FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

投資の目標額を掲げるべきなのか?

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Twitterで「投資を始めました!」というアカウントをしばしば目にするようになりました。そのプロフィールには、「サイドFIRE目標」などと並んで、「1億円を目指します」といった投資の目標額が書かれていることがしばしばあります。

 

意外かもしれませんが、投資歴の長いベテラン投資家からは目標額を置いている話を聞きません。ぼく自身もそうですが、「目標額はいくらですか?」と聞かれても困ってしまいます。

 

これはなぜか。3つほど理由があると考えています。

目標額はマイルストーン?

1つは、目標額を定めると、じゃあ目標額に達したら投資をどうするんだ? ということです。目標額に達したら投資を止めるという人はまずいなくて、投資を止める人というのは失敗して資産を大きく毀損したり、破産してしまった人です。

 

目標額に達しても投資を続けるなら、何のための目標額でしょうか。FIREするのに足りる額とか、そういう中間目標、マイルストーンというのはあり得ます。「FIREしたいので1億円を目標にする」とか。そういう意味では、この目標値は意味があるのかもしれません。

投資=入金力+α?

2つ目は、投資なんて運不運の要素が大きくて、目標額を定めてもそれに向けて何ができるわけではないということです。そのため、投資の目標を立てること自体がナンセンスです。ただし逆にいえば、入金力であれば自分の努力で増やすことも継続することもできます。

 

つまり目標額を決める投資家というのは、貯金の概念の延長線上に投資を置いているのではないか? と思うわけです。あと20年で5000万円の資産額に到達しようと思ったら、年250万円入金すれば達成します。ここで投資がうまくいけば、目標額到達タイミングが少し早まる。こんな発想でいるのではないでしょうか。

 

昨今の投資入門者は、2倍10倍になる株を見極めるなんてことは目指さず、インデックス投資で年平均リターン6〜7%を目指す、王道の投資を志します。となれば、5000万円程度の資産なら、最重要なのは入金力です。だから、目標額という観点が出てくるのでしょう。

目標達成のための過剰リスク

3つ目は、そのように運不運で変わってくるにもかかわらず、目標を達成しようと思ったら、ポートフォリオの内容を変えざるを得ないことです。端的にいえば、年100万しか入金できていないのに20年後、5000万円を目標とするには、8.1%のリターンが必要です。

 

20年間にわたり8.1%の平均リターンを生み出すポートフォリオを作るのはけっこう難しいです。5年程度の期間ならば、例えば先進国株式は年率10%を超えるリターンを出していますが、長期でいうともっと下がるのです。

 

J.Pモルガンが公表している長期のアセットクラス別期待リターンで、7%を超えるアセットクラスは1つもありません。主要クラスでいえばこんな感じです。

  • 日本国債 0.7%
  • 日本大型株式 5.0%
  • 米ハイイールド債 2.2%
  • 先進国国債 0.7%
  • 先進国株式 3.0%
  • 新興国株式 5.2%
  • 米国不動産 4.1%

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7%に近いアセットクラスでいうと、下記のようなものがあります。ちなみにバリュー・アッド不動産とは、割安な不動産を購入してリフォームを行って価値を向上させる不動産投資手法です。

  • 中国株式 6.5%
  • 未公開株 6.4%
  • 米バリュー・アッド不動産 6.0%

こうした中で、20年間平均8%を超えるリターンを生み出そうと考えたら、期待リターンの高いアセットを組み込むだけでなく、レバレッジをかけるのが王道になります。または、インデックスよりもリスクの大きい個別株を中心としたポートフォリオを組むことになります。

 

本来、どのくらいのリスクを取るかは、金融資産の状況と将来の収入見通し、そしてリスク選好に基づいて決めるべきで、「これだけのリターンが欲しいから、これだけのリスクを取る」という決め方をすべきではありません。このやり方だと、簡単に過剰リスクを取ることになってしまうからです。

ベテラン投資家の発想

このように、投資の初心者に限って「目標資産額」を決めるのは、積立貯金の延長線上で投資を捉えているからではないかと感じています。ただし、ベテラン投資家が目標を立てないのは、ほかにも理由がありそうです。

 

億を超える額を運用する投資家と話すと、ほとんどの人は、資産額がゲームのスコアのようになっているんですね。10万点稼いだ、50万点損した……という感じで運用をやっていて、その資産が実際のモノを買えるお金であるという感触が薄い。だから、資産額を増やすこと自体はそれほど切実ではないというか、ハイスコアを達成したいという欲求は強いので、「ヒストリカルハイ」は目指すものの、スコア〇〇点を出すのが目標……というような発想になりにくいのではないでしょうか。

 

その背景には、老後資金という観点だと投資成績如何に関わらず、全く問題がないというのもあるのでしょうけど。

ゴールベースアプローチ

ここまで書いてきて、それをひっくり返すようですが、老後資金を貯めるという観点ではゴールベースアプローチが主流です。必要になるお金を計算して、それを目標値とし、必要な積立額と必要なリターンと、それを実現するためのポートフォリオを作るというやり方です。

 

当然ですが、この手法で最も重要なのは確実性です。そのため、できる限り入金量を増やして、必要最低限のリターンに抑えてリスクを減らすことを心がけます。FIREでも、これが王道の手法ですね。

 

ただ、この手法の難点は、投資自体をどうするかよりも、入金力を高めることにフォーカスするほうが圧倒的に効果が大きくなることです。それ自体は全く間違いではなく、正しいことなのですが、投資アカウントとしては悩ましい点かもしれません。

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