FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で自由主義者、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

確定申告に向けて投資の税金を整理して節税を考える

2月に入り、確定申告のシーズンになりました。2月15日からの1ヶ月間で手続きをするわけですが、その前準備として、各資産の損益状況をまとめる必要があります。投資関係の税金をまとめて見ていきます。 

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箱1:先物関係(申告分離課税)

普通の投資家にもっとも馴染みがあるのは株だと思いますが、最もシンプルな先物関係から。対象はだいたい次の通りです。

  • 先物取引
  • FX
  • CFD
  • オプション

いろいろありますが、いわゆるデリバティブはここに入ります。申告分離なので税率は所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%の、合計20.315%で固定です。そして必ず確定申告が必要です*1

 

ほかの税制とちがって先物関係がいいのは、非常にシンプルなこと。FXでスワップ益が出ようが為替差損が出ようが、全部合算してOKですし、税率も一緒です。難しい話がありません。

 

僕の場合は、FXのアービトラージと、FTSE100 CFD、そして銀オプションプット売りの利益がけっこうありました。しかしそれを帳消しにするVIXの大損失がありました。各社の年間損益計算書をダウンロードしてメモしておきます。

箱2:上場株式など譲渡益(申告分離課税)

続いて普通の株式です。税金の箱としては「譲渡益」にあたります。最大のポイントは「分離課税」だということ。これはつまり、給料のように利益が増えるほど税率が増える累進課税ではなく、常に一律だということです。

 

株式の場合は、所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%の、合計20.315%となります。

 

申告分離というのは、勝手に20.315%の税金を取られるのではなく、自分で申告して税金を払うということ。つまり確定申告が必要だということです。ただし、証券会社の特定口座を開いていると、利益に対して源泉徴収してくれます。

 

この箱に、全部の証券会社の損益を通算します。現在口座は持っていませんが、残念ながら海外籍の証券会社は通算できません。ぼくの場合は複数の証券会社の口座がありますが、ほとんどが特定口座です。2018年分は一般口座取引のあった一部だけを確定申告します。

 

もし株取引で損失があった場合は、確定申告すると翌年に繰り越せます。つまり、200万円の赤字だったら、来年にマイナスを繰り越せるので、来年に200万円の利益が出ても合算して0となり、税金を払う必要がありません。そのため、特定口座の場合は確定申告は原則不要ですが、損失があったときは確定申告しておくのがメリット大です。

箱2:配当や利子など(源泉分離課税)

株式関係では、ほかに配当が出たり、債券の金利がついたりします。こちらは一般口座であっても、証券会社が勝手に源泉徴収します。つまり、特に確定申告する必要はありません。

 

面白いのは、配当や利子は株式の譲渡益と合算できることです。つまり、配当で10万円もらい、株取引で10万円の損失が出たとします。合算するとゼロなので、税金を払う必要はありません。ただ配当金10万円のうち約2万円は源泉徴収されているので、確定申告するとこの約2万円が戻ってくることになります。

 

さらに、外国税額控除を忘れてはいけません。海外株を持っているとそこから配当が出ます。ところが米国株式の場合、米国で最初に10%源泉課税されているんですね。そしてさらに日本で20.315%の源泉課税がされています。この米国分の10%は(全部ではないですが)確定申告によって取り返すことができます。

 

僕の場合、PFFARCCIEFMBBなど配当系の海外株が多いので、外国税額控除は必須です。

箱3:預金の利子(源泉分離課税)

同じように利子を受け取れるものに、銀行預金があります。こちらも銀行が勝手に源泉徴収票するので確定申告は不要です。

 

一つ大きな違いは、預金利子と株式損失は通算できないということです。配当のようにはいきません。先物取引の損失とも通算できません。これは外貨定期預金のキャンペーンの利子と、為替変動ヘッジのFXを組み合わせた技のときに問題になります。

 

キャンペーン裏技では、外貨預金の利子を得るために、為替変動をFXを使ってヘッジしました。そのため、利益が生まれる箱と損失が生まれる箱が変わってしまうのです。両方の箱で別の利益があれば、どっちも通算してきれいにできますが、単体だとやっかいです。

箱4:雑所得の箱(源泉分離課と総合課税)

さてややこしいのが雑所得です。ここには、外貨預金の為替差損とか仮想通貨とかソーシャルレンディングとか、貸株とか副業いろいろとか、要は「その他」がだいたい入っています。そして総合課税、つまり累進課税です。

 

雑所得が最悪の税区分だと言われるのは、次の3点にあります。

  • 損が出ても給与所得や、そのほかの利益と損益通算できない
  • 税率は給与などと合算して、恐怖の累進課税
  • 損が出ても翌年以降に繰り越せない

いやはや最悪ですね。ただし雑所得内での損益の合算は可能です。つまり、雑所得において経費がかかった場合は、それを利益から差し引いて確定申告できるということです。

 

為替で利益が出た場合は雑所得の総合課税です。ただし損が出た場合は、他の雑所得と通算可能です。重要な裏技ですね。

※初出で、為替差益については約20%の課税と書きましたが、これは為替予約をしている時だけのことでした。為替予約なしの場合、いずれも雑所得の総合課税でした。お詫びします。

www.bank-daiwa.co.jp

箱5:給与などの箱(総合課税)

最後が総合課税の箱です。これは累進課税という意味では雑所得並みに厳しいですが、不動産がここに入っていることに意味があります。不動産投資は、初期コストがかさみ、減価償却もあるので、帳簿上は(現金は入ってきても)赤字になることが多いからです。

 

つまり不動産の赤字を給与収入に合算することで、税率を下げることができます。これは不動産投資をやっている人にはイロハのイですね。

 

ただし理解が中途半端だといけません。減価償却費によってその年の税金が減ったとしても、その分は簿価の上昇として表されます。つまり、物件の売却時には売却価格−簿価 の差額が利益となって課税されるので、減価償却した分売買益が押し上げられるのです。

 

要は、税金の繰り延べであり、総合課税から不動産の譲渡課税に税の枠を切り替えているだけだということです。

個人の税制はなんて面倒

確定申告に向けていろいろと書いてきましたが、まぁ面倒ですね。入力するだけなら、国税庁のシステムに入れていくだけでいいのですが、損益通算などをうまく使って節税を意識するなら仕組みを理解しないといけません。法人だと全部合算できて、9年の損失繰越もできて、さらに累進課税ではないとメリットだらけです。個人はたいへんだ。

 

さらに、2018年は、ふるさと納税、医療費控除、とある一時所得もありましたので、ものすごいことになっています。

*1:20万円以下なら確定申告は不要ですが、確定申告する場合は必ず20万円以下でも申告が必要です。つまりふるさと納税で確定申告するなら、10万円のFXの利益も確定申告が必要だということです