FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

実は日本人にとって最高値更新圏にあるS&P500

目下の株価といえば、米国のインフレ状況と、それを発端とするFRBの利上げに振り回されています。CPIが悪ければ、利上げが進むということで米株は下落し、日米金利差が開くということで円安になります。CPIが予想より低かったり景気が厳しそうだと、利上げペースが落ちるということで逆になりますね。

 

そんなわけで、インフレが進む米国の株価は厳しい状況……と思いきや、実はそんなこともないよ、というのが今日の記事です。

不調なS&P500

米株ってことで、その代表例のS&P500を見てみます。こちらは年初来のチャート。夏になってそこそこ戻ってきているとはいえ、まだ10%のマイナスです。

これは5年の長期チャートで見るとよりよく分かります。コロナショックで大きく凹んだあと、緩和政策によってお金が株式になだれ込み、すさまじいスピードで株価は回復しました。回復というか、それを超えて上がり続けました。そして21年末をピークに、インフレ懸念……というかインフレ対策によって大きく下落。まだ回復していないという構図です。

NASDAQも同様

これはNASDAQも同様です。形状はS&P500とよく似ていますが、よりボラティリティが高いため、年初来はまだ▲17.3%。

5年チャートを見ても、S&P500(青線)とNASDAQ(オレンジ)の形状はほぼ同じで、ボラティリティだけが違うのが分かります。

日本人にとっては過去最高更新

ところが、インフレとそれに対するFRBの対応という先の構図から面白いことが分かります。

  • インフレ増大 → 株価下落+円安
  • インフレ減少 → 株価上昇+円高

これは円建てで資産を見た場合、ドル建ての株価は下落するが円安によって円建て資産額が増え、ある程度打ち消し合うことを意味しています。逆に、インフレ率が落ち着いてきても、株価は上昇するもののその効果を円高が打ち消します。為替がスタビライザー的に働いているのです。

 

ただしもちろん株価も為替も金利だけで動くものではありません。そのため、円建てで資産がどう動くのかを見ると、意外なことになっています。下記は年初からのS&P500を、ドル建て(青線)と円建て(オレンジ)で比較したものです。なんと、円建てでは+3.86%となっているではないですか。

これは過去5年で見ると、もっと顕著です。S&P500は円建てで見た場合、ほぼ過去最高を更新しているのです。

直近1年のパフォーマンスを見ても、下記のようになっていて、日本人にとってはとても美味しい状況になっているわけです。

  • ドル建てS&P500 ▲4.08%
  • 円建てS&P500 +16.8%

円安なので投資を控えるべきか?

こうした状況の中、しばしば聞くのは「円安になっているのでドル資産への投資を躊躇する」という言葉です。内面を捕捉すると、「米国の株式に投資したいけど、ちょっと前なら1ドル110円で買えたのに、今は130円以上出さなければいけない。これだけ円安だと、もう少し待って円安が落ち着いてから米株投資したほうがいいのでは?」ということだと思います。

 

気持ちは分かります。ぼくも今ドル転をしたいと思えません。どちらかというと、手持ちのドルを売りたい気持ちです。ただ、ドルを買ってすぐそれを米株に投資するのなら話は別です。

 

先の5年チャートをもう一度見てみましょう。これが意味しているのは、過去、為替と株価がどんなタイミングであったとしても、円をドルに替えてS&P500インデックスに投資していたら、現在含み益になっているということです。

念の為、全世界株式のVTについても同様のグラフです。世界株式も落ち込みを見せていますが、円建てで見ると最高値更新圏にあります。

リスクは円高への巻き戻し

というわけで、ドル建て指数の下落ばかりがニュースになりますが、円経済圏で暮らしている身としては、円建てのほうが重要です。そして円建てでは過去最高をほぼ更新しているというのが現状なわけで、株式について阿鼻叫喚が聞こえてこないのも分かります。

 

ただ、この好リターンはあくまで円安が生んだものです。そのためこれが円高に振れて巻き戻ることがあれば、一気にパフォーマンスは落ち込みます。海外資産に投資する身としては、株価動向だけでなく為替動向がこれまでにないほど注視すべき対象になったということですね。

 

 

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