アセットアロケーション報告でずっと「今後の課題」としていた、勤務先の株式の売却を進めています。資産ポートフォリオに占める割合が極めて大きく、変動の影響を大きく受けるため、リスクの分散という意味でも売却です。
ところが、基本的にインデックス投資家としてやってきているため、株を買うことはあっても売ることはほとんどありません。つまり、株を売る経験値がたいへん不足しています。今回、それを思い知りました。
今回売却しようとしている株は、いわゆる小型株で、指値の売り注文と買い注文が並ぶ「板」を見ると、たいへん小さい数字が並んでいます。
こんな中で、ぼくが一人で数万株売ろうとするとどうなるか? 一気に成行きで注文すると、買い数量を一人で消化してしまい、一気に10%以上も株価を下げてしまうことになるのです。
細かく注文を分けると手数料がかさむ
では、細かく300株単位くらいで買い注文に売りをぶつけていけばいいかと思うと、取引手数料が問題になります。下記は楽天証券の売買手数料です。
- 100万円まで 525円
- 150万円まで 628円
- 3000万円まで 994円
もし全株をまとめて成行注文すれば、約定する限り取引手数料は994円で済みそうです。ところが、100万円分とか150万円分の単位で分割して売り注文を出すと、そのたびに手数料がかかります。仮に、まとめて2000万円だとして、149万円に分割すると11回の注文が必要で、6908円の手数料がかかります。
それでも、大手店頭証券会社で売買するよりは安いのですが、ちょっともったいないですね。でも仕方なくこの方法を今回は使っています。
成行き注文か指値注文か
もうひとつの問題は、成行きではなく指値注文を出すかどうか? です。小型株らしく、1日に5%程度株価が動くことは毎度のことで、ともすれば10%以上も動きます。朝の寄り付きの値段から、日中、5〜10%程度動くことはザラなのです。つまり、初値から5%くらい高いところに指値をしておいても、けっこうな頻度で約定します*1。
そうなると、日中株価が上がったところで細かく成行き注文を出すか、上がったらラッキーと思って高めのところで指値注文を入れておくか、ということになります。日中株価をチェックし続けるのはさすがに厳しいので、高めのところに指値売注文を入れておいたのですが、これがけっこう目立つんですね。
ちょっと調べると、板の情報をデイトレーダーたちはけっこう参考にするようです。そんな中で、売りの上のほうに大きな注文がドンと居座っていると、買うのをはばかられるのではないか? とそんなふうに思うわけです。
マーケットスピードIIで解決?
そういえば……と、楽天証券が取引ツール「マーケットスピード」をアップグレードしたというニュースがあったな、と思い出しました。
「スナイパー注文」は、実質指値注文だが板には乗せず、指定した価格の気配が出たときだけ発注をかけるという仕組みです。しかも約定しなかった分は板から消してくれます。いくらでどのくらい売りたいか、という情報を板に乗せないため、目論見を気取られずに注文ができます。これは、ぼくの今回のニーズにぴったりですね。
「アイスバーグ注文」は、大口の注文を複数に分けて板に出していくというものです。一つ約定したらまた次、約定したらまた次という作業を自動でやってくれます。分割は2回から50回に分けられるほか、各回の量も一定かランダムかを選べます。これまたぼくのニーズにピッタリです。さらに複数に分けても手数料は1回分でOKということで、完璧です。
ただ一つ残念なのは、この新マーケットスピードII、Windowsのみの対応のアプリなのです。現在持っているPCはMacで、そのままでは使うことができません。スマホ版もありません。これを機に、Windowsを用意するかな? と思う今日このごろです。
*1:売る!と決めたら指値で少しでも高く売ろうなどとは考えずに、とにかく売り切ることが大事。と説くブログもけっこうありました。それもよく分かります。以前売ったときに、高めで指値をしておいたらズルズルと株価が下がり、結局指値の価格には戻ってくることがなかった、という経験もありました。この値段なら売る、この値段以下なら売らない、と決めた指値ならいいのでしょうが、「少しでも高く」という指値は少し矛盾しているようにも感じます。