FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。投資歴20年以上。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

攻撃的な長期国債ETF TLTとEDV、TMFを比較

債券、特に米国債といえば「安定」「低パフォーマンス」のイメージが強いかもしれません。短期国債(SHY)やモーゲージ債(MBB)、またそれらの組み合わせの総合債券(AGG/BND)についていえば、そのとおり。ただし、もっと攻撃的な債券もあります。米国の超長期債ETFがその一つです。

 

20年超の米国債ETFのETF、TLTとEDV、TMFについて見てみます。

残存期間20年超の米国債ETF

デュレーションの回に、債券は満期までの期間が長いほど、金利変動の影響を受けやすく、結果ボラティリティ=リスクが高いということを見ました。また一方で、イールドカーブはたいていはスティープなので、中短期国債に比べて配当利回りは高く、長期債は持っているだけでロールダウン効果によりキャピタルゲインを得ることができます。

 

米国債は最大で30年満期ですが、これに近い残存期間20年超の国債を集めたETFが、今回紹介するTLTやEDV、そしてTMFです。

 

TLTは、実行デュレーションで19.06年という超長期債ETFです。長期債ETFの中ではメジャーなものの一つですね。運用資産残高(AUM)は19.8Bドル(約2兆円)に上り、同じくメジャーな残存期間7-10年の米国債ETF IEFの22.6Bドルに近い額です。

 

TLTに似ていますが、よりデュレーションが長いのがバンガードが運営するEDVです。実効デュレーションは24.6年となっており、TLTよりも約30%長くなっています。また、僅かな差ではありますが、経費率もTLTの0.15%の約半分の0.07%です。

 

もう一つ、面白いのが長期債に3倍のレバレッジをかけたTMFです。20-24年、24−27年、27-30年の米国債をだいたい3割ずつ持ちます。平均償還期限は25.66年、実効デュレーションは19.09年です。ここに3倍のレバレッジをかけ、1日あたりの変動率を3倍にしています。デュレーションが19.09年ということは、金利が1%動くと約19%価格が変動するわけですが、ここに3倍のレバレッジがかかるので、57%もの変動が起こるわけです。

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配当利回りはほぼデュレーションに従っていますが、TMFは経費率が大きい(1.09%)ので配当利回りも小さいですね。長期債はだいたいにおいて、株価と逆に動くため、ベータはマイナスになりますが、そこに3倍のレバレッジがかかるTMFはなんと-0.81という、ほぼ株式と逆相関の構造になっています。

超長期債ETFの攻撃的パフォーマンス

ではこれらの超長期債ETFのパフォーマンスを見てみます。基本的に株価と逆の動きをするので、金融危機(リーマンショック)時にはガンと価格が上昇しました。その後、米国が金融引締に動いたときには多少価格が下落しましたが、コロナショックで再び価格が急上昇しました。下記はTLTとS&P500の価格推移(配当再投資)です。

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続いてTLTとEDV、TMFを比較してみましょう。グラフはETF設定時期の問題で、金融危機後の2010年から。つまり金融危機の価格上昇が終わったあとの推移になります(配当再投資、対数グラフ)。

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緑のS&P500が霞むくらいの各ETFのパフォーマンスですね。実際、CAGRで見ると、

  • TLT 8.93%
  • EDV 12.5%
  • TMF 18.12%
  • S&P500 12.39%

となっており、これだけ株価が上昇する中でも、それに負けない価格上昇をしてきたことが分かります。特にTMFは、レバレッジをかけているせいですが、恐ろしい価格変動と、恐ろしいパフォーマンスです。S&P500のグラフのほうが債券かのように見えます。

 

この間のインカムはどうだったでしょうか?TMFはインカムゼロの年もありましたが、TLT、EDVは一貫して2〜3%程度の配当を出してきています。

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ちなみに現在の米国債の配当利回りはそれほど高くなく、配当を再投資しなくても、パフォーマンスは次のようになります。CAGRはそれぞれちょっと下がって、TLT(5.89%)、EDV(7.35%)、TMF(17.03%)、S&P500(10.25%)です。

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ちなみに激しいのはリターンだけではありません。リスク(年間σ)はS&P500の13.72%に対し、TLT(12.90%)、EDV(19.65%)、TMF(39.4%)に達しており、最大ドローダウンもTLT以外はS&P500よりも大きくなっています。また、シャープレシオ、ソルティノレシオともにS&P500よりも悪く、パフォーマンスがすごいといってリスクあたりのパフォーマンスでは株式インデックスを下回っています。

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株式と組み合わせる

これら超長期債の特徴はどこにあるでしょう。リターンが大きく、株式以上にリスクが高く、配当はそこまで大きくもないということもありますが、最大の特徴はベータがマイナスで、株式と逆の動きをするということです。唯一のフリーランチと呼ばれるポートフォリオ理論によれば、相互に価格が連動しない資産を組み合わせると、リスクあたりのリターンが増加します。

 

つまり株式と組み合わせる資産としては、株式と大きく逆相関する超長期債ETFはとてもよいパートナーだということです。

 

ではまず、S&P500 60%、超長期債40%の比率で組み合わせたポートフォリオのパフォーマンスを見てみます。グラフは同じく配当再投資、対数グラフです。冒頭のETF単体のグラフと見比べてみてください。

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CAGRは、TLTとEDVでは単体のときよりも上昇し、EDVとのミックスではS&P500単体を超えます。さらに、TLTとEDVでは、リスク(σ Stdev)も株式単体より大きく減少、最大ドローダウンもかなり小さくなりました。シャープレシオは1.52という高さです。

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また、面白いのはTMFとのミックスで、株式市場との相関がほぼゼロになったことです。プラスとマイナスが打ち消し合い、市場変動にほぼ影響されないポートフォリオになっています。

株式市場相関ほぼゼロのポートフォリオ

試しに、TMFとのミックスだけでなく、TLTとEDVでも株式市場との相関がほぼゼロになるような配分比率を作ってみました。債券の比率は次の通りです。

  • TLT 66%
  • EDV 56%
  • TMF 37%

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株式市場との相関をゼロにすると、CAGR、σ、最大ドローダウン、シャープレシオともに、悪化することが分かります。まぁそれはそうでしょう。この期間株式は上昇を続けてきており、その効果を打ち消すわけですから。ただし、逆にいえば、株式市場が下落している状況では強みを発揮する可能性もあります。

株式市場との相関が0.75のポートフォリオ

では今度は、株式市場とけっこう相関している0.75をターゲットにポートフォリオを組んでみます。債券の比率は次のようになりました。

  • TLT 40%
  • EDV 29%
  • TMF 16%

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うーん。思ったほど各パラメータは伸びませんね。ここまでのポートフォリオで最もパラメータの数値が良かったのは、EDV40%のポートフォリオでした。

超長期債を入れたポートフォリオの利点

超長期債ETFの特徴とパフォーマンスについて見てきました。これらのETFは、株式市場が継続して上昇したこの10年の間でも、株式に近いリターンを上げてきました。一方で、ベータはマイナスであり、株式市場の動きと逆に動く特性をもっていました。

 

そして、株式に対して2〜4割程度を組み入れると、株式単体よりも大きくリスクが下がり、リターンも上昇することも分かりました。

 

さらに、これは株式が好調だった10年間のバックテストだということに注意が必要です。今後の株価の動きはわかりませんが、このまま上昇を続けるとは考えにくく、再びの下落があり得ることは想定できると思います。そうした株式市場が不調なときに、最も効果を発揮するのが債券、特に超長期債です。今後の市場の行方が不透明なときだからこそ、ポートフォリオの一部に超長期国債を入れ込むことで、リターンを落とすことなく、リスクを減らせる可能性があります。

 

もっとも、コロナショックでの追加金融緩和によって金利は大きく下がり、つまり債券価格も大きく上昇しました。米10年債利回りは、恐ろしいほどの低水準です。つまり、相対的に債券価格は割高であり、果たして今、債券を買うべきか? という疑問も一方にあります。

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また、お金がジャブジャブな中で、インフレ懸念もあります。インフレが激しくなったとき、価値が大きく毀損するものの一つは債券です。なかなかに難しいですね。国債の長短金利差は、ロールダウン効果の源泉ですが、こちらは金融危機前にマイナスを付けました。いわゆる逆イールドです。その後、金利差が拡大し、株式市場の復活とともに、金利差も縮小してきました。現在は再び金利差が非常に小さくなっています。

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なかなか長期債を買うタイミングだとも思いきれない。これが資金の行き先として、債券ではなく株式に向かわせている要因でしょうか。なかなかに面白いものです。

 

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