遺言を用意しておこうというところまではいっていませんが、自分にもしものことがあったときのために、財産目録を用意しています。いわゆる終活ってやつに当たるのでしょうか? しかし、この運用を考えると、全くもって大変そうです。
財産目録
ぼくに何かあったときに、残された家族が一番困るのは、どこにいくらの財産があるのか? ということでしょう。そのために、財産目録を作って年1回くらいの頻度で更新しています。
まず要素はこんな内容です。
- 証券口座
- FX口座
- 銀行口座
- 仮想通貨口座
- 入っている保険
- インフラ含むサブスクの状況
- クレジットカード
- 法人の情報
- PCやスマホのパスワード
- 何かあったときの対応法
昔ながらの口座なら、年に1回は年間取引報告書などが郵送されてくるので、「あ、こんなところにも口座があったんだ」と気づくのですが、最近は取引がないと送ってこなかったり、資源の節約ということで送付を電子のみにしているところも増えています。ネット銀行などは、その典型ですね。
家族の遺産の対応をしたことがあるのですが、最も困ったのは、どんな口座とクレカがあるのかの全貌を把握することでした。そのため、少なくとも残高のある口座の一覧はあると、残された人たちが大分らくになるはずです。
証券口座の問題
ぼく特有の問題として、証券口座の課題は優待クロスにともなう信用売りポジションがあることです。これは大きな問題です。もし、遺族がそれに気づかなければ、返済期限がきて強制決済され、対応する現物だけが残ることになります。短期信用ならばまだいいのですが、日興証券の一般信用などは期限が3年。貸株料だけで5.2%にも達します。
FX口座の問題
現在はポジションがありませんが、FXはさらに問題です。ぼくがFXを使うときは、株式などのポジションの為替をヘッジしたいときか、異業者のFXを使ったスワップ取りのための両建てです。
これは必ず対応する複数のポジションがあるので、基本的には同時にクローズしてもらわなければなりません。しかも、FXはレバレッジがかかっているので、のんびり持っていたらヤバイことになりかねません。
銀行口座の問題
銀行口座の課題は、本人が亡くなったと分かると、口座が凍結されることです。銀行に知られると凍結されるので、クレジットカードの引き落としもできなくなってしまいます。
- 銀行が死亡を知る
- 口座が凍結される
- クレジットカードの引き落としができなくなる
- クレジットカードで引き落としている公共料金が支払えず、電気やガスが止まる
これが最悪のシナリオです。証券口座からおカネを引き出すときも、直接ATMで引き出せるところは対面証券くらいで、普通は本人名義の銀行口座にしか出金できないので、口座を凍結されると万事休すとなるわけです。
死亡診断書を持って銀行にいき、亡くなりましたと伝えれば、解約や名義変更の手続きを進めてくれますが、1カ月程度かかる場合もあります。家族の口座に当座の生活費は入っているようにしないと、かなりの迷惑を掛けかねません。
仮想通貨口座の問題
最大の問題が仮想通貨です。ぼくは現物しか持っていないので、急いで処分しないとたいへんなことになる……ということはないのですが、置いてあるところが問題です。
まずほとんどが海外の取引所です。すべてではありませんが英語です。さらに、ログインに、IDとパスワードと2FAが必要です。いずれもスマホの中に格納されていますが、果たしてこれが分かるかどうか。詳細に説明書を書いておいても、うまく行くかは不安が残ります。
もしログインできなければ、死亡診断書相当のものを送付して、メールで相続のやりとりを行うことになると思うのですが、まぁ間違いなく英語。これはハードです。
取引所にない仮想通貨はウォレットに入っています。自分で管理する分には安心のウォレットですが、遺族にはこれがまたハードルが高いはず。そもそも、ウォレットの仮想通貨を現金化するには、どこかの国内取引所に送金しなくてはなりません。すると、
- まず国内取引所に口座を開く
- ウォレットにアクセスする
- ウォレットから取引所に送金する
- 取引所で売却して円にする
という4つのプロセスを踏む必要があります。これは、仮想通貨を触ったことがある人でも、そこそこ面倒。ビットコイン? なにそれ? というような遺族に扱えるイメージがわきません。
入っている保険の問題
入っている保険は、「どの保険に入っているのか」さえ分かれば大丈夫でしょう。というか、被保険者が死んだときにどうしたらいいか分からない生命保険では困ります。
ただ証書がデジタル化されることも多い昨今なので、「この保険に入っているよ」ということはしっかり伝えておかないと面倒なことになります。
インフラ含むサブスクとクレカの問題
インフラとクレカの問題はけっこう結びついています。クレカ会社に連絡して止めてしまうと、次の問題が起こるからです。
- 電気ガス水道携帯などの支払いが滞る。最悪停止も
- 貯まっているポイントがゼロになる
そのため、まずインフラがどのカードで支払われているかを分かるようにしておいて、インフラの支払いを遺された家族に切り替えてもらう必要があります。その上で、できえればポイントは活用してほしいですね。
そしてクレカは年会費が発生するものから優先して解約してもらう必要があります。極論、年会費無料のものはしばらく放っておいてもいいかも。銀行口座もそのままにしておけば、引き落としも実行されるので。
ついでに、家族が不要なサブスクも併せて把握してもらい、解約手続きを取ってもらうことになります。これを考えると、サブスクは不用意に広げると遺族の負荷が増しますね。
法人の問題
もう一つの問題が法人です。ただ僕の場合は、不動産と太陽光という、オーナーに負荷のかからない事業をやっている法人なので、管理会社とEPC業者に連絡さえすれば、すんなりと引き継げるでしょう。運営期間も長いので、その間に勉強してもらって、継続するもよし、売却するもよし、考えてもらえばいいと思っています。
持ち株の相続というのも面倒そうですが、これは税理士を付けているので、相談してやってもらえば大丈夫でしょう。法人の決算を自分でやるのも面白そうですが、何かあったときのことを考えると、外部に税理士法人があるのは安心です。
PCやスマホの問題
PCやスマホは意外とやっかいです。ログインパスワードは記載して渡しておければOKですが、Webサービスがやっかい。特に、Googleについては、いろいろなWebのサービスのパスワードリセットをかけたときに、Gmailのメールアドレスにアクセスできないとほぼ詰んでしまいます。どうやって、遺族にGoogleの権限を渡すか。これについては、次回、まとめたいと思います。
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