投資でセミリタイアする九条日記

セミリタイアを実現したサラリーマン。ETF投資を中心に、太陽光投資や不動産投資、オプション、VIX、FX、CFDまで使って資産運用をしています。

株価を決める3つの要素 利益・配当・PER

インデックスファンドの元祖、ヴァンガードの創業者であるジョン・ボーグルの『インデックス投資は勝者のゲーム』を読んでいます。インデックス投資のメリットを簡潔にまとめており、最近の投資書籍では素晴らしい出来だと思います。さらに、AmazonのPrimeReadingで無料で読めるというのもメリットです。

インデックス投資は勝者のゲーム──株式市場から確実な利益を得る常識的方法 (ウィザードブックシリーズ Vol.263)

インデックス投資は勝者のゲーム──株式市場から確実な利益を得る常識的方法 (ウィザードブックシリーズ Vol.263)

  • 作者: ジョン・C・ボーグル,John C. Bogle,長尾慎太郎,藤原玄
  • 出版社/メーカー: パンローリング
  • 発売日: 2018/05/13
  • メディア: 単行本
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こちらの中に、株価は何の要素で決まるのかについて解説した章があります。それが秀逸でした。ボーグルによると、株価は、(1)投資リターン:利益成長(2)投資リターン:配当(3)投機的リターンから説明できるとしています。それぞれ見ていきましょう。

投資リターン:利益成長

投資リターンとは、企業の利益が成長することを指します。利益、ここでは純利益は当然株主の持ち分であり、利益が伸びると株価が上昇することは容易に納得できます。具体的には、1株あたり利益(EPS)が上昇した分だけ、株価も上昇すると考えられます。

 

そして、経済成長とともに企業の利益は伸びています。これは歴史的な事実であるとともに、ロジック的にも説明できます。そもそも経済成長とはGDPの伸びを意味します。そして、GDPとは定義として国内で生み出された付加価値の合計です。そして付加価値は、雇用者所得+営業余剰+固定資本減耗+間接税-補助金に分解されます。

 

ここで税金と補助金が一定だと仮定すれば、GDPは雇用者所得=給与と、営業余剰=企業利益と、固定資本減耗に分解されます。固定資本減耗も一定だとすれば、GDPが増えた分を給与と企業利益で分け合うことになります。この給与の比率を労働分配率といいますが、これは長期に渡ってほぼ一定のようです。

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ということは、GDPが上昇すれば、その分、企業の利益合計も増えると言えるでしょう。これが、企業の利益が継続的に上昇する理由です。個別の企業を見ると、利益の増減はありますが、経済全体でみた場合は上昇します。その恩恵を直接受けるのがインデックス投資だというわけです。

 

米国経済の場合ですが、1900年以降、平均して利益成長は4.6%となっています。これは利益成長による株価上昇が4.6%程度あったということです。

投資リターン:配当

もう一つの投資リターンが配当です。配当は良くも悪くも安定しています。企業は配当を増加させる決定はできても、減少させる決定はしにくいからでしょう。また、純利益が伸びれば、一定の配当性向を維持する限り、配当も増加します。

 

つまり、株価が上昇してもそれが純利益の伸びと比例している限り、株価あたりの配当額、つまり配当リターンは維持されることになります。

 

この利益成長と配当は、いずれも純利益がリターンの源泉でです。そして企業の純利益は合計としては伸び続けています。

投機的リターン

3つ目のリターンは投機的リターンです。これはPER、つまり株価が1株あたり純利益の何倍になっているかの変動で決まります。

 

例えば1株あたり純利益が変わらなかったとしましょう。すると、配当リターンは横ばい、利益成長リターンはゼロとなります。ところが、PERが変化すると株価も動きます。PERが高くなれば、純利益が変わらなくても株価は上昇しますし、PERが低くなれば株価が下落します。

 

そして、PERには往々にして根拠はなく、市場参加者の熱狂と落胆の度合いで決まってきます。下記は日経225の価格(赤線)とPER(緑線)です。日経平均は上昇を続けましたが、PERはほぼ横ばいです。これは、株価上昇が市場の熱狂によるものではなく企業の利益成長によってもたらされたことを表します。

 

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下記はS&P500のPERチャートです。リーマンショック時に大きく企業業績も悪化したため、一時的にPERは跳ね上がりました。その後、2011年9月にはPERは13まで落ち込んでいます。市場の落胆が数字に現れました。その後、PERは回復を続け直近は22倍となっています。

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なぜPERが大事かというと、企業の業績に関係なく、ムードで上下するものだからです。PERが上昇基調ならば株価は上がりますし、下降基調ならば株価は下落します。PERは上がり続けたり下がり続けたりはしないもので、循環すると考えられますので、PERの変動によって見かけ上リターンが上昇したり下降したりするのは投機的なものだと考えられます。

 

ボーグルによると、PERの変化によるリターンの変動は、最大で9.3%、最小で-7.5%となっており、平均すると0.5%です。つまり、長期的に見ると、なんら株主にリターンをもたらしていないことになります。

3つのリターンを合計する

このように、株価が動く要素は3つあり、それぞれを足したものが株式のリターンになります。平均すると、合計リターンは9.5%です。うち、PERの変化は上下に大きく、短期的にはリターンに大きな影響を与えますが、平均するとわずか0.5%です。一方で、利益成長は年平均4.6%、配当は年平均4.4%のリターンをもたらしてきました。

 

つまり、PERの変動によって株価は上下しますが、長期的に見れば株式のリターンは利益成長と配当によって決まるというわけです。

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