FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で自由主義者、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

分配利回り6から7%に上昇 インフラファンドの検討(2)各投資法人比較

前回の記事で、太陽光発電という基本的には景気などに影響されない安定した事業を営むインフラファンドの概要をまとめました。今回は、では具体的にどんなファンド(投資法人)があって、どのような特徴を持つのかを考察してみます。

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2016年スタート 全7銘柄のインフラファンド

インフラファンドは2016年にスタートしました。第一号は、「タカラレーベン・インフラ投資法人」【9281】の6月2日上場です。その後、「いちごグリーンインフラ」【9282】が上場し、各ファンドは規模を拡大してきています。年々新規上場が続き、現在は7銘柄。直近では、「ジャパン・インフラファンド」【9287】が2月20日に上場しました。

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※エネクス・インフラ投資法人資料より

ちなみに、太陽光の年間発電量は、1kWあたり1200kWhと試算されており、インフラファンドの出力合計約400MWは480MWhにあたります。日本の年間発電量は約10.5億MWh。うち太陽光は6.5%(2018年)を占めます。6826万MWhという計算です。日本の太陽光発電全体で見ても、まだ7%程度を占める規模だということが分かります。

  • タカラレーベン・インフラ投資法人 【9281】
  • いちごグリーンインフラ投資法人 【9282】
  • 日本再生可能エネルギーインフラ投資法人 【9283】
  • カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人 【9284】
  • 東京インフラ・エネルギー投資法人 【9285】
  • エネクス・インフラ投資法人 【9286】
  • ジャパン・インフラファンド 【9287】

各投資法人の保有資産と出力

太陽光発電は典型的なインフラビジネスなので、土地とパネルのボリュームが売上に直結します。しかもFITの元で売電価格も高値安定しています。では、各投資法人の物件資産額と太陽光システムの出力合計を見てみましょう。

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ほぼ物件取得価格と出力合計が連動しているのが分かります。土地を安く手に入れられるとか、パネルを安く手に入れられるとか、日当たりの良い良好な場所に設置するとかで、価格の割に出力が大きいというものもあるでしょうが、各社ほぼ変わりません。

 

出力が大きいのは、カナディアン・ソーラー、タカラレーベン・インフラファンド、そして日本再生可能エネルギーインフラ投資法人になります。ほかの4ファンドは50MW以下であり、比較的小規模です。

物件数と出力の関係 

ではこの出力をどんな構成で実現しているのでしょうか。小さめの物件を数多く保有しているファンドもあれば、大きな物件がメインのところもあります。

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大手3ファンドも、それぞれ方向性が異なることが分かります。カナディアン・ソーラーは物件数を抑えており、1物件あたりの平均出力は5.7MWと、日本再生エネルギーの3倍近くになります。 つまり、大規模だということですね。

 

実際、カナディアン・ソーラーは21物件を保有していますが、出力上位5物件が出力の77%を占めています。少数の物件に負ったポートフォリオだということです。ほかは上位5物件の比率が50%程度ですが、日本再生エネルギーだけは29%と低く、分散が効いています。

地域の分散は効いているか

太陽光でもう一つ気になるのは、物件所在地です。地域によって売電先電力会社が異なり、一時的な電力供給過多で売電が停止する電力抑制(出力制御)の危険があります。また、災害時に受ける影響を考えても、特定の地域に集中していることはリスクです。

 

一方で、日照量的に有利な地域、不利な地域はあり、例えば九州などは有利と言われてきました。

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各社、かなりの偏りがあります。タカラレーベンは関東偏重。7割が関東です。カナディアン・ソーラーは5割強を九州に置いています。東京インフラは、東北が約7割。エネクスは関東が9割を超えます。ジャパンインフラファンドは8割以上が北陸です。

 

こうした中、全国に比較的分散されているのはいちごグリーンと日本再生エネルギーです。

出力制御(電力抑制)のリスク

出力制御のリスクはどうでしょう。出力抑制は、電力の需給バランスが崩れ、供給過多の際に売電が止まる仕組みです。離島など人口や産業が少ない場所で起こりやすく、関東など需要が多いところでは起きにくいと見られます。また、近隣エリアと電力を融通しやすい、東京電力、中部電力、関西電力もリスクが小さいでしょう。

 

最もリスクが大きいと言われるのが九州です。下記は経産省の資料で、2018年の5月の状況です。なんと太陽光出力が電力需要の8割に達し、火力発電所の出力を減らしたり、ダムの水を汲み上げることに使っても余ってしまうという状況になりました。

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九州の物件が、21物件中9件を占めるカナディアン・ソーラーでは、出力制御の影響についても公開しています。これによると影響は大きくても2%程度のようですね。

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ただしカナディアン・ソーラーの純利益率は約25%です。コストはほぼ固定なので、売上の2%減少は、利益に4倍の8%の影響を与えることになります。イコール、分配金の8%減少です。これは小さくはありません。

借り入れの状況

太陽光では、投資家から集めた資金に加えて銀行借入れを使って設備を作ります。借り入れが多ければレバレッジが効いて利益率が上がりますが、逆に金利上昇時などに悪影響を受けます。

 

インフラファンドの場合、LTV(Loan to Value)という指標でこれが開示されています。総資産に占める有利子負債の比率を示したものです。50%であれば、総資産の半額分の負債があるということです。

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借入金利の状況はどうでしょう。ここは多少方針が違い、金利スワップなどで固定金利化しているところではだいたい1.7%程度の金利。一方で、変動金利の比率が大きい日本再生エネルギーは約0.76%の金利での運用です。リスクを負っている分、1%ほど金利が低く、それがリターンに反映されていると考えられます。

  • タカラレーベン 金利スワップを活用
  • いちごグリーン 長期借り入れはすべて金利スワップで固定化
  • 日本再生エネルギー 固定比率10%
  • カナディアン・ソーラー 固定金利比率80.48%
  • 東京インフラ 長期借り入れはすべて金利スワップで固定化
  • エネクス 固定化率50%

発行体の格付け(倒産確率)については、R&Iが発行しているファンドについてはそれぞれA-となっており、AAA、AAに次ぐものですが「信用力は高く、部分的に優れた要素がある。」となっており、投資適格ではあります。

全体のまとめ

各ファンドの状況を見てみました。各ファンドとも事業モデルはほぼ同じで、違うのは規模と分散具合、そして借り入れ方針です。

 

規模では、タカラレーベン、日本再生エネルギー、カナディアン・ソーラーが大きく、他の2倍以上。ただし、カナディアン・ソーラーは特定の発電所の比率が大きく、また九州地区に偏っていることがリスクです。タカラレーベンは関東比率が大きいですが、東京電力関内は需要も大きいため、地震災害などのリスクはあるものの、出力制御の可能性は低そうです。

 

日本再生エネルギーは広い地域に分散されており、特定の発電所への依存も小さいですが、変動金利の比率が大きく、金利上昇時のリスクを持っています。

 

これらを踏まえた上で、次回は配当状況やリターンの状況をチェックしてみます。

 

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