FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で自由主義者、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

金価格が過去最高9115円、ビットコインも360万突破 金融危機で光り輝くか?

シリコンバレー銀行(SVB)破綻の報が流れた10日から、安全資産にお金が動いています。金価格は過去最高の1グラムあたり9115円となりました。ビットコインも連日上昇し、2万7000ドル、日本円だと360万円を超えてきました。金利も株式も変動が大きい中、ビットコインと金だけが上昇しています。

価格が上昇、ビットコインと金

下記は直近3カ月のビットコイン価格の推移です。一時2万ドルを割ったのち、SVBが破綻すると急激に上昇してきました。現在2万7000ドルを超えています。

同様に上昇したのが金です。下記の超長期価格推移をみると、円建てで過去最高価格、ドル建てでも過去最高に近くなっています。

ドル建て金価格はガンガン上昇しており、直近1920円。2020年8月につけた過去最高値、1ozあたり2069ドルに近づいています。ちなみに、この価格は税抜なので、実際の売買では10%の消費税が乗って1グラム1万円を超えてきています。

金価格を動かす要因

ではなぜ金価格は上昇したのでしょうか。一般に、金は安全資産の1つとされ、政情不安や経済危機の際に価格が上昇します。金投資に詳しい豊島逸夫氏は『小学館30分で分かるシリーズ 3000円から始める金投資』の中で、金価格の上昇・下落の理由をまとめています。

上昇の理由
1.通貨への不信 (ドル、ユーロ、円、どの通貨も売りたい気持ち)
2.実物資産への回帰
3.インフレへの懸念(物価鎮静なれど、通貨増発による悪性インフレの可能性)
4.世界的な超低金利
5.中国の経済成長
6.年金、オイルマネーの流入
7.金生産量の減少

下落の理由
1.米国経済の復権
2.金利の上昇
3.IMFやヘッジファンドの大量売却
4.インドの金需要急減
5.リサイクルの急増

現在は、下記が上昇要因で

  • 銀行危機でFRBは再びQE(量的緩和)開始? 通貨不信再び
  • 続くインフレ懸念

下記が下落要因でしょう。

  • 金利上昇

ただ金利についてはしばらく続くと見られていた上昇が、SVB破綻で利下げマインドとなってきており、利下げが予想されてきたことで、金価格にも上昇圧力がかかってきたと見られます。

 

下記のとおり、10年債ETFのIEFと金価格を並べると、見事に相関していて、金利との関係では債券的に振る舞うことが分かります。

デジタル・ゴールド復権なるか?

同じように上昇が続いているのがビットコインです。SVB破綻の報があった10日以降の上昇は凄まじく、2万ドルから2万7000ドルへと30%以上上昇しました。金と債券も上昇していますが、それを大きく上回っています。

 

となると、気になるのは「デジタル・ゴールド」としてのビットコイン復権か? という点です。

 

もともとビットコインは2009年の金融危機を契機に生まれました。ビットコインの最初のブロックには、創始者Satoshi Nakamotoがメッセージを書き込んでいます。

「The Times 03/Jan/2009 Chancellor on brink of second bailout for bank」
「英財務大臣、二度目の銀行救済目前」 

Satioshi Nakamotoは、Bitcoinの元となる論文でも次のように記しています。

必要なのは、信用ではなく暗号化された証明に基づく電子取引システムであり、これにより希望する二者が信用できる第三者機関を介さずに直接取引できるようになる。
日本語で読むビットコイン原論文 [by Satoshi Nakamoto] – Coincheck blog

 Satoshiの真意は分かりませんが、上記のジェネシスブロックに刻まれたメッセージと合わせて、恣意的に発行量を増減でき、救済を必要とするように従来の送金システムと通貨の問題を、Bitcoinはトラスト(信用)レスの仕組みによって解決するものだと、考えられています。

 

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今回、SVBこそ政府は救いませんでしたが、クレディ・スイスについては「大きすぎて潰せない」の通り、救済が入る見込みです。23年が経って、再び金融危機が起こる不安が醸成されてきており、ビットコインへの注目も集まっています。

 

一方で、少し前までのビットコインは“リスク資産”であり、株式と連動して上下する資産でした。つまり、株との相関(Correlation)が強かったのです。それはどう変化したのでしょうか?

 

THE BLOCKの、ビットコインと各資産との30日相関の推移をみると、2月までは株式とほぼ連動(0.8程度)していたビットコインが、徐々に金との相関を強めてきたことが分かります。

とはいえ、これで金と同様に動くようにトレンドが変わったといえるわけではありません。超長期の相関をみると、金との相関は循環していて一定の傾向が見られませんが、株式とは多くの場合で順相関となっていることが分かります。

そんなわけで、ビットコインの理想が実現したというには程遠く、まだまだリスクオン資産の傾向が強いビットコインですが、いずれにせよ価格は上昇しています。そして過去のエビデンスでいえば、直近10年ちょっとを見ても、AppleやTeslaよりもビットコインのほうがパフォーマンスが良かった(しかも圧倒的に)ということは、忘れてはいけません。

行方見えぬ経済

さて、シルバーゲート銀行(クリプト界隈向け)破綻、シリコンバレー銀行(スタートアップ界隈向け)破綻、そしてクレディ・スイス危機と、相次いで欧米の銀行が危機に瀕しています。

 

経済はというと、コロナ禍で現金をバラ撒きまくった副作用としてインフレが起こり、一転利上げでインフレを止めようとしてきたのが2022年まででした。2023年に入って、当初はインフレも峠を超えたかに見え利下げムードが漂い、ところが強いCPIや小売売上高から経済は過熱気味でさらなる利上げの雰囲気に、そしてまた一転、銀行破綻で経済が先行き不透明、早急な利下げムード……と、二転三転しています。

 

イールドカーブをみると激しく逆イールドとなっており、経済はリセッション入り、FRBは利下げを余儀なくされる……というシナリオも見え隠れする感じではあります。

 

 

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