FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

太陽光の借り換え融資で、地銀5行に飛び込みアプローチしてみた

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現在、太陽光発電所の融資は、信販(ジャックス、アプラス)と公庫から借りています。しかし、さらに条件の良い融資に変えられないかと思い、地銀各所に連絡して、借り換えの打診をしてみました。

現在の融資条件

現在の融資条件は次のようになっています。

  • 木更津 公庫    10年、1.51%
  • 筑西  ジャックス 15年、2.15%
  • 白子  アプラス  15年、2.1%
  • いすみ ジャックス 15年、2.1%
  • 君津  アプラス  15年、2.15%

公庫は金利は悪くないのですが、10年しかとれなかったのが痛い。信販は2.1〜2.15%と、よく聞くのに比べると金利が多少高いんですね。そこで、営業地域の地銀に片っ端から電話して融資を相談してみました。

地銀の特徴

銀行にはヒエラルキーがあって、だいたい下記の順になっています。

  • 政府系(政策金融公庫とか)
  • メガバンク(MUFG、みずほ、三井住友)
  • 準メガバンク(りそな、埼玉りそな)
  • 地銀(全63行)
  • 信用金庫、信用組合(256個、145個)

ゆうちょ銀行とかネット銀行は、基本、法人向けの設備投資融資とかはやっていないので、この枠組みに入れていません。

 

メガバンクが大企業中心なのに対し、信用金庫は大企業の貸し付けが禁止されていますし、信用組合では従業員300人以下または資本金3億円以下に限るなど、規模によって対象が異なっています。また、地銀や信用金庫、信用組合は営業できる地区が限られており、対象区域以外への融資は基本できないという制約があります。そのため、数はあっても、アプローチできる先は限定されるというわけです。

 

ちなみに、住んでいるところの近くの信用金庫に「融資できません?」と聞いてきたところ、最初に聞かれたのは「融資先の設備はどこに置くんですか?」という話で、千葉と栃木ですと答えたら、その時点で「ウチの営業区域外です」で終了でした。

 

それなりに広い営業区域を持つところとなると、やはり地銀になります。そこで、営業区域内になっているところをWebページからリストアップして、片っ端から電話してみました。

某地銀大手

地銀によくある話なのですが、飛び込みの顧客を相手にするチャネルがありません。銀行全体としての電話番号やコールセンターなどがない場合が多く、けっきょく支店に直接電話することになります。

 

「こんにちは。融資のご相談でお電話しました」

「ありがとうございます。お名前伺ってもいいでしょうか?」

「はい。法人Aと申します」

「当方で口座などはお持ちでしょうか?」

「いえ、現在のところは保有していません」

「では担当から折り返しさせていただきますので、電話番号を教えていただけますか?」

「はい。xx-xxxx-xxxxです」

「ありがとうございます。のちほどお電話させていただきます」

というやりとりがあり、電話がかかってきます。

「某大手地銀の○○と申します」

「ありがとうございます。融資のご相談でご連絡差し上げました」

「ちなみに、ご住所はどちらになるでしょうか」

「東京都○○区の○○です」

「そうしますと、ウチの担当地域ではないので、○○支店にご連絡いただけますか?」

「承知しました」

 

おいおい。早く言ってくれ。というか、Webにどこが担当地域か書いておいてくれ……。要は、いつもやりとりのある顧客がメインで、新規顧客開拓はあまり力が入っていないのです。

 

その後、担当支店に電話して同じようなやりとりをしたところ、

「ウチでは太陽光への融資は厳しいですね」

以上終わり。となりました。はぁ。

某都内地銀

続いて別の某都内地銀です。こちらは「法人融資相談番号」というのがWebにあって、しかもフリーダイヤル。コールセンターが基本情報だけヒアリングして、担当の支店に連絡、のちほど支店から電話がかかってくるという今風なシステムでした。

 

かかってきた電話を取ると……。

「ちなみに規模感はどのくらいでしょうか?」

「太陽光を合計7基になるので、最大で1億弱くらいを考えています」

「……。ちょっとその規模だと難しいですね。太陽光には取り組みをやっているのですが、だいたい3億〜5億のロットのものが中心です。それ以下ですと、調査コストなどがかかるので赤字になってしまいまして」

「なるほどなるほど。承知しました!」

 

融資は、目的別に内容がパックになったパッケージローンと、事業状況をチェックして都度条件を決めるプロパーローンに分かれます。信販が用意しているのはこのパッケージローン。個人のプロフィールを提出すれば、その数値から自動的に与信可否が出てくるイメージです。投資先内容は、EPC業社が吟味しているという想定になっていて、EPC業社によって金利も異なるのだとか。

 

プロパーローンは一件一件調査して、銀行内で稟議を上げて、というものになるので、確かにコストもかかりますね。まぁ納得です。

某都内地銀2

続いて某都内地銀2。こちらは最寄りと思われる支店に電話しました。すぐに電話がかかってきましたが、「うちは太陽光はやっていません」で、以上終了。

 

親切に「公庫とかがいいんじゃないでしょうか」などアドバイスをいただきましたが、いや公庫はもうやってるんですよ……。

 

なかなか各社ポリシーが異なる感じです。

某北関東地銀

続いては太陽光に積極的?という噂を聞いたことのある某北関東地銀。こちらも総合窓口が用意してあって、そこに電話してみました。今度は、融資額の規模感を話すと、「大きすぎる」とのこと。どうやら、中小企業の資金繰り融資に特化しているパッケージローンのようで、300万円くらい、1年返済くらいのものが対象だそうです。

 

で、太陽光でしたら支店に連絡してみては? と都内の支店を案内されたので、そちらに電話してみました。すると、ものすごく前向きじゃないですか。

 

「太陽光、はい。やっていますよ。決算書と案件の資料と、現在の借入明細、発電実績、お持ちの不動産のレントロール、個人の資産状況、それから代表の免許証のコピーを送ってもらえますか?」

 

いきなり具体的。これは期待できます。ちなみにどのくらいの金利と期間なのかを聞くと、

「金利は人によりますが、まぁ1%台前半。期間は法定耐用年数以内になります。太陽光だと新規で17年ですね」

 

おお!この条件なら最高。さっそく、すぐに資料おくります!と伝えてメールアドレスを聞き、ささっとまとめて送りました。

 

数日後、電話がかかってきました。

「遅くなって申し訳ございません。結論から申し上げると、今回はちょっと難しいかと」

「ありがとうございます。ちなみにどのあたりがひっかかったのでしょうか?」

「ちょっとペースが早すぎるということで」

 

なるほど。太陽光の仕込みを始めたのこそ2年以上前ですが、この半年で一気に4基が稼働しています。そのタイミングで借入が実行されているわけで、たしかにすさまじいペースだともいえます。さらに不動産も買っちゃいましたしね。

某大手地銀

最後の5行目は、電話をすると、「太陽光ですか。分かりました。まぁ一度いらっしゃってください」と。これはいきなりアポがとれた!と喜ぶべきところなのか、それとも行った瞬間にダメ出しされるのかどっちか?と思ったのですが、「ぜひ一度」というので、日程を調整して、行ってみました。前の地銀向けに資料は用意してあったので、それを印刷しただけですし。

 

会社案内に沿って、事業ポリシーや決算状況、個人資産の運用方針などをお話しし、現在の借入がこちらです、とお渡ししたところで、ふーむ、と。

「2.1%ですか……。正直、ウチは審査して通ったとしても、この金利には太刀打ちできませんわ」

 

なるほど。確かに公庫は別としても、設立から赤字続き、債務超過の会社に対して、担保もなしに1%台では貸しませんよね。常識的に考えて。でも、事業開始までの赤字は仕方ないことは分かっています、とか、債務超過といっても借入の多くが私からの借入であることなどは理解してくれ、「もし債務超過が問題なら、借入を資本に転換すればすぐ債務超過は解消できますが?」と伝えたところ、「いえ内情は分かりましたので、そこまでガチガチにやらなくても実質的に一体だということは理解しています」とも。

 

さらに、設備投資ですと最大で10年になりますとも言われ、まぁそうだよね、普通はそうだよねと思いつつ、じゃあ帰ろうかなと思っていると……。

 

「ちなみに不動産のほうは、もっとお買いになる予定はありますか?」と。はいはい。良い物件があって、融資してくれるんでしたら買いますよ〜。ちなみに、融資期間についての考え方を聞くと、「劣化等級2級なら、法定耐用年数を超えて30年まで出せます」とのこと。

 

劣化等級とは「劣化対策等級」のことで、住宅性能表示制度の評価になります。残念ながら、ぼくの不動産は特に取っていないようです。残念。いや、というか、よく考えたらこの地銀、最初に不動産の融資を打診したときに、最終的にお断りされたところじゃないですか。ぜひ、次の不動産のときはご相談したいと思います。面識もできたことですし。

銀行巡りも面白い

こうやって始めて銀行巡りをやってみたわけですが、なかなかに面白いものですね。不動産は物件を決める前に、銀行を決めて相談しておけってたまに聞くのですが、たしかにこうしたパスがあれば、次は相談がスムーズにいきそうです。

 

一つ思ったのは折れない心。やっぱり融資を打診しお断りされると、自分が否定されたように感じてへこむじゃないですか。でも、こんな感じで巡ってみると、各銀行には融資方針というか得意不得意というかがいろいろとあって、こういう物件やこういう案件ならこの銀行——というのがよく分かります。

 

まぁ今回は、ダメ元で、断られても2.1%で引けてるわけだし、という気持ちもありました。借入額も合計すると相当なものだし、発電所も不動産も、本格的な稼働はこれからですから決算書はボロボロ。普通に考えても、なかなか厳しいことは分かっていたので、経験を積ませてもらった感じです。

 

本当はこういう飛び込みのアプローチを5年位前にやっておけば、もっと良い融資条件を引き出せたのかもしれないなぁ……なんてちょっと思ったりもしましたが、それでも後より今できたことを喜ぶべきです。なんて言ったって、長い人生の中で、今が一番若いんですから。

 

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発電所の草はすごいぞ 草刈りとバッテリー

先日、いすみ発電所の草刈りに行ってきました。太陽光発電所のメンテナンスの中で、草刈りは必須かつ最大のもの。面倒だから業社に頼む、という人も多いのですが、現地の視察にもなるし、身体を動かすのは好きなので、いまのところ自分でやっています。

すさまじい草の伸び方

では、草がどのくらいのペースで伸びるのかを見てみましょう。まずこちらの写真は、完工直後、12月27日の発電所です。土地を造成して工事をするので、下にあるのは枯れた草の残骸だけ。これだけ見ると、草なんて生えなそうにみえますよね。

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3月10日

そこから3ヶ月経った3月10日。うっすらと緑が見えてきています。春になってあたりも芽吹き始めました。そんなに背の高い草もなさそうで、このときはメンテナンス楽かな? なんて思っていました。

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グランドカバー植物を手配するなら、草が生える前がラストチャンスだと聞いていたので、ホワイトクローバーとダイカンドラのタネを、パネル前面の部分にだけ散布。散布といっても、地面を掘って柔らかくして蒔いて、再度土を載せて埋める、そして軽く踏む。さらにじょうろで水をまくという、けっこうたいへんな作業です。水道もないので、ポリタンクで水も持参するという想像以上にたいへんな作業でした。

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4月24日

一カ月半後の4月24日。あちゃー、草の海に沈んでいます。柔らかそうな草がメインですが、放っておくとやっかいそうです。このときは、カマしか持っていなかったので、目に付いたところだけ手作業でバッサバッサと。でも、敷地は500坪もあるので、正直重労働でした。

 

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ちなみに、ダイカンドラは陰も形もありません。クローバーは、よくよく地面を見ると、うっすらまばらに生えてきているではありませんか! このまま広がってくれるかな?と、このときはほのかな期待をしていたのでした。

6月9日

そして、さらに1カ月半後の6月9日。ちょっとこれ、見てください。同じ場所とは思えません。草がパネルの上まで伸びています。そしてフェンスは樹海に沈み、入り口がどこかさえ見当がつきません。たいへんなこった!

 

前回来たときに、入り口のあたりには除草剤をまいておいたのですが、まったく効果が見られません。うぬー、強力な草め。

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電動草刈り機はバッテリー1つじゃ足りなかった

しかし今回は装備は万全です。マキタの電動草刈り機が腕を振るいます。まずは、土手と入り口までの通路から。そこを綺麗にしないと、そもそもフェンス内に入れません。カマと違って、草刈り機は超パワフル。5分くらいで、すっかり綺麗に刈り込めました。

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 草を刈っていくというよりも、草を切り開いてまずは通路を作るというイメージ。肩くらいの高さまでうっそうと茂っているので、ひたすら刈り込み、刈り込みです。下記の写真は、パネル1列目と2列目の間をまずは刈り込んで通路を作ったところ。これで反対側に抜けることができるようになりました。

 

また、フェンス近くの草は刈るのが難しいんですね。回転刃が触れないように近づけるのも気を遣うし、一回など当たってしまい、フェンスを切断してしまいました。刃にも悪そう。

 

で気になっているのが下記のジズライザーエアーです。こちらは刃の下に付けて浮かせることで、地面近くの草を刈りやすくするアタッチメントなのですが、ナイロンコード刃も付属。なるほど、ナイロンコードを使えば、フェンスを切断することなく草だけ刈れるかもしれません。 

 

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が、ここでトラブル。トラブルというか、バッテリー切れです。ここまで本格的に草が多いと、バッテリー1つではダメでした。マキタの草刈り機は、負荷に応じて自動的に速度を調整する機能がついているのですが、ここの草は密度が高い上に堅くて太い茎をもっていて、とにかくパワーを食うようです。

 

バッテリーが切れたらこれまでは撤退だったのですが、今回は違います。この通り、コンセントを設置したからです。自動車の12V電源を昇圧して100Vにしたのでは、アンペアが足りずにまったく充電されなかったのですが、さすがに発電所のコンセントはしっかり充電ができました。

 

この充電器「DC18RF」は急速充電器で、僕のバッテリー「BL1860B」を27分で「実用充電」することができます。フル充電までは40分です。というわけで、充電しつつしばし休憩。

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その後、2度のバッテリー充電を行い、なんとか周りすべての草を刈ることができました。朝9時から始めて、終わったのは12時半。もっとも、そのうち1時間以上はバッテリー充電で待ちだったわけですけど。

 

はい。ビフォアフターがこちら。

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バッテリーの追加を検討する

今回の教訓は、この規模にみっちり草が生えているとバッテリー1つでは刈り切れないこと。ただし、発電所のコンセントで急速充電できるので、バッテリーがもう1つあれば、刈っている間にサブを充電できそうです。

 

もう1つ買おうとAmazonで探すと、マキタ純正の「BL1860B」はまさかの1万4980円。高!ちなみにヨドバシだと1万9580円。希望小売価格は2万6000円程度のもようです。

 ところが、このBL1860Bのサードパーティー互換品は、容量も6000mAhで大量に出ているんですね。こちらなんて、価格は驚きの2294円です。

 実に値段が6倍以上違うわけですが、経験上、爆発するような粗悪品は別として、多少容量がスペックよりも少なかったり、寿命が短いくらいで、純正の一段下くらいのものが多いように感じていました。いくら純正が高性能だといっても、6個あれば対抗できるはず。数の力は偉大。

 

と思っていたのですが、ちょっと注意点が。

弊店のバッテリーは充電器DC18RFと対応できません。 

ん? このDC18RFは先に挙げた急速充電器です。6000mAhのバッテリーを40分で急速充電できるのは業界最速だそうで、確かにバッテリー冷却ファンがうなったり、周囲の温度によって充電をコントロールするなどかなりインテリジェント。しかし、中華格安互換バッテリーは、これに対応していないのです。

 

しかも「対応していないので低速充電」という感じでもなく、そもそも充電不能な様子。これは困りました。

 

選択肢は次の2つです。

  • 格安互換バッテリーと、互換充電機 バッテリー2個と充電機で7700円くらい
  • 純正バッテリー 1万4980円

なんと、純正バッテリーの値段で、バッテリー4個と互換充電機が2個買えます。うぬー。これは悩む。しかし、格安互換バッテリーは出力自体が低いという口コミもあり、パワーが重要な草刈り機では、やっぱり純正でしょうか。追加コスト1万5000円は安くはありませんが、効率アップのためには仕方ないかも。

 

ここで悩むなら、素直に最初からガソリンエンジン式にしておけばよかったと、ちょっと思ったりもするのでした。ただ、ガソリンエンジンは振動が激しくて、1時間も使うと手が震えて止まらなくなるんですよね。。。

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2021年5月の太陽光発電所パフォーマンス 5基まとめ

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毎月恒例の太陽光発電所パフォーマンス確認は、1基追加となって5基。新設発電所も含めて、5月の実績を確認します。

月間発電状況 

5月の発電状況は次のようになりました。5基目となる君津発電所が稼働し、月間総発電量は5万1653kWhに達しました。ちょっと注意点は、君津を除くと、4月の発電量を下回ったことですね。5月はけっこう雨降りの日が続いたので、このように減少することもあります。

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計画と実績の比を示す、発電量の予実はどうでしょうか。今回は2グループに分かれました。それぞれ110%と好調ないすみ発電所、白子発電所に対して、木更津発電所(88%)、筑西発電所(86%)は不調です。新設君津発電所は106%と悪くないスタートです。

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売電とCFの状況

続いて売電額からローン返済額を引いた粗CFです。こちらは大きく伸びていますが、ちょっとからくりがあって、君津発電所の稼働と売電は始まっているものの、ローンの返済は6月からなのです。そのため5月はまるまる売電額受取となりました。

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発電所評価額

これらの状況を加味した、各発電所の時価評価額はどうでしょうか。先月から20%増加して、さらに評価額は増大しました。ただしこれは君津発電所の評価額が追加で乗ったためで、それを差し引くと、先月から4%のマイナスです。5月の発電実績が振るわなかったのが、評価額減少につながりました。

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4つの発電所の評価額比率は次のようになっています。白子やいすみほどではないのですが、新設君津の評価額は悪くありません。日当たり的には四方を山に囲まれており、あまりよくありません。これは木更津発電所と似た環境なので、ダメかな?と思っていたのですが、いまのところシミュレーションを上回っています。パネルが違うのが、もしかしたら良かったのかも。

 

もちろん、夏は日が高いので影になりにくいというのもありそうです。冬になって日が落ちたときに、想定を大きく下回る可能性もあります。ただし、春が想定を上回るのは良かった点。f:id:kuzyo:20210609183339j:plain

IRRの予実は次の通り。相変わらずダメダメな木更津を除けば、そこそこ悪くありません。特に白子のように13%を超えてくると、株や不動産よりいいともいえるかも。収益がFIT制度によって安定していて、かつ20年間発電しきる前提のIRRですから、出口戦略というものがいらないからです(もちろん、20年経過後の処分をどうするか?というのはあります)。

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各太陽光発電所のスペックは次のとおりです。

FIT単価はいずれも18円。システムのスペックは次のようになっています。

  • 木更津発電所 JAソーラー(97.2kW)/オムロン
  • 筑西発電所  JAソーラー(97.2kW)/オムロン
  • いすみ発電所 JAソーラー(98.8kW)/オムロン
  • 白子発電所  JINKO(87.42kW)/オムロン
  • 君津発電所  JINKO(97.2kW)/オムロン

4月の太陽光発電パフォーマンスはこちら。

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2021年4月の太陽光発電所パフォーマンス 4基まとめ

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毎月恒例の太陽光発電所のパフォーマンス確認です。4月の実績が出そろいました。春がやってきたことを数字から実感できますね。

月間発電状況

4月の発電状況は次のようになりました。総発電量は4万2359kWh。当然ですが、過去最高更新です。

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事業計画上重要な、発電量の予実はどうかというと、計画を下回ったのは筑西だけでした。優等生の白子は計画から21%も上振れ。白子は雑草も生えないし、本当にいい発電所ですね。

  • 木更津 100%
  • 筑西   99%
  • いすみ 102%
  • 白子  121%

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そのほかのトピックスとしては、木更津以外の発電所にもすべてコンセントが装着されました。家庭用と違って野立ての太陽光発電所では、日常的にコンセントからの電源が必要というわけではないのですが、要は月間2400円程度かかってしまう低額電灯契約から、従量電灯契約への変更のために必要となるものです。

 

ただし、ぼくの場合草刈り機が電動なので、作業中に別のバッテリーを充電するのに使えるかな?なんて考えていたりもします。

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売電とCFの状況

続いて売電額からローンの返済額を引いた粗CFの状況です。こちらも大きく伸びて、全発電所でプラス。粗の段階ですが月間34万円の収入となりました。

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発電所評価額

今回の最新データを元にした、各発電所の時価評価額です。これまでの発電予実を元に将来の発電量を補正し、将来CFを6%で割り引いて、現在価値(NPV)を算出しています。

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こちらは先月からさらに6%増加して価値が向上しました。

 

DCFは、将来のCFを割り引いて足し合わせるという計算なので、無事に時間が経過すれば割り引く期間が減少します。例えば、最初の1年のときは、2年目のCFを割引率である6%で引き、3年目を12.36%(1.06の2乗)で引いていたわけですが、実際は1カ月経つごとに割引が小さくなるはずです。

 

これまでの計算では、この時間経過を加味せずに計算していたので、少し将来CFが小さめに出ていました。今回計算式をアップデートして、これが反映するように修正しています。そういう意味では6%増加したというのは正しくなく、ここで少し計算方法が変わったことになるのですが、まぁいいでしょう。

 

それからもう1つ。この将来CFは、土地の固定資産税や発電システムの償却資産税なども考慮に入れたものになっているのですが、固定資産税が当初の目算のままで、正確な数字が入っていませんでした。これを反映させたことで、少し評価額が上振れしています。

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4つの発電所の評価額比率は次のようになっています。

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IRRの予実は次の通り。木更津を除けば7%を超えていて、投資先としてはまぁまぁ。ペーパーアセットと違って、レバレッジを高くできることと流動性が著しく低いことが、その分リターンを押し上げているといえます。

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各太陽光発電所のスペックは次のとおりです。

FIT単価はいずれも18円。システムのスペックは次のようになっています。

  • 木更津発電所 JAソーラー(97.2kW)/オムロン
  • 筑西発電所  JAソーラー(97.2kW)/オムロン
  • いすみ発電所 JAソーラー(98.8kW)/オムロン
  • 白子発電所  JINKO(87.42kW)/オムロン

3月の太陽光発電パフォーマンスはこちら。

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冬〜春の太陽光発電所の発電状況を考察してみる

太陽光発電所の発電に最も大きな影響を与えるのは天候です。雨や曇りなら大きく発電量は減りますし、晴天ならばスペック上のマックスまで発電してくれます。では、いったいどのくらいの期間晴れていて、晴れと曇りや雨ではどのくらい発電量が違うのでしょうか。千葉・白子市に設置した発電所のデータから、考察してみました。

白子発電所のスペック

まずは前提の白子発電所のスペックから。低圧発電所(パワコン49.5kWh)でパネルはJINKOの87.42kW。2倍までいかないちょい過積載の発電所です。前面に道を挟んで民家があり、また電柱が正面に立っていますが、全般に日当たりは悪くない感じです。

 

稼働は1月半ばからなのでフルに発電しているのは2月、3月、4月ですが、月間の発電量は8900kWh、9200kWh、11000kWhと、僕の発電所の中でもなかなかの優等生です。

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12時台1時間の発電量

まず天候による影響を見るため、晴れていてば最も発電してくれる12時台の1時間の発電量について、1月〜4月のヒストグラムを見てみます。横軸は発電量、縦軸はその区間の発電を行った日数です。

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けっこうな割合でフルスペックである50kWh以上を発電していることが分かります。43%がフル発電です。また、45kWh以上の「ほぼフル」の割合は62%にのぼります。

 

一方で、10kWh以下という、ほぼ発電していない、つまり大雨とかの日も8〜9%くらいあることが分かります。40kWhあたりまでは、ほぼ同頻度で分布している感じです。

 

同じ内容を、今度は月別で見てみます。こちらは天候の違いが如実に表れました。2月はやっぱりよく晴れていたんですね。ただ全体として、春になるほど多く発電した日が増えているようにも見えます。

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時間帯別に見る

今度は時間帯別に見てみましょう。12時に45kWh以上を発電した日を「晴れ」と定義して、時間帯ごとの発電量の平均を見てみます。期間中116日のうち、「晴れ」に当たるのは72日、それ以外は44日でした。「晴れ」の1日あたり平均発電量は377kWh、それ以外の日の平均発電量は207.0kWhです。

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晴れていれば、だいたい10時から14時くらいまではパワコンマックス値の49.5kWh近くまで出ている感じですね。

日の長さを比較する

天候とは別に、発電量の多寡を左右する要素が日のながさです。冬は遅く太陽が昇り、早く沈みます。夏になっていくと、早くから太陽が昇って遅くまで輝いているわけです。これをチェックするために、朝と夕方の発電量をグラフにしてみました。なお、天候状態の変化はノイズになってしまうので、ここでは「晴れ」の日だけを取り出してグラフにしています。

 

まずは朝5時、6時、7時、8時です。夏に近づくにつれて早朝の時間帯の発電量が増えていっているのが一目で分かります。4月に入ると5時台も少しですが発電を始めています。逆に8時台は4月に入るとパワコン上限値(49.5kW)に達してしまうことも増えてきています。

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夕方はどうでしょうか。こちらも同様の傾向です。18時台は5月には行ってもほとんど発電していませんが、17時、16時、15時台は日が長くなるにつれて発電量が増加して行っています。

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では日中の最も発電する時間帯はどうでしょうか。11時、12時、13時台のグラフがこちらです。夏に近づいても、ほぼマックスに張り付いていて、変わりないことが分かります。この時間帯は季節に関係なく、天候だけが発電量に影響を及ぼすということですね。

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晴天率

最後に、晴れの日の比率です。なるほど、2月は日はまだ短いものの晴天率が75%にも達していました。逆に3月は52%まで下がっています。これが日の長さと相殺されて、ほぼ変わらぬ発電量になった感じです。4月は日も長く晴天率も67%と多めだったので、月間発電量も順調に増えました。

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今回は白子発電所に取り付けたエコメガネのデータを使って、時間帯ごとの季節変動状況や天候変化による影響を考察してみました。こんなふうにデータがとれるのが太陽光の面白いところでもありますね。

 

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収益不動産の決済を済ませた話

少し前、4月末になりますが収益不動産の決済を済ませてきました。不動産購入に至るまでの道のりを振り返りながら、どんな感じだったかまとめておきます。

関心はあったのに長くかかった不動産

実は相当昔から不動産に関心を持っていました。投資を始めた最初期に読んだ一冊に「金持ち父さん」があったせいでしょうか、いつかは不動産という気持ちをもっていたのです。

 

実は読んだ不動産関係の書籍は、株式の本よりも多いかもしれません。不動産実務系のものから収益計算系、そして不動産投資家が書いた本をかなり読み込みました。集中的に読み始めてから、10年くらいは経っていますね。

 

それでも実際の購入に至らなかったのは、いくつか理由があります。その最大のものは、規模とリターンのバランスです。多くの書籍を読んで分かったことは、新築/中古、木造/RC、都心/地方、区分/一棟で、それぞれ手法も違えば、リターンの状況も異なるということ。

 

そんな中、次第に自分の中で固まっていったのは、中古・都心・一棟の組み合わせでした。中古不動産は新築に比べて流通量が圧倒的に多く、利回りも推定ではなく実績があります。地方のほうが利回りが高いのですが、人口減が続く場所で購入するのはリスクが高いと考えました。地方都市では人口が安定していたり発展が期待できるところもありますが、全く土地勘がないところで発展を期待するのもリスキー。そして、区分はリターンがそれほど高くなく、規模拡大を考えたときには自由度の低さも気になります。

 

でも都心・一棟の組み合わせは、とにかく高いという問題がありました。投資は、慣れるまでは少額で体験し、肌で感じながら規模を拡大するもの。そう考えていたので、一気に多額のローンを組んで購入するのは、精神的にビビっていたのです。

太陽光が後押しに

実はこの背中を押してくれたのが、ぼくの場合は太陽光でした。太陽光も基本的にほとんどをローンで購入します。複数基の太陽光発電所を購入するにあたり、借り入れ額も多額になっていきました。

 

一方で、なるほど、それなりに計算すれば、ローンを組むというのもそこまで怖くないな、という気持ちも生まれてきます。5基目、6基目ともなると、1000万円単位のローンを当たり前のように組むようになりました。

 

普通は、というか理想的な流れとしては先に不動産で、そのあと太陽光ですね。なぜなら太陽光は資産として見てもらえないため、負債だけが信用にマイナスに影響し、その後の借り入れに悪影響を及ぼすからです。不動産ならば、土地や建物を資産として見てもらえるため、うまく回せている限り、信用が悪化することは少ないからです。

 

僕の場合も、不動産を購入するにあたり、融資の最大のネックは太陽光で多額の借り入れがあることでした。丁寧なリスク分析の資料を用意して、20年分のシミュレーションを作成し、なんとか不動産の融資審査が通ったという感じです。セミリタイア前の収入が多い状況で、太陽光の負債もなければ、もっと簡単に、そしてもっと良い条件で融資が引けたと思いますが、まぁ前のことを気にしても仕方ありません。

やっぱり分からない物件選び

どんな不動産の書籍でも、物件選びについてはいろいろと書いてあります。でも、結局よく分からないというのが実感です。もっと複数不動産を購入していけば、分かるようになるのかもしれませんけど。

 

僕の場合、何が怖いかというと、悪徳不動産屋におかしな物件をつかまされるのが怖かったので、そこの一歩もなかなか踏み出すのが大変でした。知人友人のつてをあたって、信頼できる不動産屋を紹介してもらったり、複数の収益不動産セミナーに顔を出して、不動産屋と会ってみたり。

 

今回購入した物件は、そんな不動産屋の一つから送られてきた未公開物件です。実は3年位前から、たまにセミナーに顔を出し、実際の物件の紹介なども受けていたのですが、しつこく営業してこないところが気に入っていた不動産屋でした。

 

自分の中で、都心・一棟という軸はあったものの、築年や構造については確固たるポリシーが決まっておらず、出てきた物件にピンときたという感じです。問い合わせ時のポイントはこんな感じでした。

  • 違法建築ものではないか
  • レントロールを取り寄せて、収益シミュレーション

この収益シミュレーションがやっぱり大切で、CFの出方とIRR、MIRRがどのくらいになるかを中心に試算しました。

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投資用不動産の立地選び…首都圏は「2極化」から「5極化」へ

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最も利回りが高いのは「足立区」。区分マンション東京23区利回りランキング

決済〜引き渡しまでの流れ

では、物件を見つけてから実際に自分のものになるまでの流れをば。

  • 1月15日 物件問い合わせ
  • 1月18日 プロフィールシート送付
  • 1月20日 不動産屋と打ち合わせ
  • 1月26日 検討結果の返答を促される
  • 1月30日 融資条件を伝えて、進めることに
  • 2月4日  別の物件にプチ浮気
  • 2月4日  銀行審査用に源泉徴収票を送付
  • 2月6日  現地視察
  • 2月8日  一部の銀行から融資条件の返答(希望に合わず)
  • 2月9日  2つの銀行から希望条件で審査するという返答
  • 2月9日 確定申告書、源泉徴収票、太陽光ローン返済予定表を送付
  • 2月10日 購入申込書を記入して送付
  • 2月10日 トラックレコードをいただく
  • 2月11日 審査参考資料として身上書を送付
  • 2月12日 銀行から追加質問。法人謄本や決算書を送付
  • 2月22日 売買契約書ドラフト、重説ドラフトをいただく
  • 2月26日 売買契約締結 手付金支払い、印紙代支払い
  • 2月26日 銀行から追加資料要求 金融資産、太陽光契約書、納税証明書依頼
  • 3月2日  銀行から審査落ちの連絡
  • 3月8日  別の銀行に再度打診
  • 3月22日 融資が前向きに進む
  • 3月24日 銀行と面談に出向く
  • 4月7日  融資本承認
  • 4月10日  追加の納税証明書取得
  • 4月15日  銀行で金消契約締結、口座作成
  • 4月16日  管理会社と打ち合わせ
  • 4月21日  決済、引き渡し

いやぁ長かった。当初想定していた銀行からの融資条件が悪く、銀行を変えて審査をしてもらったこともありますが、最初から引き渡しまで3カ月の道のりでした。

 

感想としては、物件選びで終わるものではなく、その後の融資が本当に大変だということ。いわゆるプロパー融資なので先方も時間がかかりますし、とにかくたくさんの書類を用意しなくてはなりません。何度も税務署、都税事務所に足を運んだので、もう納税証明書なら任せてくれって感じです。

決済当日

具体的な決済は、融資を受けた銀行の口座から売主に振り込まれる形で行われます。融資額は銀行から口座に振り込まれるので、足りない分、頭金に相当する金額をその口座にあらかじめ振り込んでおき、決済日に、売主の口座に振り込みを行い、着金が確認されれば終わり。それが決済日の流れです。

 

当日は朝9時に、売主、ぼく、登記を行う司法書士、売主、買い主の仲介不動産会社の担当者が集まります。まず司法書士が売主の本人確認を行い、委任状など必要な書類に捺印。そして、銀行担当者に依頼して振り込みを実行です。売主のほかに司法書士、また不動産会社への振り込みも同時に実行です。

 

正直、僕の方は振込伝票をすでに書いているので、同席の必要はありません。不動産詐欺の可能性としては、売主が偽物で、自らの所有ではない不動産を売却して、代金を受け取ってとんずらするという可能性があるわけですが、そのために司法書士が、本当にその不動産の所有者が本人なのかを確認します。買い主のほうは、特に対面で何かをする必要はないわけです。とはいえ、初めてのこともあり、同席してみることにしました。

 

9時半までは書類関係の手続きも終わり、振り込みなんて10分もあれば終わるだろう……と思っていたのですが、意外や意外。そうとうに時間がかかります。振り込みは金額の多寡に関係ないとおもうのですが、紙の伝票だからでしょうか。世間話などの雑談をすること1時間以上。買い主は、何度も銀行に連絡を入れて、「着金されましたか?」と確認しています。

 

みんなもう雑談もないよね……となったころ、やっと着金確認が取れました。そしてその場で解散!となりました。今回、築浅物件だということもあり、性能保証書類など書類関係の原本が大量に。電車で行っていたので、不動産屋に頼んで自宅に郵送してもらいましたが、なるほど、紙の書類の束はすごいものです。

実感は?

さて長時間かけて物件の購入にいたったわけですが、実は購入した実感はあまりありません。幸いなことに満室なので、物件も外から見ることしかできませんし、現金が動くわけでもありません。ひたすら書類、書類。あとは不動産屋と1回、銀行と2回会っただけです。

 

太陽光と違って、日々売り上げが変動するわけでもありませんし、退去やトラブルなどが発生しなければ、ひたすら毎日が着々と過ぎて、家賃が入ってくる感じ。何もないのは良い知らせ。やっぱりそれが不動産な感じなんですね。

 

一応、このあとクレカで払った火災保険の引き落としがあったり、夏くらいには不動産取得税の支払いがあったりと、細かな支払いは残っており、ほんと、不動産は税金の塊です。

 

さて入ってくる家賃のうち、だいたい半分がローンの返済で、そのうちの半分くらいが金利です。2.5%金利なので低くはないのですが、その分長期にしてもらったので、CF的にはかなり余裕があります。

 

さてさて、これで太陽光の融資額と合わせると、全金融資産に匹敵する借り入れ額になっています。資産全体でみれば、レバレッジ2倍という感じでしょうか。よくまぁ借りたともいえるかも。あとは淡々と返済していく感じですね。

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収益不動産の資産価値を見積もる 積算、直接還元、DCFなど

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収益不動産を4月に入手しました。これまで、総資産の推移を毎月グラフにして評価してきましたが、ここで問題になるのが、不動産の資産価値をどう見積もるか? です。一般的な手法も含めて検討してみました。

よくある表現

不動産投資家の間でよくある表現が、「資産額○○億円」「借り入れ総額○○億円」といったものです。ここでいう「資産額」とは、だいたいその不動産の取得価格か、売却した場合に想定される売却価格のことを指します。

 

借り入れ総額というのは、要するに銀行から借りている金額のことです。不動産投資では借り入れを行うのが普通で、借り入れが大きいということは、それだけ多額の不動産を所有していることを意味します。

 

いずれも、運営する不動産の規模が大きいということは伝わりますが、これを株式などの金融資産と並べて評価することはできません。「1億円の不動産」を持っている人と、「1億円の株」を持っている人は、そのままでは比較できないのです。

最も簡単な簿価

最初に、最も簡単な方法です。それは、取得価格から借入金額を引いた「純資産額」を使うというもの。1億円の不動産でも、借り入れが8000万円あれば、純資産額は2000万円だという計算になります。

 

これはまず計算が簡単ですね。さらに、ローンの返済が進んで借り入れ額が減れば、純資産額も増えていくため、儲け具合をシンプルに表すことができます。

 

ただし、いくつかの課題があります。一つは不動産から生まれる収益、キャッシュフローの評価が含まれないということです。同じ1億円の不動産でも、毎月100万円の家賃収入を生む物件と、30万円しか生まない物件では、価値は違ってしかるべきです。

 

二つ目は、売却時に同価格で売れることを前提とした評価だということです。不動産は土地と建物に分かれますが、土地についてはともかく、建物は年数が経つほど確実に評価が減ります。木造なら22年、RCなら40年。これは法定耐用年数の話ですが、実際のところ、この年数を超えると建物価値を評価してくれない銀行も多いため、融資が引けなくなります。融資が引けなれば、買い手が限定されるため、価格もそれだけ安くなってしまうというわけです。

積算価格

簿価の2つ目の課題を反映した方法の1つが、「積算価格」でしょう。これは、土地の価格に、築年数を評価した建物価格を足したものになります。例えば、木造の建物で新築時に4400万円だったとします。しかし法定耐用年数は22年なので、築10年が経過すれば、2000万円の価値として考えるというものです。

 

これは、銀行が不動産を評価する場合にメインで使われる方法として知られています。土地であれば路線価と面積を掛けて、建物であれば建築単価に面積を掛けて合計するといった具合です。そこに築年数や土地の形状など、いくつかの要素で修正します。

 

評価額が低めに出ることもあり、保守的に資産を評価するならば、この方法は便利かもしれません。しかし、簿価で挙げた課題1の収益が考慮されていないという点は変わりません。

直接還元法

今度は収益に焦点を当てて計算するのが「直接還元法」です。これは1年間の純収益を、還元利回りで割って不動産価格を算出する方法です。純収益が500万円の不動産があったとして、還元利回りが8%なら、6250万円になるということです。

 

しかし、さて「還元利回り」とは何でしょうか? これは業界用語で「キャップレート」と呼ばれます。これは、ほぼ期待利回りと同じ意味合いで、ある不動産の価格を、そこから得られる実質の収益で割ったものを指します。例えば、1億円の物件から年間500万円の収益が得られるなら、キャップレートは5%となります。

 

不動産の期待利回りは、地域や築年、用途などによって異なりますが、賃貸住宅ならば5〜9%程度が目安といわれています。つまり、近い地域の類似の物件のキャップレートを調べることで、期待される利回りが推定できるわけです。

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※地図から不動産物件のキャップレートを確認できる「CaprateMap」(無料)

 

さて、近くの類似物件のキャップレートが5%だったらどうなるでしょうか。これが想定される期待利回りということになります。次に、自分の物件の純収益(NOI)を計算します。これは不動産収入から管理費や空室率、修繕費などを控除した残りのことです。そして、純収益をキャップレートで割ってあげれば、直接還元法の不動産価値のできあがりとなります。

DCF法

収益にフォーカスする手法は直接還元法に限りません。太陽光発電所の評価にも使っているDCFがそうです。これは、将来収益を試算して、割引率(ディスカウントレート)で割り引くことで現在価値に引き直して合計するという手法です。

 

実際のことろ、割引率とキャップレートが同じ値で、将来の収益見通しが一定ならば、直接還元法でもDCFでも評価額は同じになります。不動産の場合、株のように収益が上昇するようなものではなく、太陽光のように20年後に収益がゼロになってしまうものでもないので、ほかの要素が同じならば、どちらを使ってもいいのかもしれません。

 

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ただし、大規模な修繕を行ったり、家賃が少しずつ減少していくような想定を立てる場合、直接還元法よりもDCFのほうが精緻な評価が行えるでしょう。また、途中で売却を想定している場合は、最終年に売却益を盛り込んで計算することになります。これは直接還元法では対応が難しく、各年の純収益がバラバラでも計算できるDCF法ならではの評価になるでしょう。

キャップレートと割引率の違い

さて、直接還元法で使うキャップレートと、DCFで使う割引率ですが、意外に根本の意味合いの違いもありそうです。これは株式に見立てて考えると分かりやすいかもしれません。キャップレートを配当利回りと考えると、2%の配当利回りで年10万円万円もらえる株ならば、株価の適正値は500万円。こんな風に考えるのが直接還元法となるわけです。

 

もちろんここでは株価の上昇によるキャピタルゲインは考えません。不動産価値の評価において、土地の値上がり益を考えないのと同じです。そういう意味では、株の配当利回りではなく、国債の利率が2%だというのに近いかもしれません。

 

このように考えたとき、キャップレートは景気や金利の動向によってどう変化するでしょうか。景気が良く、株価が上昇しているときは配当利回りは低くなります。また金利が低ければ、同じく債券価格は上昇し、つまり債券利回りも低くなります。不動産のキャップレートも、このようにインカムゲインリターンを表すものなので、景気が良かったり、金利が低ければ下がることが想像できます。逆に不景気だったり金利が高くなれば、不動産価格も下がり、キャップレートは上がることになります。

 

一方で、割引率は、投資家がその投資に対して期待するリターンです。こちらは、景気のよいときには高いリターンを要求し、不景気のときは低くなってもそれを甘受せざるを得ません。つまり、この2つは実は異なるものを意味していて、状況によっては正反対になるということです。

 

これを違った視点で見てみましょう。キャップレートが意味するのは配当や家賃収入などのインカムゲインの利回りです。ところが、割引率の場合は、キャピタルゲインも含めた総合的な期待利回りを意味しています。景気の良し悪し、金利の状況によって、インカムゲインに求める利回りと、キャピタルゲインに求める利回りは逆転します。

 

債券で考えると、もっと分かりやすいかもしれません。金利が下落すれば、インカムゲインである債券利回りはどんどん低下します。一方で、債券価格は上昇することからキャピタルゲインは上昇します。

 

さらに別の観点で見ると、単純に不動産同士で価値を比較するならキャップレートでもいいのかもしれません。ところが、株式など別のアセットと比較する場合は、他方がキャピタルゲインに対する期待リターンも盛り込まれているわけですから、割引率を使って考えないと、フェアな比較にならないともいえます。

で、不動産評価はどうする?

 

というわけで、もろもろ考えた結果、ここは太陽光発電所などと同様に、DCF法で計算することにしました。さて、今回は借り入れを行っています。このとき、DCFではどうするでしょうか。

 

一般には、NOIからは金利負担を引かないで計算することが普通です。これは、物件そのものの価値を評価するためにDCFを使うからですね。借り入れ条件などは買い主によって異なるので、金利負担を入れてしまうと正しい物件評価にならないからです。

 

ただし、今回僕が見たいのは物件評価額ではありません。借り入れなども含めた、投資先としてのこの不動産の評価です。経営力込みの評価とでもいいましょうか。そのため、NOIではなく、今回は税引き前キャッシュフロー(CF)を使って計算します。

 

前提とした数値は下記の通りです。

  • 賃料は10年で5%低下
  • 売却時の価格は毎年1%低下
  • 割引率は、今回の投資で期待する利回りである6%

この条件で、将来CFを計算し、DCF法で割り引いて現在価値(NPV)を求めます。このとき、売却タイミングによって当然現在価値は変化します。試算したところ、10年目での売却を100とした場合、今回は78から110の幅に入ることが分かりました。そこまで大きなばらつきというほどではありませんね。

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そのため、今回は10年での売却を前提としてNPVを出し、それを投資対象としての物件価値評価額としたいと思います。いまのところ、初期投資額および初期費用合計に対して、10年目売却時で評価額は103%。意図したわけではありませんが、投下資本にほぼ近い評価額になっています。割引率6%なので、まぁまぁ悪くない数字かな?と思っています。

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なお、CFの算出には、下記名著に付属する「玉川式不動産収益試算Excelシート Rev.2020.08.10」を利用しました。

Excelでできる 不動産投資「収益計算」のすべて

Excelでできる 不動産投資「収益計算」のすべて

  • 作者:玉川 陽介
  • 発売日: 2017/03/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

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不動産投資の火災保険は結局、薄く広くにした

収益不動産の引き渡しが近づいてきました。物件を所有するにあたり、決めなくてはいけないのが火災保険です。前回は、一冊本を読んで「やっぱりよく分からなかった」感じだったのですが、今回方針を決めて決定しました。

東京海上日動の住まいの保険

今回選択したのは東京海上日動の「住まいの保険」です。残念ながら、いろいろな商品を比較検討したというわけではなく、時間がなかったこともあり、紹介いたただいた保険代理店が取り扱っていたのがこれだけ、という消極的な理由です。

 

ただし、居住者向けの火災保険のところでも書いたように、「偶然な破損事故等」へ対応できる保険になります。

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考慮しなくてはいけないパラメータは3つ

代理店とやりとりして分かったのは、火災保険を決めるに当たっては、大きく分けて3つの点を決めなくてはいけないということです。このそれぞれが、金額と補償に直接影響します。

 

1つが「評価額」。これは建物をいくらで評価するか?というもので、保険会社が決定します。もし火災などで全部燃えてしまっても、この評価額が保険金の上限になります。

 

2つ目は「保証内容」と「特約」。基本的に、火災、風災、水災は付いているのが普通ですし、地震保険も入れるのが基本です。しかし、盗難水濡れや破損などはオプションなので、決める必要があります。さらに賃貸住宅オーナー向けの特約もあります。

 

3つ目は「期間」です。契約期間として5年と10年があり、それぞれ金額が違うだけでなく、支払い方法や解約時の返戻金も異なります。

評価額は抑えた

まず1つ目の評価額です。これは東京海上日動の場合、「新築費単価法」という方法です。建物の延べ床面面積に対し、平米あたりの単価をかけて評価額を算出しています。そして、それに対して、プラスマイナス30%の範囲で、加入者が自由に設定できます。

 

100平米の建物なら、例えば単価が30万円/m2で3000万円。これに対して、3割変動なので、2100万〜3900万円の間で設定できるわけです。そして保険料は、ほぼこの評価額に比例します。正確にいうと、保険料は「建物」+「地震」+「特約」で構成されていて、このうち建物と地震は評価額にほぼ連動するということです。特約は、あまり評価額に影響を受けません

 

ちなみに僕の場合、場所的にも構造的にも建物と地震のリスクが高く、ここの変動が合計保険料に大きく影響します。地震のリスクが少ない地域や、火災になりにくいRCなどだとまた違うんでしょうね。

 

さて、こちらに関しては、最も評価額を抑えることにしました。土地の値段は地域によって大きく異なりますが、建物の工事費はそれほど違わないはず。そして、国土交通省の建築着工統計調査報告の「居住専用建築物」のデータを見ると、次のようになっています。

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ここから再建築時に必要になる費用がざっくり計算できます。これを計算してみると、「新築費単価法」で計算したもののミニマムにしても、まだ20%以上の余裕があるんですね。つまり、全壊してしまっても、再建築に必要な費用は保険でまかなえるだろうということです。

 

もちろんリスクもあります。例えば、ガレキを処分するには費用がかかります。また、地震保険の支払い金額は、この評価額の半分が上限です。つまり、地震で全壊に近い状態になったら、足りなくなるリスクが高いということです。このあたりは選択ですね。

 

ちなみにどのくらい保険料が変わるかというと、計算値+30%のフルフルマックスの場合に比べて、計算値ー30%のミニマムだと45%保険料が安くなります。だいたい2倍変わるということです。

 

想定する家賃収入に対して、フルフルマックスだとなんと2.7%も保険料で持って行かれることになります。これがミニマムだと1.47%まで下がる計算です。リスクは取っても、この違いはけっこう大きいですね。

特約はフルフル

2つ目の特約については、特に賃貸住宅オーナー向けの特約をフルで付けました。火災保険の活用法として、突発的な事故が起こったときの対応がありますが、これらは保険金額があまり高くない割に、頻度はそこそこあると聞いたからです。

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一応、選択肢としては、火災、風災、水災+地震保険がついた基本ミニマムセットと、それに「盗難、水濡れ」を追加したもの、さらに「突発破損」も加えたフルセットの3種類がありました。

 

特約部分についてはどれでも変わらず、基本的に建物と地震の部分に差が出ます。具体的には、+盗難水濡れで4%アップ、+突発破損でさらに4.1%アップでした。

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期間は10年一括

保険料の支払い方法も選択の余地があります。大きく分けて「月払」「年払」「一括払」があり、さらに期間は5年間と10年間の2つがあります。

 

まず期間については、5年よりも10年の方が20%ほど安くなる見積もりでした。さらに、火災保険、地震保険ともに今後の値上がりが想定されます。保険料は地域によって異なりますが、全体として値上がり傾向にあります。

 

2018年5月には平均で5.5%値上がりました。

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さらに2021年1月には平均で4.9%の値上げです。

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風水害などの自然災害被害が昨今増加していて、それが保険料に反映されているわけです。こうした値上がりが想定される場合、長期の保険を組むことで、現時点の保険料のまま保障を受けることができます。

 

さらに、2022年度にも契約期間が現行の10年から5年に短縮される見通しです。これは、保険料の見直しを素早く反映することが狙いです。こんな中ならば、長期で契約しておくにこしたことはありません。ただし、地震保険だけは5年が契約上限なので、5年たったら値上がり/値下がり分を再度決済する流れになります。

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ちなみに、10年の契約の場合、たとえ途中で解約しても、残年分は月割で返金されます。仮に5年で物件を売却することになれば、半額が戻ってくるわけです。

 

ただし、すべてにおいて長期のほうがいいというわけではありません。10年契約の場合、年払いなどが選択できず、初期一括払いしか選べないからです。つまり、期間の利益を失うことになります。ここは考え方次第ですね。

 

さらに、東京海上日動の場合、支払いにクレジットカードが利用できます。これはつまり、ポイント還元の対象になるということです。

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ぼくの場合、最初「3%還元のLINEクレカで払ってしまおうか?」と思ったのですが、よくよく考えると、LINEクレカは保険料は一回5万円までがポイント還元の上限でした。というわけで、しばらく眠っていた2%還元ほぼ制約なしのリクルートカードプラスの出番です。こちらで決済し、2%還元を受けつつ、10年分保険料を支払いました。

意外にコスト負担重い火災保険

不動産投資のコストとして、退去リスクと客付けコストはよくいわれます。また、家賃の5%程度の管理料が管理会社に必要になることも一般的ですね。

 

でも、保険料もけっこうなコストです。これはRCよりも木造のほうが高くなる模様。評価額マックスだと、実に賃料の2.7%もかかるわけです。今回評価額を抑えて1.5%としましたが、それでも小さくはありませんね。

 

少し調べただけですが、意外と奥の深いのが保険でした。

 

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2021年3月の太陽光発電所パフォーマンス 4基まとめ

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毎月恒例の太陽光発電所4基のパフォーマンス。3月の実績が出そろいました。そこそこ晴れた3月の状況はどうだったでしょうか?

 月間発電状況

3月の発電状況は次のグラフのようになりました。3万6500kWhを超え夏に向けて順調に発電量が増加中です。

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ちなみに、唯一エコメガネを取り付けている白子発電所では月次の発電量が確認できます。合計で9211kWh。こうして見ると、1日の最大発電量が440kWhあたりまで伸びている一方で、意外と雨の日も多かったことが分かります。

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よく晴れた日の時間帯別発電推移を見ると、朝5時から発電を開始し、17時まで稼働していることが分かります。ピークは50kWhと低圧の上限ですね。ちなみに白子発電所は87.42kWのパネルなので、そこまでの過積載でもありません。

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では発電量の予実はどうでしょうか。実はいつも下振れしている木更津が100%超え。逆に、そこそこ優等生の筑西が94%と不思議な結果となりました。ちなみに木更津は、昨年3月の発電量を約1割上回っています。

  • 木更津 103%
  • 筑西 94%
  • いすみ 100%
  • 白子 106%

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売電とCFの状況

続いて売電額からローン返済額を引いた、粗CFです。ここでは略してCFと呼びます。いい感じにすべての発電所のCFがプラスになりました。最も優秀だったのは、パネル出力が80kW台と一番小さい白子です。この半年間ずっと赤字だった木更津がプラスになったのもうれしいですね*1

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諸経費を除く前のCFですが、月間で約24万円が入ってくることになります。やっと副収入と呼べる額になってきた感じです。

 

ざっと諸経費を見ると、4基合計の月間で次のような感じでしょうか。パワコン電気代を早くなんとかしたいのと、やっぱり税金高い!という感じ。これに、法人の維持コストが追加になります。3割くらいはコストで持って行かれる感じですね。

発電所評価額

今回のデータを元にした、各発電所の時価評価額です。割引率6%で将来CFを割り引いて、現在価値を算出します。いわゆるDCFです。

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3月からは、いすみと白子が2ヶ月経過したので、これまでの予実結果を外挿して将来発電量を計算し、評価しています。その結果、DCF評価額は前月から15.8%のアップとなりました。

 

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 4つの発電所のDCF評価額の比率は次のようになっています。木更津が少々評価が低いのですが、まぁバランスがよいポートフォリオです。

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最新のデータを元にした各発電所のIRRは次の通り。木更津と筑西は計画値を下回っていますが、いすみと白子は計画を上回る予測値になっています。

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3月末に、5号基となる君津発電所がやっと連系しました。4月、または5月のパフォーマンスまとめでは、こちらの状況も記載できるかもしれません。

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現在は6号基となる石岡発電所の準備が着々と進んでいます。もう少しかな? 各太陽光発電所のスペックは次のとおりです。

FIT単価はいずれも18円。システムのスペックは次のようになっています。

  • 木更津発電所 JAソーラー(97.2kW)/オムロン
  • 筑西発電所  JAソーラー(97.2kW)/オムロン
  • いすみ発電所 JAソーラー(98.8kW)/オムロン
  • 白子発電所  JINKO(87.42kW)/オムロン

2月の太陽光発電パフォーマンスはこちら。

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*1:木更津は発電量もさることながら、返済期間が10年で、元金均等となっており、初期がかなり厳しい条件になっています。

収益不動産の金消契約を済ませてきた

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収益不動産の取得が間近に迫ってきました。前回面談に行った金融機関から、無事審査が通ったという連絡をもらったので、今度は金消契約を結んできました。

不動産の取得までの流れ

収益不動産を取得するまでの流れを簡単にまとめておきます。

  1. 物件を決定する
  2. 物件の売買契約を結ぶ(融資特約付き)
  3. 金融機関の融資審査を完了させる
  4. 金融機関と金消契約を結ぶ
  5. 代金を振り込んで物件の引き渡しを受ける

物件を決めて売買契約を結ぶところまではすでに完了しています。この契約には通常「融資特約」というものが付いていて、例えば「金利1.5%、期間20年、○○銀行」といったその時点で見込める融資が実行できなかった場合、白紙撤回できるというものです。

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その後、金融機関の審査があります。ぼくの場合、不動産屋からの紹介で2つの金融機関に同条件で審査を依頼しました。担当レベルではOKだったのですが、そのあとの本部審査で希望条件が通らず、敢えなく撤退。別の金融機関を探すことになりました。

 

当初は3月末に引き渡しができる予定でスケジュールを組んでいたのですが、金融機関を探すところからやり直しになったので、期日も1ヶ月ほど遅れることに。

 

その後、当初の条件とは違ったのですが、2.5%30年という条件で金融機関が見つかりました。頭金は価格の20%です。その担当者に面談に行って、ヒアリングと必要な書類を渡してきたのが3月末です。 

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1週間ほどで本部審査が完了する予定でしたが、審査部でコロナが発生したとかでさらに一週間ほど遅れ、やっと審査が通ったという連絡をもらいました。次に行うのが、金消契約です。

金消契約

金消契約とは、金銭消費貸借契約の略で、借りたお金を消費してモノを買いますよ、という契約です。借入金額や利率、返済回数などが記載された契約書に署名捺印するものになります。

 

併せて、購入した物件に対する抵当権を設定するので、その契約も同時に結びます。抵当権設定は司法書士が行うので、金消契約では司法書士も同席。同時に、登記も依頼し、委任状を渡すという流れです。

 

わざわざ対面でやる必要があるのか? とも思うのですが、司法書士は登記手続きにあたり対面で本人確認を求めたりするので、まぁ仕方ありません。時間は1時間ほど。何に時間がかかったかというと、山のような契約書と書類に記入して捺印する時間です。

 

会社設立時に、下記のような住所と代表者名が入ったゴム印を作っておくと楽なのですが、別に頻繁に請求書とかあるわけでもなし……と思って作っていなかったため、ひたすら写経する1時間になりました。

預金口座 

融資を受ける場合、その金融機関に口座を作るのが普通です。そして、決済日に、その口座から売主に代金を振り込みます。そのため、同時に普通預金口座も作成です。

 

法人設立時に銀行口座を作ろうとしたときには、各所で審査で跳ねられて作れないという思いをしましたが、さすがに今回は融資してくれるだけあって、即座に口座を開けました。太陽光から始めず、銀行融資から始めれば、法人口座を作るのも簡単だったかな? なんてちょっと思ったり。

 

昨今はよほどの金融機関でもネットバンキング対応です。この金融機関では法人のネットバンキングでも月額料金などはかかりません。ただし、初回にトークン代として3300円を請求されました。

 

法人口座では通常キャッシュカードを発行されないので、口座のお金を何かに使おうと思ったら必ず振り込みをすることになります。そして、ネットバンキングが開けていないと、都度都度出金伝票と振込伝票を記入することになるわけです。これがまた写経でたいへんなこと、たいへんなこと。

 

メガバンクではないので、もらった通帳はどうやって記帳するんだろう? と思ったのですが、金融機関ごとにネットワーク化されていて、同系統の金融機関ならば相互にATMで記帳できるようです。ネットバンキングで残高は確認できるにしても、証跡となることを考えると通帳記帳は必須。自宅の近くにもATMがあるようで助かりました。

あとは決済、引き渡し

残るは決済と引き渡しです。これは売主と買主、そして登記変更を行う司法書士が集まって、司法書士が、確かにその不動産の所有者であるか本人確認を行い、その上で金額を振り込みます。着金を確認したら、決済完了。引き渡しとなり、司法書士が登記変更実務を行うということになります。

 

振り込みを行う関係上、融資を行う銀行に集まることが多いようですね。買い主は特に同席は不要で、今回も「事前に書類を書いてもらえれば、不在でも大丈夫ですよ」と言われたのですが、初めてのことでもあるので、出席してみることにしました。

 

決済の3営業日前までには金消契約を済ませてほしいということで、そこまでは完了。来週には、決済/引き渡しを行う予定です。ワクワクしますね。

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5号基 君津太陽光発電所が連系

3月27日に、5号基となる君津の太陽光発電所が連系しました。実はこの発電所は、2018年の9月に見つけ、最初に契約をしたものです。連系まで実に2年半。いやはや、なんとも時間がかかった案件でした。

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連系までの流れ

この物件は、高層道路を降りて数分のところにあり、実は自宅から最も近い場所に位置しています。最大の難点だったのは、電柱が100メートルほど離れたところにあることです。太陽光発電所では、東京電力の電気系統と接続する必要があるため、電柱が近くにないと、工事を行って電気を引っ張ってくる必要があります。そして、この工事費用はこちらの負担なんですね。

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ただ、コストがかかるだけならばまだOK。東電が現地を確認し見積もりし、料金を請求してくるという流れなのですが、ここにとにかく時間がかかりました。18年9月に申し込んだのに、東電から工事負担金の案内が来たのは20年の10月1日です。これはあまりに待たせすぎでしょう!

 

しかも出てきた費用は、211万1170円。かなり距離があるので100〜200万はかかるかな?と思っていましたが、想定上限を超えてきました。

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ちなみに、これまでの4基の電力負担金は次の通りです。今回の211万円がいかに破格か、わかります。

  1. 木更津 60万7403円
  2. 筑西  72万6859円
  3. いすみ 66万6255円
  4. 白子  60万7403円

土地の決済を済ませたのは3月3日。山間の土地ということもあり、お値段は153万8000円とかなりお安くなっています。403.5坪なので、坪単価は0.4万円です。今回は間に不動産屋も入っておらず、というか入ってはいるのですが、20年間の草刈りメンテナンスを依頼するのが条件になっていて、代わりに仲介手数料などは必要ありません。

 

今回はコロナ禍ということもあり、現地に出向くことなく、銀行振込で登記を司法書士に済ませてもらいました。前回、木更津のときと同じ司法書士で、費用も4万2473円とリーゾナブル。スムーズに済みました。

発電所スペック

申し込みから時間がかなりかかったこともあり、パネルも変更してもらいました。

  • パネル JINKO JKM470M-7R3-J(470W) 212枚
  • パワコン オムロン KPV-A55-J4 5.5kW 9台

出力は99.64kW。最新の単結晶パネルを使い、出力はこれまでの発電所トップです。

  • 木更津 97.2kW(JAソーラー)
  • 筑西  97.2kW(JAソーラー)
  • いすみ 98.8kW(JAソーラー)
  • 白子  87.4kW(JINKO)

特に、同じJINKOのパネルを使った白子発電所は、ほかより10kWくらい出力が小さいのに、発電量はトップ。もちろん日当たりの違いもあるのですが、パネルという点では今回の君津も期待です。

 

表面利回りは11.6%。ただし、電力工事負担金などその他もろもろを入れると、シミュレーション上は9.12%まで落ちてしまいます。これをベースにした計算では、IRRは6.3%。スペック上はまぁまぁの感じです。

 

ただし、やっぱり日当たりが気になるところ。同じように周囲を山に囲まれた木更津が、想定値を10%近く下回る成績しか出せておらず、今回もその懸念が濃厚です。まぁそれでもIRRは少なくとも2%以上は出るので、しかたないとしましょう。

法人Aの発電所がすべて稼働

この5号基君津発電所をもって、法人Aの発電所はすべて稼働したことになります。1、3、4、5号基が所属です。この連系を急いだのは、3月末に法人Aの決算が締まること。2020年度の決算にすべてを稼働させたかったのです。

 

なぜかというと、消費税還付後の免税事業者化を睨んでです。太陽光発電所の場合、消費税の課税事業者を選択することで、消費税還付を受けることができます。システムという高い設備に消費税がかかっていますが、売り上げは大したことがないため、1基あたり100万円規模の還付がなされます。

 

まぁ払った税が戻ってくるだけといえばそうなのですが、ローンは消費税込みで組んでいることがポイントです。場合によっては実質オーバーローン状態になるのが、太陽光の消費税還付の特徴でしょう。

 

そして消費税還付を受けたら、一刻も早く免税事業者に戻る必要があります。売り上げに対して10%の消費税をいただいていますが、免税事業者であれば消費税を収める必要がないからです。また、消費税の簡易課税を選択することもでき、太陽光の場合は売り上げの70%をみなし仕入率として費用に計上できます。免税事業者になるには年間売り上げが1000万円以下である必要があるため、発電所も4基に抑えたというわけです。

 

ただし、この手法が横行したせいか、法改正がなされ、現在は「1000万円以上の設備投資を行ってから3年は免税事業者になれない」となっています。つまり、もし4月に引き渡しが伸びると、1年分、免税事業者になるのが遅れてしまうことになるわけです。これは痛い。

 

というわけで、急いで3月にすべて引き渡し、連系を進めたのですが、なんとかうまくいきました。あとは法人Bで予定している発電所の進捗を待つばかりです。

 

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不動産の融資面談に行ってきた

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売買契約は済ませたものの、一棟アパートの融資はまだ審査が完了していません。今回は、融資の面談に金融機関に行ってきました。プロパーローンは時間がかかるものです。

 用意した書類

金融機関が融資の審査を行う際には、さまざまな書類を元に行います。前回、公庫に借りにいったときは個人の書類だけだったので、比較的シンプルでしたが、今回はぼくが所有する法人もあります。以前は、法人での借り入れを明かさずに融資を受けるなんて荒業もあったようですが、最近はしっかりそのあたりも確認してきます。

 

そのため、下記のように大量の書類を用意しました。

  • 個人の源泉徴収票 3年分
  • 個人の確定申告書 3年分
  • 法人の決算書 2期x2社
  • 法人の登記簿謄本

さらに、法人の事業実態を確認するために、下記の書類も用意です。

  • 太陽光のローン返済表(4基分)
  • 売電実績(4基分)
  • 事業計画書(20年分)
  • 太陽光事業概要書

そして、「太陽光のことはよくわからん」ということでしたので、太陽光事業の特徴と事業構造、そして将来の見通しとリスクについてまとめた事業概要書をA4で3ページ分ほどしたためました。

面談でどんなやり取りがあったのか

面談では、個人の勤務状況や今後の見通しなど、まぁ普通に考えて気になることを聞かれました。さらに、株式などの金融資産の運用方針についても、簡単な説明を。根掘り葉掘り聞かれたというよりも、想定内の質問にとどまった感じです。太陽光についても、もう少し突っ込まれるかと思いきや、事前に事業概要書をお送りしたおかげか、さらっという感じでした。

 

そして、実際の融資条件やスケジュールについて説明がありました。金利、期間、営業区域、融資方針など。今回伺ったところは、金利は2.5%と高めですが、期間が30年と長く、耐用年数オーバーの融資をしてくれます。

 

DCFを中心に判断を行うが、期間に関しては土地の評価額などの積算を加味して、耐用年数残にこだわらない期間を提案するのだということでした。昨今、銀行によっては横に倣えで融資が厳しくなってきている状況ですが、こちらはスルガ事件後もコロナもあまり影響なく、従来どおり、独自の融資方針を続けているということです。

 

ローン返済のタイミングはいつがいいですか? というような、突っ込んだ話も出てきました。

融資先で問題が!

ほぼぼ最終確認に近い感じだな、と安堵した矢先。問題発生です。

「融資先は個人ということでよかったですよね?」

「いえ、法人Aで運営する予定でおりますが」

「あれ、そうなんですか?」

「……」

どうやら、銀行を紹介してくれた不動産屋からその情報がうまく伝わっていなかったようです。あららら。個人への融資を想定していたそうで、個人または新設法人にできないか?と言われました。

 

問題は、法人Aの決算書の見栄えが悪いことにあります。法人Aは2期が終わり3期目がまもなく締まるところなのですが、太陽光発電所が稼働したのは2020年3月から。つまり決算書には1カ月分の売電売り上げしか載っておらず、先行したコストだけがたっぷりはいっている状況です。

 

つまり、赤字状態なだけでなく、債務超過状態。資本金が300万円しかなく、必要な資金を役員からの借り入れで賄っているので、まぁそれはそうです。これは困った。

 

担当者レベルでは、いずれにせよ法人の借り入れは代表であるぼくが連帯保証しており、法人と個人の一体でみれば同じだということを理解してくれているのですが、本部の審査に上げるときに、赤字の債務超過企業への貸し出しは渋られるということでした。

個人で融資の問題

個人で融資を受けて購入するという選択肢もないわけではありません。難点は3つほどあります。1つは、税率的に法人のほうが有利だということ。高年収ならば次々と不動産を買っていき、初期コストの分だけ課税収入を下げるという手もありますが、均してみれば、これは単に課税の先送りです。2年目以降の利益に対する課税は逆に大きくなってしまいます。

 

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減価償却が完了したあと、実質的な税払いが始まる感じですが、やはり20%ほど個人のほうが支払い税額が大きくなります。なお、20年後、ぼくの年収がどうであるか、や法人の売り上げ規模、もちろん物件の規模なども関係するわけですが、全般にみて、やはり法人の方が税金は安くなる感じです。

 

2つ目は、売却時の税率です。個人の場合、所有期間5年以内で売却すると、39.63%(所得税30.63%、住民税9%)という高額な税金が、譲渡益にかかります。譲渡益というのは、簿価に対する売却額の差にかかるものなので、よほど売却額が低くない限り、確実に払うことになります。

 

一方で法人であれば、期間に関係なく通常の法人税で済みます。やはりこちらも法人のほうがお得ですね。

 

3つ目は保証人です。個人で融資を受ける場合、別途連帯保証人が必要になります。家族に連帯保証人になってもらうわけですが、責任を負わせることになるのでちょっと躊躇します。一方で法人で借り入れる場合、代表であるぼく自身が連帯保証人となります。実質的に連帯保証人はいないも同然。このほうがスムーズなわけです。

法人Bでトライ

ではどうするか。そこで相談し、もう一つの法人Bで審査してもらうことにトライです。すでに3基の太陽光発電所が稼働している法人Aと違い、法人Bのほうは1基目が昨年11月に稼働したばかり。

 

決算は9月なので、決算書はまだ売り上げゼロの状態でまっさらな、ほぼ新設法人の形です。こちらならば、審査が通るかもしれないということで、こちらでGOです。

 

なるほど、複数法人ある場合、1社はピカピカの決算書にしておくというのは、やはりプラクティカルには一つのテクニックのようです。

 

はてさてどうなるか。不動産投資は、物件選びもさることながら、やっぱり融資が難関。融資がいけるかどうかがすごく重要で、かつスピードについても時間がかかるものなのですね。

 

一応、担当者からは「このあとも、ぜひ同様の規模の物件を買い足していきましょう」と力強い言葉をいただきました。審査結果が楽しみです。

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収益不動産の火災保険の選び方

不動産投資を始めるときに、「はて、どうしよう?」と思うものの1つが火災保険です。確定、継続的にかかるコストで、しかもコントロールが効きます。こちらの選び方について、ちょうどぴったりの本がありましたので、その内容から考えてみます。

不動産投資と火災保険 改訂増補版

不動産投資と火災保険 改訂増補版

  • 作者:藪井 馨博
  • 発売日: 2020/03/07
  • メディア: 単行本
 

居住者と大家の両方が入る火災保険 

以前からちょっと理解が追いついていなかったのですが、収益不動産の場合、入居者にも火災保険の加入を必須にしますよね。にもかかわらず大家側も火災保険に入るのはなぜでしょう? 実はこれは補償対象が異なるからでした*1

  • 居住者が入る:個人賠償、借家人賠償
  • 大家が入る:建物賠償、施設賠償

居住者が入る保険では、次のような事故を補償します。まず個人賠償はこんな場合になります。

  • 洗濯機のホースが外れて下の部屋に漏水し、階下の住人の衣服類を汚してしまい、弁償をもとめられた
  • 散歩中リードが外れ、ペットが通行人を噛んで治療費を請求された
  • 敷地内外で自転車を走行中、通行人にぶつかってしまい、ケガをさせてしまった

続いて借家人賠償はこういう事故です。

  • 料理中に鍋を焦がしてしまい、部屋の壁紙などをすすで汚してしまった(借家人賠償)
  • 家具を移動中、誤って落としてしまいフローリングに傷をつけてしまった(借家人賠償)
  • 浴室で誤って転倒し、その際に扉ガラスを破損させてしまった(借家人賠償)

 ちょうど下記の記事で書いた、部屋を借りるときの火災(家財)保険の見直しのときのイメージどおりですね。居住者は退去のときに現状回復の責任がありますが、それをフォローするのがこちらの保険です。

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 では、大家側が入る建物賠償、施設賠償とはどんなものでしょう。

  • 建物の外壁タイルが剥がれ落ちて通行人にケガをさせてしまった
  • 給排水設備が水漏れを起こして入居者の家財を壊してしまった
  • 配電盤のトラブルによって火事が起こり入居者を死傷させてしまった
  • 共有部分階段の手すりが錆びていて、階段を登っている間に崩落し、入居者にケガをさせてしまった
  • エレベーターに人が挟まってケガをさせてしまった

このように目的が違うので、両方で火災保険に入ることが必要になるそうです。誰に責任があるかによって保険が変わるともいえます。建物に損害があったとき、入居者が入る火災保険で対応できるのは入居者に責任があるときだけ。隣家からの延焼や不審火、自然災害などで損害を受けた場合は、大家側の保険でしか対応できないということです。

 火災保険の選び方

火災保険は、複数の補償に分かれています。SBI損保の次の図がわかりやすかったです。このうち、火災(火災、落雷、破裂、爆発)と風災はどの保険にも含まれているとして、水災以降はセットになっている場合とオプションの場合があるようですね。

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ここで保険に対する考え方が分かれるのですが、火災保険は使用しても保険料が上がることはありません。あまりにたくさん保険を使った場合、それが自然災害ならば問題ありませんが、大家側の対策不足に起因するとみなされると、次回、加入を断られる場合はあるそうですが。

火災は補償額に注意

さてまずはメインの火災です。本書の著者は、「建物評価額を超えて支払われることはないので注意」と書きます。火災保険は、その建物に生じた被害を回復するためのものなので、焼け太りは起きないようになっているということです。例えば、

  • 融資額が7000万、評価額5000万だと、7000万の保険に入っても上限は5000万
  • 融資額2000万、評価額5000万だと、2000万の保険では2000万しか出ない

そのため、融資額を基準にするのではなく、加入する保険会社の設定する評価額基準をもとにしなくてはいけません。

 

また、評価額には2種類あって、次のようになっています。

  • 新価(再調達価額) 同等のものを再築・再購入するのに必要な金額
  • 時価 経過年数による価値の減少と使用による損耗分を差し引いた金額

 以前は時価が多かったが、現在は新価(再調達価額)がほとんど。ただし、15〜20年前に契約したものには注意だそうです。

保険金額は次の項目で変わる

さて保険金額の算定方法はどうなっているのでしょう。基本的には、県別・構造・用途の3つで変わるそうです。

 

都道府県によって、自然災害が発生する頻度、過去の被災状況、住宅密度による延焼リスクなどが異なるからです。北海道や日本海側では雪害のリスクが高く、九州や四国では台風・水災被害のリスクが高まります。それに応じて保険料も変わるということです。

 

構造は燃えにくさです。最も安いのがRC/SRCの鉄筋コンクリート造(M構造)。続いて鉄骨、2x4工法、プレハブ、準耐火建造物などのT構造、そして一番高くなるのが在来木造建物のH構造です。著者の試算だと、一律同じ5000万円の保険金額(建物価格)だとすると、次の違いがあったそうです。

  • H構造(木造) 年間14万円
  • T構造(鉄骨) 年間7万円
  • M構造(RC) 年間5万円

さらに、用途でも変わります。住宅物件と店舗が入った一般物件では異なり、一般のほうが高くなります。

1Fがコンビニなどの店舗で、2Fから上階は共同住宅の場合、さらに1.5〜2倍ほど保険料はアップします。

 地震保険はどこで入っても同じ

つづいてオプション(付帯)について。地震の際に補償が受けられる地震保険は官民一体の保険であり、地震保険によって損保会社は利益を得ていないのだそうです。

(法律では)契約上の必要経費を除いた額と、その運用益のすべてを責任準備金として積み立て続けることを政府および保険会社に義務付けています。

各保険会社が契約者から預かった保険料は、保険会社の利益なしに積み立てられ、更に保険料の一部は再保険として政府に支払われることになります。

そのため、どの保険会社で地震保険に加入しても保険料は同額なのだそうです。また、火災保険は、全損した場合、評価額の全額が支払われますが、地震保険では最大でもその半分までしかかけることができません。つまり、全壊しても半分までしか支払われないということです。

 

また、火災や津波などの被害であっても、それが地震に起因するものであれば、通常の火災保険は対象外。地震保険に入っていないといけません。

 

通常保険というのは大数の法則のもとに、大量の契約があれば、支払いが必要な保険金は確率的に一定になるという計算のもとに成り立っています。ところが地震保険は、いったん起こると契約者のかなりの数で保険金支払が必要になります。システミック・リスクの1つですね。時間的に分散された保険ともいえるかもしれません。

 

では地震保険以外のオプション(付帯)はどう見るといいのでしょうか。

1位 不測かつ突発的な事故

 著者は、著者は保険代理人なのですが、実際に収益不動産の保険で利用が多かったものを挙げています。そして「使う確率が高い補償にこそ保険料を使うべき」だと主張しています。

 

その第1位は「不測かつ突発的な事故」。これは他の補償に該当しない中で、予測できなかった事故や突発的に起こった事故を補償するものになります。 

  • 知らない間に物件の外壁や敷地内のポールをクルマでブツけられていた
  • スプレーで物件に落書きをされてしまった
  • 集合ポストがイタズラされて破壊された

 こちらは保険会社によっては付帯できないので、要確認だそうです。入居者向けの火災保険でも、この付帯は便利だということで記事にしました。

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2位 風災事故

2位は「風災事故」。特に、台風の通り道にあると避けられない、といいます。

  • 屋根の一部や雨樋、集合テレビアンテナが吹き飛ばされた

3位 落雷事故

ここ数年で大幅に順位を上げてきた補償だそうです。

  • インターネット回線が焼き付いてインターネットができなくなった
  • オートロック基盤が壊れて全戸施錠ができなくなった
  • 機械式駐車場の圧力ポンプが作動しなくなった
  • エレベーター基盤がおかしくなって使用できなくなった

4位 水漏れ事故・水濡れ事故

築15年をすぎるとこれがダントツになるそうです。

 

支払い期間をどうするか

火災保険の選択肢で、考えられるのは期間ですね。平成27年の火災保険料改定により、最長10年までしか火災保険はかけられなくなりました(地震保険は最長5年まで)。

 

著者がお勧めする期間は5年だそうです。これは5年経過すると、個人の場合譲渡税が半額になるので、少なくとも5年間は保有するからという理由のようです。逆に法人の場合は5年は関係ありませんね。 

以前は、長期のほうが割安でしたが、現在は10年一括が普通なので、以前ほどの割安感はない。オススメは5年一括

途中解約だと、契約期間に応じて解約返戻金。ただし、未経過料率という係数は保険会社によって異なる。

 支払い方法には月払いも選べる場合がありますが、「非常に割高」だといいます。

3棟分で1棟分の保険料が捻出できるほど一括払いのほうがお得

 トラブル

最後にトラブル対応を。まず何か事故が起こった場合、保険会社とスムーズに交渉するには、迅速な対応が必要だということです。時間が経つと経年劣化が原因のものと区別がつかなくなり、調査に時間がかかるから。全体像が分かるように写真を撮ってすぐに送るべきということでした。

 

またしっかりメンテナンスをしている物件のほうが、保険金請求がやりやすくなるという話も。 

 火災保険という角度から見ても、「経年劣化」や「起こるべくして起こった故障・破損」は支払対象外です。しかし、こまめなメンテ記録があれば保険会社に「交渉」する余地ができるのです。 

 

 また入居者が加入する火災保険にも注意ですね。普通は火災保険の加入必須としていますが、入居者によってはいつの間にか無保険状態で住んでいる場合があるからです。

入居時は加入証書や証券コピーを提出しないと鍵の引き渡しを行なわないので、最初の2年間は問題ありません。しかし、2年後の満期時に更新されていないケースが多く、トラブルが多発しています。

 

最後にちょっと興味深かったのが、家賃と保険適用の相関の話です。  

家賃と常識外の賠償事故は反比例する。これは、家賃が低い物件ほど入居者とのトラブルに発展する賠償事故発生確率が高くなるというものです。

さらに、賃貸の世界にも当たり屋というのがいるのだそうです。その手口は、家賃が安い物件を探し、次に自主管理かどうか?を調べます。そして入居して3カ月から半年後に、次のようなことを言ってくるのだとか。

  • 突然、床が抜けて転倒した。病院に行くので治療費と交通費を出してくれ
  • 雨漏りで大事な家財道具が濡れて使えなくなった。全部新品に買い直してくれ
  • 階段の手摺がいきなり崩れて、階段から転げ落ちて骨折した。仕事を休むので休業補償してくれ
  • 外壁の一部が剥がれ落ちてきて、車に傷がついた。全塗装か書い直してくれ

 結局どうするか

では結局火災保険はどうするのがいいでしょうか。正直良くわからないというのが本音です。本書は、著者が保険代理人であり、多くの賃貸住宅オーナーに保険を売っている立場だということもあり、「保険は入っておいたほうがお得だよ」という観点で書かれています。いわばポジショントークです。

 

確かに収益不動産はローンを組んで購入するので、何か起きてからでは取り返しがつきません。

 

ぼくが取得を予定している物件では、東京海上日動の保険の見積もりをしてみましたが、火災、風災、水災の基本プランに対して、盗難と水濡れを追加すると支払い保険額が4%アップ、すべてのオプションをつけたフルのプランだと8%アップとなっていました。

 

金額は、1年あたり物件購入価格の0.17〜0.19%。満室年間賃料の2.5〜2.7%にのぼります。管理費が5%くらいなことを考えると、バカにできない費用ですね。ざっと見たところ、建物評価額が実態より高くなっていようにも見えるので、少し相談したり、相見積もりを取ってみたいと思います。

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*1:補償と保障と保証。いったいどうやって使い分けるのかと思っていたら、被った損害を補填する場合が「補償」。つまり損害保険など損保会社がこの補償という言葉を使うのだそうです。「保障」は、不安がないように責任をもって請け負う、保護するという意味だそうで、生命保険会社の場合これを使います。そして「保証」は、間違いなく大丈夫だと請け負うという意味で証明の意味から保証となります。家電の保証書が代表例です。

2021年2月の太陽光発電所パフォーマンス 4基まとめ

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太陽光発電所4基が2月はフル稼働しました。晴天も多く、よく発電してくれた2月のパフォーマンスをまとめておきます。

月間発電状況

2月の発電状況を加えた推移です。単位はkWh。4つの発電所がすべてフル稼働し、合計の発電量は3万5000kWhを超えました。一般的な4人世帯で月間使用電力は400kWhとも言われています。ぼくの発電所だけで87世帯分の電気をまかなったと思うと、感慨深いですね。

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ではこの発電量は、当初の計画に比べてどうだったか。ありがたいことに、4つの発電所すべてで計画を上振れしました。木更津が計画を超えるのは半年ぶり。うれしいものです。

  • 木更津 104%
  • 筑西 103%
  • いすみ 111%
  • 白子 113%

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逆にいうと、これは天気が良い月だったということでもあります。

売電とCFの状況

ぼくの発電所はすべてFIT18円案件なので、kWhあたり18円が売り上げになります。ここからローン返済額を引いたキャシュフロー(CF)をまとめたのが下記です。木更津は相変わらずCFが赤字なのですが、ほかの発電所は6〜8万円ほど稼いでくれました。合計月間CFは21万円超です。

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もちろんここから草刈りのランニング費用、パワコンの電気代、税理士顧問料や税金、販管費などがコストとしてかかりますので、大儲けというわけではないのですが、安定したCFが出てくるのはいいことです。

木更津発電所祝1年

念の為ですが、木更津のCFが悪いのは、他が15年返済なのに対して木更津だけ10年返済のため。とはいえ、発電量も少ないのが困ったものなのですが。そんな木更津ですが1号基として連系から1年が経ちました。改めて、年間パフォーマンスも見ておきます。

 

もちろん天候によって、実績は計画を上回ったり下回ったりするわけですが、12ヶ月のうち計画に達したのが3カ月間だけというのはちょっといただけません。年間均すと、計画発電量に対し、実績発電量は90%でした。売り上げ計画が10%も下振れたら、普通の事業では大赤字ですが、太陽光ではかろうじてCF損益トントンという感じです。

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発電所評価額

このデータを元に各発電所の評価額を計算してみます。将来CFを割り引いて足し合わせるDCFを使います。割引率は6%。

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1月分のDCF評価額に比べて、4.9%のアップとなりました。要因は2つあって、ひとつは稼働直後の発電所が2月はたまたま上振れしたために、将来CFも敷衍して増加見込みの計算になったことです。もう一つはDCF法の特徴でもありますが、木更津発電所が1年経過して、将来CFがそれぞれ1年前倒しになった点です。木更津発電所は評価額が、実に24%もアップしました。

 

割引率6%なのに、1年経っただけでなぜ24%もアップするのか? 木更津発電所は11年目以降のCFが大きく、その割引が減少したことが大きいですね。さらに2月の上振れで多少将来発電見込み額が増加したことも影響しています。

 

IRRの予実は、結果次のようになりました。木更津はまさかの0.56%で、かなり厳しい利回りです。もっとも、発電システムの消費税還付もありますし、免税事業者に戻った暁には益税も期待できると踏んでいるので、もう少しリターンは増加するはずです。白子はトップクラスの8.2%ですが、まだ発電実績が1カ月しかなく、この月が好調だったので、今後はどこかの数値に落ち着いていくでしょう。

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各発電所のDCF評価額比率は、次のようになります。それぞれ低圧(49.5kW)の発電所で、パネル出力も87〜98kWとあまり差がないのに、評価額では3倍以上の違いになっているのが面白いところですね。

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なお、3月にはあと2基、君津と石岡が竣工予定です。連携タイミングはまだ分かりませんが、まだまだ太陽光発電所は増加します。

 

各太陽光発電所のスペックは次のとおりです。

  • 1号基 木更津発電所 2020年3月連系
  • 2号基 筑西発電所 2020年10月連系
  • 3号基 いすみ発電所 2020年12月連系
  • 4号基 白子発電所 2021年1月連系
  • 5号基 石岡発電所 2021年3月連系予定
  • 6号基 君津発電所 2021年4月連系見込み
  • 7号基 栃木県   2021年5月連系見込み

FIT単価はいずれも18円。システムのスペックは次のようになっています。

  • 木更津発電所 JAソーラー(97.2kW)/オムロン
  • 筑西発電所  JAソーラー(97.2kW)/オムロン
  • いすみ発電所 JAソーラー(98.8kW)/オムロン
  • 白子発電所  JINKO(87.42kW)/オムロン

1月の太陽光発電パフォーマンスはこちら。

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太陽光グランドカバー植物を選ぶ クローバー?ダイカンドラ?

 太陽光発電所は不動産などと違い、ほとんどメンテナンスがいらないのが特徴です。故障などのトラブル以外では、放っておくだけで20年間安定して売り上げてくれます。ただし、一つだけ必要なメンテナンスがあります。雑草対策です。

 

屋根に設置するソーラーパネルと違い、地面に設置する野立発電所では、生えてきた草がパネルを覆うと発電量に悪影響。さらにホットスポットなどになると、パネルの損傷にもつながります。対策としては、次のようなものがありますが、さて。

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発電所の雑草対策

発電所の雑草対策には次のようなものが言われています。

  • 草刈り   100円/m2
  • 除草剤   100円/m2
  • 防草シート 800円/m2
  • 砕石    400円/m2
  • コンクリート 1万円/m2
  • グランドカバー 500円〜/m2

スポットの料金はこんな感じのようですが、実は頻度が異なります。草刈りは年3〜4回程度は必要。除草剤も定期的に撒く必要がありますね。防草シートは3〜10年程度持つようですが、初期費用が高くなります。砕石は効果が低いわりに、失敗(草が生えてきた)場合に、その後の対策が取りにくくなります。コンクリートは万全な対策ですが、コストの高さが大きなネックです。

 

対策頻度を含めてトータルコストをざっくり計算してみると次のようになります。低圧で土地はよくある1500m2想定です。10年間の合計コストを考えてみます。

  • 草刈り 年10万 x 10年 → 100万円
  • 除草剤 6万 × 3回 x 10年 → 180万円
  • 防草シート 120万円(1回)
  • 砕石   60万円(1回)
  • コンクリート 1500万円(!)
  • グランドカバー 75万円〜?

いやはや、いろいろとコストがかかりますね。

現在の雑草対策

ぼくの発電所の現在の雑草対策は次のようになっています。

こちらの自主管理物件は、草刈り機を使った手動刈り込みをしていましたが、今後もことも考えて、グランドカバー植物を導入する目論見です。

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ちなみに、草刈り機は1台4万円くらいしますが、一つ買っておけば複数の発電所で使えます。また、現地に行って作業するので時間と手間はかかりますが、身体を動かす作業なので、意外と楽しいんですよね。個人的には、現地視察を兼ねて年3回くらい草刈りにいくのは苦にならない。そんな感じです。

 

投資と考えると、自分は何もせず、外注をうまく使って回していくのが正攻法なんでしょうけど、自分が動いて対応すれば、コストが節約できるだけでなく、「事業をやってる」感もあって、けっこう好きなのです。

 

そういう意味では、草刈りのほかに、手間とノウハウがかかると言われているグランドカバー植物が面白そうですね。 

グランドカバー植物のメリット 

グランドカバーとは地面を特定の植物で覆ってしまい、背の高くなる邪魔な植物が伸びるのを防止する植物のことです。 

雑草管理の手法の中で、「被覆植物が最も経済性に優れる」というのは世界の常識になっています。その理由の1つは、効果の永年性にあります。一度、植え付けて根付けば、20年はもとより、ほぼ永久に防草効果が期待できます。

「カバープランツは除草対策で最も経済的」。緑地雑草科学研究所・理事に聞く(第5回・前半)(4ページ目) | 日経クロステック(xTECH)

 さらに、地表温度の低下も期待できます。ソーラーパネルは温度が上昇すると効率が落ちます。夏は日照時間も長いのですが気温も上がるため、その分発電量が下がってしまうんですね。

太陽電池には、パネル温度が上昇すると電圧が低下し、発電効率が落ちるという特徴があります。太陽電池が結晶系の場合は概ね-0.4%/℃、アモルファス系の場合は-0.2%/℃と言われ、10℃の温度上昇で概ね2~4%、発電量が目減りします。

太陽電池パネルの温度と発電電力|モニタリング基礎講座

コンクリートなどだと照り返しもあって、さらに温度が上がってしまいますが、緑の植物で覆えば、気温が高いときには水蒸気を放出して温度を下げてくれるので、温度の低下も期待できるというわけです。

 

ではどんな植物が候補になるのでしょうか。

クローバー/ホワイトクローバー

最もメジャーなグランドカバー植物がクローバーです。最大のポイントは安さ。下記は1リットルの種で2980円です。800グラムほど入っているようです。1リットルで6坪≒20m2程度らしいので、m2あたりのコストは150円ほど。あとはうまく根付くかどうかですが、さて。 

ホワイトクローバーお徳用種子 1L詰

ホワイトクローバーお徳用種子 1L詰

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ただし問題もあります。 

クローバーが防草対策に向かないのは、通年性の問題です。本来、寒地型で夏の高温と乾燥によって衰退し、雑草と置き換わる可能性があります。そもそもクローバーは、空中窒素を固定するため、イネ科の牧草と一緒に使われて、収量を高める役目を持っていました。これを雑草対策としてメガソーラーの下に植栽した場合、土壌が肥沃になるので、かえって雑草の繁茂を促してしまいます。

「カバープランツは除草対策で最も経済的」。緑地雑草科学研究所・理事に聞く(第5回・前半) - 特集 - メガソーラービジネス : 日経BP

 確かにクローバーは繁殖力旺盛ですが、肥料の代わりにもなると言われていて、土地が肥沃になってしまうそうな。いや、できれば不毛の地にしたいわけで、悩ましいところです。 

ダイカンドラ

最近グランドカバー植物として注目されているのがダイカンドラです。こちら1kg=1リットルで6480円。m2あたり10〜15グラムの播種ということなので、65円〜100円/m2のコストです。 

 ただ課題としては耐寒性に課題があり、寒い地域では霜や雪で枯れてしまう場合があるそうです。業務用としてはメガソーラーにも使われていて、その場合は播種ではなく、畑で栽培したものをマットにして出荷しているそうです。

 

ダイカンドラのマットによる雑草対策費として、面積1000m2あたり、20年間の合計で170万円を目安として提示している。初期費用として130万円、年1回の管理費として2万円×20年間を想定

東金市のメガソーラーに見る、多年草「ダイカンドラ」による雑草対策 | 日経クロステック(xTECH) 

クラピア

日本生まれのグランドカバー植物で、除草学者の倉持氏が開発したのがクラピアです。開発者の名前が冠されています。10年の歳月をかけて耐寒性(耐寒温度−10℃)を実現したとか。芝生の10倍の速さで地面を覆い、地表温度を下げる効果も高いそうです。

 

問題は価格。種ではなく苗で販売されていて、m2あたり4ポットを植える感じだそうです。そして10ポット(苗10個)の価格はなんと6270円!m2あたり2500円ものコストがかかってしまいます。 

クラピア 花苗 K5 薄ピンク花 10個入

クラピア 花苗 K5 薄ピンク花 10個入

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 ただし、クラピアは横に伸びて根を張るという増え方をします。そして繁殖力も強いので、放っておけば横にどんどん広がるようです。また、増えたものを切り出して苗のように株分けすることもできるようです。乾燥させると根付かないようなので、遠隔地で果たして増やせるのかは、とても難しそうな気がするのですが。。

 

数ポット買って、家のベランダのプランターで増やしてみて、それを随時移植できないか? ということを現在は考えています。水が必要ということは、梅雨前、5月から6月くらいに植えるのがベストなのでしょうか。このあたりは難しいけれど、ガーデニングに似て面白そうでもあります。

 

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