FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

セミリタイアの方程式

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このブログの主題はセミリタイアです。セミリタイアとは、生きていくために働く必要のない経済的独立を達成し、自由な人生を生きること。普通は会社を定年退職したあとがリタイアですが、その時年齢はすでに60歳越え。体力も気力も充実している40代のうちにリタイアし、残りの人生をやりたいことをやって過ごしていく。それが、このブログで提唱するセミリタイアです。

 

さて、セミリタイアを実現する最大の課題は「経済的独立」です。英語でいう、Financial Indipendenceです。この実現にはシンプルな方程式があります。

セミリタイアの方程式

必要資産(A)= (生活費(C) ✕ 残年数(Y))/(1+利回り(R))^ Y

 

セミリタイアに必要な資産(A)がいくらかを計算するには、上記の式に数字を当てはめればOKです*1。それぞれの意味を見ていきましょう。

 

まず生活費(C)が大きいと、当然必要資産が増加します。これは線形で効いてきますので、単純に生活費を半分にできれば必要資産も半分になります。

 

残年数(Y)が長いと、同じく必要資産が増加します。45歳男性の平均余命は36.82年。だいたい82歳まで生きる計算ですが、余裕を持って100歳くらいまで生きる計算にしておくのが重要です。

 

もう一つ、利回り(R)は、資産をどのくらいのペースで運用して増加させるかです。大きな利回りを実現できれば、必要資産が小さく済みます。こちらは非線形で効いてくるので、少しだけでも大きくなれば一気に必要資産は小さくなります。

残年数(Y)はコントロールできない

この中で、残年数(Y)はコントロールが難しい数字です。セミリタイアしたいから早く死にたい、という人はおそらくいません。120歳まで生きたい、というのはどうかと思っても、長く生きるにこしたことはありません。しかし長生きするほど資産が必要になってしまいます。

 

コントロールが難しい数字だということです。対策は2つあります。一つは年金です。不信感があっても、年金は生きている限りもらえるお金で、いわば長生き保険です。この金額がベースにある限り、どれだけ長生きしても最低限の保障があります。

 

年金という長生き保険を有効活用するには、繰り下げ受給が最も効果的です。70歳まで繰り下げて受給すると、月額が42%増加します。つまり、長生きするリスクへの備えが増加するわけです。

 

もっとも、代わりに65歳から70歳までの5年間の受給ができません。つまり、この5年間受給した年金を運用するのと、繰り下げ受給するのとどちらが有利かを考える必要があります。

 

これを細かく計算したのが、「年金をいつから貰うのが得かの計算」です。ここでは死亡率を加味して、繰り下げ受給するのと、早めに受給してそれを運用するのと、有利不利が逆転するのはどのあたりかを計算しました。

 

長生きに対するもう一つの対策が、大きな資産を持つことです。生活費が運用益以下である限り、どれだけ長生きしてもお金が足りなくなることはありません。総資産を増やすか、運用利回りを上げるか、生活費を下げることでこれが実現できます。

利回り(R)はリスクと表裏一体

もう一つのパラメータ利回り(R)はどうでしょう? この数字をちょっと上げるだけで、必要な資産は急激に小さくなります。3%で30年運用するのと、6%で30年間運用するのでは、2.3倍の資産差が出る計算です。

 

ただし、利回りはリスクの裏返しだということは忘れてはいけません。短期的には大きなリターンを上げることも可能でしょう。そのリターンが自分の実力だと思っても、実は単に運が良かっただけかもしれません。

 

長期的な計算が必要なセミリタイアでは、この利回りを大きく見積もることは失敗の危険が大きくなります。感覚的な話ですが、税引き後2〜3%と見積もるのが固い数字でしょう。

 

よく長期の株式投資のリターンは6%程度に収斂するといわれます。これ自体は歴史的な事実です。ところがこの6%は「平均値」だということに注意が必要です。株式投資のリターンが正規分布すると仮定した場合、平均値が6%なら、最頻値や中央値は6%を下回るからです。

 

つまり、平均すると6%だが、もっともあり得る可能性はもっと低いリターンで、100人の成績を並べた場合、50番目の人のリターンももっと低いということです。要するに、ものすごくいい成績を出した人が、平均値を引き上げているということです。

生活費(C)は唯一コントロール可能

こんな中で、唯一確実にコントロールできるのが生活費(C)です。生活費を半分にすれば必要な資産も半分になります。生活費は減らしただけ、必要な資産が比例して減少するのです。

 

さらに、セミリタイア前の段階でも、生活費を抑えることは大きなメリットがあります。当然、資産を構築する最大のエンジンは、収入からの貯蓄です。生活費を抑えると、この貯蓄額が増加するのです。

 

つまり、生活費(C)の抑制は、総資産(A)の増加をもたらし、さらに必要な総資産(A)を減らしてくれるのです。これだけ確実なセミリタイアへの道はほかにありません。

 

でも生活費を減らすなんて、生きている意味がないんじゃ? と感じますよね。ところが、人生の幸福は生活費の多寡に比例しないのです。カーネマン研究によると、年収の増加による人生の幸福感は、7万5000ドルあたりからフラットになります。贅沢な暮らしは、その金額ほど人生の幸福につながらないのです。

 

ただし逆にいうと、7万5000ドルくらいまでは収入≒生活費を増加させることで、幸福になっていくということでもあります。

セミリタイアで得るもの失うもの

こうした計算でセミリタイアできる資産を構築できたとして、それが望ましい人生かどうかは人によって違います。いうまでもなく、人生の良し悪しを決めるのは経済的自由だけではないからです。

 

例えば、社会的なポジションがそうですね。欧米では、人も羨む高い社会的地位を捨てて、自由な行き方に変更する人がいます。でも、日本では、そうした人は稀ですね。

 

ぼく自身も、世間でいわれる社会的なポジションと年収を捨てて、自由な生き方を選びました。自分の残りの人生を考えた場合、自由なほうが重要だと判断したからです。一方で、失った社会的ポジションと年収は取り戻せません。

 

当初は、これに対する恐怖もありましたが、実行してみるとやはり満足度のほうが高かったというのが実際です。ただ、これは大きく個人差があるでしょう。

*1:厳密には資産を取り崩していく場合は運用で得られる金額も減少していくので、ここまでシンプルではありませんが、おおざっくりこんな計算です。