FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

経営者とボードゲーム 孫正義のゲーム好き

経営者の中にはボードゲームが好きな人がけっこういます。そして、実はボードゲームで勝てる要素と、経営で成功する要素は似たものがあるのではないか? とも思っています。

経営とボードゲームの関連性

リタイアしたブロガー、「きりんの自由研究」きりんさんが次のツイートをしていました。

 

ボードゲームにはいくつかの要素がありますが、「運の要素」「対人要素」が必須。そして、経営に近いゲームには、

  • 限られた資源を有効活用して、規模を拡大して他のプレーヤーに勝利する

というものがけっこうあります。

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有名所ではモノポリー、カタンもそうですし、ドミニオンもその一つです。最初の資源は少なく、それだけではゲームに勝つことはできません。ところが、それを使って利益を上げ、投資することで、さらにリターンを増やすことができます。

 

モノポリーでいえば、手持ちの現金を買って土地を買い、その土地に誰かが止まることでさらに現金を入手できます。カタンでは、手持ちの資源カードを使って土地を買うことで、さらに資源を入手できる確率が増し、その資源でさらに土地を買っていくゲームです。ドミニオンも、手持ちのカードの金を使って新たなカードを買い、それによってさらに金を増やすというものです。

 

この限られた資源を有効活用して、それを拡大再生産に使うという要素は、経営に本当によく似ていると思いませんか。もちろん、ゲームも経営も、それだけではなくさまざまなエッセンスがあり、「いま拡大すべきかどうか」「どの方向に拡大すべきか」「共存共栄を考え得るべきか、敵の妨害に資源を使うべきか」など、相手がいることで戦略の選択肢は無限に広がります。

孫正義社長のゲーム好き

じつはソフトバンクの孫正義社長も、大のゲーム好きです。正確には、ゲーム自体が好きというより経営に役立つものとして本気でゲームに取り組むことがあります。ソニーが開発した研修向けゲーム「マネジメントゲーム(MG)」がそれです。

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創業直後、スクールに通ってMGゲームをやり込んだという逸話もあるそうで、このゲームをやるときは「絶対に負けない!」という思いを滾らせて取り組みます。

 

MGゲームは、企業経営を模したボードゲームで、プレーヤーは手持ちの現金を使って工場を建て、資源を買い、製品を作って市場で製品を売って売上をたてます。しかし、市場で売るときは他のプレーヤーとのセリとなり、最も安い値付けの製品から売れていきます。ここに戦略が出てきます。

 

安い製品を作るには、たくさんの工場を建てて製造原価を引き下げ、販売能力を増強して大量販売するという方法が一つ。そして、他人よりも高くても販売競争力を維持できる「研究開発」にお金を投じるという方法が一つです。いずれにしてもお金が必要なので、どこに限られた資金を投じるかが悩みどころです。

 

さらに、みんなが大規模工場を建てて販売合戦になると、よくて薄利多売、悪くすると売っても売っても赤字だが、期末の給料支払のための現金を入手するために売らざるを得ないなんてことにもなりかねません。

 

プレーヤーの中には、こじんまりとした商売をして、手堅く毎期黒字を出そうというプレーヤーもいれば、最初に2期、3期は大赤字でも大規模投資をして一気に優位に立とうという人もいて、市場の見極めが重要なポイントになります。

孫社長のMGゲーム戦略

ちなみに孫社長のMGゲームでの戦略は、可能な限り借金をして大規模投資を行い、大量生産で安売りするという、Yahoo!BBのやり方を思い出させる作戦です。

 

さらに、MGゲームにはいくつかゲームとしての特徴を突いた戦略があります。たとえば、買える材料に限りがあるため、それを買い占めてしまうことで、他のプレーヤーが製品を製造できなくし、品不足となっている市場に高く売るという方法です。これは大規模資本ならではの方法ですね。

 

また「暗黙の談合」戦略もあります。これは、市場の購買力が10のところ、10の商品をセリで争うのではなく、敢えて5だけ販売することで相手にも5だけ売らせるという方法です。相手が一定以上に頭がよければ、安売り10個売るよりも、お互いに高値を付けて5づつ売るほうが利益があがることが分かります。全力で攻めないで、ライバルと利益を分け合うことで、高い利益率を享受するという作戦です。なんか、いまの携帯3社の作戦にもつながるものがありますね。

経営とボードゲームの違うところ

そうはいっても、経営とボードゲームの大きな違いもあります。その最たるものは、社員のマネジメントでしょう。ボードゲームでは社員はリソースであり、命令のままに常に同じパフォーマンスを発揮します。しかし、実際の経営ではそうはいきませんね。

 

権限は移譲していく必要がありますし、社員のモチベーションを高く維持することが、総合力につながります。いかに人を動かすか。これは、リアルな経営の場において最も重要だと言われることです。これは、ボードゲームにはない要素です。

 

経営が金を儲けるというゲームならば、ボードゲームに似ているのですが、組織を運営するというゲームでもある以上、これは政治のゲームになります。こうした「人を動かす」ことに魅力を感じる人もたくさんいると思いますが、投資のように「金を動かす」ほうがボードゲームには似ていますね。どちらのほうが得意か、どちらのほうが向いているかは本当にひとそれぞれだと思います。

 

 

www.kuzyofire.com

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