「ゲーム」という言葉に過剰反応する人は一定数いて、「これはゲームじゃないんだから」とかいう言葉を聞くことがしばしばあります。一方で、ゲームは人間のモチベーションを高めるための素晴らしいツールだと思っています。
企業経営を例にとれば、その社会的意義や社員の生活を支えるといった熱い思いを元に経営することも重要ですが、目標数値を決めて影響要因をKPIに分解し、KPI達成のための打ち手を考え、KPIの進捗状況を随時チェックしていく、といった業績管理手法は非常にゲームに近いものだったりします。
そして、何かをドライに実現したいなら、それを「ゲーム」にしてしまうのは非常に有用な方法なのです。何かをゲームにしてしまうことを「ゲーミフィケーション」といいますが、下記の『幸せな未来は「ゲーム」が創る」では、ゲーミフィケーションの効果を丁寧に 説明しています。
- 作者: ジェイン・マクゴニガル,妹尾 堅一郎,武山政直,藤本 徹,藤井 清美
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/10/07
- メディア: 単行本
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実は、「節約」という行為は、ゲーミフィケーションとけっこう相性がいいのではないかと思っています。
ゲーミフィケーションでは、「課題」が明確で、行ったことへの明確な「効果」が提示され、それが「リアルタイム」であるほど望ましいと言われています。業務の生産性向上といった曖昧なものでも、「1時間あたりの生産数を最大化する」と課題を明確化し、「100個から110個に増えた」と効果が数字で分かると、人はこれをゲームとして捉えてもっと数値を上げることに意識を向けます。そのとき重要なのは個数がリアルタイムで分かるということで、これが月末に締めてみると分かりますでは効果が上がりにくいのです。
節約は、「同じ効果を得ながら費やすコストをへらす」というたいへんわかりやすい課題に対して、節約をしたときとしなかったときの違いが「節約額」として明確に分かります。そしてリターンが将来得られることの多い投資と違い、 リアルタイムで効果がわかるという特徴があります。
以前、「知的ゲームとして節約」という記事で節約はゲームであるということを書きましたが、逆に、節約をゲームにしてしまえば、節約がとってもはかどります。
ゲーム化したときに、数字がリアルタイムで得られることが重要だと書きました。節約において、リアルタイムで把握すべき数字を教えてくれるのは、ずばり家計簿です。
自分が、何にいくら使っているのか。その把握なしで節約のゲーミフィケーションは成り立ちません。特にクレジットカードや電子マネーを使いだすと、財布の中のお金を見るだけでは出費がわからず、把握がたいへん難しくなるので、「節約とは家計簿のことである」で書いた、MoneyFowardなどのツールの利用がおすすめです。