投資でセミリタイアする九条日記

セミリタイアを実現したサラリーマン。ETF投資を中心に、太陽光投資や不動産投資、オプション、VIX、FX、CFDまで使って資産運用をしています。

NISAは本当に富裕層のための制度なのか?

金融庁が求めてきたNISAの恒久化が見送りになるようです。「富裕層の優遇だ」という指摘が理由の一つだそうですが、本当にそうなのでしょうか?

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NISAの概要振り返り

まず簡単にNISAの振り返りから。始まったのは2014年からで、今年2019年分は6年目になります。5年間の非課税なので、2014年分の非課税枠は終了しており、ロールオーバーした場合は、2014年分を2019年分に振り替えた形です。

 

当初年間100万円の限度額でしたが、3年目の2016年からは120万円に。直近5年の限度額合計は580万円になります。

 

制度は2023年までとなっていて、今回の恒久化はこの期間を無期限にするという要望でした。2023年ということは、あと4年分、新規の枠を利用できることになります。2023年の非課税枠は5年間有効なので、2027年までNISAの恩恵をうけることができます。

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図にすると分かるような分からないような。2014年の開始から、毎年新規の枠が追加で利用できるので、総運用可能額は増加してきました。2019年には、2014年分の非課税期間が終了したため、そのまま売却/特定口座へ移行/2019年分へのロールオーバーが選べるようになりました。ここからは、新規の枠が増えるとともに過去の枠の非課税期間が終了していきます。そのため、総運用可能額は600万円で固定です。

恒久化見送りで何が変わったのか

現制度のままだと、2023年を最後に新規の枠が使えなくなります。毎年非課税期間が終了していくので、総運用可能額は減っていき、2027年を最後にゼロになることになります。

 

もし恒久化がなされた場合、総運用可能額が600万円のまま続くことになったわけです*1

富裕層にとってのNISAの効果とは

今回言われたのは「富裕層の優遇」です。それは本当なのでしょうか?

 

まず定義でいえば、富裕層とは金融資産1億円以上を持っている人・世帯を指します。そうした富裕層にとって、600万円の非課税枠は、総資産の6%以下に過ぎません。NISAの20%の税金がゼロになるという非課税効果も、資産全体から見ると1.2%の節税にしかならないわけです。

 

小さくはありませんが、決して大きくもありません。NISA枠単体で見ると、非課税効果は利益を25%押し上げるわけですが、これが資産全体で見ると1.5%の押し上げ効果に減ります。消費増税分のカバーにもならないわけです。

本当に富裕層が使っているのか?

ではNISAの利用実態はどうなのでしょうか。金融庁発表の2019年6月末時点の利用状況をグラフ化したのが下記です。

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まずは年代ごとの口座数から。ひと目で利用しているのがシニア層なのが分かります。パイチャートにしてみると一目瞭然。退職後の60代以降が半数を占めていることが分かります。若いうちからの老後向け資産形成を後押しするという意図の制度だとしたら、20〜40代までの利用が全体の3割に満たない時点で、どうかなという感じです。

 

口座数を見る限り、富裕層優遇というより、シニア層優遇の制度のように感じます。

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ではどのくらいの資産が運用されているのか?

しかし口座数だけでは実体は分かりません。口座は作ったが、入金していない、ほんの少し試しに入れただけ、という場合もあるからです。今度は総買付額を見てみます。

 

あらら。60代以降の比率がさらに高まりました。実際に使っているのはやはりシニア層のようです。

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でも、シニア層は口座数も多かったですね。口座あたりの総買付額はどうなのでしょうか。こちらも60代の圧勝ですが、意外と差が縮まりました。20代と60代で比べても開きは2倍以下です。また、20代は過去5年分の非課税枠を全部は使えていない人がけっこう多いはずです。それを考慮すると、この額は立派だともいえそうです。

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平均すると口座あたり170万円

別の観点で注目したいのは、全年代を均しても、口座あたりの総買付額は170万円でしかないということです。年間120万円の枠があるのに、過去5年で買い付けられた額の平均が170万円です。

 

つまり、平均で見た場合、年間120万円の枠をほとんど使い切れていないということです。おそらくこの現状から、つみたてNISAでは、年間40万円に限度額を小さくしたのでしょう。

 

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*1:もっとも恒久化はしませんが、期間延長の方向で検討中のようですが