FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

個人投資家にとってのベンチマークとは?

機関投資家や投資信託のファンドマネージャーは、一般にベンチマークに勝ったかどうかで評価されます。この場合、例えば株ならTOPIXやS&P500などの市場平均の株価指数がベンチマークですね。

 

しかし、個人投資家はこうした株価指数に対して勝った、負けたで自分の投資を評価していいのでしょうか?

アルファ(α)を求めるかどうか

一般に、銘柄を選んで投資を行うアクティブファンドは、市場平均全体を買うインデックスファンドに負けると言われています。プロである投資家であっても、市場平均には勝てないわけです。

 

ちょっと考えてみれば、これは当たり前で、プロも含めた投資家全体の成績が市場平均なのですから、プロ全員が市場平均に勝てないことはすぐに分かります。さらに、アクティブファンドを運営するプロは、1%程度の報酬を取ります。この報酬を引いても市場平均に勝てるファンドは少なく、長期で見るとほとんどいないというわけです。

 

それでも中には市場平均を超え続ける凄腕のファンドマネージャーもいます。市場平均を一般にベータ(β)といい、このベータを超える成績の部分をアルファ(α)と呼びます。ファンドマネージャーは、アルファを取れるかどうかを競っているというわけです。

市場平均が悪ければ、アルファがあってもマイナスリターン

市場平均をベンチマークに評価する場合、投資家にとってちょっと嬉しくないことも起きます。リーマン・ショックのときのように、市場が暴落したときのことを考えてみると、市場平均は大きなマイナスです。そのため、仮に多少市場平均を上回る成績を上げても(アルファを取れても)、絶対値としてのリターンはマイナスになってしまいます。

 

プロの投資家は、市場に勝った負けたで勝負して、それで評価されればいいのですが、個人投資家は、実はリターンがプラスだったりマイナスだったりしてしまうわけです。

世界最大のヘッジファンド、レイ・ダリオのブリッジウォーターの場合

 ちなみに、世界経済のヘッジファンド、ブリッジウォーターを運営するレイ・ダリオのポートフォリオは、2つに分かれています。

www.financialpointer.com

 

  • ピュア・アルファ: アクティブ運用。アルファを積極的に求めるもの
  • オール・ウェザー: 大きなドローダウンを避け安定的に成長させる

ピュア・アルファ(Pure Alpha 1)の2015年までのパフォーマンスは下記になります。

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The Efficient-Market Hypothesis - (How) can DARWINs beat the Market? - Trading topics - Darwinex

S&P500と大きくパフォーマンスは変わりませんが、大きなドローダウンなく安定して成長しているのが分かります。オールウェザーのほうはもっと保守的です。基本的なアセットアロケーションとしては下記のようになっています。

  • 株式         30%
  • 中期米国債(7-10年) 15%
  • 長期米国債(20-25年)  40%
  • 金          7.5%
  • 商品         7.5%

よく言われる、株式40%、債券60%のポートフォリオと比較すると、株式の比率が少なめで、金が入っており、コモディティも入っていることです。これが、特にインフレ期に強みを発揮するとされています。

株式のリターンは揺るがないが、安定して資産を増加させたい

ここまで状況を見てきて、分かることはいくつかあります。まず個人投資家は、別に株式市場に勝つ必要はないということです。究極の目的は、資産を増やしていくことで、株式市場に勝ち続けても、資産が減ってしまっては失敗だといえます。

 

では安定して増えればいいかというと、そうでもありません。超長期で見ると、シーゲル教授がいうように株式のリターンはほかの何より上です。有価証券への投資において、株式を入れないという選択はありえないでしょう。

 

しかし株式市場は上がるときは上がりますが、ダメなときは10年近くダメなんですね。そして、この10年、特に米国株式市場は上がりすぎました。暴落するのか、いつ下がるのかは決して分かりませんが、歴史的に見るとかなりの高値になっているのは間違いありません。

 

そして株式のヘッジとして語られる債券ですが、こちらが現在バブル状態です。債券価格は金利と逆相関しますが、現在は世界中で低金利を通り越したマイナス金利状態です。つまり、債券はここ10年、異様なほど値上がりしているわけです。

 

通常金利を下げるとインフレが起きますが、日本がそうであるように、インフレを作り出そうとしても起きないのが現在ですね。ずっとデフレが続き、インフレってなんだっけ? とうくらい、インフレが忘れ去られています。逆にいうと、何かの弾みで再びインフレが到来する可能性があるともいえます。これに備えるのが、金であり商品(コモディティ)です。

 

現在は、いくら金利を下げてもインフレにはならない。世界のルールは変わった、と見られています。でも、さまざまな株式バブルが起きるたびに、「世界のルールは変わった」と言われ続け、株高が肯定されてきました。実は世界のルールはそんなに簡単には変わらないものかもしれない、そんなふうに考えると、インフレへの対策を打っておくことは重要になるのだと思います。

結論:株価指数はやはりベンチマーク しかし勝つよりも安定増加が重要

さて、ここまで考えて、ぼくの結論です。超長期で見て、最良のリターンを出すのが株式。その1点から見て、やはりベンチマークは株式です。

 

ただし、市場平均に勝つ、アルファを求める必要はないと思っています。株式は長期低迷することもあり、取り崩しが発生するタイミングで株価が下落していることだってあるからです。

 

重要なのは、株価指数にある程度連動しながら、ドローダウンを小さく、リスク(分散)が小さく、安定して資産が増加すること。そう考えると、レイ・ダリオのオールウェザーポートフォリオはさすがです。