投資手法はいろいろな種類がありますが、中でも「オプション」は独特です。直感的な理解が難しい上に、応用範囲が広く、取り扱う証券会社も少ないという、かなりマニアックな投資だと思います。
しかし、調べるほどに、普通の株式や先物だけでは実現できない、面白い使い方があります。
今回紹介したいのは、「ターゲットバイイング」と呼ばれる手法です。
株などを買うときに、現在の値段より低い値段なら買いたい、と思うときってありますよね。例えば、GOOGLE株を1160ドルでは高いと考えてるけど、1000ドルなら割安なので買いたい、そんな場合です。
こんなとき、普通なら1000ドルで買いの指値注文を入れます。指値の期限までに、1000ドルまで株価が下がれば買えますし、下がらなければ注文が失効して終わります。それだけです。
ところが、指値注文の代わりにGOOGLE株のプットオプションを売ると、儲けが増えます。1000ドルまで株価が下がれば1000ドルで買うことになるし、下がらなければ注文が失効するのは同じです。ところが、株価がどうなろうと、一定額(プレミアム)を得ることができるのです。
株価が下がらなければプレミアム分が純粋な儲け、株価が下がれば株を買えるだけでなく、プレミアム分安く買えるのです。
これが、プットオプションの売りを使ったターゲットバイイングです。
ただし、日本の証券会社でオプションを取り扱っているところは少なく、さらに取扱銘柄も「日経225」がほとんどです。そんな中、通貨と貴金属(金と銀)のオプションを取り扱っているのがサクソバンク証券です。
こちらの画面が、サクソバンク証券の銀のプットオプション価格表になります。見方はのちのち説明します。
こちらが、銀を1000オンス、行使日2018年の3月28日で2000オンス分プットを売った場合の詳細になります。証拠金が40万3000円必要で、プレミアムが72.6ドルとあります。
このまま銀価格が1オンス16ドル以下に下がらなければ、決済日までの22日間で、72.6ドル=7690円を得られます。手数料が10ドルかかるので、6600円の利益です。証拠金に対する利回りでいうと1.6%。年換算するとざっと27%になります。
実際には、最低でも必要証拠金の2倍の証拠金を積んでおくほうがいいですので利回りは半減=13%程度ですし、16ドル以下に銀価格が下がった場合は、その価格で銀を2000オンス買うことになります。利回り13%が確定しているわけではありません。
でも、もともと銀投資をするつもりで16ドルで指値をするのであれば、プレミアム分だけ必ず得をします。これが、ターゲットバイイングの魅力です。
現在のところ、安定的にオプションで利益を出せるかは不明です。株式投資などとは違い、オプションはゼロサム・ゲームなので、プットを売ってプレミアムがもらえる反対には、利益を出すためにプレミアムを払ってプットを買っている投資家がいます。
まだ勉強中なので、オプションに投入する資金は、資産の1%以下に抑えています。