投資でセミリタイアする九条日記

セミリタイアを実現したサラリーマン。ETF投資を中心に、太陽光投資や不動産投資、オプション、VIX、FX、CFDまで使って資産運用をしています。

人的資本をDCF法で時価評価してみる

資産運用では、若いうちは投資のリスクを大目に取り、歳を取ったらリスクを抑えよう、としばしば言われます。これは、若いうちは働いて収入を得ることができますが、歳をとるに従って残りの人生で得られる収入が減っていくからです。

 

この、将来に渡って労働で得られる収入を人的資本と呼んだりします。たとえ貯金がゼロでも、収入が安定的に高ければ、その人は大きな人的資本を持っているわけです。

 

人的資本は、それを働かせることで毎月収入を得られる資産ですから、元本の帰ってこない債券のようなものだと考えられます。ということは、毎年、死ぬまでに得られるであろう収入を割り引くことで、その現在価値を計算することができるはずです。

 

では、実際に人的資本を時価評価してみましょう。

働き始めてから死ぬまでの人的資本の時価評価

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縦軸は人的資本の額を示しています。横軸は年齢です。

 

前提として、手取り年収が22歳に400万円でスタートして、毎年3%ずつ上昇し、60歳の定年時に1230万円まで増加するというモデルにしました。けっこうな大企業に就職して、ちゃんと出世したモデルですね。

 

将来のキャッシュフローを割り引くための割引率は、3%から6%まで4種類で試算しました。人的資本の割引率をどうするかは悩むところですが、会社をクビになるリスク、体調を悪化させて働けなくなるリスクはそれなりにあると思うので、まぁ3%から6%の間くらいではないかと想定しています。

 

見てみると、新入社員のときの人的資本は1億円から1.5億円あります。ここから徐々に上昇していくのは昇給のためです。ピークは割引率によって違いますが、32歳から40歳のタイミングになります。

 

そこからは、昇給はするものの、定年までの時間が短くなってくるため急速に価値が減少します。今回退職金は想定しませんでしたが、退職後も人的資本が3000〜6000万円程度をキープしているのは、年金受給があるからです。厚生年金として年間198万円の受給を受けられると想定しました。

死んでしまうリスクを織り込んでみる

年金は死ぬまでもらうことができるので、65歳以降の人的資本価値はあまり変動がなくなだらかです。ところが、企業とは違い、人間には寿命があります。死んでしまえば人生は終わりなのでそれを加味すべきかどうかは微妙ですが、厚生労働省が発表している年齢ごとの平均余命データ(男性)を計算に加えてみましょう。

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50歳時点での生存率は99.7%ですが、75歳くらいには75%となり、ここから急速に悪化します。高齢化社会とは言われますが、94歳時点で生存率は10%を切り、100歳を超えると1%以下になります。この生存率をキャッシュフローにかけて計算してみました。

 

すると人生前半への影響はさほどありませんが、後半の落ち込みが急になることが分かります。80歳には人的資本は1000万円を切ってきます。ピークは29歳から38歳と、若干前倒しになります。

人的資本から金融資産へリバランス

こうやって計算すると、積立投資とは、人的資本を徐々に金融資産に移し替えることだと言えることが分かります。人的資本+金融資産のポートフォリオの中で、金融資産比率を徐々に高めていくことですね。

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また、若い内は人的資本の比率が大きく、人的資本からの収入は下方硬直性が高いため、無理に金融資産に投資するよりも、人的資本の増加のために投資するほうが効果が大きいことが分かります。要は、貯金するよりも自己投資して給料を上げろ、ということです。

 

金融資産を増やすエンジンは、人的資本からのキャッシュフローと金融資産自体のリターンです。若いうちに金融資産のリスクを取り、年を取ったらリスクを減らすということは、人的資本と金融資産を合わせた全体のポートフォリオの中で、リスク資産の比率を一定に保つということなのが分かります。

 

人的資本は、先の計算で見たとおり、歳をとるごとに減っていきます。一方で、金融資産には減っていくロジックはなく、基本的には増加していく仕組みです。人的資本が減耗してなくなってしまう前に、自律して増加する金融資産をどこまで増やせるか? それが、経済的な側面から見た人生戦略になります。

 

 【人的資本から収入が得られるということは、実質的にキャッシュポジションを持っているのと同じですね。その観点での計算です】

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 【資産を貯め込んでも、使わずに死んでしまう場合もあり得ます。死亡率のデータから、いつまでにどのくらいお金を使うのがいいのかを考えます】 

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