FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

長寿保険は長生き対策になるか?

先日、資産を死ぬまでに使い切ることは長生きした場合に資産がゼロになるリスクがあるかも? という記事を書きました。そんなリスクがあるなら対応する保険があるかもと思い、ざっと調べてみるとニッセイが長寿生存保険「グランエンジ」という保険を用意、第一生命が「ながいき物語」という保険を出しています。

 

kuzyo.hatenablog.com

これらは発案者の名前からトンチン保険というようです。果たしてこの保険は長生きリスクの対策になるのかどうか、簡単に試算してみましょう。

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上記は、この長寿生存保険のモデルケースです。毎月50,790円を50歳から70歳までの20年間払い込むことで、生きている限り年間60万円が年金として支払われるようです。

 

毎月50,790円は年額にすると約60万円。20年間60万円払うと、その後ずっと60万円払われるという計算になります。利回りを完全に無視すれば、90歳まで生きれば払い込んだ金額が戻ってきて、そこから先は生きている限り儲かるように見えますが。。。

 

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保険会社に支払う代わりに運用してみると結果は面白いものになりました。1%で運用した場合、97歳まではプラスですが、98歳で原資が底をつきました。1%運用ならこの保険を買ったほうが安心ですね*1

 

2%運用では107歳まで大丈夫です。ただし、現在の人口統計では107歳まで生きるリスクは極めて少ないともいえます。そして3%で運用すると110歳でも大丈夫です。おそらく確実に死ぬまで大丈夫でしょう。

 

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支払い額と受取額からIRRを計算してみると、より分かりやすいものになります。上記は、死亡年齢におけるIRRです。75歳までの5年間は受け取りが確定(75歳までに死んでも受け取れる)ですが、IRRは-12.5%と大きなマイナスです。

 

IRRがプラスに転じるのは92歳。そこからリターンが上がっていきますが、100歳まで生きたとしても1.4%のIRRです。

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保険会社は預かったお金から経費を引いて、残りを国債などを中心とした安全資産で運用するわけですから、この程度の利回りになるのも納得です。米国債など現在は利回り3%に達していますから、為替を自分でヘッジしたとしても1.4%のIRRは上回れるでしょう。

 

想像した通りですが、長生き保険に入るなら自分で設計したほうが有利でした。

*1:正確には自前運用には源泉分離課税の20%がかかりますが、年金保険の場合、ほぼ税金はかかりません。そのため税引き後2%運用には2.5%、3%運用には3.75%の利回りが必要になります。