FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

太陽光発電事業の企業価値を改めて試算 2020年版

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毎月、ポートフォリオ報告という形で総資産のチェック(B/S)とインカムの状況(P/L)をまとめています。そしてそろそろ太陽光発電所の一基目が稼働するので、そろそろ再評価を行っておこうと思います。

基本的な考え方はDCF

企業や債券など、商品の価値を評価する際には複数の方法があります。よく言われるのが、コストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチですね。

 

コストアプローチは、要するにかかったコストを足し合わせて価値とする方法です。ただし、太陽光発電のような場合は明らかにこれは適切ではありません。投下コストは売却価格とは全く一致しないからです。

 

マーケット・アプローチは、同じような資産がいくらで売買されているかを見て価値を算定します。昨今は太陽光発電所のセカンダリーマーケットも整ってきていて、売却時の評価も出せることは出せますが、こちらもまだ適切とは言い難そうです。

 

ということで、インカムアプローチです。これはその資産が将来生み出す収益(インカム)を足し合わせて価値とします。ただし、今年のインカムと、来年のインカムでは価値が違います。未来のインカムほど価値が下がるからです。どのくらい価値が下がるかを「割引率」といいます。この割引率に基づいて将来のインカムを割り引いて、全部出し合わせるのがDCF法です。

割引率をどうするか?

太陽光の場合、20年分のキャッシュフローはほぼ正確に計算できます。それを割り引いて足し合わせればいいのですから、簡単といえば簡単です。しかし問題は「割引率」をいくつにするかです。前回の試算では、インフラファンドが採用しているリスクプレミアムにリスクフリーレートを足して、割引率2.1%で計算してみました。

 

割引率が大きければ将来のインカムを小さく評価することになるので、価値が小さくなります。逆に小さな割引率なら価値が大きくなります。

 

普通の企業価値評価では、負債コストと株主資本コストを合わせたWACCを使いますが、今回はM&Aをするわけではないので負債コストは計算に入れません。負債部分の利払いと元本返済はキャッシュフローに反映されていますので、今回考える必要があるのは株主資本コストだけ。100%株主資本コストという考え方でいきます。

 

株主資本コストは、株主が期待する収益率であり、CAPMで導く方法が一般的です。

  • 期待収益率 = リスクフリーレート + β ✕リスク・プレミアム

国債の利回りであるリスクフリーレートに、市場感応度であるβとリスクプレミアムを掛けたものを足すことで求めます。でもまぁこれは株価の場合ですね。太陽光発電にβなんてありません。

 

よくよく考えてみると、今回の話はもっと簡単です。ぼくが太陽光発電のアセットクラスに対する期待収益率を、6%と置いているからです。

期待収益率が6%とはどういうことか

さて期待収益率が6%というのはどういうことでしょうか。これはその資産を保有しているとき、投資額に対して年平均で6%のリターンが得られることを指しています。毎年6万円をコンスタントに生み出す資産であれば、その資産の価値は100万円だということです。

 

もし収益がコンスタントではなく、年によってバラツキがあるとしたら、IRRを計算してそれが6%となる初期投資額が、資産価値ということになるでしょう。

 

例えば、売電収入からコストと利払い、元本返済を引いたキャッシュフローが40万円、ローン返済後の16年目から20年目までは130万円を生み出す太陽光発電所があったとします。これに対してIRRが6%になる初期投資額は617万円だということが分かります。同様に、各年のキャッシュフローを6で割り引いて合計すると、その合計額、つまりDCFによる評価も617万円になります。

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こう計算すれば、毎年平均して6%のインカムを生んでくれる資産と同額となる価値がいくらなのかを導き出すことができます。

具体的な計算方法

では具体的な計算方法です。これまでは確保した各発電所を割引率約2%で割り引いて現在価値を計算し、それを資産価値として評価していました。でもよくよく考えるとこの方法はよくないですね。

 

確保しているのはいいととして、その発電所への資金投入はまだのところがけっこうあるからです。本来は稼働して始めてキャッシュを生むことが確実になるものなので、土地を決済して稼働が確実になって初めてDCFで収益を足し上げる必要があります。

 

ではすでに支払い済みの土地手付金などはどう考えればいいでしょうか? これはもし稼働しなければ返済されるお金なので、無利子の貸付金と同じです。つまり、資産額にそのまま足し合わせる必要があります。

  • 稼働見込みの発電所のDCF評価(割引率6%)+手付金など支払い済み金額(※稼働発電所の費用は足さない)

これが太陽光発電所群の資産評価額となります。

 

ということは、1つも稼働していない現在の状況では、要は支払い済みのコストだけが資産評価額ということですね。

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