パッシブインデックス投資家にとって、1つの王道は全世界株式に投資することです。ところが、一口に「全世界株式」といっても、微妙な違いがあります。多くのファンド/ETFは、世界株式指数の代表である、MSCI All Country World Index(ACWI)か、FTSE Global All Cap Indexに連動した値動きを目指します。
では、MSCI ACWIとFTSE Global All Cap Indexの違いはどこにあるのでしょうか?
どの指数に連動するか
メジャーな世界株式インデックス連動投信やETFが、どちらの指数に連動するのかを最初に確認です。
- バンガード トータル・ワールド・ストックETF(VT) FTSE Global All Cap Index
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) MSCI ACWI
- iシェアーズ MSCI ACWI ETF(ACWI) MSCI ACWI
- たわらノーロード 全世界株式 MSCI ACWI
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド VT→FTSE Global All Cap Index
なるほど、メジャーなものだけを見ても、FTSE派とACWI派に分かれていることが分かります。
MSCI ACWI
MSCI ACWIは、23の先進国と27の新興国の大型株、中型株、計3050種について、時価総額加重平均で表されます。各市場の時価総額の85%をカバーするとしています。カバーしている国は下記の通りです。アフリカのほとんどや中南米、中東、東欧地域については入っていませんが、これら23カ国は「MSCI ACWI & Frontier Markets Index」のほうでカバーされます。
下記に示したのは2017年時点の構成国の分類です。先進国は2020年時点も変わっていませんが、新興国については3カ国増加しています。アメリカ地域にアルゼンチンが追加、欧州&中東地域にサウジアラビア、エミレイツが、太平洋地域にパキスタンが追加されています。
セクター別と国別の比率は次の通りです。国についてまとめると、次のようになります。
- 米国 55.59%
- 日本 7.17%
- 英国 4.81%
- 中国 4.19%
- フランス 3.34%
- その他 24.9%
FTSE Global All Cap Index
FTSE Global All Cap Indexは、FTSE Global Equity Index Series (GEIS)の中の指数の1つです。ACWIとの違いは、大型、中型株だけでなく小型株も含んでいることで8000種類の株式を含むとしています。世界で取引可能な株式の約98%をカバーということです。
国数で見ると、49カ国です。あれ? ACWIよりも一国少ないぞ、と思ったら、こちらにはアルゼンチンが含まれていません。Bloombergによると、ACWIにアルゼンチンが入ったのは19年だったようです。
国別の比率は次の通りです。小型株を含むせいか、微妙にACWIと比率が違いますね。
- 米国 54.93%
- 日本 7.59%
- 英国 5.08%
- 中国 3.77%
- カナダ 3.02%
- フランス 2.99%
- その他 22.62%
パフォーマンスの比較
さて、現時点でのパフォーマンスにはどのくらいの違いがあるのでしょうか。どちらのほうがリターンが大きいという比較というより、小型株が入っているかどうか、時価総額ベースで14%変わるとどのくらいの影響があるのかという観点でチェックです。
うーん。さすがにほぼ違いがありませんね。これだけ見ると、まぁどちらの指数に連動でも、ほとんど変わらないといえそうです。