日興証券でクロス取引をよく行うのですが、細かなことで気になっていることがありました。それは、信用金利や貸株料を計算したときに、1円未満になってしまったら、どんな取り扱いになるのか、ということです。聞いてみました。
基本的な計算方法
まず基本的な計算方法です。信用買いの場合は「金利」、信用売りの場合は「貸株料」という名前になりますが、どちらも基本的な計算方法は同じです。約定価格に金利をかけて、365分の1にして1日あたりを出し、それに日数をかけます。
このとき、約定価格というのは、信用ポジションを建てたときの価格です。その後、株価が上昇しようが下落しようが、当初の価格を元に、金利/貸株料は計算するそうです。
上図で「定数」となっているのは、年利額を1日あたりに計算するときの数字です。365で割るのではなく、定数「0.0027397」で割ります。100万円で売りポジションを建てて1年間保有すると、その1.15%、つまり1万1500円が貸株料になるように思いますが、実際は1万1499円になるということです。
また日数は、両端入れといって、新規の受け渡し日と返済の受け渡し日の両方をカウントします。5月11日に約定したら受け渡し日は13日。5月13日に返済したら受け渡しは15日。13日、14日、15日の3日分が日数として計算されるということです。
確認したかった、1円未満の場合
では、こうした計算の結果、当然出てくる1円未満の端数の処理はどうなるのでしょうか?
確認したところ、「切り捨て」ということでした。つまり、低位株、例えば株価25円のCAICAを信用売りした場合、25円 x 100株 x 1.15% x 0.0027397 x 7日 だと0.551円です。これは切り捨ててゼロ円になるということです。
ちなみに、この計算は1日単位で切り捨て処理をするわけではなく、返済までの日数で最終的に計算するということでした。
ただし、複雑な例外もあって、ポジションを分割して返済した場合はポジションごとの計算になります。例えば、200株の売りポジションを、100株まず返済買いし、直後別の価格で100株返済買いすると、個別の計算になります。1円を超えてしまうような場合も、分割して処理すれば、0.5円と0.5円で、それぞれ切り捨てられてゼロ円になるようです。
完全ゼロ円で取引可能
なるほど、日興証券は信用取引手数料がゼロ円ですから、低位株の売買の場合、一週間程度のポジション保有ならば、金利/貸株料もゼロ。完全にゼロで取引できることが分かりました。
また、金利はポジションを立てたときの株価で決まるということは、1万円で建てたポジションが、値下がりして8000円になったら、いったん返済して、立て直すことで、その後の金利/貸株料を20%削減することができます。
ただし、両端入れの関係から、立て直した日は金利計算上ダブルカウントとなるため、0.27%(1日分)のロスが発生します。つまり、株価が0.27%以上下落した場合は、ポジションを立て直すことで、わずかですが、金利/貸株料を節約できるということですね。
もちろん、一般信用売りは在庫が残っていなければ建て直しできませんから、ほとんど使うことのない、トリビアという感じだとは思います。