インデックス投資家にとって、本当にいい時代になったものです。SBIアセットマネジメントは、米ETFのVIGやAGGなどメジャーなインデックスETFへ投資する投資信託11本を6月8日から設定、運用を開始すると発表しました。
超低コストETFにそのまま投資する投資信託
SBI・Vシリーズとは、米バンガードのETFに投資する投資信託で、SBI・iシェアーズは米ブラックロックのETFに投資する投資信託です。下記の5本があって、信託報酬の安さが特徴。合計で1兆円を超える運用規模になっています。
- SBI・V・S&P500 (VOO) 8690億円 0.0938%
- SBI・V・全米株式 (VTI) 1460億円 0.0938%
- SBI・V・全世界株式 (VT) 227億円 0.1338%
- SBI・V・米国高配当株(VYM) 221億円 0.1238%
- SBI・iシェアーズ・米国バランス(IVV+AGG) 23億円 0.0978%~0.0998%
今回、そこに11本が追加されます。下記のとおり、米国増配株式のVIGや、総合債券のAGGなどメジャーどころが揃ったラインナップです。
コストはETF+0.0638%
コストはETFの経費率に0.0638%を加えたものを、信託報酬として支払う形です。もともとが低コストETFとして知られるバンガード、そしてその対抗馬であるブラックロックのiシェアーズなので、0.0638%を乗せても低コスト。
下記が低コストで知られるeMAXIS Slimの全米株式と全世界株式ですが、信託報酬は次の通り。SBI・Vシリーズと接戦だということがよく分かります。
- eMAXIS Slim全世界株式 0.1144%
- eMAXIS Slim米国株式(S&P500)0.09372%
USHY、IGSB、SGOVって何だ?
さてVIGとかVWO、AGGなどは極めて有名なETFですが、中には見慣れないものもあります。USHY、IGSB、SGOVってなんでしょう? ブラックロックの米ハイイールド債ならHYGだし、投資適格社債ならLQD、短期国債ならSHVってのが有名ところのはず。
実はUSHYは2013年に設定されたもので、ベンチマークも異なりHYGよりもちょっとリスク高め、経費率は低く、AUMはかなり増加してHYGに迫っているものでした。
SGOVも似た感じ。経費率が3分の1くらい小さくてAUMも急上昇です。
IGSBも近い位置づけのようですね。ただこちらはかなりボラティリティが違うようなので、チャートも載せておきました。
ちなみに、USHYとかコスト安くていいじゃん!HYGから乗り換えようと思ったのですが、国内証券会社では取扱がありません。SGOVも同様で、あるのはIGSBだけでした。ETFの定期的なチェックも大事ですね。
ETFに対する投資信託のメリット
このSBI・VシリーズやSBI・iシェアーズシリーズの整備を見て、「いやそんなのETFを直接買えばいいじゃないか」と思う人もいるかもしれません。しかし、ETFを投信でラップすることはいくつかのメリットがあります。
まずつみたてNISAの対象となる場合があるということ。つみたてNISAは金融庁が指定した銘柄しか対象にならず、もちろん海外ETFは対象外です。ところが、それを投信でラップすればつみたてNISA対象になる場合があります。下記の通り米国高配当は非対称ですが、VOO、VTI、VTは対象なのです。
次に配当を内部で自動再投資できることです。ETFは、含まれている株式からの配当を分配金として支払わなければなりません。これは(1)その都度課税される(2)手動で明示的に再投資しなくてはならない というデメリットがあります。ところが投信で持てば、配当は投資家に支払われずに内部で自動的に再投資してくれるのです。
(1)は課税を繰り延べて、課税分も複利運用できるメリットがあります。(2)はNISA口座で持つときに意味が出てきます。配当を受け取ってそれを再度投資すると、NISA枠を消費してしまいますが、内部での再投資なら含み益としてカウントされ枠を消費しないのです。
またドルをいちいち買い付けなくても、円で購入できるというのも利点です。個人がドルを買い付ける手数料よりも、投信の仕組みの中でドルに替わるほうが低コストだと考えるのは自然でしょう。
ぼくも以前は米ETFメインでインデックス投資を行っていました。ところが、このように米ETFをラップする投資信託を、0.0638%の追加手数料で使えるのなら、そのほうがいいと考えています。0.0638%は100万円運用時で638円です。十分に低コストでしょう。