3月30日に市場が開けてすぐ、南アランドが大幅下落しました。前週末の6.1円から、窓を開けて一気に5.9円へ。約4%の下落です。朝起きて、ポジションを確認したら一気に証拠金が足りなくなっていて、慌てて入金です。
ムーディーズ格付けがジャンク級に
これは、17年あたりからずっとくすぶっていたムーディーズの格付けの格下げが、ついに27日に実行されたのを受けてになります。BaaからBaに落ちました。ムーディーズの格付けはAAA〜Cまでの9段階あり、Baaまでが投資適格とされ、それ以下は不適格=ジャンク債とされます。
この境は大きいです。機関投資家の多くは投資不適格債には投資を行わないというルールがあるからです。2大格付け会社の一方であるS&Pは、表記こそ違いますがやはりBBBまでが投資適格、それ以下がジャンク債という扱いです。
ちなみに、S&Pではすでに2017年4月にBBB-からBB+に格下げしています。これで南アランドの国債は完全にジャンク債扱いとなったことになります。
長期で下がり続けている南アランド
南アランドの通貨が弱いのは今に始まった話ではありません。14年末から15年初頭にかけては10円程度を付けていましたが、16年にかけて大きく下落し、7円を切りました。そこから一時9円まで戻したものの、再び下落し、今回ついに6円を割った形です。
それもそのはず。南アのインフレ率は高く、90年代前半まではインフレ率が10%を超えるのが常態化していました。このところ落ち着いてはきましたがそれでも5%。
南アの10年もの国債の利回りは、ここ5年ほど8〜10%で推移してきています。2月以降は跳ね上がり、11.6%にも達しています。
ショートポジションではついに出金不能に
さて、なぜ南アランドを気にするかというと、19年5月から両建ての金利アービトラージポジションを取っているからです。FXスワップアーブです。
金利アーブでは、FX業者間の金利(スワップ)を裁定するので、基本的には通貨の値動きに対しては影響を受けません。ところが、これほどまでに下がり続けるとちょっと問題が生じます。それは、損失が発生しているロングポジション側ではなく、利益が乗っているショートポジション側なのです。
FXスワップアーブでは、ロング・ショート両方のポジションで証拠金比率が一定になるように入金と出金を行います。ところが、あまりに利益が乗りすぎると、出金する現金がポジションからなくなってしますのです。証拠金維持率自体は含み益でまかなえるのですが、出金するには含み益を確定させて現金に変えなくてはありません。含み益のままでは出金できないのです。
今回ついに、ポジションの証拠金のほとんどが含み益の状態になりました。残っている現金は、ポジション維持に最低限必要な分だけです。証拠金維持率750%程度(レバ3.3倍)で運用していますが、追加証拠金のすべてが含み益の状態です。
こうなると、いったん含み益を利確して現金化して出金するか、手持ちの現金からロングポジションへ追加入金することになります。利確すればスプレッド分の損失が出るわけで、どちらにせよ効率が落ちます。困った事態です。
幸いなことに、約1年間継続してスワップ差が生まれており、安定したリターンを生んでくれているポジションです。まだクローズしたくはないので、ランドが上昇してくれるか、円安傾向に振れてくれないかと願うところです。