FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で自由主義者、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

2つのGoogle GOOGとGOOGLの違い

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GoogleことAlphabetには、2つの株式、ティッカーがあることはよく知られています。Class Aの【GOOGL】とClass Cの【GOOG】です。この2つの違いはどこにあって、なぜ価格に乖離があるのか調べてみました。

 3つの株式

Googleには3つの株式があります。

  • Class A 通常の株式 【GOOGL】
  • Class B 未上場。A株の10倍の議決権
  • Class C 議決権なし株式【GOOG】

これは2004年にIPOを申請したときに、Class AとClass Bの2種類を設定したもので、Class Bは、創業者のBrin氏とPage氏、CEOのEric Schmidt氏、初期投資家、主要経営陣が保有しています。

 

その後、2014年には株式分割を発表しました。ところが、通常の分割とは違い、Class A/B株1株につき、Class C株を付与するというものでした。株式分割では例えば2分割した場合、株価も半分になるとともに、取得単価も半分になります。ところがこのときは、新規でClass C株が無償で付与される形になり、売却すると全額が含み益として処理されるという、ちょっと異様な形になったのを覚えています。ティッカーもそれぞれ異なり、ここから2つのGoogle株式が流通する形になりました。

 

狙いは、経営陣の支配力を希薄化させないためだと言われています。通常ストックオプションを発行したり増資を行うと、その分だけ既存株主の議決権が希薄化します。ところが今回、議決権のないClass C株式を発行したことで、将来の希薄化を防止できるというわけです。それ以来、ストックオプションなどはClass Cで出されています。

発行数と議決権

 Class Aは300,471,156株、Class Bは46,061,366株、Class Cは333,631,113株が発行されています(2020/7/23付 FORM 10-Q)。発行数と議決権をグラフにすると、次のようになります。

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わずか6.77%しかないClass B株が、議決権の60.52%を占めていることが分かります。GoogleはIPOの際にもダッチオークション形式を採用するなど、型破りな方法で資本政策を進めてきました。このClass B株もClass C株も、当時は独特な方法であるとともに、創業者に強い権力を持たせ続けることがハイテク企業の成功につながるという考え方を植え付けたものです。

 

実際、Facebookでも、ザッカーバーグは10倍の議決権を持つClass B株を所有しており、その結果議決権は6割に達しているとされています。 

Class AとClass Cの株価

そんなわけで、Google(Alphabet)には2つの株式が流通することになりました。ストックオプションなどの発行によりClass Cのほうが多少発行数が多いとはいえ、2つの株式数はほぼ同等。配当は未だ出していないとはいえ、将来の配当を受ける権利を考えると、収益面では差はありません。しかし、2つの株価は微妙に一致していません。

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Class Aには議決権があります。論理的には、その価値の分だけClass Aのほうが高くなるはずです。さて、2014年にClass C付与が発表されたとき、これはClaas Aのほうが価値が高まるに違いないと思い、さっさとClass Cを売ってClass Aに変えてしまいました。というわけで、ぼくの持ち株はすべてClass AのGOOGLです。

 

では本当にClass Aのほうが価値が高いのでしょうか? 下記は、Class AとCの株価の差が何パーセントあるのかを、日次の終値で推移を追ったものです。分割直後、狙い通り、Class Aの価格は跳ね上がりました。2014年柱は2%ほどの乖離が生まれていたのです。

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その後、2015年には一時乖離は5%程度まで広がりました。ところが、徐々に差は埋まってきます。そして2019年後半からは、なんとClass Cのほうが高いという状況にまでなってきたのです。

なぜClass Cが高い?

普通に考えて、Class Aには議決権分のプレミアムがあり、実際AとCの価格差はそのように推移してきました。しかし、なぜ2019年後半から価格が逆転したのでしょうか? 2018年からのグラフを取り出してみましょう。明らかにこのあたりからプレミアムが剥げ落ちて、逆にディスカウント状態になっています。

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理由の1つとして考えられるのは、1株あたりの議決権の価値でしょう。議決権のないC株の発行数が増えれば増えるほど、A株の議決権プレミアムは大きくなることが想像できます。逆に、C株の発行数が減っていけば、逆に議決権プレミアムは小さくなるでしょう。自社株買いはC株に対して行われるので、自社株買いが進むほど、議決権プレミアムは減るはずです。

 

そんなわけで、発行済み株式数の推移も見てみます。C株を発行した2014年から、Googleは徐々に発行株数を増やしてきました。ところが、2018年夏から自社株買いを始め、しかもそのペースは増加しています。

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これを見ると、自社株買いが進むにつれて、A株とC株の価格差がどんどん縮まっていることが分かります。プレミアムが剥げ落ちていっているのです。そして2020年に入ると、C株のほうが高いことが普通になってきました。

 

ただ、トレンドがそうであっても、C株は議決権なし、A株はあり。論理的にはA株のほうにプレミアムがあるのは間違いありません。ほかに何かの理由がなければ、これは市場のミスプライシングのように思うのですが、どうでしょう? 詳しい方に教えていただきたいところです。

 

インデックスファンドの組み入れは?

もう一つ、別の観点からA株とC株を見てみます。A株とC株の発行株数を見ると、A株はC株の90.06%しかありません。単純に同じ会社の株式であると考えれば、A株9に対してC株10を保有すると、ボリューム的にはバランスするはずです。

 

一方で、A株とC株の価格は異なります。2020年の平均を取ると、0.12%ほどC株のほうが高い価格で推移しています。そのため、時価総額で見ると、次のようになります。

  • Class A 【GOOGL】 979.243 B$
  • Class C 【GOOG】   978.891 B$

Class Aのほうが0.004%ほど時価総額が高いことになります。であれば、時価総額加重平均で組み入れるインデックスファンドも、同様の比率で両方の株が入っているのかと思いきや、次のようになっていました。

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不思議なもので、いずれもA株のほうが2〜3%ほど組み入れ比率が大きくなっています。VTIに至っては5%も多い。データはいずれも10月6日時点の米Yahoo!Financeです。

 

相対的に価値が下がっているA株の比率が多く、価値が上がってるC株の比率が少ないわけで、普通にC株を持っているよりも、わずかですがパフォーマンスが悪化している可能性もありますね。もしかしたら、C株が増加したタイミングで組み入れを行い、その後自社株買いに伴ってC株が減少していったために、A株の比率が高まったのかもしれません。

 

いずれにしても、A株とC株があって両方が流通しているがゆえに、Googleの株はちょっと不思議なことになっています。もしGoogleに投資しようと考えていて、GOOGとGOOGLのどちらを買ったらいいか悩んでいる人は、このあたりの情報が参考になるかもしれません。

www.kuzyofire.com

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