オプションの価格(プレミアム)を見るためには、グリークと呼ばれるギリシャ文字の要素がいくつも出てきます。その中でも最も重要だと言われる「デルタ」について、調べたことをまとめておきます。
まず、ここでは「オプションとはなにか?」はある程度わかっている方を対象に書きます。コールとプットの違いやプレミアム、ITM、ATM、OTMなど、原資産価格、行使価格、満期、ボラティリティ(HV)(IV)はなんのことだかわかっている前提で。
デルタとは現資産価格の変化がプレミアムに及ぼす影響
これはデルタが1であれば、原資産価格が1上昇するとプレミアムも1上がることを指します。デルタが0.5ならば、原資産価格が1に対してプレミアムは0.5の上昇です。
数学的にいうと、オプション価格(プレミアム)を原資産価格で微分した値です。グラフでかけば、縦軸をプレミアム、横軸を原資産価格とした場合の接線の傾きを指します。
考え方としては、ITMかOTMかでデルタは変わります。例えば原資産価格100ドルのとき、一週間後に満期を迎える行使価格70ドルのコール(ITM)のプレミアムのデルタはどうなるでしょう。よほどのことがない限り、本質的価値である30ドルだと考えられます。もし原資産価格が1ドル上昇すれば、本質的価値も1ドル上昇するためプレミアムも1ドル上がります。つまり、デルタは1だということです。
逆に、このとき130ドルのコールはどうなるかというと、こちらもよほどのことがない限り無価値で満期を迎えるでしょう。原資産価格が多少変化しようともプレミアムはゼロです。つまりデルタは限りなく0となります。
デルタとは現資産を何%を持っているか
別の見方をすると、デルタが1ならば原資産価格の変動がそのままプレミアムの変化となるので、原資産価格をそのまま持っているのとリスクは同じだといえます。
また、デルタが0.5=50%ならば、原資産価格を0.5=50%持っているのとリスクは同じになります。つまり、デルタが20%のコールオプションを100単位もっている場合、現資産を20単位持っているのと同じことになります。
このことから、原資産価格が上がっても下がっても損益に影響を与えない「デルタニュートラル」を実現することができます。例えば、100単位のコールをデルタ20%で買っている場合、20単位の原資産を空売りすることでデルタニュートラルが実現できます。
このポジションはダイナミックヘッジともいい、ガンマの変化に賭ける(ガンマをトレードする)ポジションになります。現資産価格が変化するとデルタの値も変わるので、原資産の空売り量も随時調整する必要があります。
デルタとは将来オプションが行使される確率
デルタが1=100%ならばITMであり、つまり満期では行使されます。逆にデルタが0=0%ならファーOTMであり、満期では無価値となり行使されません。そしてATMの場合はデルタは0.5=50%であり、行使される確率は5分5分となります。
おおざっくりですが、ここから、デルタとは将来そのオプションが行使される確率とも見ることができます。デルタが0.5=50%ならばそのオプションが行使される確率は50%、デルタが0.05なら5%だということです。
原資産価格の変化がデルタに及ぼす影響がガンマ
デルタはたいへん重要なグリークですので、関連するグリークがさらにあります。
プレミアムを原資産価格で微分したのがデルタですが、デルタをさらに原資産価格で微分したのがガンマです。つまり、原資産価格の変化が、デルタにどのような影響をおよぼすかを表したのがガンマになります。ガンマについてはまたのちほど。
【ガンマについて書きました】