FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

米高配当ETFのHDVとは何か?

再び米国株価指数が最高値を更新しそうな勢いです。上昇期間的にも価格的にも、FRBが予防的利上げというほど、ある意味末期的なイメージがあります。そこで、そろそろ純インデックスやグロース株のポジションから、高配当ETFへの乗り換えを考えています。

 

今回は、その中でもずっと気になっていた米国株高配当ETFのHDVについて調べてみます。

堅調な株価推移

「HDV」はブラックロックが運営するiシェアーズブランドのETFです。正式名称は「iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF」。ここ1年は特に好調で、15.11%のトータルリターンとなっています。

 

時価総額は約80億ドルと、よく比較されるVYMの330億ドルに比べると小さいですが、SPYDの17億ドルに比べると大きめ。米国上場ETFの時価総額ランキングでは、ほぼ100位相当となります。

 

信託報酬はかなりコストダウンされていて、0.08%。十分に納得できるコストだといえるでしょう。

 

気になる分配金利回りは3.31%。S&P500連動ETFの「IVV」は、過去1年のトータルリターンが10.38%、配当利回りが2.02%ですので、比較しても好調なETFだといえます。ただし、過去3年、5年、10年でみると、S&P500に軍配が上がります。

f:id:kuzyo:20190920152658j:plain

 

配当利回りの推移です。過去5年のデータを見ると、一時4%を超えたこともありましたが、2016年からは3〜3.5%あたりで安定しています。

f:id:kuzyo:20190920232710p:plain

Seeking Alpha

ベータは、S&P500が1.00(当然ですが)に対して、0.78と少々緩やか。過去3年のボラティリティも、S&P500が12.19%なのに対し、10.90%となっています。PERも、S&P500の21.02倍に対して18.41倍と、全般に穏やかな値動きになっています。

どういう観点で組入銘柄を決めているのか

まず日本語のHDV概要によると、

iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETFは、配当水準が比較的高位の米国株式で構成される指数と同等の投資成果を目指しています。

となっています。分かるようなわからないような。対象としているインデックスは「モーニングスター配当フォーカス指数」です。これは、「エコノミック・モート」と「デフォルトスコア」の2つの要素で米国企業をスクリーニングし、配当利回りで比重を決めた指数になります。REITは含まれあせん。

 

「経済的な堀(Economic Moat)」とは、業界内の競合に対する優位性を維持できるかどうかです。これは、配当の継続性があるかどうかを示すものだとされています。

The underlying index for HDV screens stocks based on their economic moat, which is a measure of a firm’s ability to maintain its competitive advantage over other firms in its industry.

続いて、「デフォルトスコア」は、企業のデフォルト(倒産)可能性を計測したものです。いずれもモーニングスターが独自に調査して決定するスコアです。財務健全性に基づき、セクター内の上位50%の企業が残されるようです。

The underlying index methodology for HDV incorporates Morningstar’s Distance to Default score, which uses market and fundamental data to measure a firm’s likelihood of defaulting on their outstanding debt.

こうして残った企業を、配当利回りの高い順に基本的に75位まで並べます。その上で、配当総額に加重で比率を決めます。時価総額が大きく、配当利回りが高いほど、その銘柄の組み込み比率は高くなる形です。

 

リバランスは、3、6、9、12月の年4回。かなり頻繁に銘柄が入れ替わります。

組入銘柄はエネルギー偏重

こうしたルールの結果、組入銘柄は、実はエネルギー関係偏重です。23.3%がエネルギーセクターでトップ。続いて2位に生活必需品が19.40%組み入れられています。

f:id:kuzyo:20190920153039j:plain

エネルギーセクターというのは、要するに石油銘柄です。特に石油メジャーが多く、組入銘柄のトップもエクソン・モービル(XOM)が9.61%を締めています。3位にはシェブロンが6.43%入っており、石油動向に影響を受けそうです。

 

全部で75銘柄に分散されていますが、上位10銘柄の合計で58%を占めます。

 

f:id:kuzyo:20190920153441j:plain

高配当銘柄を頻繁に入れ替える

配当利回りだけでなく、配当総額を計算に使っているため、株価変動などに

 

2016年9月から2019年9月までの直近3年間について、半年ごとの銘柄推移をまとめてみました。トップ10銘柄の合計で、55〜60%を占めています。不動の1位はXOM(エクソン・モービル)になります。直近では9.6%も組み入れられています。

f:id:kuzyo:20190923145912j:plain

このTOP10銘柄の組入比率推移をグラフにしてみます。18年1月まで2位だった「T」ことAT&TがTOP10から外れているのが分かります。逆に、「VZ」ことベライゾンは3位を安定的につけていますね。

f:id:kuzyo:20190923150058j:plain

 まとめると

HDVの特徴をまとめると、配当をたっぷり出す安定した大企業を75社集めたETFということになります。そのため、市場全体(S&P500)に比べて値動きは穏やかで、市場暴落時の下落幅も小さくなります。

 

一方で、成長力はあまり高くなく、ここ10年ほどで見ると、S&P500の年平均成長率が13.95%なのに対して、HDVは10.61%(配当再投資時)。配当再投資を行わないと、6.91%と下がります。

 

下記が、PortfolioVisualizerによる、HDV(Portfolio 1)とVIG(Portfolio 2)、そしてIVV(Portfolio 3)の比較です。

 

ボラティリティ(Stdev)や最大下落幅(Max.Drawdown)は小さいですが、リスクあたりのリターンであるシャープ・レシオは小さく、年平均成長率も他より下がります。まさに、安定のポートフォリオという感じです。

f:id:kuzyo:20190923180408p:plain

これだけ見ると、IVVのようなS&P500ポートフォリオのほうが優秀なように感じますが、この10年は米国株が絶好調でした。このあと、不調期に突入したときには、ディフェンシブなHDVの強みが出てくるのではないかと考えています。