FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

マウンティングの世界から逃れたい

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誰もが嫌うマウンティング。自慢したり、権力を誇示することで、相手よりも優位に立とうとする行為ですね。どんな世界にもあるマウンティングですが、これが本当に嫌いです。

序列を明らかにするサルの群れ

マウンティングの語源は、サルなどが相手に馬乗りになって優位を示すことから来ています。ニホンザルの群れでは、力の強弱によって順位が決まっていて、順位が低いサルは高いサルに尻を向け、上位者はその後ろから乗りかかって順位を確かめるそうです。

 

人間社会でも、これにそっくりなことをしばしば見ます。

 

組織改編があった直後の会議のことでした。これまで同格のポジションにいた一人が昇進して、かつての同僚を部下に持つことになりました。その人が、最初の会議で行ったのは、かつての同僚が会議で発した些細な発言の言葉尻を捉えて、相手が屈服して「すみません」というまでなじることでした。ポイントは、これを多くのメンバーが参加している会議の中でやったということです。この、まさに「マウンティング」によって、当人たちも周りの人も、新しい序列を認識するという儀式でした。

 

組織を運営する上では、最初にガツンとやることが結構効果的だったりします。初期の段階で序列をはっきりさせないと、「オレはアイツを上司と認めない」なんて思いがくすぶって、互いの関係がギスギスしたり、指揮命令系統がうまく動かないこともあるからです。

 

密室でマウンティングを取る人もいます。他部署からやってきた新しい上司の命令を、なかなか聞かないある部下がいました。少し経ったあと、この上司がやったことは部下を会議室に呼んで、マウントを取ることでした。

 

「キミの人事権はオレが握っている。言うとおりにしないのなら、ここに居てくれない手いいんだよ?」

 

企業文化にもよりますが、評価も昇格降格も、直属の上長の意向が強く反映される会社では、こういうマウントのとり方をする人もいるわけです。キレイな言い方をすれば、組織運営に必要な権限を活用したやり方、なんていうこともできるでしょうが、まぁはっきり言って権力を誇示した、露骨な脅しです。

 

菅首相は、これが得意なようで、自ら武勇伝のように、人事権を活用して言うとおりにさせた――とインタビューなどに答えていますね。官房長官時代から、人事権を巧みに使って官僚を動かすのを得意としてきたようで、「国のため、国民のため」という志をもって働いてきた官僚でも、上司で人事権を持っている政治家に出世のすべてを握られたら、いいなりになってしまうということです。

 

こんな話も聞きました。同じ省庁でライバル同士と目されている2人を、個別に部屋に呼ぶのです。で、「あいつはここまでやると言っているぞ。おまえはどうするんだ?」と、2人ともに問いかけます。明確にはいいませんが、おまえら二人を比較しているぞ、オレのためにどっちがよく働くか見ているぞ、という脅しですね。出世を大事にする官僚にとって、これがたいへんよく効くんだそうです。

序列がない世界が一番ややこしい

こうしたマウンティングが最も頻繁に行われて、かつドロドロしたものになるのは、明確な序列がない場面でです。会社組織は通常ピラミッド状に指揮命令系統が作られ、先の人事権やら予算執行権やら稟議権やらで、下位のものは上位者に逆らえない仕組みになっています。

 

ところが、会社においてもフラットな世界、序列があるようでない世界があります。打標的なのが、取締役会です。法的には、各取締役は同等の一票を持っており、その多数決によって会社の重要事項が決定されます。例えば、誰を代表取締役にするかも、指名委員会などを置いていない会社では、形上は取締役による多数決です。

 

しかし、形式上はそうであっても、いやそうであるからこそ、そこには序列を作り出そうとする凄まじい動きが生じます。取締役も人間ですから、序列らしいものがそこにあれば、雰囲気的にそれに従います。役員会でマウンティングを行い、ある役員が別の役員の上位に立ったら、周りの役員もある程度それを受け入れてしまい、暗黙のうちに序列が決まってしまったりするわけです。

 

もちろん、企業ですから業績を上げるのが暗黙の序列を上げることには最も有効です。一番稼いでいる部署の役員の言うことには、ほかの役員も反対しにくいものです。しかしそこには搦め手もいろいろあって、例えば社外役員として知己を推薦し、味方を増やす、他の役員と結託して、序列を強化する、などなどなど。ああ、こうやって派閥ってできていくんだなぁと実感する一幕です。

外注先とのマウンティング

仕事を外注するときも、同じような理屈でマウントを取りたがる人がけっこういます。「オレは発注者だぞ!」というオーラを発して、必要もなく上位に立ちたがる。はたからみていて本当に気分が悪くなるものですが、こういう態度を取る人はけっこういるものです。

 

これがマウンティングだと思うこともなく、心の底から「オレは偉い」「オマエは下位だ」と信じ込んでいる人もいます。銀行がけっこうそうですね。一部の地銀の人の中には外注先に「仕事を出してやってる」という態度を取る人をまだ見ることがあります。

 

明らかに開発力も技術の評価力もなく、外注先のほうがよっぽど金融のソリューションには詳しいという場合でも、銀行という看板を持つだけで偉くなったと感じてしまう様子がよく分かります。

個人投資家の世界ではマウンティングから逃れられるか……

セミリタイアしてよいことは、こうした序列に伴うマウンティングを気にしないで済むことです。ただ、組織に属していると、何がしたいのか、まだマウンティングを仕掛けてくる人がそこそこいて、ぐったりします。

 

個人投資家の世界でも、マウンティングは必ずしもなくならないようです。要は、総資産額や融資額などをひけらかして、どっちが上かを競うというものですね。サラリーマンのときの名刺肩書マウンティングみたいなものでしょうか。どんな世界でも、マウンティングをしたい人はしたいようです。

 

とはいえ、投資家の集まりなどでは、そんなマウンティングも少ないといえば少ない。ぼくも基本的には資産額などは非公開だし、自分から積極的に話したいとも思いません。ただ、投資額があまりに違うと話していて噛み合わないこともあるので、聞かれた場合はある程度は答えるようにしています。ともすると、これがマウンティングだと思われかねないので、また難しいところ。なかなか人と接する限り、悩みは尽きないものですね。 

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