FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIer(FIRE)を実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

インデックス投資はタダ乗りなのか?

f:id:kuzyo:20211003183324j:plainインデックス投資への批判として、「個別株投資家の判断に乗っかっているタダ乗り投資だ」というものがあります。平均してみた場合、アクティブ投信や個別株投資よりもインデックス投資の方がパフォーマンスが良いことはよく知られてきましたが、それは個別株投資家の犠牲の上に成り立っている結果だというのです。これは本当にそうなのでしょうか?

すべての会社のオーナーになる

これは一面で真実、ただし本質的にはそうではない。そんなふうに考えています。それはなぜか。まず、次の思考実験をしてみましょう。

 

ある小さな島国で、複数の会社がありました。あなたはその会社すべてのオーナーです。その価値はどうやって決まるでしょうか?

 

難しいことを考えるまでもなく、その会社の業績、利益総額になりますね。会社だけが利益を上げていて従業員を搾取していたり、環境を破壊しまくっていたりしたら、長期的には利益も上げられないわけですから、その島国全体の経済成長と同義だともいえます。

 

つまり、その島国の経済が成長すれば、オーナーであるあなたの資産の価値も増大するし、経済が低迷すれば価値も減少するというわけです。

 

これをもう少し大きな国に当てはめてみたのが国別インデックス投資だし、地球全体に当てはめてみたのが全世界インデックスです。ここにはアクティブ投信もないし、個別株投資家もいません。それでも、全会社のオーナーであるあなたの保有する資産は、経済成長に伴って増加するのです。

その島の企業全体の価値はいくら?

資産額が経済成長とともに増加するのはいいとして、では一体それはいくらでしょうか? 1億円? 100億円? どうやって金額を測ったらいいのでしょうか。

 

一つの考え方は、配当額です。企業は利益の中から配当として投資家に現金を分配します。これが投資家にとって資産が生む具体的な利益です。ということは、将来その島の企業全体が生み出す配当額の合計が、具体的な資産額になります。

 

では毎年1億円の配当を生み出していて、それが今後も続くなら合計した利益は無限大になってしまいます。この計算は正しいのでしょうか? いや、未来に入ってくるお金の価値は、現在のお金よりも小さくなることを考慮しなくてはなりません。1億円を金利2%で預金しておいたら、1年後は1億200万円になるわけで、つまり1年後の1億円は現在の価値に直すと9803万円なのです。

 

このように将来の現金を、金利から逆算して現在の価値に直すことを「割り引く」といいます。こうして未来永劫の配当を割り引いて合算すると、合計額は一定の値に落ち着きます。もし金利が2%なら、毎年1億円ずつもらえる配当の現在の価値は50億円ということになります。つまり、この島の企業全体の価値は50億円というわけです。

途中で手放したい場合は?

あなたは島を離れることになって、持っている全企業の株式の半分を誰かに譲渡することを決断しました。このときの譲渡額はいくらが適切なのでしょうか?

 

先の計算によると50億円の半分、25億円ということになります。しかし、買い手のAさんは、10億円だと主張しました。ではこの10億円の根拠は何でしょう。

 

Aさん曰く、「配当は今は1億円だが、この島の経済は減速しつつあり、企業が生み出す利益は今後減少していく。それを計算すると配当も減っていって、予想した将来の配当を割り引いて合計すると20億円。その半分だから10億円」だというのです。

 

ここにBさんが登場し、30億円で買うと言い出します。「この島の経済はいまは微妙だが、新たに鉱山が見つかった。これは今後大きな利益をもたらす。今後の利益も増加して、配当も増加していく。予想した将来の配当を割り引いて合計すると60億円。その半分だから30億円」だというのです。

 

AさんとBさんの言っていることはどちらが正しいのでしょうか? 結論としては、どっちが正しいかなんて分からないとなります。将来の配当額なんて、情勢によって変化するので、見る人によって多くもなるし小さくもなります。経済の好不調はいろいろと動きますし、鉱山が実は使い物にならないものだったり、予想以上に良い物が埋まっていることもあります。そのときのニュースや見通しによって、評価は変動するのです。

 

そう、これが株価の変動です。将来利益≒配当額をどう見通すかによって、企業価値は大きく変動する。高くなると思う人もいれば、下がると思う人もいる。そのコンセンサスが、現時点の株価となるわけです。

インデックス投資家にとって個別株投資家の意味合い

となると、インデックス投資家にとって、個別株投資家が存在する意義はどこにあるでしょうか。1つはもちろん買い手としての存在です。未来永劫その株式を保有するならともかく、いつかはそれを売却しなくてはなりません。

 

このとき、売りたい分をまるまる買ってくれる別のインデックス投資家がいればいいのですが、売りたい数と買いたい数が一致するとは限りません。売りたい量のほうが多ければ、当然足下を見られて、本質的な価値よりも安い値段で売却することになってしまいます。こんなとき、短期的に保有する目的の個別株投資家がいるから、本質的な価値で売却ができるわけです。

 

つまり、市場に流動性を供給しているのが個別株投資家だということです。逆に売らないでいるのなら、これはあまり関係ありません。

 

2つ目は、適切な価格を付けてくれる存在です。全社の株を持っているオーナーであっても、未来の利益=配当額なんて正しく予測できるわけではありません。先の例でいえば、ざっくり50億円としかいえないわけです。ところが、未来の経済情勢や市場情勢を見て20億円だとか60億円だとか言ってくれるのが個別株投資家です。

 

これら個別株投資家の付けた値段が正しいかどうかは分かりません。それでも、市場にたくさんの個別株投資家がいて、さまざまな試算を行い、付けた価格の中でのコンセンサスが、現時点での評価額だというのは納得感のある内容です。だから、安心してその価格で売却できるわけです。

 

ただし、これは個別株投資家たちが集まって未来予測のコンセンサスを提供してくれているだけで、持ち続けるインデックス投資家にとっては、個別株投資家の存在の有無にかかわらず、いずれその未来はやってきます。そして、起こった経済状況に合わせて利益が生まれ、配当が出てくるだけです。

 

つまり、途中売却をするときに、流動性を提供してくれて、その時点での適切な価格を提示してくれるというのが、個別株投資家の意味合いだというわけです。

必要な存在ではあるがタダ乗りではない?

こう考えると、別にインデックス投資家はアクティブ投資家にタダ乗りしているとは必ずしもいえないともいえます。アクティブ投資家の存在意義はあるにしても、それによってインデックス投資家が利益を得ているわけではなく、あくまで経済活動にともなう企業の利益から投資家も利益を得ているのですから。

 

もちろん、需給という意味での影響はあります。インデックス投資家ばかりになって、みんなが買いたがると、需給の関係から株価は上昇してしまいます。インデックス投資家は基本的に「現在の株価は適切なのか」とは考えないので、個別株投資家が細かく予想して決めた現時点での適切な株価よりも高い値段で買うことになってしまうからです。

 

一方で、売るときは同じく需給の影響で、適切と考えられる株価よりも安く売ることにも成りかねません。インデックス投資家の増大局面や、日銀などがインデックスを買うことによる市場の歪みはこうやって生まれます。

 

このように、個別株投資家が果たす役割はいろいろとあるわけですが、インデックス投資家がタダ乗りだという論調には、ちょっと違うかな? とも思うわけです。企業全体が生み出す利益、そしてその基盤となる経済の成長こそがインデックス投資の利益の源泉なのですから。

 

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