「けっして貧乏ではないのに「貧乏くさい」という話」というエントリーが、42/54に載っていました。ふーむ、なるほど確かに、と思いつつも、これは貧乏くさいというよりルールハックだよね、と思ったわけです。
「ルールハック」というのは僕がさっき思いついた言葉なので、検索してもそれらしきものはヒットしません。これは、あるルールのもとで抜け道を探し、得になるような行いを指します。
エントリーの中にある、こんなエピソード。
昔、勤めていた会社は、紙のタイムカードだった。そして、残業時間は0.1時間単位で計算されることになっていた。
(略)
容易に想像がつくと思うけれど、タイムレコーダーが33分なんて時刻を表示していたら、何人もがタイムレコーダーの前で3分間待っていたりするのだ。
これは残業時間が6分単位なので、3分残業ならあと3分、4分残業ならあと2分待ってタイムカードを押す「貧乏くさい」人がたくさんいた、という話です。セコいことをしないで、そのくらいの残業代気にするなという意味で「貧乏くさい」という表現なのでしょうけど、意外とバカにできない金額かもしれません。
厚生労働省のこちらの毎月勤労統計調査によると、一般労働者の所定内給与は月額30万9005円が平均です。この30万9005円を所定内労働時間150.6時間で割ると基準賃金(時給)が出るわけですが、2051円/時となりました。
残業は25%増しですので、時給2563円です。上記の場合、0.1時間単位だそうなので256.3円が2分とか3分の差で増えるわけです。
小さいといえば小さいかもしれません。しかし、年間労働日数約200日のうち半分で残業したとすれば、100日。その100日で256.3円増えると2万5600円です。このタイムレコーダーの前で待つ習慣を10年続けたら、25万円も増えることになります。これは貧乏くさいとはいえない額です。
1回で10万円貰えたり、10万円節約できたりするなら、それを「貧乏くさい」という人はいないでしょう。ところが、100円の積み重ねで10万円にすることは「貧乏くさい」と言われるわけです。
おそらく、このエントリーで言いたかったのは、節約はいいけどケチになるな、ということなのでしょう。ケチって何かというと、ほかの人に迷惑をかけたり、見苦しかったり、労力と効果が見合っていないことだと思います。
タイムレコーダーの前で何をするでもなく3分待つというのは、まぁ見苦しいですよね。そして、自分の時間が時給で払われている金額よりも貴重だと思っているなら、明らかに効果が見合っていないわけです。
ちなみに、そもそも残業時間を0.1時間単位で計算するのは違法だそうです。
1日の労働時間は1分単位で計算しなければなりません。端数を切り上げることは問題ありませんが、切り捨てることはできません。ただし、1か月の労働時間を通算して30分未満の端数が出た場合には切り捨て、30分以上の端数を1時間に切り上げて計算することは認められています。
つまり、いちばん貧乏くさいのは、0.1時間単位の端数切り捨てという違法計算をしている会社側ということですね。