発電設備の法定耐用年数は17年です。つまり、17年末と残存価格はゼロになります。ところが、少なくともその後3年はFIT価格で発電をしてくれますね。評価額がゼロで3年分の売電収入はあるわけで、相続税的にはいろいろ活用できそうです。

卒FITの市場価格買い取り

太陽光発電のパネルは、20年経ったら動かなくなるのかといえば、そういうわけではありません。パネルの保障は切れてきますが、そうそう消耗するものでもないのです。

 

20年後のFIT終了後は、廃棄するという選択肢もありますが、土地が貸借ではなく所有なら、そのまま発電を続けることができますね。そのときはFIT価格ではなく市場価格になりますが、現在10円弱の価格で買い取ってもらえるところが出ているようです。

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 FIT18円の物件であれば、買取価格が4割ほど減ってしまいますが、それでも6割が丸儲けです。ローンも完了しているので、ほぼ丸々が利益。パネルの出力は徐々に落ちていくでしょうし、パワコンの交換も必要でしょうが、6割の価格で買い取ってもらえるなら、メンテンナンス費を入れても十分に競争力があります。

蓄電池後付によるパフォーマンスアップも

さらに、20年後のことを考えると設備のアップグレードも検討できます。例えば蓄電池です。低圧過積載の場合、49.5kWhのパワコンに対して、100kWh程度のパネルをつないでいます。朝晩などの日差しが弱いときにはパネル枚数が多いので発電量が増えますが、昼のピーク時は49.5kWhを超えた電力を捨ててしまっていることになります。

 

この捨ててしまっている分を、蓄電池を付けることで保存して、夕方から夜間にかけて販売するという方法です。

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Amptストリングオプティマイザ、300%過積載&夜間売電可能! 低圧ソーラーの賢いつくりかたとは|SOLAR JOURNALより

ただし蓄電池は数百万円のコストがかかります。現時点でも、300%過積載に蓄電池を組み合わせることで、売電額を2倍程度まで高めるというソリューションがあるようですが、投資額がたいへん大きくなる上に、蓄電池の寿命は10年程度です。

 

逆に、FITが終了する20年後には蓄電池の価格は大きく下がっているでしょう。世界中でEVの開発が進んでおり、EV普及の最大のネックはバッテリー=蓄電池だからです。この20年で、蓄電池の性能アップとコスト削減は、EV向け主導で大きく進むことを想定しています。

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土地の登記簿謄本をネットで取得する お手軽で安価

今回、土地の「登記事項証明書」をネットで取得してみました。会社の登記簿謄本などと同じく、けっこう簡単です。

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土地の「登記簿謄本」とは「登記事項証明書」

公文書の用語はいろいろあってややこいいのですが、昔紙で登記事項を管理していたとき、その情報を出力したものを「登記簿謄本」といったそうです。現在は、情報をコンピュータで処理していて、そこから出力したものを「登記事項証明書」と呼びます。未だに電子化されていないところでは「登記簿謄本」というようですが、要は両者は同じものになります。

 

また、情報の一部だけを出力したものが「登記簿抄本」になります。

 

今回は、公庫融資の関係で登記簿謄本が必要だということで、「登記事項証明書」を取り寄せてみました。法人の登記簿謄本などと同じく「登記ねっと」を使います。

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 オンラインで住所を入力していけばOK 3営業日で到着

使い方はけっこう簡単です。案内に従って、土地の住所を入力していきます。

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土地や不動産(建物)の登記は、一筆(1区画)や建物一棟ごとに分かれています。そのため、単に土地の登記簿謄本といっても、複数区画にまたがっている場合はそのすべてを取得することになります。意外に面倒です。

 

料金は圧倒的にネット有利です。

  • 登記所の窓口で取得 600円
  • オンライン請求・郵送 500円
  • オンライン請求・窓口で受け取り 480円

よほどネットを使うのが嫌でない限り、オンライン請求して郵送してもらうのが楽ちんで安くなります。時間がかかるかと思いきや、当日17時15分までの請求は当日扱いに、21時までの請求は翌日扱いになります。

 

今回は4月9日の日中に請求を行い、翌4月10日消印で謄本が発送されました。4月11日には手元に到着しています。3営業日で来るわけで、なかなかに便利です。

支払いはPay-easyなのに注意

一点、注意が必要なのは料金支払いです。インターネットバンキングかATMを利用した納付が可能なのですが、仕組みがPay-easyだということです。

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 Pay-easyはネットバンクでは非対応なところがけっこうあります。特に人気の住信SBIネット銀行が非対応なのはイタイところ。今回は新たに作った楽天銀行の法人口座から支払いました。

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登記ねっとの「納付」ボタンを押して、銀行を選ぶと、その銀行のログイン画面が立ち上がります。ここでちょっとドキドキ。楽天銀行のログイン画面は、個人口座と法人口座で別なのですが、自動的に開くページは個人向けのログイン画面なのです。

 

ダメ元で法人のIDとパスワードを入力したら、無事に支払いが完了するではないですか。ならなぜ、普段のログインでは法人口座ログインのページからでないと、インターネットバンキングに入れないのでしょう。ちょっと不思議な仕様です。

 

初の太陽光売電開始!「購入実績お知らせサービス」で確認する 東京電力パワーグリッド

太陽光発電所1号基が連携しましたが、これで作業は完了ではありません。連携と前後して、東京電力パワーグリッドから、「購入実績お知らせサービス」登録のお知らせが来たので、登録。そしてついに、売電が完了しました!

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売電量を確認できる「購入実績お知らせサービス」

購入実績お知らせサービスは予め発電所などの情報を登録することで、発電量実績と売電額をWebで確認できるサービスです。

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月ごとの売電額のほか、発電量や検針日、支払日なども確認できます(画像はサンプル)。 

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 どうやら1つのIDに、複数の発電所を紐付けられるようです。

発電から振り込みまでのリードタイム

発電から振り込みまでのリードタイムは次のようになるようです。

  1. 1カ月分(売電開始から1カ月?)発電量
  2. 月初に検針を行う(地域よって月初、月末などが違うらしい)
  3. 2営業日後に「お知らせサービス」に掲載(メールも来る)
  4. 振り込みは同月末日

ぼくの場合、連係開始が3月3日、検針が4月8日で、3/3〜4/2までの1カ月分、サイトにアップされたのが4月10日、振り込みは4月28日でした。

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発電量は8071kWhで、単価は18円(+消費税10%)。金額は15万9805円となりました。ただ、予測シミュレーション数値は8552kWhなので、6%程度下ぶれています。これが一時的なものなのかどうか、ちょっと気になるところではあります。

 

とはいえ、初の売電開始。うれしいものです。

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太陽光発電の売電振り込み口座を変更する

太陽光発電所について、当初はネットバンクの住信SBIネット銀行ですべて完結させようと目論んでいたのですが、政策金融公庫から融資を受けるにあたり、「ゆうちょかメガバンクしか対応しない」と言われてしまいました。そのため急きょ、三井住友銀行のネットバンキングに対応したのが、これまでのところです。 

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ところが現在、売電料の振り込みは、住信SBIネット銀行のままです。毎月の収入とローン返済口座を一致させておかないと、資金足りずに引き落とせず、なんてことになっては困ります。そこで、売電料振込先口座を変更することにしました。

東京電力パワーグリッドに申込書を出す 

いったいどこで変更できるんだ? と思い、まずは電話です。電力を買い取ってくれるのは東京電力パワーグリッドなんですね。そこで、Webで問い合わせ先がないか見てみたのですが、全く見当たりません。

 

仕方なく、Webで検索して出てきたそれらしきところに電話です。「ウチじゃない」と言われるものの、正しい連絡先を教えてもらえました。そこに連絡して聞いたところ、次のことが分かりました。

  • 東京電力パワーグリッドのページに、口座変更用紙がある
  • 記入して、メールまたはFAXで送付
  • 到着から数日で変更事務手続きが終わる
  • 月1回の検針日の2営業日目に、振込先口座が確定する(そこまで事務手続きが終われば新しい口座になる)
  • 検針が月上旬なら、振り込みは月末

ちなみに東京電力パワーグリッドの低圧用コンタクトセンターは、03-6375-9070になります。

口座変更用紙はここにある

口座変更用紙への行き方は次のようになります。東京電力パワーグリッドのページから、まずクイックリンクを押し、

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再生可能エネルギーの固定価格買取制度の手続きを選んだら、

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「発電出力50kW未満(低圧)はこちら」を押す。

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ここに、「振込口座・売電先を当社へ変更」からExcelの用紙がダウンロードできます。日本語がちょっと怪しい感じですが、「振込口座・売電先の変更を当社へ連絡」という意味です。

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実際にダウンロードできた用紙は、下記のようなもの。Excel芸の極みとなっています。これならPDF化してくれたほうがまだモダンな気もしますが、仕方ありません。Macで見ると文字の一部が隠れてしまったりしていますが、セルのサイズ変更などはロックがかかっていてできません。
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あれ? 送付先は?

そして最大の問題は、「申込書に記載されている宛先にお送りください」とあるのに、どこにも宛先が記載されていないことです。参りました。そこで、もう一方の、名義・住所等の変更の用紙を見ると、なるほど、ここに記載がありました。

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こちらを送付して、切り替えてみます。なお、4月の検針は4月8日だと電話で聞いたので、すぐに事務手続きが終わるか、微妙なところだと思っていたのですが、メールを送付した数時間後に、「変更しました」とお返事をもらいました。なかなか対応が早くて好感です。

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太陽光 木更津1号基、ついに連系

3月3日、太陽光発電所の第1一号基がついに連系しました。思い起こせば、こちらの物件を契約したのが2018年9月末。実に、1年半かけての完成です。

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これまでの歩み

太陽光の物件を見始めたのが18年の夏。そこから一気に複数の物件を契約してきました。この木更津物件は、EPC業者との契約を済ませ、18年12月には東京電力から工事負担金の請求書も届きました。これはかなり順調。あと数ヶ月で稼働するのでは? と思っていました。

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あとは農転許可を待つばかり……というところで発生したのが、建設予定地の一部に、携帯キャリアのアンテナ塔が立っており、土地を貸しているということの発覚です。地主さんから、「やっぱり売らん」と言われ、大慌てになったのが19年の春です。

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その後、なんとか地主さんとの調整がつき、建設に目処がたちました。そして年末には、3年間の償却資産税がゼロになるという「先端設備導入計画」の申請を行い、受理されました。太陽光には厳しい条件を課す自治体が増えている中、ありがたいことです。

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続いて年末から年始にかけて行ったのが、公庫からの借り入れです。正直、この金利と期間では信販に比べて有利とは言えないのですが、信販の枠が1つ空いたというメリットが重要でした。 

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 建設日程も固まり、最後に行ったのが土地の決済。現地近くの司法書士さんのところに出向き、地主さんとも初対面です。30分で終わった決済ですが、いやはやなかなか面倒な体験でした。

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スペック確認

3月3日連係だと、初回の売電収入振り込みは4月末になりそうです。朝目が覚めて、太陽が登っていると「今日も稼いでくれよ!」と感じられる幸せを噛み締めています。逆に、曇や雨だと、ちょっと残念という感じ。

 

さてこちらのスペックをおさらい的にまとめておきます。

  • パネル JAソーラー JAM60S01-300/PR 300W単結晶 324枚
  • パワコン オムロン KPV-A55−J4 5.5kw 9台

 

JAソーラーは元中国のメーカーでコストパフォーマンスに優れていると言われていますね。住宅用が多く、日本のパネルの8枚に1枚がJAソーラーだとか。パネルでは世界シェア10位、セルでは2位だそうです。300Wは少し前の製品になりますが、まぁコストとの兼ね合いですね。

 

オムロンのKPVも定番です。こちらも18年の製品で、現在は新型のKPWが出ていますが、こちらもコストとの兼ね合いです。

 

発電所全体としては、97.2kW、パワコン出力49.5kWの過積載になります。3月の発電シミュレーションは8400kWhとなっていますが、さてどうなるか。楽しみです。

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太陽光 過積載のあまり語られないメリット

太陽光発電は、発電量によって種類が別れます。個人の野立ての場合、50kW以下を低圧、以上を高圧といい、制約の少ない低圧がこれまでメインでした。発電量は50kW、でもパネル自体は95kWなどそれを超える量を載せる。これがいわゆる過積載です。

 

今回は、発電量の変動を抑えることができるという、あまり語られない過積載の特徴について考えてみます。

追加発電分を捨てる過積載

当初は、49.5kWのパワコンに同容量程度のパネルを載せるのが一般的な低圧太陽光だったようです。しかし、次第にパネル価格が低下します。そんな中で、2017年ころから主流になってきたのが、パワコンの容量を超えるパネルを載せる過積載です。

 

朝日が上ってから、昼に発電のピークに達し、夕方沈むまでの発電量を模式化すると次のようになります。

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日中の最も大く発電するタイミングではパネルは50kWよりも多く発電しますが、パワコンは50kWなので、ちょうど線より上の部分は売電されず捨てられることになります。しかし、横のはみ出ている部分をみると分かるように、全体としての発電量は増加します。

パネルのフルパワーは使えなくても、発電容量は全体として増える。これが、過積載のメリットとして言われていることです。パネル価格が安くなったから実現できたことです。

 

 経産省の資料によると、物件全体の過積載率は上昇を続けており、50kW以上で見ても、平均して売電容量の1.3倍程度のパネルが載せられているようです。

過積載の動向について分析したところ、全ての規模で過積載率の 増加が継続しており、50kW 以上全体では、2017 年設置案件で 123%程度 だった過積載率が 2018 年設置案件では 128%程度まで増加した(参考 28)。この過積載率の増加により、同じパワコン出力であっても売電電 力量は約1~2%増加することが見込まれる。 

平成 31 年度以降の調達価格等に関する 意見(案  - 経済産業省

 

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太陽光につきものの上振れ、下振れ 

太陽光は、日照条件などの気象データを元に、発電量をシミュレーションして当初の事業計画を立てます。しかし、その月、年の状況によっては、日当たりが良好だったり不調だったりして、発電量は上振れしたり、下振れします。シミュレーションの精度によっても変わりますね。

 

では上振れしたときに、どうなるか見てみます。まず通常の場合は、上振れしたときの50kW超えこそカットされてしまいますが、昼前後の増分はプラスになります。いわばちょっと過積載したようなものですね。

 

一方で、すでに過積載している場合、上振れした分のほとんどがカットです。それはそうですね。 

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つまり、上振れを想定するなら、過積載より通常のほうが伸び余地があるということになります。

 

一方で、下振れ時は逆に働きます。通常の場合は下振れ分はすべてマイナスとして働きます。しかし、過積載の場合は、そもそもカットされている部分が減るところが多いため、マイナス分も減ります。 

 

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 まとめると、通常量の場合、上振れするとプラスだが下振れするとマイナス。過積載だと、上振れ分も下振れ分も影響が小さくなります。ブレが少なくなるということです。さらに、季節変動の影響も小さくなることが予想されます。

 

そんなわけで、より安定した売電を考えるなら、過積載っていいことあるはずよ、という話でした。 

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太陽光はFIT価格が下がると儲からないのか

産業用太陽光発電所、いわゆる野立て太陽光事業は、固定買取価格が年々下がってきました。送電量50kW以下といういわゆる「低圧」の発電所の場合、当初1kWhあたり40円だったFIT価格は、2019年には14円、2020年は13円(しかも全量買取なし)です。

 

FIT価格が下がると太陽光は儲からないのか

さて、太陽光の話をすると、たいてい言われるのが「昔は買取価格が高かったけど、最近は安くなってしまいましたよね(だから昔ほど儲からなくなったでしょう?」という言葉。

 

いえ、実はそんなことはないんです。なぜなら、買取価格が下がるとともに設備の価格も下がってきたからです。太陽光発電のコストと収益の構造を確認しましょう。

 

まず収益は、発電量1kWhあたりの買取価格がFITで決まっています。2012年は40円でしたが、これが2019年には14円まで下がりました。ここだけ見ると、65%も売上減です。
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ソーラーサポートセンターより


ところが、同時に太陽光発電設備、主にソーラーパネルの価格も低下しています。1kWhあたりの売上も下がりましたが、パネルのほうも急速に値段が安くなっており、どちらかというとパネルの価格下落のほうが大きいくらいです。

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ソーラーパートナーズより

 

つまり投資として考えた場合、売上も減りますが投資額も減るので、利回りは変わらないということになります。同じ資金を投資する場合、設置するソーラーパネルの数が増えるので、売上額も同等という感じです。

パネル以外の条件はちょっと変わる

太陽光発電所の必要資金のほとんどはパネルとパワコンですが、ほかにも必要なものがあります。昔と現在で大きく変わるのは土地ですね。

 

単価が半分になれば、単純計算でパネルの枚数も2倍になり、設置に必要な土地もその分広くなるからです。日当たりがよく、しかも広い土地が必要になる。これはなかなか難しいところで、業者がだんだん物件を見つけにくくなっている理由でもあります。

 

でも、土地が広くなるからコストが上がるのかというと、これがまたそこまで単純でもありません。太陽光発電に使われる土地は、だいたいにおいて利便性の悪い場所にある土地で、普通に売れば二束三文というものが多いからです。太陽光発電に使うからこそ高い値がつくわけです。

 

そして、太陽光発電業者(EPC業者)は、土地と発電システムをひっくるめたコストに対して、表面利回りが10%前後になるように価格を調整して売りに出します。パネルの値段と土地の値段を足し上げてコストを決めるのではなく、まず利回り10%ありきで、逆算して土地の値段が決まるような感じです。

 

なので、土地が狭くても広くても、利回りにはあまり影響しません。もちろん、自分で土地を探してきて発電所を建てるのであれば、違うんでしょうけど。

そもそもFIT価格はIRR一定になるように下げられてきた

そもそも経済産業省の資料を見ると、FIT価格は闇雲に下げられてきたわけではなく、パネル価格の下落と、調達金利の下落を見ながら調整されてきたことが分かります。

調達価格等の設定に当たって想定している適正な利潤(IRR)の水準は、 FIT 制度開始当初に国内外の金利水準や各電源の事業リスクを踏まえて、 区分ごとに設定されたものである。集中的に再エネ電気の利用拡大を図 るため、FIT 法の施行の日から3年間(2012 年7月1日~2015 年6月末) については、利潤配慮期間として1~2%の IRR が上乗せされ、事業用 太陽光発電の IRR は6%とされていたが、利潤配慮期間の終了により、 2015 年7月1日以降の IRR は5%となっている。

※経産省 平成 31 年度以降の調達価格等に関する 意見(案)

そして、太陽光発電事業が成熟してきて事業的なリスクが減っていることや、金利低下による資金調達コストの低下を反映させて、2019年のIRRは4%で計算されています*1

 

このようにIRRを元にFIT価格が計算されてきたので、投資家の観点でいうとどのタイミングでもリターンはそれほど変わらないというわけです。もちろん、初期の太陽光発電投資家は、海のものとも山のものとも分からないというリスクを負っていたので、その分1〜2%の追加IRRとなっていますが。

 

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2020年はFIT価格13円まで低下

さてそのFIT価格は19年までは価格が下がるだけでしたが、2020年度はいろいろと変わりました。発電量50kWを堺に、50kW以下を「低圧」、50kW以上を「高圧」と通称しますが、それぞれの単価が変わったのです。

  • 低圧(50kW以下)       13円
  • 高圧(50kW以上250kW以下) 12円

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低圧のほうが1円高いですが、「地域活用要件」という厳しい条件が付きました。これを満たさないと売電できません。

  1. 余剰売電であること
  2. 災害時に活用できること
  3. ソーラーシェアリングは全量売電可能

低圧は30%以上を自家消費しないとダメ

この「余剰売電」というのがくせ者です。自家消費可能な設備にした上で、計画書を提示し、自家消費の比率を30%以上にする必要があります。そして、災害時に使えるよう、パワコンにコンセントを設置することが必要です。

 

実質的に、発電のみを行う太陽光はもうダメで、工場などの屋根に設置して、自家消費しつつ、余った分を売る形になります。投資商品としては厳しいですね。

 

というわけで、市場にはまだ物件が出ていますが、新規の物件は2019年の14円モノで終了。FITの門は完全に閉じられたといえます。

*1:ちなみに、経産省が想定したIRR5%というのは、全期間をならしてみると5%利率の定期預金に預けたのと同じという意味で、つまりはだいたい15年で投資額が倍になる計算になります。表面利回りが10%なのに、どうしてIRRが5%になるのかというと、別途さまざまなコストがかかるというよりも、20年でFITが終了してしまうことが主要因だと考えられます。

太陽光土地の決済実行 土地売買契約の注意点

太陽光発電所1号基の建設が近づいています。そのために、契約済みの土地の決済を済ませてきました。あまり土地の売買は慣れていないので、都度新鮮です。どんな流れで、注意点はどこにあるのかを調べてみました。

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決済当日の流れ

決済当日は、土地近くに出向いてやりとりするのが一般的なようです。メンツは、売り主、買い主(ぼく)、仲介不動産屋、司法書士。売り主は、権利書や印鑑証明、契約書などを持ち寄り、それを司法書士がチェックします。

 

買い主は、現金を用意して、売り主が本当にその土地の所有者だということを確認(実際は司法書士がチェック)した上で、現金を手渡します。司法書士に、登記移転の委任状を書いて渡し、これで終わり、という感じ。

 

司法書士が、登記移転の手続きを行い、権利書と登記簿をあとで郵送してくれるという流れです。

なぜか現金?

世間のサイトを見ると、現金手渡しは盗難リスク、数え間違いなども発生するので、銀行振込が増えている、とあります。が、今回は現金指定。ATMは1日の引き出し限度額が定められているので、なかなか多額の現金を引き出すのはやっかいです。正直ちょっと面倒。

 

ただ話を聞くと、売り主の権利書などを確認する前に現金を振り込むとトラブルになることがあるということ。権利を持っていないのに売って、現金を振り込んでしまったら、これってただの詐欺じゃん? と思いますが、こういうトラブルを避けるために、同時決済をするのだそうです。

 

そのため、振り込みを使う場合も、権利書の確認を終えたあと、銀行振り込みを行い、売り主の口座に着金を確認してからその後の処理を行うということでした。うーん。面倒。エスクローサービスとかないのでしょうか。仮想通貨の送金なら、その場で10分もすれば確認できるのに。

土地売買契約の注意点

今回複数の太陽光発電所の建設にあたり、土地契約書も複数やりとりしています。それを見ると、意外にそれぞれの契約内容が違っていることに気づきます。よくある違いを簡単にまとめました。

 

公租公課の精算

契約書にあったりなかったりするのが、公租公課の精算です。土地には固定資産税がかかりますが、これは毎年1月1日の所有者に支払い義務があり、請求書が送られます。

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通常は、「所有権移転までに抵当権などの担保権・賃借権などの用益権などの一切の負担消除を約束」する条項が入っていると思います。その土地に担保が設定されていれば、買い主は困りますし、固定資産税が未払いだと差し押さえられてしまいます。まぁここは一般的に契約書で保証されているでしょう。

 

しかしあったりなかったりするのが、その年の固定資産税などの公租公課の精算です。例えば、7月1日に決済、引き渡しを行う場合、その年の固定資産税は売り主と買い主のどちらが支払うのかという点です。特に書いてなければ、売り主が支払ってあり、それで終わりでしょう。「日割りで按分して精算」などとある場合、7月1日ならちょうど半年ですから、固定資産税などを両者で折半、つまり、買い主が半分支払うことになります。

手付解除のペナルティ

不動産の売買は、契約を結ぶとともに、だいたい売買価格の1割程度の手付金を支払います。そのまま決済に進めば、残りの9割を払って終わりなのですが、意外とキャンセルしたいという場合があるものです。

 

ぼくの場合も、農転許可が下りずに売買がキャンセルとなり(特約事項で記載してある)、手付金が返ってきたことがあります。また、一時は売り主が「やっぱり売らない」と言い出して、キャンセルになりかけた土地もあります。

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買い主がキャンセルする場合は手付金の放棄、売り主がキャンセルする場合は手付金の倍返しが一般的なのですが、これは通例であって、契約書に記載がない場合もあります。

 

さらに、「手付解除の期限」が定められている契約書もあります。これは、上記の手付放棄/手付倍返しで解除できる期限に制限を設けるものです。民法では、手付解除について、次のように定めています。

買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。(民法557条 第一項)

しかし、「契約の履行」が何を意味するかは不明瞭なので、売り主に不利だという話です。

 

ある不動産会社のサイトには、一般的な手付解除の期限を次のように記載しています。これを過ぎての契約解除には、別途定めたペナルティ(代金の2割など)を定めることが多いようです。

  • 契約から決済まで1ヶ月以内  決済の1週間から10日前
  • 契約から決済まで〜3ヶ月 契約日から1ヶ月前後
  • 契約から決済まで〜6ヶ月 契約日から2〜3ヶ月

しかし、太陽光発電については決済まで長い長い時間がかかることが頻繁にあります。1年、2年ということも多いんですね。その間には買い手の事情も大きく変わる可能性があります。それを考えると、手付解除期限をなくすか、決済予定日の1ヶ月前くらいにするなどが、リスクコントロールとしては大事なように思います。

 

ただもちろん、これは双方に影響するものです。手付解除期限を設けなければ、「やっぱり土地は売らん!」という場合に倍返しで終わってしまうこともあるので、売りたい気持ちが強いのか、買いたい気持ちが強いのかで考えることも大事そうです。

 

いやはや不動産売買は奥が深いものです

こんな投資はしてはいけない(2) 新築ワンルームマンション

たまに、不動産屋からワンルームマンション投資の連絡をいただきます。どこをどう検討しても、投資に値しないのですが、いらないというのに物件案内を送るということで、郵便が届きました。

 

前回のやっちゃダメ!投資の外貨預金に続いて、今回は新築ワンルームマンション投資です。

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新築ワンルームマンションに注意

買っちゃダメ!絶対。のワンルームマンション投資ですが、パターンはだいたい決まっていて、

  • 新築
  • 家賃保証のサブリース契約
  • フルローンだが高金利
  • 賃料収入よりもローンや管理費のほうが高い。持ち出し
  • 「節税になる」がセールスポイント
  • 「ローンを払い終えたら年金代わり」というアピール

という感じです。

 

何はともあれ、投資でやっているのに毎月持ち出しが発生するというのがすごいところです。いや、もちろん持ち出しは発生するけど、出口でそれらを取り返せる利益が出るという収益物件もあるでしょう。でも、同じワンルームマンションでも、中古で、毎月利益を生みながら、出口でも売却益が見込めるという物件だってたくさんあるわけです。

 

そんな中で、CFやIRRとにらめっこしながら、収支を見たり最適なローン条件を計算したりするのが投資だと思うのですが、こと新築ワンルームマンションに関しては、節税くらいしかウリになるものがないわけです。

豪華さをアピールする物件資料

それを象徴するのが、同封されている資料です。投資観点では、毎年のCFと残債の状況、売却時点での想定売却価格などを書いたシミュレーションがほしいところなのですが、そういったものはまず入っていません。

 

逆にしっかり入っているのは、いかに利便性が高い豪華なマンションなのかをアピールするパンフレットです。要は、自分で住むための分譲マンションのパンフレットと同じものです。

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いや、「心安らぐプライベート空間」って、誰のプライベート? ぼくが住むわけじゃないよね? 宅配ロッカーとか食洗機とか、それ使うのぼくじゃないよね。

 

投資家観点では、こういった金のかかる設備を入れることで、それに見合う高い賃料を取れるのかということですが、その点はもちろんこう書いてあります。「リーゾナブルな家賃設定で、ほぼ満室です」

 

いや、サブリース契約なんだから、満室じゃなくてもこちらには収入は入ります。設備を豪華にして賃料を安くすれば、そりゃ埋まるでしょうけど、それって管理会社にとってのメリットで、オーナーのメリットじゃないですよね。

 

「ローンを払い終えれば、”資産”が手に入ります」。これも必ずうたわれるウリ文句です。でも、資産の定義は、それを持つことで利益を生み出してくれるものです。そしてその評価は、費やしたお金に対して見合う利益を生むかどうか、です。ローンを払い終わった築30年の都心ワンルームマンションは、たしかに利益は生むでしょうが、それが見合うかどうかは別問題です。

成功事例の額がすごい

こういうことを気にする投資家も多いのでしょう。売却による出口での成功例を書いた書類も同封されていました。こちら、1985年に購入し、33年後の2018年に売却したという事例です。自己資金と月々の持ち出し(!)とさらに租税公課(!)も入れて、投入資金は約850万円。売却時のリフォーム費用に80万円かけています。

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当時1160万円で買った物件が、33年たってそれでも1050万円で売れました。それでどのくらい利益が出たのかというと、たったの120万円です。租税公課とわざわざ書いてあるということは、この持ち出しによる損失で所得税が減った分を加味しているということですね。

 

ざっと計算すると、投資額に対する複利利回りは0.4%です。値下がりのリスクなども背負いながら、この利回り。持ち出しはイニシャルではなく33年間続いたでしょうから、多少利回りは改善しますが、倍になっても0.8%でしかありません。

 

しかも想像するに、これは登記手数料や売買の仲介コストは含まれていないように思います。また、売却益が出たということは、約20%の長期譲渡課税がかかります。これも入っていないでしょうね。

 

これが成功事例として挙げられるあたり、新築ワンルームマンションのすごさが分かります。また33年経って売却というのは、ここ5年ほどの不動産価格上昇をもってしても、やっと損益トントンになったのが18年ということでもあります。

投資は利益を目指すもの。所有欲を満たしたい?という人は別ですが

ここからよく分かるのは、投資というのはあくまで利益を生むためにするものだということです。なぜ他人が住むマンションに豪華設備が必要なのか、まったく僕には分かりません。キャッシュさえ生んでくれれば、それこそボロ家でも問題ないわけです。考えるべきは、空室や修繕にかかるコストが、家賃収入に見合うかどうか、売却時にどんな値付けになるかであって、物件の豪華さなんて、大家には関係ありません。

 

営業がしつこく買うよう迫ってくる投資商品ではなく、営業が売らなくても売れる商品を探すようにしましょう。

 

公庫のスタンプラリーをこなして融資ゲット

公庫で融資の内諾をいただいという記事を書きました。さて続いては契約です。この契約、けっこうなスタンプラリーです。あっちこっちを周り、ハンコを押してもらって、やっと契約となるのですが、さて。

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契約に必要な書類明細が届いた

内諾の電話のあと、契約に必要な書類を準備してね♪ と郵送物が届きました。この中の「抵当権設定契約証書」以外は、全部用意です。

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意外と面倒な印鑑証明

「借用証書」は必要事項を記載して印鑑を押すだけなので簡単なのですが、意外に面倒なのは「印鑑証明」です。これは、借り主である法人と、連帯保証人の個人のものが必要になります。

 

個人のほうは、マイナンバーカードを使ってコンビニで取得。200円で取得できました。もちろん、クレカでチャージしたnanacoを使い、セブンイレブンで取得です。意外に便利じゃん、マイナンバーカードという感じ。

 

問題は法人の印鑑証明です。以前も書いたように、登記簿謄本は郵送でも申し込めますが(しかも意外に早く届く)、印鑑証明は通常、法務局まで足を運ばなければなりません。土日はやっていないというおまけつきです。普段は日中の時間を作るのはそんなにたいへんではないのですが、ちょうどこのときはバタバタしていて先延ばしになっていたのでした。 

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で、ほかの書類を準備しながらふとみたら、年末に取得した印鑑証明が残っているではないですか。そのうち使うかもしれないから、取っておけ、と、前回法務局に行ったときに取得したものです。通常有効期限は3ヶ月なので、取りすぎるのもアレですが、1枚くらい余計にあると便利なものです。

預金通帳はネットバンク不可

預金通帳はメガバンクの法人口座を使います。ネット銀行は不可というこれまたお役所仕事です。そして、「預金口座振替利用届け」という書類に、銀行で印鑑を押してもらう必要があります。当然窓口です。

 

手続き自体は5分程度で完了したのですが、ふと「ネットバンキングってどうなっていましたっけ?」と聞いたら、「解約されています」という返答が。あれ? 解約なんてやってないけどな……と思って聞くと、「こちらの新サービスがオススメです」と言い始めます。

 

ちょっと待って。申込済みのサービスがどうなったのを調べてほしいんだけど。話をすり替えられてる……。で、よくよく聞くと、利用がないまま数ヶ月経つと自動で解約になるそうです。解約になる旨、メールも送ったということでした。そうだったっけ?

 

じゃあ新たにサービスを申し込もうとしたら、「二度目になるので契約手数料2200円がかかります」だそうで。しかたなく申込みましたが、この融通の効かなさはさすがです。最初に気持ちよく法人口座を開けてくれた三井住友銀行、恩を感じていたのですが、少しマイナスです。

収入印紙は郵便局で

続いては郵便局に行って、収入印紙を買います。2万円也。そういえば、「郵便局ってキャッシュレスに対応したんでしたっけ?」と窓口で聞くと、「郵便と切手のみの対応です。ウチの店舗では3月以降からの対応です」だそうで。裏で「そりゃ収入印紙は現金だよね」とか話しています。

 

いやはやこんなところにも現金信仰が。なぜこんなに現金が好きなんでしょう。手数料のことを言ってるのかな? なら振り込みで手数料こっち持ちでもダメなのかな? ◯◯なら当然現金でしょう、というのは信仰だと思うのですが、違うのでしょうか。

 

そういえば、先日土地の契約に行ったときも、不動産屋から「代金の支払いは、司法書士立ち会いのもと、現金で」と言われました。えと。現金ってATMから下ろすのに限度額があるんですけど。そんなに大金を持ち運ぶのって、怖いんですけど。やっぱり現金信仰は根強いです。

団体生命保険は任意

団体生命保険は、公庫の場合任意です。審査が終わってから加入を決められるので、団信に入らないからといって審査で不利になることもありません。これはいわば掛け捨ての生命保険なので今回はパス。もし何かあっても太陽光は売電を続けてくれますし、連帯保証人が死亡した場合は、その債務(?)も相続されます。さすがに、相続人に対して連帯保証人の資格がない、とは言わないのでしょう。

契約自体は30分程度で

「今日いまから伺ってもいいですか?」という電話に、快く対応してくれた公庫の担当者。書類自体は記入ミスなどを一緒にチェックしながら30分ほどで完了です。スタンプラリーさえこなせば、それほど大変ではありません。

 

「これで契約完了です。3日後には入金となります」と言われたのですが、実は太陽光設備建設のスタートが間近に迫っており、入金を求められています。「2日後ってわけにはいきませんか?」と一応聞いてみたら、いいですよ、とすんなり対応。こういうところではけっこう融通を利かせてくれるんですね。公庫。

 

今回初めて公庫を利用してみたのですが、さすが中小企業の味方。終始丁寧で分からないこともしっかり教えていただき、公庫の審査・契約担当の方には感謝です。一方で、銀行の殿様的な態度が目につきました。質問してもはぐらかすような返答をするくせに、こちらがなにかいうと「チッ」と舌打ちしたりするんですね。銀行様という感じなのでしょうか。

 

お客様として扱えとはいわないのですが、せめて対等な立場で対応してほしいものです。

IRRに影響する要素 借入期間、レバレッジ率、そして金利

前回、公庫で安い金利で借入が決まったものの、IRRが心配だという記事を書きました。簡単にいえばIRRとは、その事業の利回りを、定期預金金利と比較したらどれくらいに相当するかを表すものです。これを試算してみました。

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Equity IRRとProject IRR

IRRは、単純な利回りとは違い、キャッシュフローが得られるタイミングを加味して、将来のキャッシュを割り引いて足し合わせ、それが投資額と同額になるときの割引率を指します。言葉にすると分かりにくいですが、要は初期投資額を定期預金に預けた場合、何%金利がつく定期預金と同じかということを意味します。

 

太陽光のような投資では、自己資金(Equity)だけでなく借入(Debt)を使って投資しますが、このとき、Equity+Debtの合計を初期費用として計算したIRRを、Project IRRといいます。一方で、Equityだけを初期費用として計算したものを、Equity IRRといいます。

 

Project IRRの計算では、借入金返済前のキャッシュフローを用いますが、Equity IRRでは借入金返済後のキャッシュフローを使います。今回は事業評価ではなく投資評価ですので、Equity IRRが適していると思いますし、これまでの計算でもこれを使ってきました。

 

しかし、Equity IRRとProject IRRでは当然数字が違ってきます。具体的には、借入金を使ってレバレッジをかけることで、Equity IRRのほうが数字が向上します。

Equity IRRに影響する要素

そこに影響する要素はというと、

  • Equity比率が小さいほうがIRRが向上(レバレッジ率拡大)
  • 借入金の金利が安いほうがIRRが向上(金利差分だけキャッシュフロー向上)
  • 借入期間が長いほうがIRRが向上(近い未来のキャッシュフローが改善するため)

といったものがあります。IRRの計算式は比較的シンプルなのですが、「NPVがゼロになる割引率を求める」という式のため、数学に弱いぼくにはレバレッジ率や金利変化、借入期間変化のIRR感応度を一般的に計算することができませんでした。なかなか難しい。

 

できたのは、具体的に融資を受けた案件*1で、それぞれのIRRを計算して比較してみました。その結果はけっこう驚愕で下記のグラフのようになりました。

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縦軸はEquity IRR、横軸は返済期間です。驚いたことに、金利変化はほとんど(といっても、1.5%と2.25%で、1.5〜2.7ポイント程度違います。返済期間が長いほど、その差は広がります)影響がなく、返済期間が長くなるほどIRRが向上することが分かりました。返済期間が15年から10年に短くなることで、金利は0.64ポイントも安くなったのに、IRRは23.77%から14.31%に低下してしまうのです。

IRRのレバレッジ観応率 

もちろん、IRRにはレバレッジ率が大きく影響します。つまり、自己資金の何倍の借入をするかでIRRが変わるわけです。こちらも金利ごとに、15年の返済期間として、レバレッジ比率ごとにグラフ化してみました。

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縦軸はEquity IRR、横軸はレバレッジ倍率です。こちらも実は金利よりもレバレッジがIRRに大きく影響することが分かります。

 

不動産投資では、金利絶対値よりも、「できるだけ長く」「できるだけ頭金を小さく」することが重要だとよく言われますが、これは返済期間とレバレッジ率がEquity IRRに大きく影響するということを意味しています。

 

もっとも、レバレッジを高めると、売上が想定に届かなかったときに簡単にキャッシュフローがマイナスに転じてしまうというリスクがあります。また金利上昇リスクについても感応度が上昇します。ただし、太陽光の場合、売上はFITによって保証されており、不動産に比べて返済期間は短めのため、金利上昇リスクもそれほど影響は大きくありません。ということで、狙うなら金利よりも返済期間。15年返済を20年返済にできれば、トータルのEquity IRRは1.5倍程度に上がるという計算になります。

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*1:年間売電粗利180万円、借入1500万円という粗前提です

公庫の融資が決定した 金利1.51%の10年固定(太陽光)

これまで何度も足を運んできた政策金融公庫から、ついに融資決定の連絡が来ました。金利は想定を上回る好条件の1.51%。10年返済固定金利です。

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これまでの公庫申込みの流れ

思い返せば、最初に公庫に相談に行ったのは18年11月でした。このとき相談にいったら、経産省の書類や東電の書類が揃ってから来てね♪ と言われ、やっと準備が揃ったのは建設の目処がたった19年12月です。

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12月中に書類をまとめて再度提出に行き、1月に入ってから担当者と面談がありました。連帯保証人となるぼく自身のことや、事業内容、保障内容などについて相当細かく聞かれ、また書類をたくさん出し、待つこと10日程度。

 

電話がかかってきました。

 

「◯◯さん、融資の稟議が降りました! ついては契約の日取りを相談したく」

 

「おお、ありがとうございます! ちなみに金利はどのくらいでしょうか?」

 

「1.51%になります。最初にお話していた(2.1%)よりも、かなり頑張りました」

 

「それはすごいです。ちなみに、担保設定についてはどんな流れになりますか?」

 

「土地も上モノ(太陽光パネル)も、担保予定の書類をお書きいただいて、あとから設定で大丈夫です」

返済10年金利1.51%とは

ちなみに、借り入れたのは合計で1500万円。信販の融資条件と比較すると、次のような感じです。

  • 公庫 1.51% 10年 固定金利
  • 信販 2.15% 15年 固定金利

金利が違うので、総支払額を比較すると、公庫が1627万円、信販が1770万円と143万円ほど公庫のほうが少なくなります。一見いいこと尽くめのように見えますが、本当でしょうか?

※信販の金利も15年固定でした。誤解していました

 

重要なポイントは返済期間10年か15年かです。当然ですが、10年のほうが1年あたりの返済額が多くなります。案件によっては、これによってキャッシュフロー、手残りがゼロかマイナスに落ち込む可能性があります。利息分も減るので、税務上の損金も少なくなり、早期から黒字となり、税金も発生してきます。

 

キャッシュフローについては、さすがにこれがマイナスになるような物件には公庫も融資を付けないようで、実際の物件で試算してみても問題はありませんでした。当初10年の間、太陽光からのキャッシュフローを生活費などに期待しているのでない限りは、問題ありません。

 

税金は、トータルでは利益総額に対して一定税率が課されるので、これによって特に増えたり減ったりするものではありません。総返済額が減るので総利益額は増え、結果納税額も増えるでしょうが、利益が増えているので文句はありません。

 

では何が気になるのか。IRRです。

 

その投資のトータルの利回りを、他の投資商品と比較するモノサシとなるのがIRRなわけですが、これはさまざまな要素が影響を与えるからです。少し考察してみましたので、次回まとめてみます

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リアルアセットセグメント:2020年の運用方針

2020年から、資産の運用を5つのセグメントに分けて把握していきます。株式セグメント債券セグメントヘッジセグメントオルタナティブセグメント、リアルアセットです。最後は、投資というよりも事業に近い、リアルアセットセグメントの運用方針についてまとめます。

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目的および基本的性格

太陽光発電所の運営を通じて、レバレッジを効かせた事業運営を行い、安定したインカムゲインの取得を目指します。また運営の箱としては資産管理法人を使い、適切な節税を行います。

 

サラリーマンが持つ信用は、適切な投資資産と組み合わせることで、低利のレバレッジを可能にします。これは属性や資産に応じて金額や条件が変わってくるため、うまく活用することが重要です。

 

太陽光発電については、18円/kWhの固定価格買い取り制度(FIT)を用いて安定した売電収入を実現します。投下資金あたりの期待リターンは6%とします。

投資対象

メインは太陽光発電所の運営による売電ですが、レバレッジかつインカム取得という同様の性格を持った投資として、不動産投資を同時に検討します。 

運用方針

ほかの投資先とは異なり、これは事業と呼べる内容になります。期待リターンは高めに出ますが、その分手間がかかり、オンラインでは完結しません。また、投資先は千差万別であり、同じものを複数購入することができません。

 

サラリーマンがメインの人の場合は、それが本業になりますので、こうした手間のかかる資産運用は不向きとなりますが、ぼくの場合はこっちが本業で、サラリーマンは趣味なので、必要なだけ手間をかけて、事業の成功を目指していきます。

 

具体的な手間の掛け方としては、次のことを想定します。

資産運用会社

運用の箱には、資産運用会社を使います。法人税率と消費税の益税を狙って、2社設立しましたが、2023年開始といわれるインボイス制度の動向によっては益税がなくなる可能性があります。

 

とはいえせっかく2社あるので、将来の法人単体での借入を目指して、1社は節税メインに用い、もう1社は決算書をピカピカにして優良企業を目指す想定です。資産運用会社を使った節税方法はいろいろとあり、現在のところ下記を考えています。

1社は約款に有価証券等による運用も記載しており、証券口座を作成することで名義を増やすことや、FX/CFD口座を開設することで、先物と株式の利益を通算して運用できるようにすることも想定しています。

 

また不慮の出来事で相続が発生してしまった場合、資産の一部を法人所有としておくことで、相続課税額の圧縮も期待しています。

投資リスク

太陽光発電に関しては、発電額を国のFIT制度によって固定価格で買い取ってもらえるというメリットがあります。売上が基本的に固定され、安定した事業運営が可能です。

 

またいったん稼働を始めてしまえば、伸びてくる雑草を刈ること以外はほぼメンテナンスなしで稼働するため、ランニングコストが小さいのが特徴です。

 

一方で、20年を越えた先の売電価格は保証されません。電力需要がなくなることはないので、無価値になるわけではなく収入を生み続けますが、そのリターンは未知数です。 リアルな設備を用いた事業のため、事故や災害などによって設備が破損し、発電が止まってしまうリスクがあります。保険にも加入していますが、発電停止リスクを完全になくすものではありません。

 

また、最大のリスクはインフレです。売電価格が固定のため、インフレが進行すると実勢価格と固定買取価格の差がなくなってしまう可能性があります。このとき、同時に借入金利も上昇が見込まれるため、初期の段階でインフレが発生すると事業計画に大きな狂いが生じる可能性があります。

現在の投資資産

先日、改めて太陽光発電事業の価値算定をDCF法を使って行う方法を検討しました。現在のところ、一基も稼働していないため、初期費用の前払い分が資産価値となります。これを前提として再計算すると、5セグメントの資産内訳は下記のようになります。

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リアルアセットの比率は6%と、ほぼヘッジセグメントと同等です。これが全太陽光発電所が稼働したときには、6倍ほどの規模に拡大し、資産全体に占める比率は25%程度まで拡大する見通しを立てています。

 

前払い費用の内訳は、次の通りです。購入済みの土地代金が約半分、ほかは草刈り代金の前払い分が28%、東京電力へ支払った電力負担金が8.8%となっています。

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現在確保している7基のうち、1基は工事開始間近。公庫での融資も依頼しました。2基は春頃には稼働する見通しです。残り4期については、農地転用許可や東京電力の連携見積もり待ちとなっており、まったく計画が立っていません。いずれも押さえてから1年半が経過しており、噂に聞いたとおり、太陽光発電所は稼働まで時間がかかるものだと実感しています。

 

【2019年のリアルアセット運用目論見書】

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太陽光発電事業の企業価値を改めて試算 2020年版

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毎月、ポートフォリオ報告という形で総資産のチェック(B/S)とインカムの状況(P/L)をまとめています。そしてそろそろ太陽光発電所の一基目が稼働するので、そろそろ再評価を行っておこうと思います。

基本的な考え方はDCF

企業や債券など、商品の価値を評価する際には複数の方法があります。よく言われるのが、コストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチですね。

 

コストアプローチは、要するにかかったコストを足し合わせて価値とする方法です。ただし、太陽光発電のような場合は明らかにこれは適切ではありません。投下コストは売却価格とは全く一致しないからです。

 

マーケット・アプローチは、同じような資産がいくらで売買されているかを見て価値を算定します。昨今は太陽光発電所のセカンダリーマーケットも整ってきていて、売却時の評価も出せることは出せますが、こちらもまだ適切とは言い難そうです。

 

ということで、インカムアプローチです。これはその資産が将来生み出す収益(インカム)を足し合わせて価値とします。ただし、今年のインカムと、来年のインカムでは価値が違います。未来のインカムほど価値が下がるからです。どのくらい価値が下がるかを「割引率」といいます。この割引率に基づいて将来のインカムを割り引いて、全部出し合わせるのがDCF法です。

割引率をどうするか?

太陽光の場合、20年分のキャッシュフローはほぼ正確に計算できます。それを割り引いて足し合わせればいいのですから、簡単といえば簡単です。しかし問題は「割引率」をいくつにするかです。前回の試算では、インフラファンドが採用しているリスクプレミアムにリスクフリーレートを足して、割引率2.1%で計算してみました。

 

割引率が大きければ将来のインカムを小さく評価することになるので、価値が小さくなります。逆に小さな割引率なら価値が大きくなります。

 

普通の企業価値評価では、負債コストと株主資本コストを合わせたWACCを使いますが、今回はM&Aをするわけではないので負債コストは計算に入れません。負債部分の利払いと元本返済はキャッシュフローに反映されていますので、今回考える必要があるのは株主資本コストだけ。100%株主資本コストという考え方でいきます。

 

株主資本コストは、株主が期待する収益率であり、CAPMで導く方法が一般的です。

  • 期待収益率 = リスクフリーレート + β ✕リスク・プレミアム

国債の利回りであるリスクフリーレートに、市場感応度であるβとリスクプレミアムを掛けたものを足すことで求めます。でもまぁこれは株価の場合ですね。太陽光発電にβなんてありません。

 

よくよく考えてみると、今回の話はもっと簡単です。ぼくが太陽光発電のアセットクラスに対する期待収益率を、6%と置いているからです。

期待収益率が6%とはどういうことか

さて期待収益率が6%というのはどういうことでしょうか。これはその資産を保有しているとき、投資額に対して年平均で6%のリターンが得られることを指しています。毎年6万円をコンスタントに生み出す資産であれば、その資産の価値は100万円だということです。

 

もし収益がコンスタントではなく、年によってバラツキがあるとしたら、IRRを計算してそれが6%となる初期投資額が、資産価値ということになるでしょう。

 

例えば、売電収入からコストと利払い、元本返済を引いたキャッシュフローが40万円、ローン返済後の16年目から20年目までは130万円を生み出す太陽光発電所があったとします。これに対してIRRが6%になる初期投資額は617万円だということが分かります。同様に、各年のキャッシュフローを6で割り引いて合計すると、その合計額、つまりDCFによる評価も617万円になります。

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こう計算すれば、毎年平均して6%のインカムを生んでくれる資産と同額となる価値がいくらなのかを導き出すことができます。

具体的な計算方法

では具体的な計算方法です。これまでは確保した各発電所を割引率約2%で割り引いて現在価値を計算し、それを資産価値として評価していました。でもよくよく考えるとこの方法はよくないですね。

 

確保しているのはいいととして、その発電所への資金投入はまだのところがけっこうあるからです。本来は稼働して始めてキャッシュを生むことが確実になるものなので、土地を決済して稼働が確実になって初めてDCFで収益を足し上げる必要があります。

 

ではすでに支払い済みの土地手付金などはどう考えればいいでしょうか? これはもし稼働しなければ返済されるお金なので、無利子の貸付金と同じです。つまり、資産額にそのまま足し合わせる必要があります。

  • 稼働見込みの発電所のDCF評価(割引率6%)+手付金など支払い済み金額(※稼働発電所の費用は足さない)

これが太陽光発電所群の資産評価額となります。

 

ということは、1つも稼働していない現在の状況では、要は支払い済みのコストだけが資産評価額ということですね。

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