インデックス投資の王道は、世界の株式市場の半分を占める米国のインデックスであるS&P500です。過去数年を見ても、S&P500への投資は大きなリターンを産んでいます。過去5年では66%増、過去2年で30.5%、過去1年で12.2%と立派な成績です。為替リスクを計算に入れても、十分なリターンです。
ではこの素晴らしいインデックスに投資する最適な手法はなんでしょうか?
過去1〜5年のリターン
まずは過去のリターンを見てみます。5年で見ると、2015年末に足踏みがあります。ここはギリシャ危機とチャイナショックですね。しかしそれを乗り越えたあとは急上昇を始めます。
その後、2018年に入って2月に大きく下げましたが、それでも現在は2017年末の水準まで戻しています。
過去5年のリターン
過去2年のリターン
過去1年のリターン
投資する方法はファンドまたはETF
このS&P500への投資方法は、ファンドを買うか、上場ファンドであるETFの購入になります。世界で最もメジャーなインデックスということもあり、各社が低コストを競っています。
ファンド(投資信託)では、iFree S&P500インデックスと、iシェアーズ 米国株式インデックス・ファンドの2本があります。円建てのETFとしては、1547、1557、1655の3本があります。また、米ドル建てETFとしてSPY、IVV、VOOがあります。
投資先はいずれもS&P500なので、商品を選ぶ際に注意したい点は限られます。1つは購入手数料、2つめは投資通貨、3つめが信託報酬です。
購入手数料は円建てならゼロの選択肢が
まず投資信託は購入手数料無料(ノーロード)です。一方、株式扱いとなるETFは売買手数料が基本的にはかかりますが、1655は楽天証券が2018年6月6日から手数料無料を打ち出しました。
また、SPYの東証上場版の1557は、株.com証券が「フリーETF」をうたっており売買手数料無料です。
SPY、IVV、VOOのドル建てETFの場合、SBI証券、楽天証券、マネックス証券といった大手でいずれも取引代金の0.45%が売買手数料です。
ドル建てか円建てか?
円建てのものは東証で売買できます。資金をドルに変える必要がないので楽といえば楽です。ただし、いずれも為替ヘッジがされていないので、S&P500の値動きだけでなくドル円為替の変動を受けます。ドル建てでも、日本円での損益を考えるときには同じことなのですが、パフォーマンスが混ざってしまうので把握がしにくくなります。
また、ドル建てならば売却してもドルなので為替の影響を受けるタイミングを変えることができます。円建てだと、S&P500の値段だけでなく為替のタイミングも見て売却する必要がでてきます。税金もそうですね。
ドル建ての場合、売買手数料だけでなくドルを買う為替手数料も考慮しなくてはなりません。SBI証券、楽天証券、マネックス証券のいずれも片道25銭です。100万円をドルに替えると2500円程度の為替手数料です。
多くのFX業者ではドル円の為替手数料(スプレッド)は、往復で0.3銭(高いくりっく365でも3銭)ですので、実に100倍近いです。SBI証券の場合、住信SBI銀行を経由すると手数料4銭でドルに替えられます。また、FXでドルを買って「現受け」という手続きをするとそのままドルを購入することができます。1万ドル以上になりますが、手数料を考えるとこちらがオススメです。
信託報酬はIVVかVOO
ETFの必要経費として毎年支払う必要があるのが信託報酬です。ただしS&P500のETFは世界最大のインデックスということもあリ、各社が信託報酬の削減にしのぎを削っています。結果、IVVとVOOでは0.04%まで下がっています。
これは、100万円分買った場合、年間運用コストは400円という水準です。
ちなみに、総資産額は最大手のSPYで28兆円、IVVやVOOでも10兆円クラスです。途中償還リスクはほぼゼロといってかまいません。安心です。1557は、円建てですが裏側でSPYを買い付けているだけですので実質SPY。1655も中身は実質IVVです。
分配金の違いを気にする方もいるかと思いますが、SPY、IVV、VOOの分配金率の違いはほぼ誤差といっていいと思います。年によって有利不利は変わっています。
分配金のあるなしはどうでしょうか? まずETFの分配金は、ファンドが保有する各企業からの配当を分配する仕組みになっています。一時期話題になった毎月分配型グローバルソブリン債のように、タコ足配当はできません。その上で、分配金なしのファンドは分配金を再投資に回しています。
分配金を受け取ると、20%の税金がかかります。ですので、受け取った分配金を再投資に回すのなら、最初から分配せずにファンド内で再投資してくれたほうがメリットが大きいのです。
注意はNISAと1557
S&P500インデックス投資をNISA口座で行う場合は注意が必要です。まず、SPY、VOO、IVVのドル建てETFは、分配金が無税になりません。
米国株式の配当には、米国で10%の課税、日本で20%の課税が行われます。NISA口座では、この日本での20%課税が0%になります。一方、10%の米国課税は確定申告で「外国税額控除」を行うことで取り戻すことができますが、NISA口座では外国税額控除が使えません。つまり、10%の米国での課税が必ず発生することになります。
1557は円建てで取引できる東証上場のETFですが、なぜか米国株式扱いのようで、配当金は、米国10%、日本で20%の課税が行われます。円建てですが、外国税額控除をしないと配当金の10%を失うので注意が必要です。
僕はIVV。
このような選択肢があるS&P500への投資方法ですが、僕はIVVを買っています。
現在ならばVOOでもかまわないのですが、実はVOOの経費率は最近まで0.05%で、IVVと同じ0.04%になったのは2017年なのです。10年前からS&P500に投資しているので、当時の選択としてはIVVでした。
インデックスファンドを買うのであれば、証券会社が力を入れて手数料無料化を進めているETFもありだと思います。インデックスファンドはけっこう経費率が高いので。
また、ドルの買い付けも、10数年前は普通に1ドルあたり1円くらい手数料を取られたのですが、現在はFXを使うことで非常に安くあげることができるようになりました。僕の場合、すでに資産の約半分がドル建てなので、これ以上ドルを買うことはいまのところは考えていません。
米国株を買うならドルが最強なのですが、CFDやFX、仮想通貨、不動産などへの投資は円のほうが容易だからです。