お金というのは不思議なもので、ほんとうは自分の人生を豊かにしてくれるはずのものなのに、お金に振り回されて人生を壊してしまう人もいます。これはお金がなくて人生が苦しくなるというだけでなく、お金があったせいで人生がおかしくなるってこともあります。
人とお金の関係は、非常に複雑なわけですが、投資家にとってはどうでしょうか。投資家はお金が好きなんでしょうか、嫌いなんでしょうか。
一見すると好きそうだけど
自分自身も含めて、Twitterの株クラ勢を見ると、まぁお金の話題がいろいろです。いろいろと調べてあーでもない、こーでもないとやっているところを見ると、少なくともお金に対して関心があって、お金を増やしたいと思っているようにも見えます。
〇〇円儲かった!とか、こっちのほうが〇円安いとか、そういう話題が盛りだくさんなわけですから。いかにも「お金大好き」って感じですね。
でも本当にそうでしょうか?
お金はRPGの経験値説
これを僕は勝手にRPGの経験値説と呼んでいるのですが、少しでも効率的にお金を稼ごうといろいろ試行錯誤して情報収集するのは、RPGで少しでもうまい経験値稼ぎの方法を探すのと、本質的におんなじだということです。
RPGで経験値を増やすのは、そのゲームの本質的な目的ではないかもしれませんが、クリアに向けて避けては通れない道です。そして、ゲームの目的って本当は何か? と考えると、それはクリアすることではなく、クリアまでのプロセスを楽しむこと。つまり、どうやって効率的に経験値を集め、どう効果的に敵を倒すかといったプロセスの改善を楽しむこと自体が目的なわけです。
そう考えると、お金を節約したりポイントを貯めたり、有利な投資法を探すというプロセス自体が目的であるという考え方もできます。
少なくとも、いまのぼくのお金との向き合い方はこれです。金融というこの世で最も複雑で最も高度な知性の一部が集まっている領域で、自分のプレイ手法を試せるというのが楽しみなわけです。
お金が嫌いだから投資する説
もう一つは、実はお金が嫌いだから投資をしているという説です。
よくよく考えると、お金自体に価値なんてなく、そのお金を使って買えるものや買えるサービスに価値があるのです。だから、本当はお金のことなんか考える必要なく、欲しいものを買ったり、やりたいことをやれる生活がベストなはずです。
そのためには逆説的にお金が必要になるので、なんとかしてお金を増やさなければなりません。でも、ある程度の資産額に至れば、そこから先は雪だるまのように勝手に増えていくモノなんですね。資産は。
FIREとインデックス投資の相性がいいわけ
よく、「インデックス投資なんかじゃ、一生掛かってもFIREできる資産なんて貯まらない」という話を聞きます。これは確かに一面の真実で、よほど生活費が低い人以外は、「入金力の高さ」か「何かしらで一発当てる」ことが必要になったりします。
でも、資産を構築するのにトレードの腕を磨く……というのは、僕は本末転倒だと思っています。トレードに熟達して年利20%くらいのリターンを安定して出せるようになったとしましょう。インデックス投資の6-7%に比べれば、資産の増加は4倍くらいに加速します。
しかしトレードが上手になった人が、FIREできる資産が貯まったときに、インデックス投資とかに移行できるものでしょうか? 高配当株を買ってほったらかしとか、株を全部処分して不動産に換えるとか行うでしょうか。ぼくが知っている限り、多少の高配当株とか多少の不動産は持っていても、メインの資産は自分が一番よく知っているトレード用に残すものです。人は成功した投資手法からそう簡単には離れられないのです。
となると、FIREするはずがトレードをして毎日を過ごすことにもなりかねません。お金のことを忘れて自由な生活をするはずが、日々相場を追いかける毎日が続くわけです。
人のことはいえない
と、ここまで書いておいて、ぼくも人のことは言えません。メインの資産はインデックスなので、何もいじることがありませんが、優待やらTOBやらPOやらポイ活やらでなんとまぁ忙しいこと。
セミリタイア前よりも確実に、いろんなお金のもろもろと向き合って時間を使っています。
まぁ、自分を慰めるのは、「これ面倒くさいな」と思ったら、何にもしないでも大してリターンは変わらないということ。あくまで趣味として投資をやっているのであって、これをしないと生活できないというわけではありません。不動産にせよ太陽光にせよ、アウトソースしようと思えばどこまでもアウトソースできるものです。
というわけで、僕にとってはお金は好きな対象ではありません。RPGでいうゲームのようなもので、増やす楽しみはあるにしても、それ自体が目的ではありません。で、気が向くままにいろいろな投資対象をいじって楽しんでいるという感じはあります。