FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。投資歴20年以上。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家。ロジックとエビデンスを大事に、運と不確実性を愛しています。

投資初心者のありがちな疑問に答えてみる 期待値編

偉そうに「投資初心者」に向けて記事を書くというのもおこがましいのですが、きっとこういうことなんじゃないかな? という思いのもと、ぼくならこうするよという回答を考えてみます。の第2弾です。

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今回は期待値編です。

つみたてNISAだと2倍、3倍に増やすのにどのくらいかかりますか

年間最大40万円を積み立てられ、20年間に渡って非課税のつみたてNISAは、長期投資の定番です。投資にはいろいろな種類があるにしても、それなりに投資に関心のある投資家はつみたてNISAを意識しているでしょう。そこで出てくるのが、「つみたてNISAってどのくらい増えるの?」です。

 

それでは年間マックスの40万円積み立てるとして、期待利回り6%で運用できた場合に、資産がどのくらいのペースで増えていくのか見てみましょう。

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赤い棒が積み立てた元本、青い棒が年率6%で増加した資産額です。黄色い線は、その時点で資産が元本の何倍になっているかを表します。これを見ると、10年間積み立てを続けても資産は元本の1.3倍、20年続けても1.8倍でしかないことが分かります。

 

普通ならこの利益から税金が引かれるのですが、引かれないのがつみたてNISAのいいところ。それでも、20年かけて1.8倍ではがっかりする人も多そうです。仮にこのまま運用を続けたとして、2倍になるのは22年目、3倍になるのは34年目です。22歳から運用を始めたとして、44歳、56歳ということになります。

 

このときの具体的な資産額は、22歳から積み立てを始めたとして、44歳で1700万あまり、56歳で4100万円あまり。投資の利益は、44歳時点で850万円、56歳で2800万円です。これを十分に多いと思うか、遅すぎる、少なすぎると思うか。

 

投資にドリームを見ている人にとってはきっと遅すぎるのでしょう。

積立投資をすると1年でどのくらい増えるでしょうか

同じようなよくある疑問がこちらです。金融庁が「長期・分散・積立」を強調しすぎたせいか、積み立てるとリスクが減る、ドルコスト平均法がいい、と思い込んでいる人も多そうです。

 

積み立てという手法は、毎月の給料から一定額を投資に回すようにするという意味では優れていますが、すでに投資に回せる現金がある人にとっては必ずしも最適な手法ではありません。

 

仮に期待リターンを年6%とした場合、最初に一括で40万円を投資するのと、毎月3.33万円ずつ12ヶ月に渡って積み立てるのとは、どうパフォーマンスに影響するでしょうか。

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結果はこのように、最初に一括で投資したほうが資産額は大きくなります。数字でいうと、一括の場合が6%のリターンなのに対し、積み立てた場合は2.8%のリターンに留まります。この差は大きいですね。

 

考えてみればそれはそのはず。一括投資では40万円を1年間まるまるリスクにさらしている(リスクエクスポージャ)ので、その分のリターンもフルに享受できます。一方で、積み立ての場合はリスクにさらしている金額が約半分になってしまいます。つまりリターンも半分になるということです。さらに、わずかですが初月のリターンが複利で効いてくるという効果もあります。

 

もし一括投資可能な資金があるのなら、積み立てにこだわる必要なく、一気に投資することでリスクエクスポージャを最大化する。これは一つの合理的な投資判断だと思います。

 

いや、それでは株価が高いときに買い付けてしまうリスクがある。そう考える人もいるかもしれません。でも、買い付けの時点で高いのか低いのかは判別することはできません。もしそれができるのならば、期待リターンを得るような投資法ではなく、安いタイミングで買って高いタイミングで売るというトレーディングをやれば、遥かに簡単に早く資産を増やせるでしょう。

個別株投資をすればもっと儲かるのでは?

つみたてNISAでは買い付けられる商品が限られており、金融庁が選択しています。手数料が低くて、運用が安定している以外の重要な点は「分散投資」されていることです。市場平均に投資するインデックス型投信が157本、インデックスETFが7本と中心ですが、アクティブ投信も18本が含まれています。

 

アクティブ投信とは、ファンドマネージャーが目利きして株式を組み入れるものです。しかしこうしたアクティブ投信でも、投資対象は複数の銘柄に分散しており、レバレッジをかけることは認められていません。

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個別株に集中投資すれば、資産は短期間で2倍にも3倍にもなる可能性がありますが、複数銘柄に分散して投資する場合、それぞれの上昇と下降が打ち消し合って、変動が小さくなるのが普通です。これが分散投資のメリットですが、逆にいうと先の試算に出した年率6%程度の期待リターンしか得られないのです。

 

下記は、auカブコム証券のメディア「カブヨム」から、つみたてNISAのファンドの運用実績データです。「ひふみプラス」はアクティブ投信ですが、これでも3年リターンは年率で6.47%となっていることが分かります。

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ならば、個別株への投資だ。うまく銘柄を選べばすぐに2倍、3倍になる。これは間違っていません。問題なのは、うまく銘柄を選ぶのが難しいということです。

 

たからくじの例で考えてみます。たからくじの中には当たりくじがあって、うまくこれを引き当てれば購入額の何倍ものお金が戻ってきます。みんなこの当たりを引きたいですよね。本物のくじの当たりは偶然でしか決まりませんが、株式の場合はいろいろなヒントがあります。財務諸表をチェックしたり、企業の商品を分析したり、市場の行く末を研究したり。そうすれば、うまく伸びる会社を選ぶことができる。そう信じて個別株を買うわけです。あなただけでなく、個別株投資をする全員が。

 

当たりくじが限られている以上、全員が当選することはありません。誰もが自分の分析を信じて買うのですが、勝者と敗者にわかれざるを得ません。全員が当たることはできないのです。

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では、たからくじを全部買ってしまったらどうでしょう? その中には必ず当たりが含まれているはずです。分析をしなくても、必ず当たりを引くことができます。これはいい方法に思えますが、残念ながらたからくじでは、この方法は絶対に儲かりません。くじ全部を購入する金額のだいたい半分しか、当選金として戻ってこないからです。

 

ところが株式は違います。なんと全部を買い占めると、戻ってくるお金はそれよりも多いのです。毎年常にそうなるわけではありませんが、10年単位で見れば、過去はずっとそうなっています。ただし、戻ってくるお金は平均して6%ほど増えただけの額です。そう、これがインデックス投資の正体です。

 

全部を買い占めても6%ほどの増加が期待できるたからくじを買うのか、それとも自分の目利きは正しいと信じて当たりくじを見つけ、10倍、20倍を目指すのか。これはもう考え方次第としかいいようがありませんね。

 

ちなみにぼくは、インデックス投資をメインとしながらも、個別株にもかなり手を出しています。いろんな手法に手を出す物好きです。

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