FIRE:投資でセミリタイアする九条日記

FIREを実現したサラリーマン。ETF投資を中心に、太陽光投資や不動産投資、オプション、VIX、FX、CFDまで使って資産運用をしています。

株式価値の9割は、翌年以降の利益でできている

今回のコロナショックのように事件が起きると、株価が大きく下落します。「これで企業業績が大きく崩れるのではないか」から始まり、「これだけ下がるということはもっと下がってもおかしくない」という気持ちが下げを加速させます。

 

でも落ち着いて考えてみましょう。株価が決まる根拠は何なのか。それは一般に、将来企業が生み出す利益(≒キャッシュフロー)の合計だと言われています。

企業が未来に渡って生み出す利益の合計が企業価値=株価

ファンダメンタルズ分析をされている方なら常識だと思いますが、株価に関わらずさまざまな金融商品の価格計算のポピュラーな方法は、それが将来に渡って生み出すキャッシュフローの合計だというものです。

 

毎年100万円の利益を上げている企業ならば、翌年も100万円、その次の年も100万円と利益を上げ続けると仮定して、利益を合計したものがその企業の価値になります。この価値を、発行済み株式数で割ったのが株価ですね。

 

あれ、利益を合計していったら無限になってしまうじゃないか?と感じるかもしれませんが、ここにちょっと仕掛けがあります。現在の100万円と未来の100万円は価値が違うからです。現在の100万円を定期預金においておけば利息が付きます。利息が1%だとしたら、101万円になるわけで、つまり現在の100万円と1年後の101万円が同じ価値だということです。

 

逆に、1年後の100万円を利息の1%を加えた101%で割ってあげれば、現在の価値が分かります。99万99円ですね。これを「割り引く」といいます。

 

このようにして、利率で将来の利益を割り引いた上で足し合わせたもの、これが実際の企業の価値になります。この方法をDCF法といいます。

今年の利益は企業価値のどれくらいを占めているのか

では、企業価値の中で、将来の利益から生まれる部分は、どのくらいの比率を占めているのでしょうか。CFが変動せず、割引率を5%と仮定して計算すると次のようになります。

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1年目については、企業価値全体のわずか5%の比率しかありません。1〜2年分を合計しても、企業価値の10%です。そう、企業価値のほとんどは翌年以降の長期に続く利益が形作っているのです。

 

このことを、シーゲル教授は次のように話しています。

株式の価値の90%超は、1年後以降の利益を反映したものだと指摘する。
仮に1年分の利益が吹っ飛んで、1年後に通常に戻る場合を想定すると、株式の90%超の価値は維持されると説明する。
そして、米市場はすでに10%以上下げている。

www.financialpointer.com

翌年には利益が戻るのなら、企業価値の9割は維持されている

このことは、例えコロナショックで企業の利益がゼロになろうとも、翌年以降に利益が戻るのであれば、企業価値の9割以上は保持されているということを意味します。

 

それでも株価が10%以上下がっているということは、市場が次のようなことを考えているということでしょう。

  • コロナショックの企業利益への影響は、翌年以降にも続く
  • 単なるパニック売り

もちろん、仮に今年の利益がすべて吹き飛ぶとしたら、企業の状況によって資金繰りがうまくいかず、倒産という可能性もあります。もし倒産したら翌年以降の利益もゼロになるので、倒産可能性が高まることは価値評価を引き下げる要因でしょう。

 

またコロナショックを契機に人々の消費行動が変わり、企業の利益構造に大きな変化をもたらす可能性だってあります。例えば、これまで旅行していた人が今後は取りやめて、家でゲームをしてるとか。まぁでもそれが大規模に起こるとも考えにくいですね。

 

特定の企業においては、こうした想定も成り立ちますが、市場全体、インデックスで見た場合は、やはりファンダメンタルズ的に下げすぎと考えるのが妥当ではないでしょか。

企業価値に影響を与えるパラメータ

このDCF法で企業価値を考えた場合、ほかにはどんなものが影響を与えるでしょうか。先のグラフのように、将来の利益を割り引いた上で足し合わせるのは、一見複雑そうに見えて、実は単純です。高校で習う、無限等比級数の和となるからです。

 

結局、下記の式で計算することができます。

  • 企業価値 = キャッシュフロー(CF) ÷ (割引率 − CF成長率)

CF成長率がゼロなら、CFを割引率で割ってあげれば企業価値となります。

 

これをみると、企業価値に影響を与えるのが何なのかが分かります。まずは「CF成長率」です。ただし、CF成長率が増加すれば株価上昇、CF成長率が縮小すれば株価下落なのには注意です。高成長が続いている企業は、それがすでに企業価値に織り込まれており、もし成長率が低下したら価値低下となるということです。

 

そしてCF成長率と同じレベルで重要なのが割引率です。言い換えれば、現在の100万円と1年後の100万円の価値がどれくらい違うかを示すものですね。

 

一般に、リスクフリー資産と言われる国債の利回りに、投資家が得たい追加利回り(リスクプレミアム)を足したものを割引率に使います。これまでの株式利回りをみると5〜6%前後程度、国債利回りが米国の場合で2%程度なので、リスクプレミアムは3〜4%程度という感じでしょうか。

 

コロナショックのように将来が不透明になると、将来CFは変わらなくても、リスクが高まったと投資家は判断するので一時的に高いリスクプレミアムを求めます。これによって、割引率が増大し、企業価値が下落、株価が下落します。

 

一方で、国債利回りが低下すると、割引率も低下し、企業価値は増大、株価は上昇します。FOMCで11年ぶりの利下げがアナウンスされましたが、0.5%も利下げされれば割引率も変わり、つまり企業価値は増大することになります。

www.bloomberg.co.jp

モメンタムではなく企業価値で見れば、もっと下がるかもしれなくてもバーゲンセール

「もっと株価が下がるかもしれないから、買えない」。こんな人もいるかもしれません。でも、ファンダメンタルズ的に見れば、その企業の本来の価値よりも安く買えるときがバーゲンセールです。

 

もしもさらに安くなったとしても、本来の価値より安く買えたのだからよしと考えるのも、ひとつの合理的な判断でしょう。

www.bloomberg.co.jp