人生の目的っていろいろあるとは思うけど、自分が不幸でも世の中を変革する仕事をしたい!(かつその能力もある)と思っている人以外は、「幸せになること」が最も重要だと思います。
幸せの定義は人それぞれですが、大体不幸になるというものはいくつがあります。通勤時間もその一つかと。
イギリスの西イングランド大学が5年以上にわたって、通勤がイギリスの会社員2万6000人以上に与えた影響を分析した調査(2014年に発表)では(Commuting and wellbeing)、
通勤時間が1分増えるごとに、仕事とプライベート両方の満足度が低下し、ストレスが増え、メンタルヘルス(心の健康)が悪化する
仕事の満足度については、1日の通勤時間が20分増えると、給料が19%減ったのと同程度のネガティブな影響が及ぶ
同じ通勤時間でも、徒歩もしくは自転車で通勤する人は、バスや電車通勤の人に比べ、プライベートに対する不満が少ない
などの結論を得た。ドイツの経済学者のブルーノ・フライ博士が発表した論文では(“Stress That Doesn’t Pay: The Commuting Paradox” 2004)、
「長時間の通勤がもたらすストレスの高さは、年収が40%アップしないと割に合わない」
としている。また、スウェーデンで暮らす18万人の夫婦を対象に行なわれた調査では(“On the road: Social aspects of commuting long distances to work” 2011)、
「1人のパートナーが毎日就労するのに少なくとも45分通勤するときに、カップルが離婚する可能性が40%高い」ことが判明している。
これらの調査結果は意外と真実をついています。ぼく自身も、数年前に1時間以上かけて通勤していたのを、ドアtoドア30分の場所に引っ越しました。家賃は4万円ほど上がり部屋も狭くなりましたが、幸福度は明らかに増しています。
大前研一は、人が変わるための方法として、
- 住むところを変える
- 付き合う人を変える
- 時間配分を変える
を挙げていますが、まさにそのとおり。住むところを変えると、不思議と付き合う人も変わりますし、時間の使い方も変わります。
昇給したら、その額だけ会社の近いところに住む、意外とこれはオススメです。さらに、そうだからこそ、持ち家ではなく賃貸の魅力があるともいえます。
たまに、自転車で通勤したり、ランニングで通勤したりしてみたこともありますが、これもオススメです。夏はシャワーがないと厳しいのが玉に瑕ですが、日常にこうやってアクセントをつけてあげると、いろいろなことが新鮮に見えてきます。
セミリタイアしたときには、どこに住むか? ではなく、どこに出勤するか? が問題になります。幸福を考えると、遠くというのは論外です。特別な事情がなければ電車で2駅以内、自転車でも15分くらいがいいですね。仕事帰りに街を見て回るのもいいので、通勤経路にターミナル駅を盛り込むのもよいです。
通勤を完全にやめて、自宅で仕事をするという選択肢もあります。オフィスのコストも掛からないので一つの選択肢ですが、生活にリズムが作りにくい、気分が切り替わらないというデメリットもあるように思っています。勤務先のオフィスで仕事をしていても、何か根を詰めてアウトプットするときはPCを持って喫茶店へいくことが多いです。それと似たような感じかと。
ともあれ同じ通勤時間を減らすといっても、「オフィスの近くに住む」のではなく「自宅の近くに通勤する」という選択ができるのはセミリタイア(というか起業?)の魅力です。