たまにはインデックス投資家らしい記事を。ということで、今回は無リスク資産(現金)の取り扱いについてです。極めてアカデミックにいえば、トービンの分離定理のいうとおり、ポートフォリオは市場ポートフォリオ(株式インデックス)と、リスク許容度に応じた現金とで構成されます。
このインデックス投資についてはある程度定番があるものの、さて現金のほうはどう扱ったらいいのでしょうか。
低リスクで利回りがあるのが望ましい
ポートフォリオを構成する無リスク資産(現金)については、3つのことが要求されます。
1つは、無リスク、または極めて低リスクであること。完全に無リスクというのはあり得ないのですが、一般には国が保障してくれることを無リスクと呼びます。そこまでいかなくても、高いリスクを取ってはいけません。ここでリスクを取れるのならば株式に回せばいいのです。
2つ目は、流動性が高いこと。無リスク資産を持つ理由は、ポートフォリオ全体のリスクを調整するためでもありますが、リバランスの際にはここから株式などを購入することになります。このとき、自由に利用ができず、拘束されているのは避けるべきです。
3つ目は、その上で少しでも高い利回りを目指すこと。すでに日本も1%程度のインフレになってきており、多少なりとも利回りを得られなければ、現金の価値は目減りしていくばかりだからです。
個人向け国債
日本国を信頼するとして、最もリスクが低いのは個人向け日本国債でしょう。国が元本を保障しており、金利は最低0.05%。また、かなり数が減りましたが、証券会社によってキャッシュバックがあります。だいたい、100万円分の国債購入で1000円(0.1%)、300万円で4000円(0.133%)、500万円で7000円(0.14%)、1000万円で1万4000円(0.14%)です。
1年以降は解約も自由となっており、流動性もある程度保証されています。
金利は、基準金利をもとに、下記のように計算されます。ただし最低0.05%が保障されています。
- 変動10年 基準金利 x 0.66
- 変動5年 基準金利 − 0.05%
- 変動3年 基準金利 − 0.03%
もしキャッシュポジションを数千万円予定しているなら、選択肢の1つに入りますね。
定期預金
いくら国が保証しているといっても、0.05%の金利じゃあ低すぎる。そんな場合は伝統的な定期預金があります。さまざまな条件がありつつも、実は地銀各行はそれなりに金利の高い定期預金を用意しています。例えば、愛媛銀行の「100万円限定だんだん定期預金」の金利は0.27%です。
定期預金のいいところは、預金保険機構の保証が付いているところです。金融機関が破綻した場合でも、1金融機関につき1人あたり元本1000万円が保証されます。いわゆるペイオフですね。金融機関を分けて1000万円ずつ預金すれば、まぁいくらでも保護されることになります。
金利も0.2%を超えるところは探せばけっこうあって、かなり頑張っているといえばそのとおりですが、そうはいってもトップの愛媛銀行でもしょせん0.27%です。
普通預金
国債、定期預金と見てきましたが、実は最も流動性が高いのに、金利も高いのが普通預金です。おそらくトップは、あおぞら銀行BANK支店でしょう。普通預金で0.2%となっています。
もっとも、あおぞら銀行は証券口座との連携では今ひとつ。本当に現金を預けておくだけなら0.2%はほかに比べて高くはありますが、1000万円預けて年に2万円(税前)です。
ネット証券各社は、関連の銀行と自動入出金するサービスを使うと預金金利が優遇されます。
- GMOクリック証券=GMOあおぞらネット銀行 0.11%
- 楽天証券=楽天銀行 0.1%
- auカブコム証券=auじぶん銀行 0.1%
- SBI証券=住信SBIネット銀行 0.01%
買い付けに必要なときは自動的に出金され、株式を売った代金は自動的に銀行に入ってくる。それでいて、0.1%超の金利が付く。これを見てしまうと、定期預金を作るメリットはあまり感じません。この利回り差であれば、0.1%得られれば十分かな? と感じるところです。ただし、住信SBIネット銀行の0.01%はちょっと低いかなという感じですが。
ぼくの選択
こうした候補の中、ぼくの選択は楽天証券=楽天銀行です。マネーブリッジを申し込むことで、2つの口座を一体に近い形で利用でき、寝ている資金は0.1%で運用されます。もらった配当は楽天証券で受け取りますが、それも深夜のタイミングで自動的に楽天銀行に移ります。
マネーブリッジは多少癖のあるサービスですが、利率といい使い勝手といい、基本的に満足できる仕組みです。
ただし、株式などのリスク資産に投資していない資産をすべて現金で保有しているわけではありません。「オルタナティブセグメントの運用方針」に従って、短期の低リスク低リターン運用を行っています。3日後には現金化できる流動性を保ったまま、年利で5%超を狙う運用方法です。
また、ポートフォリオの無リスク資産(現金)とは別に、生活防衛資金は確保してあります。こちらは生活費の3〜5ヶ月分。利回りなどを気にするものではありませんので、こちらは生活費決済口座(クレジットカード引き落としなど)に普通預金で入れています。使っている口座は、ATM引き出し何回でも無料の新生銀行になります。