本日3月2日に、auカブコム証券がクレカ積み立てサービスの開始を発表しました。基本1%還元、auユーザーなら当初12カ月は5%還元と、なかなかのサービス。では現在クレカ積み立てを提供している証券会社はどこがあって、どのように使うのがよいかを概観してみます。
クレカ積み立てのメリット
さてなぜクレカ積み立てを行うのでしょうか。「入金の手間がかからない」「支払いがあとでいい」などのメリットもありますが、やはり最大の利点はポイント還元です。株や投資信託のような金融商品は、どこで買っても同じ、どこで保管しても同じ。そのため、1つの観点は、最も還元率が高いところで購入することになります。
ちなみに、クレカを使った有価証券の購入については金融庁が指針を出しており、月間10万円までしか認められず、また積み立てしか行えません。カードの決済タイミングによっては、1日と31日のように同月になってしまう可能性があるため、どの証券会社も月間5万円までと同一のサービスとなっています。
また規制上は投信ではなく株式の購入も可能で、実際セゾンポケットではカードで株を積み立て投資することも可能です。ただし、月間上限枠が5万円と決まっているため、1円単位で買い付けられる投資信託が実際には便利でしょう。
クレカ積み立ての種類
では現在提供されている、各社のクレカ積み立てを一覧にしてみましょう。
楽天証券は還元率1%で楽天ポイントが貯まる、最もオーソドックスでシンプルなサービスです。ただし、9月から信託報酬の低い投信については還元率が0.2%に下がります。
最も還元率が高いのが、最大2%を還元するSBI証券と三井住友カードの組み合わせです。ただし2%を実現するにはプラチナカードが必要で、最低でも年会費3万3000円がかかります。1%還元のゴールドカードは、年間100万円利用すればその後ずっと年会費が無料になる特典があるので、こちらが現実的かもしれません。
マネックス証券は、年会費実質無料*1のカードながら1.1%は、最も高い還元率になります。
auカブコム証券は、還元されるのがPontaポイントという、使いやすいポイントなのが利点の1つ。また、auユーザーは+4%、UQ mobileユーザーは+2%、還元率がアップするという特徴があります。当初12カ月ではありますが、5%還元は小さくありません。
tsumikki証券は、積み立て初年度は0.1%還元ながら、翌年から0.1%ずつ還元率がアップして、最大0.5%まで増加します。そして、エポスカードゴールドなら年間100万円で1万円の還元があります。これは積み立てもカウントされるので、月間5万円の積み立てなら年間60万円。ほかで40万円使えば、実質+1%となります。つまり、1.1%〜1.5%還元となるわけで、ほかで40万円使えるなら実は非常に高い還元率を誇ります。
どこで積み立てたらいいのか?
ではこうした特徴がある各サービスの中で、お勧めはどこでしょうか? 還元率だけを見ると、マネックス証券の積み立ては複雑な条件なく1.1%なので悪くありません。マネックスポイントは、dポイント、Tポイント、Pontaなどに交換できるほか、Amazonギフト券にも交換できます。
auカブコム証券の1%もやっておいて損はありません。逆に、auユーザーならばやらない理由がないという感じでしょうか。1年間で60万円積み立てると、3万円分のポイントが還元されるわけで、ある意味大盤振る舞いです。
楽天証券は9月に改悪といっても、まだ半年1%で還元されます。また8月には楽天キャッシュからの投信積み立てが始まります。楽天キャッシュには楽天カードからチャージするため、実質的に楽天カードから積み立てるのと同等です。還元率は少々落ちますが、やはり定番です。
SBI証券は、ぜひ三井住友カードゴールドで積み立てたいところ。そのためには、三井住友カードゴールドで100万円利用して、年会費を無料にすることが重要です。ちなみに、クレカ積み立ては100万円のカウントに含まれないので、純粋にカード利用で100万円使う必要があります。人によってはハードルが高そうです。
tsumiki証券でも、エポスゴールドを取得して1.1%超の還元を目指したいですね。実はtsumiki証券で積み立てを行っていると、けっこうな高確率でゴールドカードの招待が来るはずです。エポスゴールドカードは招待をもらった場合年会費永年無料なので、まずは積み立てから入って、そこからゴールドにするのが王道です。
いろいろと書きましたが、特に損はないのがクレカ積み立てなので、できる限り全部の証券会社で積み立てるのがベストソリューションです。ぼくは、楽天証券5万円、SBI証券5万円、tsumiki証券5万円を積み立てており、マネックス証券でも積み立てを開始します。そして3月末に向けてauカブコムでも始める予定。合計、毎月25万円を積み立てる計算になります。
何を積み立てたらいいの?
ではいったい何を積み立てたらいいのでしょうか? 注意が必要なのがtsumiki証券とセゾンポケットです。こちらは、選択できる投資信託が極端に絞られていて、低コストな投信が存在しません。正直、こちらについてはどの商品もおすすめが厳しいというところです。
他の証券会社については、基本的に低コストインデックスファンドを買うのが王道です。ぼくはeMAXIS Slim全世界(オールカントリー)ですべて積み立てていますが、S&P500連動のインデックスでもかまわないと思います。
ただ、1点注意なのが9月から楽天証券では、低コスト投信の還元率が低下すること。そのため、王道からは外れますが、日本国債ファンド(信託報酬0.77%)あたりを購入するという手もあります。
禁断の途中売却
さて、毎月25万円も積み立てるとなると、ものすごいお金が必要になってしまいますね。ただし、ここには裏技もあります。ある程度積み立てが貯まってきたら、いったん解約してしまうという方法です。そしてその資金を再び投資に回す形です。
相場が値下がりしているとき、例えば5万円で積み立てた投信が4万5000円になっているときに売却したら、損だ……と思うかもしれません。ただし、実際にはそのお金に5000円を加えて、追加で積み立てをするわけです。4万5000円で売って、ほぼ同じ価格で買い戻すわけで、こう考えるとナンピン買いにはなっても、特段損をするわけではありません。
ただし気をつけなくてはいけないのは税金です。損が出ているときはともかく、利益が出ているときに売却してしまうと、利益に対して約20%の税金がかかってしまいます。これは売らずにそのまま運用していたなら税を払うことなく再投資できていたわけで、売却によるロスが生まれてしまう部分です。
*1:年会費550円ですが、1回の利用で翌年無料