務めている会社の株式を、定期的に買い付けられる「持株会」。多くの場合、会社側が5〜10%ほどの補助を出してくれるので、お得に買い付けられます。ただし、持株会で得られる株式は、たいていの場合、対面型大手証券会社が多く、つまりは売買手数料が高いのです。
この問題の解決法は簡単で、売買手数料が安いネット証券へ移管してから売却すること。ところが、対面型大手証券では、出庫に対して高額な手数料を課すところもあります。そんなときは、日興証券や松井証券に移管しましょう。出庫の手数料分をキャッシュバックしてくれるからです。
大手対面証券会社の売買手数料
日本株式の売買手数料は大きく下がりました。SBI、楽天、松井などは1日あたり50万円まで無料ですし、それを超えても数百円。3000万円分売却しても、1000円程度の手数料です。
ところがこれはネット証券の話。対面型大手証券会社では、まだまだ高額な手数料を取ります。例えばみずほ証券では、ネットを使った取引でも最低手数料が1045円、300万円売買をしたら、8745円もの手数料がかかります。コールセンターを使ったら2万3320円です。野村證券だと、300万円の取引で2万9788円、大和証券なら3万2010円にもなります。
ネット証券ならば、300万円程度の売買ならゼロ円で可能なので、この不均衡はなんだ? と思いますよね。
ある証券会社から別の証券会社へ株を移す、移管
これを解決するには、移管です。これは、ある証券会社から別の証券会社へ株式を移すことを言います。出庫して、入庫する。これを併せて移管です。
ところが、この出庫や入庫にも手数料がかかるんですね。例えば、みずほ証券の場合、出庫は1単元で1100円、10単元で6600円ものコストを取ります。野村も大和の場合もほぼ同様です。一方で、ネット証券の場合、出庫手数料はかからないところが多いです。楽天証券など、出庫手続き自体をネットで行えます。
出庫にかかった手数料をキャッシュバック
ただし、入庫する証券会社によっては、出庫にかかった費用をキャッシュバックしてくれるところがあります。出庫に6600円かかったら、入庫先でその金額を負担してくれるというわけです。
野村も大和もみずほ証券も、このキャッシュバックを行っています*1。自分のところから出すときは手数料を取り、入れてくれる場合は手数料を負担してくれるというわけです。
ネット証券大手の場合、この出庫手数料をキャッシュバックしてくれるところは限られます。それが、松井証券と日興証券です。松井証券がこのサービスを開始したのは2019年の10月1日からです。ただし、松井証券は、次の制約があるので気をつけましょう。
振替完了日から1年以内に、当該サービスを利用して振替入庫した株式および投資信託を他社へ出庫されると、当社で負担した手数料相当額を徴収させていただきます。ご了承ください。
日興証券は、対面証券大手でもあるので、以前からなのだと思いますが、10万円以上の入庫に関しては、出庫にかかった手数料を負担してくれるのです。
日興証券なら、信用売りから現渡で激安
松井証券なら、1日50万円以下の手数料は無料。日興証券なら、信用売りが手数料無料なので、信用売から現渡すれば、コストを非常に抑えることができます。先程の例でいえば、300万円の株式の売却にかかるコストは、なんと123円です。
いまどき、持株会などの理由がなければ、野村やみずほ、大和といった対面大手証券の口座を使うことも少ないと思います。もし持株会などで、大手証券会社に株があり、手数料の高さに辟易しているなら、日興か松井への移管をチェックしてみると、かなりの金額を節約できます。
ちなみに、持株会というのは、勤務先の業績に、給料と株価の両方が連動していますので、リスク分散の観点では最悪です。補助金の額と、よくよく天秤にかけて考えましょう。
*1:みずほ証券は、500万円分以上の移管の場合のみ