FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

ChatGPTなどLLMに投資するにはどの株を買えばいい?(中編)

前編では、ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)の概要から、ビジネスの可能性についてざっと概観してみました。後編では、ではこのLLM革命に乗っかるためには、どこの株式を買えばいいのか? について考えてみます。

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LLMのエコシステム

まず、LLMの周りにどんな企業がいて、どんなビジネスをやっているかについてまとめてみましょう。

 

当然、LLMを開発している企業があります。現在はChatGPTで大ブレイクしたOpenAIが代表格ですが、その大本の技術Transformerを開発したGoogleはもちろん、Metaも大規模なAI開発を進めてきました。この3社が世界のLLM開発をリードしているとおもっていいでしょう。

  • OpenAI(非営利企業、非上場)
  • Google
  • Meta

そしてLLMを開発するには、アルゴリズムの開発以外に2つの大きなリソースが必要です。それが計算資源とデータです。計算資源はほぼ1社独占で、NVIDIAのGPUを使って行われています。NVIDIAはPC向けディスクリートGPUで8割を超えるシェアを持っており、LLMが学習に利用するデータセンター向けでも大きなシェアを持っていると考えられています。

  • NVIDIA

学習素材であるデータについては、ネットに公開されているさまざまな情報のほかに、特定企業が保有しているデータがあります。最も巨大なのは、早くからAI向けなどにデータを溜め込んできたGoogleでしょう。Googleは無料通話サービスなどを提供していましたが、その目的は大量の音声データを取得するためだと言われていました。

 

そしてMetaも、クローズドであるFacebook内のデータなど、他社が利用できない巨大なデータを持っています。汎用的なAIではなく、例えば個々人に特化したAIを作ろうと思ったら、その人の過去の発言や写真などのデータが重要です。そうすれば、例えば「AI九条」を作り、ぼくに代わってメールを書いたり電話のやりとりをしたり、ブログだって書いてくれるかもしれません。そしてそのために必要なデータは、Facebookがたっぷり溜め込んでいるわけです。

LLMのビジネスモデル

さてLLMをいくら開発しても、それだけでビジネスになるわけではありません。現在のところ、OpenAIは2つのビジネスモデルを持っています。1つは、ChatGPTのように自らコンシューマ向けのサービスを開発・提供し、課金することです。

 

先日、Twitterでアンケートを取ったところ、ChatGPTを課金して使っている人は8.4%にのぼりました。もちろん統計的にはあまり意味がない数字なのですが、必ずしもテック系のアカウントではない僕のアカウントのフォロワーさんでこの比率というのはすごいことです。

ChatGPTは1億ユーザー突破とかいわれているようですが、上記の比率のようにその15%が課金していれば、1500万ユーザー。年間240ドルなので36億ドルの売上です。Slackの売上高が約9億ドル、Salesforceの売上高が84億ドルだと考えると、にわかに信じられないレベルの売上高ですね。

 

さてこのように、直接ユーザーに提供するプロダクトを作るという方法が1つです。

 

そして2つ目が、LLMをAPI化して各社に販売するモデルです。これは従来OpenAIが行ってきたもので、LLMに送るトークン数によって課金されるという仕組みです。

 

ビジネスでは素晴らしいプロダクトを持っていても、ユーザーにリーチすること、お金を払ってもらうことには高いハードルがあります。すでにユーザーを抱え、課金基盤を持っている企業に対してLLMを売ることで、急速に規模を拡大することができます。

 

米国はもちろん日本でもToC、ToB問わず多くの企業がGPT APIを自社のサービスに組み込み始めており、これが進むとAPI利用料で利益を上げられるようになっていくでしょう。

 

ただ、このことはGoogleやMetaのほうが有利なポジションにあるということも意味しています。彼らはすでに世界中の数十億人を顧客として抱えており、自社製品にAIを組み込むことですぐにたくさんのユーザーにリーチできます。同レベルの技術のプロダクトを持っているなら、GoogleやMetaのほうが大きなアドバンテージがあるのです。

 

だからこそOpenAIは、Microsoftの出資を受け入れ、Microsoft製品にGPTを統合する選択肢を提供したともいえるでしょう。ユーザー基盤を抱えていることは、データだけでなく販売の部分でも圧倒的に有利なのです。

OSとなるChatGPT

ただし現在のChatGPTの隆盛は、大きなゲームチェンジャーとなる可能性も秘めています。それはChatGPTがOSとなるというシナリオです。

 

現在人々は、PCやスマホを使い、それぞれのOSの上で、ブラウザやアプリを使い、サービスにアクセスしています。そこで、PC/スマホのポジション争いがあり、iOS/AndrooidなどのOS争いがあり、Chrome/Edgeなどブラウザの争いがあり、各社は自社のアプリをインストールしてもらおうと躍起になっています。

 

ところが、ChatGPTがもう少し進化した未来では、すべてのやり取りはChatGPTを通して行うことになるでしょう。音声でChatGPTに話しかけて、ChatGPTにカメラで映像を見せ、ChatGPTが音声で答えてくれます。またはディスプレイに表示するでしょう。そうなると、そのスマホがどうであろうと、OSがなんだろうと、ブラウザが何でも関係がなくなります。基盤はChatGPTであり、それ以外はあまり重要でなくなるのです。

 

OpenAIは、こうした世界に向けていろいろな手を打ち始めています。PlugInがその1つです。これは、ChatGPTがPlugInを介して専門的なデータにアクセスできるようにする仕組みです。例えば、「Browing」PlugInならChatGPTはWebにアクセスしてその情報を取得できるようになります。

 

そのほかにサードパーティからこんなプラグインが提供されており、ECサイトをチェックしたり旅行情報をチェックしたり、レストランの予約が簡単になったりできるようになっています。

この先にあるのは、まさにOSですね。ChatGPTというOSの上で、PlugInというアプリが動くイメージです。各社は、ユーザーインタフェースと推論エンジンであるChatGPTを基盤とし、そこにデータやサービスを提供するビジネスに移行するかもしれないということです。

 

「どの銘柄に投資するか?」を書こうと思ったのですが、けっこう長くなってしまったので、回を改めます。

→後編:

ChatGPTなどのLLMの進化は量なのか質なのか 2つのシナリオ - FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

 

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