FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

デジタルゴールド? ビットコインのポテンシャル(1)

Bitcoinが先日、日本円で700万円を超えました。その後急落し500万円を切るかと思われましたが、JPモルガンがファンド準備などの報道で再び上昇。現在は630万円まで戻しています。直近1年間の上昇率は+511%。時価総額1兆ドル規模の資産としては、ここまで上昇するのはすごいことです。直近の上昇を受けてか、Twitterでも「ビットコイン買いました」報告を、たびたび見るようになりました。

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2020年末の段階で200万円を超え、過去最高を更新したときは、国内個人投資家は覚めたもので、全然熱狂感がなかったのですが、現在は17年末の仮想通貨バブルを少し思い出します。

 

さてさて。ではなぜBitcoin価格は上がるのでしょうか? そもそもBitcoinとは何なのでしょうか? 3つほど、Bitcoinは何であるかの説があります。今回はそのうちの「デジタルゴールド説」を。

Bitcoinはデジタルゴールド説

もともと仮想通貨=Crypto Currencyと呼ばれてきたため、Bitcoinを「通貨」と捉える人も多いと思います。しかし、Bitcoinを稼働させるためネットワークノードが行う演算とそれによってインセンティブとしてBitcoinを得るという行為は、早くから「マイニング」と呼ばれてきました。マイニングとは採掘を意味する言葉で、あたかもBitcoinを地下から掘り出すことに例えられてきたわけです。

 

これは金(ゴールド)のアナロジーです。あたかも地下から掘り出すゴールドのように、演算空間からBitcoinが掘り出されるイメージです。そのため、初期からBitcoinは「デジタルゴールド」、つまりデジタル化された金だといわれてきました。

 

では金の特性とBitcoinの特性はどこが似ていて、どこが違うのでしょうか。ゴールドとBitcoin、そして通貨の特徴をまとめてみました。

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ゴールドとBitcoinの似ているところは、希少性が高く、永続性があって、偽造できないところにあります。特に、政府や中央銀行の意向次第で増減する通貨とは違い、有限であることが大きな特徴です。

 

しかもゴールド同様に、Bitcoinも時間が経つにつれて「掘り出し」にくくなるという仕組みが内在しています。下記は、Bitcoinが時間とともにどのように掘り出されていくかを示したグラフです。

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現在、2021年時点では、18,683,231枚のBitcoinが掘り出されました。これはアルゴリズム上の上限枚数となる2100枚の88.97%にあたります。今後、最大でもあと11%しか増加しないわけです。

 

赤線はインフレ率を表しています。約10分のブロック生成ごとに、現在6.25BTCが掘り出されるので、1年間の発行枚数は328,500枚。発行済みの枚数から計算すると、これは1.75%のインフレ率ということになります。つまり、急速に新規供給量が減少するというわけです。

 Bitcoinの時価総額は金の10分の1

さて、Bitcoinがデジタルゴールドだとしたら、どのくらいの価値が考えられるのでしょうか。現在、金の時価総額は約11兆ドル。対してBitcoinは1.16兆ドルです。これが同じ立ち位置になるとすれば、ここから10倍になるというポテンシャルがあるというわけです。

 

ただし金の立ち位置を置き換えるものかどうかは分かりません。金は太古からの歴史のある資産であり、いくらBitcoinが重要なポジションについても、金が無価値になるわけではないからです。

 

それでも、何十億円分でも100円分と同じように扱える、地球の裏側でも数十分で送金できる、といった取り扱いの容易さは金にはない特徴です。ポテンシャルとしては、金を上回るものを持っています。これまで金が担っていた役割の一部でも、Bitcoinが果たすようになるのはあり得ないことではありません。

外貨準備として金の代わりに?

世界には基軸通貨というものがあります。国際取引や為替取引に使用される通貨のことで、現在は米ドル。外国為替決済の88%が米ドルで行われています。そして、各国が為替相場を安定させる目的で各国が保有する外貨準備の多くは、基軸通貨となっています。

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外貨準備は、ドルでなければいけないとか、金でなければいけないという決まりはありません。さまざまな緊急事態が起きたときに、通常の取引で外貨が入ってこなくても、エネルギーなど最低限の物資を当面輸入するために使われるとされています。また、もちろん、為替介入の実弾にも使われます。

 

こうした理由から、輸入の際に取引通貨として使われるドルが、外貨準備の基本なのです。そして、米ドルに対するリスクヘッジとして、金を保有する国はけっこうあります。

 

米国やドイツ、イタリア、フランスなどのほか、オランダでは外貨準備に占める金の割合が55%、ポルトガルは75%となっています。戦後の経済成長で多くの経常黒字を抱えたときに、ドイツは金を買い、日本は米国債を買いました。ところが、米国債は米国との関係もあるので、売ろうと思っても売れないという状況にもなっています。 

 

面白いのが、ロシアや中国が、基軸通貨の米ドルを嫌い、外貨準備から米ドルを減らしていることです。米ドルの代わりに金の保有を増やしており、両国を中心にゴールドの準備高は3万5000トンにも及んでいます。

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こうした観点からいうと、Bitcoinが本当にデジタルゴールドになるには、国が米国債や金の代わりに外貨準備に使うようになるかが分水嶺です。Bitcoinの時価総額が1兆ドル近辺なのに対し、外貨準備は10兆ドル以上あります。こうして国がため込んだ金は、使われずに有事まで保管されるように、もし国がBitcoinをため込んだら、その額は膨大な額になるでしょう。

 

中小国においてはこれは夢物語でもありません。ベネズエラがBitcoinとEthereumを外貨準備に取り込むことを検討中という話もあります。大国はともかくとして、米ドルを嫌う国では、金とともにBitcoinが外貨準備に入るというのも、一笑できる話ではなくなってきました。

価値の貯蔵のツールに

この数年で、仮想通貨関係者の多くが、Bitcoinは価値の貯蔵の役割を強めているといいます。その値動きの激しさや、スピードの遅さ(10分かかる)、手数料の高さから、決済にはあまり向いていません。一方で、時価総額の大きさを見ても分かるように、財産をセキュアに、かつ保管しやすい形で貯蔵するには、Bitcoinは最適です。

 

日本にいると、お金は銀行に預けておけば安心ですし、政府が勝手にお金を召し上げることもありません。ところが、途上国などでは銀行はまだまだ不安な存在ですし、そもそも誰もが銀行に口座を開けるわけではありません。政府は状況が悪くなれば預金封鎖も行いますし、法定通貨はハイパーインフレにが起これば簡単に紙くずになってしまいます。

 

こんな中で、スマホがあればすぐに簡単に口座を作れ、暗号鍵を奪われない限りセキュリティが保証され、世界中のどこへでも簡単に送金できる。しかも、Bitcoinの保有は匿名で可能です。Bitcoinで簡単にモノを買うことはできませんが、別に取引所を介さなくても、法定通貨と替えてくれる人を見つけるのはそこまで難しくはありません。

 

従来、こうした価値の貯蔵の役割は金(ゴールド)が担ってきました。ところが、時価総額が上昇するにつれ、この役割はBitcoinに移るかもしれません。国がBitcoinの価値を認めるにはまだしばらく時間がかかるのでしょうし、大国はどこかで戦いを始めるかもしれません。しかし、米国の機関投資家や企業は、すでに金に代わる存在としてBitcoinを扱い始めています。

 

今のところ、Bitcoinはデジタルゴールドへの道を着実に進んでいるように思います。 

 

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