優待クロスはノーリスクで優待という果実を得られることもあって、信用売り在庫が残っていれば、わずかな利益でもつい獲得したくなってしまいます。しかし、投資先は優待クロスだけではありません。いったい、どう判断したらいいのでしょうか?
ノーリスクで期待できる利回りは?
まずはノーリスクで取得できる利回りについて考えます。国の信用に基づくレベルのものをノーリスクというなら、その選択肢はいくつかあります。
- 楽天マネーブリッジ済み普通預金 0.1%
- あおぞら銀行BANK支店普通預金 0.2%
- じぶん銀行円定期 0.35%(拘束期間 3ヶ月、キャンペーン)
- 個人向け国債キャッシュバック 0.4%(拘束期間1年)
- FXスワップアーブ 2〜6%(拘束期間3日〜40日程度)
- ソーシャルレンディング 5〜10%(拘束期間 3〜2年程度)
こうして並べてみると、資金管理の手間やロスカットリスクはありますが、FXスワップアーブが拘束期間も短く、利回りの良い運用先であることが分かります。
優待クロスの比較用利回りをどう考えるか?
こうした運用先と、優待クロスを比較するにはどうしたらいいのでしょう? 優待クロスはうまくいけば2〜3日しか資金を使わず、結構なリターンを得ることができます。しかし最近では日興証券を使い、1〜2ヶ月前からクロスするのが普通になってきています。
また優待クロスのチャンスは年に12回しかありません。優待クロス用に資金を確保するとして、それを活用できるのは12回だということです。しかも、10月のようにめぼしい優待がない月もあります。平均すると、資金を有効活用できるのは8ヶ月程度というところでしょうか。
そこで、まずは1回のクロスで得られる単純利回りを考えます。得られた優待を現金化した金額から、クロスにかかるコストを引いて、利益を計算します。そして、そのために費用な資金で割ることで、単純利回りが出ます。例えば、1000円のQUOカードを10万円の資金で得られ、そのためのクロスコストとして100円かかったとします。QUOカードの売却価格は94%程度なので、940円からコストの100円を引きます。840円を10万円で割ると、0.84%になります。
この例では、1回のクロスポジションで0.84%の効率で資金を運用できました。これが年間8回あると考えると、6.72%となります。
このレベルの利回りならば、FXアーブよりも効率的ですね。
年換算2%を超えるには、必要な1回の単純利回りは?
では、仮にターゲットを年2%として、それを達成するのに必要な1回の単純利回りはどれくらいでしょう? シンプルに8で割ると、0.25%になります。これ以上の利回りが出るなら、優待クロスはGOということになります。
0.25%ならば、例えば10月末時点でQUOカード1000円の銘柄を日興証券でクロスしても達成できる値ですね。
ただし、年換算4%をターゲットにするなら、その倍、0.5%が必要です。こうなるとちょっと厳しくなってきます。
手間暇とミスの可能性を勘案する
こう見るとなかなか悩むところです。4%程度ならば、FXスワップアーブでも十分に実現できるからです。
一方でリスクはどうでしょうか? FXスワップアーブにはスワップ変動による逆ザヤの可能性や、ロスカットのリスクがあります。しかし優待クロスにも、操作ミスによるロスや、毎日在庫を確認してポチポチ操作しなくてはいけないという手間があります。
これらを勘案すると、1回につき0.5%以上の利益が得られる案件にだけ投資するというのが、ぼくの場合の優待クロスの目安になりそうです。