FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

ワールドコンピュータ、Ethereum ポートフォリオ紹介(11) 

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不定期連載のポートフォリオ紹介の11番目は、仮想通貨の中でもBitcoinとは異なる意味で期待しているEthereumです。Bitcoinが世の中のお金のあり方を革新する存在ならば、Ethereumはコンピューティングそのものを革新するのかもしれない。そんなふうに思っています。

  1.  S&P500 ETF IVV
  2. Amazon テンバガー銘柄
  3. 新興国 ETF EEM
  4. ゴールド 金
  5. 全世界株式VT
  6. 総合債券ETF BND
  7. 未来の勝者Google
  8. 今でもチャレンジャーFacebook
  9. 孤高の高配当 ARCC
  10. 北米除く先進国インデックスのEFA
  11. ワールドコンピュータ、Ethereum

新時代のインターネット、Ethereum

Ethereumとは時価総額でBitcoinに次ぐ不動の2位を保ち続けている仮想通貨です。2008年にBitcoinが登場してから5年後の2013年、当時大学生だったヴィタリック・ブテリンが考案したEthereumは、ブロックチェーン上でプログラムを走らせることができるプラットフォームです。14年から開発が始まり、ICOによって資金を調達。最初のバージョン「フロンティア」は15年から稼働を始めました。

 

「Ethereumは新時代のインターネットの基盤となります」。Ethereum.orgにはイーサリアムの紹介として、そう書かれています。

  • お金や支払が組み込まれたインターネット
  • ユーザーが自らのデータを所有できるインターネット
  • 誰もがオープンな金融システムにアクセスできるインターネット
  • 企業や個人によって支配されない、公正でオープンにアクセス可能なインターネット

現代のインターネットは、その初期に夢見られたものとは違い、ユーザーのデータや行動を糧にしてビジネスを行うビッグテックによって、半ば支配されるものになってしまいました。国境をなくし誰もが自由に情報のアクセスを可能にする——。そんなインターネットの理想の一部は実現しましたが、それによって力を得たのは当初思われていたような個人ではなく、新たな大企業だったのです。改めて個人に自由を取り戻すインターネット。そんな理想を、改めてEthereumには感じます。

 

仮想通貨の始祖であり唯一無二の存在であるBitcoinを別にすれば、現在の仮想通貨エコシステムのほとんどはEthereum上に構築されているといっても過言ではありません。

 

Ethereumは、ブロックチェーンネットワーク全体を一つの仮想マシンとして動作させるプラットフォームだといえます。その仮想マシンはEthereumバーチャルマシン(EVM)と呼ばれ、チューリング完全な環境です。主にSolidityというJavaScriptに似た言語でコードが書かれ、それをコンパイルすることでEVMで動作させられます。

 

一般のインターネット上のサーバは、負荷や物理的な遮断などによってプログラムが動かなくなる場合があります。政府が作動を止めることもあれば、企業が自ら止める場合もあります。ところが、Ethereum上のプログラムは、決して止まることがありませんし、止めることもできません。Ethereumブロックチェーンが動き続ける限りプログラムも動く。これが、ワールドコンピュータと呼ばれる所以です。

Ethereumを知った頃

Ethereumは、無から生まれたBitcoinとは違い、5000万ETHを販売するというICOからスタートしました。14年7月に行われたホールセールでは、5000万ETHを販売することで、開発チームは2万5000BTCを受け取りました。最終的には3万1529BTCまで販売総額は達しました。

blog.ethereum.org

その後、現在も稼働しているテストネットであるRopstenで15年5月にリリースされたのち、7月にはメインネットにフロンティア(Frontier)として公開されました。このときの1ETHの価格は0.6ドルほど。

 

しかし16年3月に、トランザクションがちゃんとブロックチェーンに記録されるようになった次バージョンのホームステッド(Homestead)が公開されたころには価格は急騰し、14.87ドルまで上昇します。

 

当時、仮想通貨全体の時価総額のうち8割以上をBitcoinが占めており、第2位はXRP(Ripple)でしたが、ホームステッド公開でEthereumが一気に2位に躍り出ます。その後、今日に至るまで不動の2位を占めているわけです。

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ただし歩みが順調だったわけではありません。16年6月に起きたTheDAO事件がそうです。スマートコントラクト技術を用いて中央管理者なしに自立分散型投資ファンドを実現するという巨大プロジェクトTheDAOのICOが行われました。これは当時のEthereumの総発行量の10分の1に上る資金を集めたという大プロジェクトです。

 

ところが、16年6月にTheDAOの脆弱性をハッキングされ、8000万ドル相当のEthereumが盗難されるという「TheDAO事件」が起きます。価格は10ドルあたりまで下落しました。このとき、盗難があってもブロックチェーンはそのまま存続するべきと考える人たちと、盗難前に巻き戻すべき(ロールバック)と考える人たちで意見が対立。メインのEthereumではロールバックが行われ、そのまま継続というEthereum Classicがハードフォークによって生まれました。

 

実は、このハードフォークによるEthereum Classicの付与を、ぼくも受けています。つまり、16年の夏にはわずかですがEthereumを保有していたということですね。

Ethereumの価格推移

こうした事件を乗り切り、バージョンアップを重ねながらEthereumの価値は順調に増加していきます。現在の価格は2800ドル少々。下記のグラフを見れば、いかに急速に価格が上昇してきたのかが分かります*1。16年当時からの上昇率を見ると、実に38万807%。5年で3800倍の価値になったということです。

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なぜここまで価値が増したか? それは17年以降、仮想通貨の発展とバブルを引き起こした数々のエポックメイキングな出来事は、ほぼいずれもEthereum上で起きてきたからです。

仮想通貨を分類する

山のような種類のあるように見える仮想通貨ですが、実はその起源から見ると、いくつかの種類に分けることができます。

  1. Bitcoinを改良したもの、またはハードフォーク
  2. Ethereum上のトークン(ERC20規格)
  3. 独自のもの

Bitcoinから派生した仮想通貨は、改良型であるLiteCoin(LTC)や初期の大規模ハードフォークで生まれたBitcoinCash(BCH)などがあります。また、独自のものとしてはXRPが有名ですね。

 

しかしほとんどの仮想通貨はEthereum上でERC20規格に則って発行されたERC20トークンなのです。代表的な例としては、BNB(BinanceCoin)、OMG(OmiseGo)、BAT(BasicAttention Token)や、DeFi関連トークンのUNI(Uniswap)、AAVE(Aave)ステーブルコインであるUSDT(US Tether)、USDC(USD Coin)などがあります。

 

17年当時熱狂の中で乱発されたICOは、基本的にERC20トークンでしたし、20年に大ブームとなったDeFiは基本的にEthereum上で動作するサービスのことです。また現在市場が盛り上がりつつあるNFTはERC721という、やはりEthereum上の規格に基づいてEthereum上に発行されるトークンです。

 

このように仮想通貨のエコシステムの中で、Ethereumはまさにプラットフォームの地位にあり、このことがEthereumを特別なものにしています。

Ethereumの課題とチャレンジ

一方でEthereumには数々の課題もあります。どちらかというと保守的でセキュリティを最重視しているように見えるBitcoinとは違い、Ethereumは続々とハードフォークを繰り返し、機能追加を進めています。下記のようにハイペースでプロトコルがアップデートされているのです。

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さらに現在、Ethereum2.0と呼ばれるメジャーアップグレードが進行中です。DeFiなどのプラットフォームとして成長したEthereumは、現在処理性能の危機に瀕しており、スピードの低下、また取引手数料の高騰に悩まされています。これらを解決しようというのがEthereum2.0です。

 

Bitcoin同様のPoWから、PoSという仕組みへの切り替えを進めているのが一つ。そしてシャーディングという並列処理を取り入れることで処理性能をアップさせようというのが一つです。

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これは、ブロックチェーンの仕組みを根本から切り替えるようなもので、実際従来のブロックチェーンと並行して、Beacon Chainという新しいブロックチェーンネットワークが稼働を始めています。最終的にBeacon Chainに統合される予定ですが、その時期は未定。2つのブロックチェーンがしばらくは併存する形です。

 

このようなアグレッシブな開発は、業界では大艦巨砲主義とも言われます。小さくシンプルな機能と役割を持ったものを組み合わせて物事を実現するのではなく、全ての機能を網羅する完璧なブロックチェーンを作ろう——。Ethereumが目指すものは、そんなふうに捉えられているように見えます。

 

普通はこんな大艦巨砲主義のソフトウェアは破綻するものですが、そう指摘する人でも「Ethereumならばやり遂げるかもしれない」と言わせてしまうのが、Ethereumのすごいところです。

 

ただし同様にワールドコンピュータを目指す競合が続々現れてきているのも事実です。Binanceチェーンがその1つですし、EOSやADA(Cardano)の価格も上昇しています。いずれもEthereumよりも「技術的に優れている」ことをウリにしていますが、その成否はともかく、圧倒的な実績を持つのはやはりEthereumです。

変わらない価値と変わり続ける価値

Bitcoinは、起源に定められた半減期や最大枚数を守り抜くこと自体が価値である仮想通貨です。時が経っても変わらぬ価値を持ち続けるゴールドのように、いつまで変わらずに安定してあり続けることに意義があります。

 

一方でEthereumは、その上でさまざまなアプリケーションが動くプラットフォームであり、変わり続けて素晴らしいものに進化していくことに価値があります。現在はWindowsのように、Ethereum上で動くトークンやアプリケーションが多数あることで価値を保っていますが、もしそれに変わるOSが出てきたらガサッと移行されてしまうかもしれません。実際、BinanceチェーンはEVMとの互換性をウリにしていたりします。

 

正直、初めてEthereumの話を聞いたときには、初めてインターネットに触れたときのようなワクワクが止まらなかったことを覚えています。グロース投資で成功するには、10年単位で世界を変革していくようなものに投資することが必須です。Ethereumはすでに世の中を大きく変えてきましたが、そのポテンシャルは現在の何十倍、何百倍もあります。

 

ぼくが仮想通貨のポートフォリオを考えるにあたり、BitcoinとEthereumはやっぱり絶対に外せないものでした。アロケーション比率が高すぎるのがちょっとネックですが、この2つは10年、20年とストロングホールドです。

 

  1.  S&P500 ETF IVV
  2. Amazon テンバガー銘柄
  3. 新興国 ETF EEM
  4. ゴールド 金
  5. 全世界株式VT
  6. 総合債券ETF BND
  7. 未来の勝者Google
  8. 今でもチャレンジャーFacebook
  9. 孤高の高配当 ARCC
  10. 北米除く先進国インデックスのEFA

 

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*1:念のためですが、こちらは縦軸対数です。