前回、◯倍よりもコツコツと、と書きました。
なんだたった10%か? と思われた方もいるかもしれません。でもそれは投資の真実を知れば驚くでしょう。投資の絶対的な真実、それは「複利の力」です。
毎年10%の利回りを10年続けたらどうなるでしょう? 10%✕10で100%? いえ、259%になるのです。これが複利の力です。投資で生まれた収益を再投資してそれがまた増えていくことで、想像以上に資産は増加します。毎年5%の利回りでも、10年で162%になります。
複利の力は暗算で計算することもできます。年利回りのパーセンテージ数字で、72を割ると、元本が2倍になる年数が大体分かります。たとえば、年7%利回りなら、10年で2倍に。年5%なら15年くらいで2倍になる計算です。
アインシュタインは
『The Magic of Compounding』
複利のマジック"The greatest mathematical discovery of all time."
That is how Albert Einstein is said to have described compound interest.歴史上最大の数学的発見、それは複利である。
と言ったそうです。複利は投資の最も重要なポイントなのです。
この複利の力をうまく使って資産を増やしていくことこそが、投資の醍醐味といえます。そのためにはいくつか気をつけておくべき点があります。
複利を活かすためには、再投資に回す金額を減らさないことが重要です。どういうことかというと税金です。税金の支払いをできる限り遅らせることがかなり効いてきます。利益に対して20%の税金がかかるとして、この支払いを翌年に遅らせられれば、その分に対してもリターンがあるからです。
こちらのグラフは、最初100の資産を年利10%で増やしていったものです。毎年利益の20%を課税されて取られたのが青い線。税金払いを繰り延べしたのが黄色い線です。20年後にまとめて税金を払っても、繰り延べしたほうが77も多い結果です。10年後に繰り延べた税金を払う赤い線では8多いだけなので、長期にわたる税金繰り延べの効果がわかります。
税金を逃れることはできませんが、遅らせる方法はいろいろあります。もっとも簡単で効果的なのは、含み益のまま利益を確定させずにおくことです。株でいえば、値動きによる利益は、その株を売却するまでは含み益となっていて課税されません。つまり、一度買ったら売らない。長期的に保有するのです。
さらに、配当は即座に税金がかかり含み益にならないため、配当されるよりは内部留保にしてもらい株価が上昇したほうが望ましいということにもなります。しかし不思議なことに、長期的に持ちたい安定企業ほど配当額が大きく、毎年税金を払うはめになります。
長期投資は本当にリスクを減らすのか? という昔ながらの議論はあります。しかし、株価がわずかでも上昇し続けるという前提では、買ったら売らないという長期投資は、税金の支払いを極限まで遅らせるという意味で、複利の効果を引き出す意味があるのです。
税金とは別に、あまり話に出てこない複利のポイントがあります。それは、リスク(ボラティリティ)はリターンを蝕む、ということです。噛み砕いていうと、同じ年率10%のリターンだとしても、毎年10%をコンスタントに続けるのと、ある年は30%、翌年は−10%などとリターンがばらつくのでは、大きな違いが出てきます。
こちらのグラフは、ブログ「インデックス・ドライバー」さんから引用させていただきました。※こちらのブログは投資にまつわるさまざま点を数学的に解析しており、たいへん勉強になります!
このグラフが示しているのは、20%プラス、翌年20%マイナス、を繰り返すと、プラスマイナス合計でゼロになるのではなく、どんどん資産価値が減っていくことを示しています。これは、プラスマイナスが±5%でも同様です。
つまり、大きく勝って大きく負けるを繰り返すことは、複利の観点からはマイナスに働くということです。複利の効果を最大限に活かそうとしたら、安定したリターンが望ましいということになります。
今回は、投資の絶対的な真実である複利の力を活かすには、税金の繰り延べと、平均リターンではなく安定リターンが重要であることをまとめました。節税おより税の繰り延べ、また安定リターンを作っていく方法は、あとでまた書きたいと思います。