Amazonが、Kindle本の50%ポイント還元キャンペーンを実施中です。投資や経済の名作をまとめてみました。期間は28日までです。
まず、「ビジネス・経済」のカテゴリーはこちらです。投資カテゴリーの50%オフ一覧はこちらです。金融・ファイナンスはこちら。そして経済学カテゴリーはこちらです。50%オフになっている本の中で、投資・経済系のオススメを簡単に紹介します。
臆病者のための億万長者入門
まずは橘玲氏の『臆病者のための億万長者入門』。併せて『臆病者のための株入門』や『臆病者のための裁判入門』も50%オフです。いまや社会評論家としての顔のほうが有名かもしれませんが、もともとは投資本を書いていた人です。プロフィールなどでは、小説『マネーロンダリング』でデビューとなっていることが多いのですが、おそらく世に知られたのは、それより以前の1999年に出た「海外投資を楽しむ会『ゴミ投資家のための人生設計入門』」でした*1。
当時、この海外投資を楽しむ会のゴミ投資家シリーズを読んだときの衝撃は大きかったです。オフショアに口座を開いて投資する方法や、米国証券会社に口座を開いて米国株を取引する方法、不動産や生命保険、お金で見た人生の考え方など、まさに目からウロコ。これらは橘玲氏も含む共著でしたが、当時から橘玲氏は切れる人だと思っていました。
生涯投資家
続いての半額は、『生涯投資家』です。村上ファンドで一世を風靡した村上氏の自伝。実は1年ほど前に村上氏に会ったことがあるのですが、なんというか不思議なキャラクターの方でした。こちらの書籍では、日本の投資環境や企業ガバナンスを向上させることがいかに重要か述べられていて、その考えには大きく賛成です。ただし、それを語る村上氏は、いわゆるトレーダーでした。
フラッシュ・ボーイズ
そして、マイ・ベスト投資本の1つでもある『フラッシュ・ボーイズ』です。このマイケル・ルイスは、ノンフィクションの大家として有名になっていますが、もともとはソロモン・ブラザーズで債券営業をやっていた人物です。当時の経験を元に書いた『ライアーズ・ポーカー』がヒットし、作家としてデビューしました。
そういうバックグラウンドがあるだけに、金融モノを書いたらピカイチ。フラッシュ・ボーイズ以外にも、金融危機(リーマンショック)を描いた『世紀の空売り』は必読ですし、『マネー・ボール』もマイケル・ルイスです。
投資のプロの中でも、フラッシュ・ボーイズで描かれたHFT業者というのは、かなり新しい存在で、本書がその手法について問題提起したと言われています。なぜか建物も道路も無視して、秘密裏に真っ直ぐに光ファイバーを引こうとする男たち――。そんなシーンから始まる本書は、謎を解き明かしていく秀逸なミステリーになっています。
行動ファイナンス入門
入門とうたった一冊ですが、僕の中ではマイベストに入れ込む一冊。ネット界隈でも、近代金融理論に基づいた投資手法が「合理的な投資法」としてよく出てきますが、それはもう10年以上前の話です。そもそも、その「合理的な投資法」は、人間が「合理的」であることを前提にしたロジックで組み立てられています。
ところが、人は全然合理的ではありません。「合理的な投資法」へのニーズがあるほど、人は間違った投資行動を取るわけです。では、どんな間違いを犯すのか。それを解き明かすのが、この行動ファイナンスです。
著者はこの分野の第一人者。近代金融理論をベースにしながら、でも人間は誤るので、こういう結果が起きるということを、豊富な例を出しながら分かりやすく解説してくれます。さらには、こうした知見に基づいたポートフォリオ作成法*2、また金銭的に人生設計の方法まで踏み込みます。
隷属なき道
続いては経済関係から。『隷属なき道』は、AI、BIという最近のトピックを取り上げた一冊です。このタイトルは、もちろんハイエクの『隷従への道』をもじったもの。ただし原題は「UTOPIA FROM REALIST」です。週15時間労働、ベーシックインカム、国境のない世界。そんなユートピアについて、経済的に論じた本です。
ただし、かなりの大部なのと、いろいろなトピックを盛り込み過ぎたせいか、今ひとつ主張が記憶に残っていません。AI、BIについての論考を期待しすぎると、それぞれ1章程度しかないため、ちょっと肩透かしかも。
資本主義の終焉と歴史の危機
ぼくも含めたインデックス投資家は、世界の経済が継続的に成長することにベット(賭けて)います。これまでのところ、歴史的にはそれはうまくいっていました。ところが、これからは違うよ、と説くのが、本書『資本主義の終焉と歴史の危機』です。
基本的な考え方は、資本主義が利益を出し続けるのは、差異をカネに変えていくからというものです。農村から都市へと労働力が移動することで、経済の高成長が実現してきたという理屈は有名です。この理論では、いずれ農村の余剰労働力は底をつき、安価な労働力を元にした経済の成長は止まることになります。いわゆる「ルイスの転換点」ですね。
これを世界に当てはめると、いわゆる途上国と呼ばれていた国々から、安価な労働力を元にした安価な製品が流れ込むことで、先進国は高成長を享受してきました。この流れも、そろそろ止まるよね、という話です。結果、未来永劫の高成長を目指すのではなく、ハーマン・デイリーがいうような定常経済を目指すべきだと説きます。
インデックス投資家にとっては困ったシナリオです。ただし、インデックス投資の大きな前提は、世界経済の安定的な成長なので、この前提が崩れるシナリオを知っておくことは大事だと思います。こちらの本も50%オフ。
ぼくも未読の本
ここからは僕も未読の本です。50%オフなので、買ってみました。ぼくは基本的にリバタリアンなので、その思想的支柱であるハイエクは必読です。と、必読と言いながら、『隷属への道』は手元にあるまま、まだ読んでいないんですね。300ページほどとコンパクトなので、原著をしっかり読まなければと思いながら、たぶん難しそうだなということで、つい、こうした解説本に手を出してしまいます。
さて、こちらはウォーレン・バフェットの名言集。まぁバフェットの言葉は含蓄に富みますよね。彼が実際に投資で成功しているためではありますが。
*1:のちに、『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』として追記編集されて再出版されています。
*2:著者は、平均分散よりも最小分散のほうがリスク・リターン比が歴史的に高くなるという考えです。