FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

FIREとは「降りる」こと

先週、「FIREとは降りること」というのが、Twitterの一部FIRE界隈で話題になりました。これ、FIRE済みの人は「確かに!」と思う一方で、未FIREの人は「なにそれ?」と感じる内容ではないでしょうか。

登り続ける、増やし続ける競争としての人生

「降りる」とは何か。その前に、よく言われる普通の人生について考えてみましょう。

 

学生であれば、もっと勉強してもっと成績を上げ、少しでも良い学校に入る。社会人になれば、少しでもスキルを磨いて成果を上げ、会社に貢献し、人よりも出世する。起業したなら、前年よりも着実にまたは大きく売上を伸ばし利益を増加させて、大きな企業にする。金儲けではない視点で見ても、もっと効率化して少しでも多くの人を幸せにしよう、世の中に貢献しよう。自分自身についても、もっと資産を貯めよう、投資してお金を増やそう。

 

こんなふうに思う人が多いのではないでしょうか。まぁこれが普通ですよね。学校でもビジネス書でも、成功者のセミナーでも、こういう人生を目指せ、もっと頑張れ、と言われるのですから。

 

ただこうした価値観のレールに沿って頑張って頑張っていく中で、ある日気づきます。早い人は結構早くから、遅い人は40代、50代になってから。もう限界だ……と。

 

人との競争はまだいいですね。問題は自分との競争です。とにかく成長し続けなければならない。昨日の自分に勝ち続けなくてはいけない。資産は増やし続けなければいけない。これが成長のプロセスだという人もいます。常に成長し続けることが重要だと。でも、成長し続けてどうするのでしょう。その先には何があるのでしょうか。

はい。おつかれさん。もう成長しなくていいよ

「もっと成長しろ」「もっと数字を増やせ」。実は一番こう言ってくるのは会社だったりします。株式会社は成長が根幹にあり、そのために社員にも常に成長を求めます。売上と利益は伸びて当然、同じように社員のスキルも上がって当然なのです。

 

でも人の幸せと成長は、必ずしも一致しません。業務に特化して効率を上げ成長して成長して、会社にとっては有能で有用な人物になったとしましょう。でも、その時自分自身は幸せでしょうか。

 

会社に求められ、業績を上げ続けることに満足している。幸福だ。そういう気持ちもあるかもしれないですね。でも、それは60歳なり65歳を迎え、定年となると一気に逆転します。あれ? 自分は会社に求められているんじゃなかったの? 年齢が60になったらもう必要ないって言われるの?

 

60歳の定年まで待たなくても、45歳くらいから役職定年を迎える人は出てきます。これを会社から「もうあなたはいらないよ」と言われているように感じる人も多い。

 

成長するのはいいとしても、その基準を外部に求めると、ある日突然はしごをはずされるのです。

敷かれたレールで競争する人生を「降りる」

多かれ少なかれ、こうした経験をしてくると、人生のどこかのタイミングで、「もう競争するのをやめよう」と思う人が出てきます。会社や他人の期待のために働くのをやめて、自分がやりたいことをやろう。そう思うわけです。

 

別の言い方をすれば、これは自由を手に入れるということだし、口の悪い人は「単に仕事が嫌で逃げ出しているだけじゃん」ともいいます。言い方はいろいろあって、それが間違っているとは思いません。でも、重要なのはそうした基準とは違うところに身を置き、「降りた」ということです。

 

いってみれば「隠居」のイメージが最も近いのかもしれません。そういう意味では、リタイアという言葉も近い。早期退職というより、セミリタイアなのです。

 

そこに必要なのは心の持ちようであって、資産額ではないと思っています。ただ、降りるだけの競争をしてきた人は、意外と収入が多かった人が多い。そして、降りようなんて思う人はちょっと変わり者で、そういう人は見栄を張りません。見栄を張るなら、どこどこの会社のこういう役職――という社会的地位を自ら捨てるなんてことはないのですから。つまり、見栄のために金を使わない傾向にあって、資産が貯まる傾向にあるんじゃないかと思っています。

 

別の言い方をすれば、資産があるから「降りる」という選択肢が現実のものになったともいえます。

 

そんなわけで、FIREとは「降りる」ことだという点について、ちょっと考えてみました。

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