FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

こんな不動産セールスには気をつけろ!

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いま不動産の価格は上がり過ぎだなぁと思いつつも、不動産物件や市場を定期的にチェックしています。その中で、面談で楽天ポイントをいただけるというので、「きっとヤバイ会社だろうな」と思いながら、ある不動産会社と会ってきました。

 

「いい物件でしたら、その場で決めていただけますか?」

 

担当者からいきなり飛び出したのがこの言葉です。え? 現地を見ずに物件を決める?

 

「当社では多くの方が現地を見ないで購入を決めてらっしゃいます」

 

本当に何を言っているのか分かりません。別に海外とか遠隔地というわけではなく、普通に都内の物件です。見ないで決める理由が分かりませんし、見せないで決めたい理由があるとしか思えません。きっと、いろいろ検討させることなく、面談の場で勢いで売らせたいのでしょう。

 

セールスのテクニックのひとつに「今決めてくれると安いです」というものがあります。「他にもほしいといっているお客さんがいまして」「期限があるのでお安く提供できます」などなど。買い手が正常な判断力を失っているところで一気に畳み掛ける手法です。セールスにかける時間も節約できますしね。

年金代わり、保険代わり、節税と言い出したら注意

こうした不動産投資のセールストークの鉄板が、「不動産は年金代わりになります」「生命保険の代わりになります」「不動産は節税になります」です。

 

確かに、長期に渡ってインカムゲインをもたらしてくれる不動産は年金の代わりになるでしょう。また、ローンを組む際に団体生命保険に入れば生命保険代わりにもなります。そして、減価償却分を総合課税からマイナスできますので年収の高い人にとっては節税にもなります。

 

ただし、これは購入当初からキャッシュフローが出ないから、こういうメリットしか言えないのです。

 

また最初からキャッシュフローが出る、つまり利益が出る物件でも、年金代わりになるし生命保険代わりになります。そして、節税といっているのは単に利益の先送りなので、特にお得というわけではありません*1

 

今回紹介された物件も、35年フルローンで組んで、月々のキャッシュフローは2500円というものでした。

 

なんと恐ろしい! 家賃が16万円見込みだそうなので、一ヶ月空き家になったら単純計算で5年分のキャッシュフローが吹き飛びます。当然変動金利なので、ちょっとした金利上昇でマイナスに転じます。銀行評価はDCFではありますが、内実、サラリーマンとしての所得からの補填を前提としたものなので、積算評価は出ません。

 

だいたい、いくらフルローンとはいえ、35年の長期にしてキャッシュフローがとんとんというのは収益性の低さが際立ちます。

 

給与からずっと補填をし続けて、35年経った後、築40〜50年の物件が手に入るという仕組みです。これは、空室リスクや金利変動リスクなどを織り込んだシミュレーションをし、IRRを出したら絶対に誰も買わない物件です。だからこそ、理想的なシミュレーション(それでも美味しくない)を見せて、一気に購入にもっていきたいというわけです。

豪華なオフィスは何を意味しているのか 

こうした不動産会社のもう一つの特徴は、都心の豪華なビルにオフィスを構え、買い主に安心感を与えようとすることです。よくよく考えると、物件を買うわけですから、買い主がお金を持っているとか業績好調だとかは関係ありません。購入後のメンテナンスなどをお任せするので、しっかりした会社のほうがいいというのはあるかもしれませんが、自社ビルにお金を使う会社が、良好なメンテナンスをやってくれるという因果関係もないですよね。

 

ただ、将来に不安を持つ若者や、退職金の使いみちを考えているシニアが、こうした豪華なオフィスに通されておすすめされると、つい買ってしまうというのもよく分かります。舞い上がってしまうわけです。

 

自分の中での金融リテラシーを高めるという意味でも、たまにこういうヤバイ不動産会社を見ておくのもいいものです。現在の物件価格の状況や、融資の感じ、金利状況などの情報を得られるので、「あくまで参考としてお話を聞きます」ということで会ってくれるなら、話を聞いてみるのもアリかと。

*1:正確には税率が高いタイミングでの利益を減らして、将来税率が低いときに利益を確定させれば、その分節税にはなります。年金などはそういうスキームが多いです