FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で自由主義者、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

ドル円カバードコールの顛末

ドル円が円高方向に振れるだろうという予想のもと、手持ちドル資産の為替損をカバーするために、ドル円のコールオプションを売って、カバードコールのポジションを建てました。それが20日に満期となったので、顛末をまとめておきます。

当初の目論見 

カバードコールとは、保有資産に加えてコール(指定価格で買う権利)を売ることで、価格上昇によるリターンを諦める代わりに、オプションのプレミアムを受け取るという戦略です。

損益図にすると、このような感じ。現物(今回の場合ドル資産)だけの場合、為替が動けば利益も損失もそれに比例して生まれますが、ここにコール売りを組み合わせると、

  • 円安による利益は諦める
  • 円高に振れたら同様の損失
  • ただし、どちらにせよプレミアムは受け取れる

というポジションになります。

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具体的にやり方をまとめたブログは下記です。 

www.kuzyofire.com

ポジションを建てたのは、102円台まで円高が進んだ1月5日。このとき、103円のストライクプライス(行使価格)で期間2週間のコールを売りました。2週間後の20日に、ドル円が103円を超えていなければ権利は行使されず、ぼくはプレミアムだけを受け取ります。

 

またもし103円を超えて為替が円安に向かっても、もらっているプレミアム分だけ損益分岐点は押し上がります。その分岐点は103.4円。コールオプション単体で見ると、このような損益構造です。

 

ドル資産と合わせたトータルな損益構造で見ると、円安になればドル資産の円建て価格が上昇するので、円安は利益。103.4円まではオプションのプレミアムがプラスなので利益が上乗せです。一方で、103.4円を超えると、ドル資産の上昇で得られた為替差益からオプションの損失が引かれてしまいます。

ドル円のこの2週間の動き

ではドル円がどう動いたかというと、次のようになります。5日まで下落を続けていたドル円ですが、振り返ってみればポジションを建てた5日を底にして、今度は円安方向に動いてしまいました。

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この理由として言われるのは、民主党がホワイトハウス、上院、下院のすべてを掌握したいわゆるブルーウェーブです。その焦点は1月5日に行われたジョージア州の決選投票にありました。ここで共和党は勝利し、ブルーウェーブが確定したのです。

www.bbc.com

政策を打ちやすくなった共和党は、速くも14日に1.9兆ドルという巨額の追加経済対策案を打ち出します。これは、すでに回復しつつある米国経済の復調をさらに早めるとともに、追加のマネー供給によって金利上昇を期待させるものとなりました。

www.bloomberg.co.jp

実際、米国長期金利(10年債利回り)は、次のような動きを見せました。1月5日の段階では0.91%だったものが、急上昇し、7日には1%を超えてきたのです。

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言うまでもなく、為替は二国間の金利差に反応します。米国での長期金利上昇は相対的にドルを魅力的にし、ドルは上昇。円は下落しました。ドルインデックスで見ても、1月6日を底にして、ぐんぐんドルが上昇しました。

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ポジションのクローズの仕方

というわけで、上昇するドル円になすすべもなく、今回のカバードコールは失敗となりました。ただし、そこまでの大きなリスクを負ったわけではありません。前掲の損益図を見ても分かる通り、コールオプションショートの損失は、そのままドル資産の上昇がカバーしており、その上昇分の一部を失ったということになります。

 

ちなみにこちらが日本時間1月19日夜のグリークの状況です。デルタは0.99となっており、ほぼ為替に連動してオプション価格が変化する状態です。わずかにセータは残っていますが、もはや負け戦ですね。

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ちなみにサクソバンクではオプションポジションを反対売買でクローズすることができますが、そこには2つの問題があります。

オプションの反対売買はできますか?

可能です。

ただし、満期日までの残存期間が 1 週間以内になると、ストリーミング配信が行われなくなり、為替市場の状況によっては注文が受け付けられないことがあります。そのため、差金決済による決済は、基本的に残存期間が1週間以内になる前に行うようにしてください。また、満期日には取引を行うことができません。

オプションのポジションは満期前でも反対売買できますか? – よくある質問・FAQ|サクソバンク証券

 このように、短期のオプション取引では反対売買ができない可能性があり、流動性に難があります。

 

もう1つは手数料です。サクソバンクの為替オプションはスプレッドの形でコストが乗っており、それは小さなものではありません。そのため反対売買は、さらに追加のスプレッドコストが発生してしまうという問題があります。

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 そのため今回取った方法は、素直に権利行使されるというものです。

 

FXオプションが権利行使されると、通常のFXポジションに変換されます。つまり、行使価格103円のコール(103円で買える権利)が行使されたので、ぼくは103円でドル円のショートポジションを持つことになったわけです。ちなみにこれは固定手数料が取られる貴金属オプションでも同様で、権利行使されるとCFDポジションに切り替わります。

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このように、権利行使されたため、20万ドルショートのFXポジションを持つことになりました。この時点でドル円は103.52円。損益分岐点を0.12円超えています。掛け算すると約2万4000円のオプション単体での損失ということです。

 

入れておいた証拠金150万円に対して、キャッシュが158万2000円となっているのは、ポジション組成時にプレミアムとして8万2000円受け取ってるからですね。そしてオプションポジションはマイナス10万3000円。差し引きで、2万1000円の損失ということです。

 

サクソバンクのドル円FXはスプレッドが狭く、0.2〜0.4銭。高いオプションのスプレッドを払うなら、FXポジションにしてから反対売買しようという考えです。

 

結果的に僅かな損失となってしまい、残念ですが、やっぱり為替は難しいですね。なお繰り返しになりますが、オプションで建てたドルよりも、カバー資産であるドル資産のほうが全然規模が大きいので、全体としては円安によって資産は増加しています。「どうせ下落するなら、プレミアムをもらっておこう」と思った作戦でしたが、それについては失敗となりました。

 

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