FIREが最近ブームなようで、目指したいという人も増えてきたように感じています。一足先にFIREを達成した身として、このところFIRE関連でよく聞かれる内容について、自分でもまとめておこうと思います。第3回は、その分類から。
このところ、FIREが話題になりつつあります。ただし一言でFIREといっても、すべて同じではなく、大きく4つに分けられます。 バリスタFIREは、ある程度の資産を貯めて、フルタイムの仕事を辞め、自由な働き方を志向するものです。ちょっと前に流行ったノマドワーカー的なもの、またはギグエコノミーな働き方に加えて、資産からの収入でフォローする形でしょうか。 自由な働き方を最優先する代わりに、豊かな生活はそれほど求めず、したがって資産規模もそれほど必要ない形になると思われます。 最近話題になるのは、生活費を極限まで絞ってFIREするLean FIREですね。確かにこれは従来日本では受け入れられてこなかったタイプなので、新しい潮流です。若くしてFIREした三菱サラリーマンさんが典型例だと思います。 とにかく節約志向で生活費をかけず、FIREに至るまでの収入のほとんどを投資に回します。もともと生活費が少ないので、そこそこの資産額があれば到達可能です。 働き方というよりも、生き方自体に自由を求めるタイプだと思います。引き換えに生活は質素になるでしょう。しかし、今の日本は多額の生活費をかけずとも、十分に文化的な生活を営めるし、以前ほど無謀ではなくなってきていると思います。ただし、家族を持って子供を育てて……となると、自分だけのことではないので制約もいろいろと出てくるでしょう。 このコーストFIREは、完全リタイアできるだけの資産を構築し、経済的独立を達成しつつも、仕事自体が好きなので仕事は続けるというタイプのFIREです。 僕の場合はこれに当たります。仕事をしないわけではないのですが、お金目当てではありません。しかし、そこまで生活費を絞るわけでもないので、必要資産額はそこそこの大きさになります。 最後のファットFIREは、フルタイムで働いているのと同じくらいの収入を資産から得て、完全リタイアするというものです。若くして成功した起業家などで、たまにこういう人がいますね。 米国などではこのタイプの話をよく聞きますが、日本ではこれまであまり聞きませんでした。やはり社会的に受け入れられないのか、表立って目立たないようにしているのかもしれません。 この4つの類型で見ると、どれが正しくてどれが間違っているというものではないことが分かります。どのような人生を生きたいか、という問題です。 共通しているのは、下記の2つでしょうか。 貯蓄だけでこうした人生を送ることは不可能です。少なくとも銀行預金の利子で生活していこうと思ったら、最も利息の高い0.1%の口座であっても、100億円ほど必要になってしまいます。 いかにリスクの小さい投資法を身につけるかは、FIREの必須スキルだといえるでしょう。 そして、いずれにしても多かれ少なかれ資産は必要です。そして資産を作るのは遺産が転がり込んだ、宝くじが当たったというような人は別として、着実に働くしかありません。投資で資産を倍々と増やしていくというのは、ゼロサムゲームでありある種のギャンブルであり、そこを勝ち抜ける一部の才能を持った人以外は、難しいだろうな、とも。少なくともぼくにはその才能はありません。 僕の場合は、「やりたい仕事を続けていきたい」「生活レベルをこれ以上上げる必要はない」ということで、このコーストFIRE型に行き着きました。ほかの人がどんなFIREを目指したいかは、本当にその人によります。 ただ気になるのは、貯められそうな資産額で実行できそうなFIREを目指すのはできれば止めておいたほうがいいじゃないか? ということです。FIREは生き方の問題であり、それに向けて努力するものだと思っています。「資産額がこれくらいだから、このタイプのFIRE」という決め方は、本末転倒でなはないかな、と感じます。 →第3回 他のFIREした人を見てどう感じるか FIREの4分類
この4つの分類を、FIREの種類に分けると次のようになるでしょう。
Barista FIRE バリスタFIRE
Lean FIRE リーンFIRE
Coast FIRE コーストFIRE
Fat FIRE ファットFIRE
どんな人生を生きたいのか