10月末に発表されたGAFAM各社の決算はあまりよろしくなく、利上げに伴う不景気が来ていることを実感させます。それにともない株価も大幅下落しました。
- GAFAMの株価
- Amazon 増収も伸び鈍化、利益は大きく減少
- Google 減速するも好調なGoogle
- Microsoft 増収増益が継続する強さ
- Apple 安定継続
- Meta
- 各社のP/Sレシオ比較
- 各社の利益率推移
- PERを比較する
- 曲がり角を迎えたGAFAMか?
GAFAMの株価
まずGAFAMの株価です。ひときわ大きく下落している青い線はMeta。1カ月で34%減とすさまじい落ち込みです。ほかもノーダメージではありません。Appleだけが持ちこたえているという感じですね。
- Amazon ▲18.3%
- Google ▲10.83%
- Microsoft ▲6.38%
- Apple +4.02%
- Meta ▲34.06%
ただし年初来で見ると各社それぞれ大きく下がっています。恐ろしいのはやはりMeta。難所から▲73.26%です。株価はなんと90.54ドルまで落ちました。これでもガンガンに含み益があるのは僕のポジションのいいことなのですが、さすがに落ちすぎでしょう?
- Amazon ▲45.94%
- Google ▲39.98%
- Microsoft ▲34.25%
- Apple ▲20.32%
- Meta ▲73.26%
ではコロナショック前の高値からの推移ではどうでしょうか。2020年2月からの2年半の推移です。こちらはけっこう明暗が別れました。マイナスに突入したのはMetaとAmazon。そしてAppleは+81.27%と大きく伸ばしています。Metaは唯一株価が半減していて、景気というよりもビジネスモデルの限界に達していたことが伺えます。
- Amazon ▲11.39%
- Google +17.72%
- Microsoft +19.69%
- Apple +4.02%
- Meta ▲57.36%
Amazon 増収も伸び鈍化、利益は大きく減少
Amazonは好調に規模を拡大してきましたが、2021年後半からは売上の伸びが鈍化してきています。
営業利益を見ると、やはり21年から減益となり、18年の規模感まで落ち込んでいます。
純利益は投資の損益も入るので、それが大きく影響します。22年1-3月の決算では純利益で赤字に転落しましたが、これは新興EVメーカーのRivianへの出資の評価減が原因です。ただし、22年はさすがに大きく利益水準が落ち込んでいて、これは株価の下落にも頷けます。
Google 減速するも好調なGoogle
Googleの売上はAmazonとはちょっと違い、コロナ禍に入って大きく伸びました。さすがに22年に入ると減速していますが、好調です。
それにともない営業利益も21年以降、大きく増大しています。直近の7-9月は減益となりましたが、それでも営業利益水準は高いまま。
投資の損益でブレたAmazonとは違い、Googleの純利益はほぼ営業利益と同じ形です。とはいえ、3四半期連続で減益となっています。
Microsoft 増収増益が継続する強さ
Microsoftは売上成長率がたいへん安定している会社です。直近でも増収を維持し、売上はきれいな右肩上がりです。ただ、増収率はそれほど高くなく、AmazonやGoogleのような30%以上の増収とは無縁です。
営業利益もほぼ売上に連動する形で増加しています。直近の7-9月決算でも増益となっていることが株価にも影響しているでしょう。
純利益も好調に増加してきましたが、21年後半から徐々に失速し、7-9月は減益となりました。ドル高のほか前期に33億ドルの税制優遇を受けていたことも影響しています。
Apple 安定継続
Appleの売上高は増加を続けています。伸び率は21年頭をピークに減速していますが、直近の7-9月でも増収です。
営業利益は21年あたりから急増し、それ以前の2倍の水準です。22年に入ってからは横ばいですが、大きく減らすこともなくふんばっています。
純利益もほぼ営業利益と同じ傾向。もっとも、気になるのはiPhone 14の結果が出てくる10−12月でしょうか。
Meta
最後にMetaです。売上は21年初頭に大きく伸びたものの、伸び率は徐々に減速し、4-6月、7-9月ともに減益となってしまいました。もともと50%近い高成長を続けてきましたが、それが落ち込んだのが2018年くらいから。そこからの伸び率はGoogleに近い状況です。営業利益の伸び率の変化もGoogleにそっくりで、つまり米国を中心とした広告市場の状況をそのまま表しているといえるでしょう。
営業利益は減益が継続しています。これでもう4四半期連続の減益であり、ここがGoogleとの大きな違いです。
純利益も似た状況。この連続減益が株価に大きく影響していますね。
各社のP/Sレシオ比較
では業績と株価の関係をもう少し見てみます。売上高に対する株価の倍率を示すP/Sレシオの推移がこちら。数字が大きいほど、売上に対して株価が課題評価されている形です。
MetaのP/S Ratioが急下降していることが分かります。これは将来の成長期待が薄れたということの裏返しです。GoogleとAmazonは横ばいですが、これは成長期待がほぼ継続しているということ。そして倍率が異なるのは、両社の利益率の違いが原因でしょう。
面白いのはMicrosoftとAppleのP/S Ratioがコロナ禍以降急上昇していることです。Microsoftについてはパッケージ販売からSaaS化への転換による増加とも考えられますが、Appleはどういうことなのでしょう。
各社の利益率推移
各社は、Appleがそうであるのかは置いておくとして、それぞれグロース株の代表格です。そのため将来の成長期待によって株価が大きく変動します。ただし、設立からもう長い企業たちであり、大きな利益を上げているのも事実です。各社の利益率を見てみましょう。
物販の比率が大きいAmazonの利益率が小さいのは以前から。最近はAWSの比率が上がってきたので利益率も上昇していますが、それでも他のテック企業とは桁が違います。ブレがありつつかなり高い営業利益率を誇っていたMetaですが、この1年で落ち込んでGoogleやAppleと同じ25%程度となりました。高成長&高利益率がウリのMetaだったので、成長が止まり利益率が低いとなれば、株価が落ちるのもわからなくはありません。
逆に利益率が上昇傾向にあるのがMicrosoftです。これがSaaSの強みという感じでしょうか。
PERを比較する
最後にPERを比較してみましょう。成長が鈍化したとはいえ、利益に対して割高なのか割安なのかは重要な点です。
- Amazon 89.37
- Google 17.97
- Microsoft 24.56
- Apple 24.66
- Meta 9.1
さて、これをどう見ましょう。Apple、Google、MicrosoftのPERは18〜25といったところでS&P500のPER19.56、NASDAQのPER23.35に比べて違和感はありません。
Amazonは昔から利益水準を抑える企業と見られていて、PERはかなり高く出続けていました。どちらかというとPSRで評価される企業です。でもこれだけ成長した現在、PSRがMetaやAppleに近くて、PERはとんでもなく大きいという点には矛盾も感じます。
Metaの9.1倍はこれまた小さな値です。ここから更に株価が半分になっても、PERは18倍。市場はさらなる下落を見込んでいるということでしょう。1年間減益が続いており、広告市場の見通しは明るいとはいえません。AWSを持つAmazonや、法人向けSaaSにも強くGCPも持つGoogleとは違い、Metaは広告市場一本打法です。
現在メタバースへの投資を強化していますが、こちらも全く立ち上がる見通しが立たず、業績の自主回復のためにはメタバース事業の早期展開しかありません。
曲がり角を迎えたGAFAMか?
こう見ると、テック大手は株価上昇も早かったけど、下落も速いということを再確認できます。各社のプロダクトを見ると、もはや世界のインフラと呼べるような立ち位置にあり、切磋琢磨は続くにしても、成長を続けつつ安定した企業になっていくように感じています。
ただその中でMetaだけはやはり異質です。10年くらいで主役が入れ替わる不安定なSNS事業を基盤に、これまた景気変動の影響が大きい広告事業を主軸にしています。さらに、そのほかのビジネスをほぼ持っていません。そこでメタバースってことですが、これまた不透明感半端ない。メタバースという概念に期待する人はいても、便利だとか離れられないという人には、いまだ会ったことがありません。Web3みたいな感じです。
それでも創業者が未だに先頭に立って事業を推進しているところには、一発逆転の目があるようにも思います。
僕の総資産に締めるGAFAの比率は下記の通り。
- Amazon 2.57%
- Google 4.0%
- Meta 1.11%
こう見ると、大きな差が付いたものです。1%くらいの保有ならば、ザッカーバークの逆転に賭けてもいいかな? なんてことも思うものです。